映画『まく子』新音インタビュー

【写真】新音 (Ninon)

映画『まく子』新音インタビュー

照れる芝居を恥ずかしがらずに取り組むのがプロと思って臨んだ

映画『まく子』がいよいよ3月15日(金)から全国公開される。

原作は直木賞作家の西加奈子による同名小説で、山あいの温泉街に住む小学5年生の少年・サトシが大人になっていく体の変化を戸惑いながらも受け入れて、成長していく姿を描く。

映画『まく子』場面カット

そんな思春期真っただ中のサトシに大きな影響を与える転入生の美少女・コズエを演じたのは新音にのん。RADWIMPS「狭心症」のミュージックビデオ、第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門の正式招待作品に選ばれた『Blue Wind Blows』(2018年)に出演した注目の若手女優である。

公開を前に、新音さんに出演のきっかけや現場でのエピソードを聞いた。

―― 本作への出演が決まったときの気持ちをお聞かせください。

面接は他の子も一緒かなと思ったら、私一人だったので、とても緊張しました。だから、出演できると聞いたとき、信じられないくらいうれしかったです。がんばろうという気持ちを強く感じました。

―― 原作は西加奈子さんの小説「まく子」です。読んだことはありましたか。

学校の隣りの席の子が読んでいて、表紙が猿の本ということは知っていましたが、読んだことはありませんでした。そして出演が決まってから読み始め、思っていた内容とは全然違う、面白い本でした。猿は出てこないですけれど(笑)。

【写真】映画『まく子』新音インタビュー

―― 新音さんは富名哲也監督の映画『Blue Wind Blows』に出演していますが、本格的な演技は今回が初めてですね。

前回よりも関わっている人が多く、“自分の管理”、“迷惑をかけない”、“礼儀”など、わきまえることがたくさんあったので、意識を高く持って撮影に臨みました。

―― 新音さんが演じたコズエは“大きな秘密”を持つ不思議な女の子です。演じるのが難しかったのではありませんか。

参考になることが少なく、台本と原作をよく読んで、演技の参考にしました。鶴岡監督には独特な雰囲気を作るために、“目力を強くする”、“姿勢をよくする”といったことを演出していただきました。

―― セリフはどうやって覚えるようにしましたか。

家族に相手をしてもらうのが恥ずかしくて、一人二役で練習しました。それで、相手のセリフの後に繋げて覚えるようにしました。ただ、普通の人の役なら感情と言葉を結び付けて覚えることができるのですが、コズエは感情がなかったので、覚えるのがちょっと難しかったです。

―― この作品は主人公のサトシが思春期に入って、大人になっていく体の変化に戸惑いながらも、受け入れて、成長していく物語です。新音さん自身は体が変化していくことをどう思っていますか。

大人の女の人になったということに最初は戸惑いがありました。でも、大人になるにつれて、できることがどんどん増えていき、楽しいこともたくさんありました。例えば、着られなかった服が着られるようになり、届かなかったものが届くようになる。子どもにしかないものを失うこともありますが、大人になることで新しいものが自分の中にどんどん入ってくるのは素敵なことだと思っていす。

サトシくんは大人になるのが怖いけれど、普通の子は大人になるのが楽しみ。逆に大人は子どもに戻りたいといいます。今という瞬間がいちばん美しい。大切にしなくてはいけないと思いました。

映画『まく子』場面カット

―― コズエがサトシの頬を舐めるシーンがありました。ちょっと恥ずかしかったのではありませんか。

現場に入る前の打ち合わせで練習をしました。舐め方は“刺すように”とか、いろいろあって、しかも舐める場所も少しずつ変えてやってみたのです。初めは抵抗がありましたが、何回も練習していくうちに慣れていきました。コズエはそのことに何の違和感も覚えていないので、それを演技で表せるようになったと思います。プロとして、照れる芝居も恥ずかしがらずに取り組むのも自分にとっては課題だと思っていたので、いい勉強になりました。

ただ、演技だったので、私としてはあまり抵抗がなかったのですが、サトシ役の山﨑くんが嫌な気持ちにならないように、何回も謝っていました。それをきっかけに、山﨑くんと仲良くなれた気がします。

―― 印象に残ったシーンを教えてください。

コズエが撒いた葉っぱについて、「落ちていくからきれいなんだよ」というセリフはとてもきれいに思いました。移り往くから美しい。コズエには感情がありませんが、このシーンはそんな気持ちを込めて、意味を伝えるようにゆっくりいうのが大事だなと思って、意識して取り組みました。

―― コズエが撒いた落ち葉がとてもきれいに舞い落ちていました。撒き方に何かコツがありますか。

打ち合わせの頃は発泡スチロールのようなものでできた葉っぱで練習しましたが、現場に入って、本物の葉っぱを撒いてみると重さや落ち方が全然違う。現場での練習を重ねて、撒き方を工夫しました。

最初は投げるように撒いていましたが、回数を重ねていくうちに、前に向かって撒くよりも、上に投げた方が舞うのがきれいに見えるとわかったのです。それからは上に向かって放り投げていました。コズエの表情も撒いているときは子どもっぽくて無邪気にして、楽しんでいるのを表現しました。

―― サトシと並んで座り、葉っぱを撒いたところの桜の大木は立派でしたね。

クランクインの日は雪が降って、すごく寒かったのですが、クランクアップの日は桜が咲きました。季節の変わり目を撮影現場で感じることができて、素敵な気持ちになりました。

映画『まく子』場面カット

―― コズエがあの町に撒いていったものは何だと思いますか。

再生する力。大人になっていくのは美しいよというメッセージだと思います。

―― 撮影現場は同世代の子どもがたくさん集まっていました。どんな雰囲気でしたか。

みんな、私より演技の経験が多く、意識も高く、現場の入り方や挨拶の仕方がしっかりしていました。私より年下の人が多かったのですが、学ぶことが多かったです。

しかし、宿に戻るとみんないつもの感じに戻り、学校の同級生と接しているみたいでしたね(笑)。みんな、切り替えが早かったので、その点でも学ぶことがたくさんありました。

撮影は春休みに行われました。2週間ちょっとくらいで、途中で一回、始業式に出るために家に戻って、また撮影に入りました。入れ替わりが多かったのですが、友だちがたくさんできて、四万温泉の町にも馴染めて楽しかったです。

【写真】映画『まく子』新音インタビュー

―― 四万温泉はレトロな温泉街ですが、どんな印象を持ちましたか。

初めて行きましたが、宿に温泉がついていて、撮影が終わった後に共演者のみんなと待ち合わせをして入りましたが、すごく気持ちがよかったです。学校の旅行に来ているような気分でした。肌もきれいになった気がしました。

オフのときに散歩をしましたが、お土産物屋さんなどの街並みがレトロな感じ。で、家族と旅行で行きたいなという気持ちになりました。

それと、川の水がとてもきれいで、河原を歩いていると心が落ち着きました。本来はそこには入れないのですが、撮影で一回だけ入れていただいたのです。そのときに気がつきましたが、河原の石の形が全部違うんです。見ているだけでも、面白かったです。

―― コズエが迷い犬を見つけて触っているのを見て、新音さん自身が犬を好きなのかなと感じました。

動物が大好きです。私の親せきは猫を飼っている人が多く、猫も好きですが、実は大型犬がすごく好き。いつか飼いたいなと思っています。

―― コズエは最初、真っ白いワンピースを着ていました。その後も白っぽく、色の薄い服が多かったのですが、最後は真っ赤なワンピースでした。赤にはどんな意味があると思いますか。

あれはサトシの夢の中のコズエです。サトシはコズエに恋をしているので、好きな女の子に対して好意の気持ちを込めて“赤”ということかなと思いました。

映画『まく子』場面カット

―― サイセ祭りで神輿を担いでいるとき、コズエはお母さんとすれ違い、掛け声のように「コズエ」「お母さん」と繰り返しますが、どんな意味があったと思いますか。

コズエが“親子”というものを理解し、親子の絆を感じようとしていると思ったので、必死に「お母さん!」と叫んでいる感じを出すようにしました。

私はつみきさんと親子でしたが、一緒にいるシーンが少なかったので、つみきさんの声の高さと大きさにびっくりしました。負けないくらい大きな声を出そうと思い、引っ張られるような感じで「お母さん!」と呼びかけました。

―― つみきみほさんはどんな女優さんだと感じましたか。

監督から目を大きく見開いて、瞬きを少なくするように言われていましたが、なかなかできませんでした。でも、つみきさんは瞬きがおかしくて、表情のぎこちなさが出ていました。監督から何度も「つみきさんの演技はとんでもなくうまい」と聞かされていましたが、完成した映画を見て、改めてつみきさんのお芝居のすごさを感じました。そして、自分ももっと工夫できたのではとも思いました。

―― サトシのお父さんを演じた草彅剛さんの印象はいかがでしたか。

すごくオーラがありました。挨拶のタイミングを逃してしまったのですが、後から挨拶したときにとてもやさしく話しかけていただき、ほっとしました。現場にすぐ馴染んで、演技もすごく、学ぶことが多かったです。

映画『まく子』メインカット

―― この作品に出演して、自分の中で成長したなと思うところはありましたか。

映画にはたくさんの方が関わっている人が大勢いました。そういう人たちとの接し方、協力の仕方を学ぶことができたと思っています。

―― 今後はどんなお仕事をやっていきたいですか。

コズエは感情があまりない役だったので、もっと人間味があって、感情が露わになっている役をやってみたいです。モデルの仕事をするときも、写真撮影をするときには女優として撮影に臨みたいと思っています。

―― 最後に、シネマアートオンラインの読者の皆様へメッセージをお願いします。

[インタビュー: 堀木 三紀 / スチール撮影: 坂本 貴光]

プロフィール

新音 (Ninon)

2004年12月10日生まれ。RADWIMPS「狭心症」のMV出演で注目を集める。その他、第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門 正式招待作品として選出された『Blue Wind Blows』(2018年/富名哲也監督)に出演するなど今後の活躍が期待される若手注目女優の一人。

【写真】新音 (Ninon)

映画『まく子』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『まく子』ポスタービジュアル

《ストーリー》

ひなびた温泉街の旅館の息子・サトシは、小学5年生。自分の身体の変化に悩み、女好きの父親に反感を抱いていた。ある日、美しい少女コズエが現れる。言動がどこか不思議な同い年のコズエに最初は困惑していたサトシだったが、次第に彼女に魅せられていく。そしてコズエから「ある星から来たの」と信じがたい秘密を打ち明けられる。枯葉や紙の花を楽しそうにまくコズエが、やがて町の人々みんなにまいたものとは…。

思春期というかけがえのない時を生きるサトシの葛藤とコズエとのせつない初恋を軸に、家族を愛しつつも浮気をしてしまう父親、それを知りながら明るくふるまう母親、道ならぬ恋をする若い女性、訳ありの親子・・・小さな町のどこか不器用な人々を映し出す。

 

監督・脚本: 鶴岡慧子
原作: 「まく子」西加奈子(福音館書店 刊)    
出演: 山﨑 光、新音、須藤理彩/草彅 剛
主題歌: 高橋優「若気の至り」(ワーナーミュージックジャパン/unBORDE)
© 2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)

2019年3月15日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー!
 

映画公式サイト

公式Twitter: @makuko_movie
公式Facebook: @makuko.movie 

この記事の著者

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