映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』インタビュー
【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』ナレーター 葵わかな

映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』

映画ナレーションに初めて挑んだ葵わかな 
さらには制作スタッフにインタビュー!

NHK総合テレビの人気自然番組「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」が、初の映画化!『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』として1月18日(金)より、全国公開される。

500本以上ある放送アーカイブから珠玉の映像を厳選し、アフリカ大陸の過酷な環境を生き抜く3つのとっておきの“家族”の物語を紹介している。またアフリカならではの多彩な環境に暮らす「珍獣」たちも登場し、多様な生きものに出会える。エンディングテーマには、アフリカの大地を愛し、地球環境について注視を続けるMISIAの新曲「AMAZING LIFE」が決定している。

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』メインカット (オスライオン)

本作で初めて映画作品のナレーションを担当した葵わかなさん、アフリカでの撮影を担当した株式会社Bridgearthの橋場利雄氏、制作を担当した株式会社NHKエンタープライズの若松博幸氏に、各々の仕事のエピソードや本作の魅力について話を聞いた。

まずは、映画作品のナレーションに初めて挑んだ葵わかなさんにインタビュー

お子さんがアフリカに来ていると感じられるように

―― 本作のナレーションはいかがでしたか?

葵: 動物が大好きなので、そのお話しのナレーションができるなんて、すごく嬉しいと思いました。この番組のことはもちろん知っていますから光栄でした。

【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』葵わかな (ナレーター)

―― ナレーションで気をつけた点や難しかったことは?

葵: 今回の『ダーウィンが来た!』は、ストーリーに3つの軸があって、小さい子どもが観ても分かり易いようにできてます。台本の書き方が、話しているかのような、隣で一緒に説明をしながら観ているかのようで。一緒に体験をしているように気持ちを込めて、親しみのある読み方にしました。お子さんだけではなく身近の人に話を聞いてもらう感じだったので、かしこまらずに柔らかさや距離の近さを意識しました。難しかったことは、如何に気持ちを言葉に乗せられるかの部分でした。3つのお話しの状況がどんどん変わっていく中で、読み手がひとりしかいません。そこの変化を上手く伝えられたらなって。例えばライオンたちが狩りを始める時は、緊迫したような話し方にしてほしいと監督さんからアドバイスがありました。ひとつのお話を2時間ぐらいひとりで語っていくのは、大変だなと思いました。

―― ナレーションの仕事で一番面白かったことはどんなところですか?

葵: ナレーションをしたからというよりは、ひとりの観客としてお話がすごく面白かったです。ライオンは、こうやって成長するんだなとか、とても感情移入ができました。

【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』ナレーター 葵わかな

困った時に『家族』が助け合う動物たちの姿に感動

―― アフリカの大自然を映画で観た感想を教えてください。

葵: すごく広いなと思いました。映像を通してしか知らないですけど。ライオンたちは、暑くて大変そうでした。あんなに大量のカバも見たことがないです。数とかスケールの大きさも映像から伝わり面白かったですね。

―― 本作で一番感動したシーンやハラハラしたシーンはどこですか?

葵: 動物たちが立ち止まるというか、あまり恵まれない状況になります。それをどう回避していくかというところ。本人の頑張りもあるけど、周りや家族が救ってくれるという部分がたくさん見れてすごく感動しました。ライオンが狩りを始める前は、ずっと寝ていたのに目が急に光って動き出すんです。この狩りは成功するの?とか、どうやって捕まえるんだろう?とハラハラしながら観ていました。

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』場面カット

―― 本作に出てくる動物の中で一番面白いと思った動物は何ですか?

葵: 指の先ぐらいの大きさしかないカメレオンです。私的には小さいと思って、しかも可愛かったんですよね。雨粒に飛ばされますが、どれだけ気苦労が多いのだろうって。動物に踏んづけられたりしないのかって。私たちが何も思わないものが、これほど大変な事かと思うと、すごく気になりましたね。

―― 感情移入した動物はいましたか?

葵: ウイリアムというオスの子ライオンが成長するのを見た時は、自分の飼っている猫を見ているような気持ちになりましたね。ついこの前までは木登りができなかったのに、次の時はできるようになっていたりして「ワッ、エライ!」みたいな気持ちになりました。

―― ナレーションの仕事を終えた感想は?

葵: 終えた直後は、とても達成感がありました。もともと動物が好きだったので、一緒に追いかけているような気持ちで、また新しいことを知ることができました。ナレーターというよりは、ひとりの観客として作品と密に関われたので、作品にスゴク愛着が湧きました。

【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』ナレーター 葵わかな

次に、アフリカで撮影を担当したBridgearthの橋場利雄氏と制作を担当したNHKエンタープライズの若松博幸氏も加わり、アフリカ談義を。

夜明け前に出発し、撮影クルーはたった3人

―― アフリカでの取材と撮影はどのように行ったのですか?

橋場: 撮影用車両のランドクルーザーを使い、車の中から撮りました。キャンバストップで天井がなく、360度カメラは撮れるという状況です。ライオンの場合は、被写体となるライオンをずっと追い続けます。夜明け前から出発してライオンをみつけて、後はライオンが何をするのかを、いろんな角度から追いかける。ただライオンっていうのは、ずっと寝ているから、動くまで待ちます。一度狩りをしてしまうと2日は寝たっきりなので、他の動物を撮りに行くとか、プログラムを変えたりして追跡するというやり方です。基本的に日本人スタッフは2人、30年組んでいる現地のベテランドライバーがひとりです。

【写真】橋場利雄 (株式会社Bridgearth 代表取締役)

―― 多くの子ライオンの中から、ウイリアムをどう見分けるのですか?

橋場: ライオンってわりと個性的なんですね。2か月ぐらいからオスとメスの区別がついてくると、あの仕草をしているのはウイリアムだとわかります。後、尻尾の形状も違ったりしているんですね。模様がちょっと違ったりとか。そういう特徴を押さえて追いかけています。

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』場面カット (ナイラと六頭の子どもたち)

制作者おススメのアフリカ旅行

―― 映画を観て、アフリカ旅行をしたくなりましたか?

葵: 今までは映像の中の世界でしたが、自分の想像でしか知らないので…。製作に携わられたお二人の話を聞くと、やはり行ってみたいなと思いますね。行こうと思えば行けるところなんだなって。

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』場面カット (夕日とライオン)

―― お二人(橋場氏、若松氏)から葵さんにおススメする場所はありますか?

橋場: 3ケ所あります。タンザニアであれば、ンゴンゴロクレーター。火山が爆発した後に真ん中に穴が空いてカルデラになり、ちょうど山手線がすっぽり入るくらいの場所です。上から眺めると下の方に象が見えます。下が真っ平なんですね。キリン以外はなんでもいます。キリンはカルデラの坂を下りられないので、いないんですね。その隣にセレンゲティという世界で一番有名な野生の王国があります。ライオンはそこに住んでいます。映画の広い草原は、そこで捉えたものです。最後のひとつはケニアのマサイマラ。ヌーが移動していく場所です。

【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』若松博幸氏、橋場利雄氏 インタビュー

若松: 川を渡った先です。

橋場: 100万頭のヌーが終結する場所です。

葵: ヌーの足元は、どうやって撮ったんですか?蹴り飛ばされそうですよね。

橋場: あれは、亀カメラで。

葵: カメカメラ?!

橋場: あれは陸ガメの甲羅の模型を作り、小さな穴をあけてカメラを仕込みました。陸ガメのことは、(動物たちは)仲間だと思っていて、跨いで行ったり、匂いを嗅いだりするんです。

葵: あれって、みんな避けてくれているんですね。すごいですね!

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』場面カット (ヌーの大移動)

―― もしアフリカの動物に生まれるとしたら何に生まれたいですか?

葵: 難しいですよね。あまり闘わない動物がいいなぁ~、のんびりと暮らしたい。ライオンとかに狙われない動物がいいです。キリンとか。

橋場: キリンはライオンに食べられます。

葵: そうなんですか?!ではゾウは?

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』場面カット (大草原に溢れるゾウの群れ)

橋場: ゾウも食べられちゃいます。カバがいいかな? カバって水が味方じゃないですか。ダーッて水に入っちゃうとそれで助かるんです。ライオンが乗っかったまま。

若松: そのまま水没していく。

葵: カバかぁ…。まぁ、結局逃げなきゃいけないってことですね。追う方になるか、逃げる方になるかですね。

橋場: 鳥だと大丈夫です。

葵: じゃあ、鳥にします。色がゴージャスなきれいな鳥になります。

若松: ハシビロコウ[1] だと、じっとしていられますよ。

葵: 動かなすぎて肩凝りがひどそう(笑)。

[1] ハシビロコウ: 映画に登場するじっと動かない姿勢を保つ鳥。絶滅危惧種に指定されている。

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』場面カット (微動だにしないハシビロコウ)

―― 最後に、この映画で一番伝えたいことを教えてください。

若松: 今回は初の映画化なので小さいお子さんからお年寄りまで、家族揃って観に来てほしいという気持ちがありました。動物は、どんな困難があっても淡々と一生懸命に生きようとします。家族のチカラを借りながら、自分で失敗を繰り返しながら乗り越えていきます。なかなか乗り越えられない部分もでてきます。だけど、とにかく一生懸命に誠実に生きているところがあります。是非そういうところを観て、生きる勇気や元気を感じてもらいたいです。

【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』若松博幸 (株式会社NHKエンタープライズ 制作本部 自然科学番組 シニア・エグゼクティブ・プロデューサー)

[インタビュー: 花岡 薫 / スチール撮影: 坂本 貴光]

葵わかなさんから読者の皆様へメッセージ

プロフィール

葵 わかな (Wakana Aoi)

スターダストプロモーション所属
1998年6月30日生まれ。

主な出演: 舞台「ロミオ&ジュリエット」(2019年2月〜)/TV「わろてんか」(2017年/NHK)/映画『青夏 きみに恋した30日』(2018年/松竹)/ナレーター「福島タイムプラス 震災7年目の映像詩」(2018年/NHK)

【写真】葵わかな

橋場 利雄 (Toshio Hashiba)

株式会社Bridgearth 代表取締役

略歴: 自然番組ディレクター歴30年。これまでに作った動物番組は100本を越え、多様な動物番組を作り続けている。

【写真】橋場利雄 (株式会社Bridgearth 代表取締役)

若松 博幸 (Wakamatsu Hiroyuki)

株式会社NHKエンタープライズ 制作本部
自然科学番組 シニア・エグゼクティブ・プロデューサー

略歴: 1981年NHKに入局。2006年からNHKエンタープライズで「ダーウィンが来た!」などを担当。

【写真】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』若松博幸 (株式会社NHKエンタープライズ 制作本部 自然科学番組 シニア・エグゼクティブ・プロデューサー)

TV番組「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」番組情報

 

NHK総合テレビで2006年4月に放送(毎週日曜 19:30-20:00)を開始。最新機材を駆使し、灼熱の砂漠やジャングルなど50カ国以上の国と500種以上もの生きものたちを撮影し続け、“誰も見たことがなかった生きもの”たちの姿をお茶の間に届けてきた人気自然番組。

映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』ポスタービジュアル

《イントロダクション&ストーリー》

アフリカの大自然の中で力強く生きる3つの「家族」の物語
2006年放送開始から12年、劇場版では500本以上ある放送アーカイブから、珠玉の映像を厳選。哺乳類だけでも1,000種類もの動物がいる野生動物の宝庫【アフリカ】。壮大で厳しい自然の中で命をつなぐため、多くの動物たちは「家族」で暮らします。今回、ご紹介するのは、こんな3つのとっておきの「家族」の物語。 群れから追放され、放浪の旅を続けながら群れの王を目指す「オスライオン」、家族を失いたった1頭で幼い子どもを育てる「メスライオン」、争いで片腕を失った子 どもを優しく見守りながら暮らす「ゴリラ家族」。優しく、そして力強く生き抜く、素晴らしいそれぞれの家族の姿は必見です。さらに!アフリカならではの多彩な環境に 合わせ、多様な暮らし方をしている「珍獣」たちもたくさんご紹介。「ダーウィンが来た!」ならではの貴重な映像を大スクリーンでお楽しみください。

 
ナレーション: 葵わかな、龍田直樹
 
音楽: 内池秀和、加藤みちあき
制作: NHKエンタープライズ
映像提供: NHK
製作・配給・宣伝: ユナイテッド・シネマ
 
2019年1月18日(金)より、
ユナイテッド・シネマ他全国ロードショー!
 
映画公式サイト

この記事の著者

花岡 薫ライター

自分にとって殿堂入りのスターは、アラン・ドロン。思い起こせば子どもの頃から、愛読書は「スクリーン」(SCREEN)と「ロードショー」(ROADSHOW)だった。朝から3本立てを鑑賞し、英語のリスニング対策も映画(洋画)から。お腹が空くまで家には帰らなかったあの日々が懐かしい。
今も変わらず洋画が大好きで、リチャード・ギア、ロブ・ロウ、ブラッド・ピットとイケメン王道まっしぐらな性格も変わらず。目下の妄想相手はアーミー・ハマー。カッコいい俳優さんたちが、人生の好不調に耐えて充実した50代を迎えられる姿を、陰ながら応援をしていきたい。

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