第32回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門審査委員記者会見レポート

【写真】第32回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 審査委員記者会見 (チャン・ツィイ―、ビル・ガーバー、ジュリー・ガイエ、マイケル・ノアー、廣木隆一)

第32回 東京国際映画祭(TIFF)
コンペティション部門 審査委員記者会見 

審査委員長 チャン・ツィイー
「それぞれの国と地域の文化が反映されている作品を公正な立場で選びたい」 

第32回目を迎える東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival/略称:TIFF)が幕を開けた翌日の10月29日(火)、メイン会場のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにてコンペティション部門の審査委員記者会見が行われた。

審査委員長には中国出身のチャン・ツィイー(章子怡/女優)をはじめ、アメリカからはビル・ガーバー(プロデューサー)、フランスのジュリー・ガイエ(女優/プロデュサー)、デンマークのマイケル・ノアー(監督)、日本からは廣木隆一(監督)ら5人の国際審査委員が勢ぞろいした。

今回のコンペティション部門は、才能溢れる新人監督から熟練の監督までを対象に115の国と地域から1,804作品の応募があり、厳正な審査の結果14作品が選出されている。日本からは『喜劇 愛妻物語』(足立伸監督)と『ばるぼら』(手塚眞監督)の2作品が選出となった。東京グランプリをはじめとする各賞は、11月5日(火)に東京国際フォーラムで行われるクロージングセレモニーで発表される。

記者会見レポート

国際色豊かな審査委員の選出のせいか昨年度よりも海外メディが多い印象。特に驚いたのは、審査委員長を務めるチャン・ツィイー専門のカメラマンが複数人いること。プレスの詰めかける会場に審査委員たちがにこやかに手を振りながら現れる。そしてラストにチャン・ツィイーがとびっきりの笑顔で登壇。会場の雰囲気が一気に華やかに。始まったばかりのエキサイティングな映画の祭典にボランティアの方々も含む関係者たちの期待感を強く感じる記者会見となった。司会は笠井信輔、英語通訳は今井美穂子。

記者会見の スタートは国際審査委員長チャン・ツィイーの挨拶から始まった。

審査委員長 チャン・ツィイー(女優)

映画の宣伝で来日することが多かったのですが、今回は審査委員長という形で来日をすることができて嬉しく思います。日本の皆さまには、『初恋のきた道』(1999年)、『グリーン・デスティニー』(2000年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)など長い間応援をしていただき改めてお礼を申し上げます。

審査委員 ビル・ガーバー(プロデューサー)

東京国際映画祭の審査委員として来日できて光栄です。自分の携わった作品、例えば『グラン・トリノ』(2008年)、『アリー/スター誕生』(2018年)などを携えて訪日したことはありませんが、審査委員の立場で選ばれた作品を拝見するのを楽しみにしています。

審査委員 ジュリー・ガイエ(女優 / プロデューサー)

初来日は女優としてでした。2009年の第22回東京国際映画祭では『エイト・タイムズ・アップ』(原題:Huit fois debout/2009年)という作品で最優秀女優賞をいただきました。その後アニエス・ヴァルダ監督と作品を共同制作していました。今回は審査委員としての来日で、とても嬉しく思います。アニメ作品を観ることも楽しみにしています。

審査委員 マイケル・ノアー(監督)

審査委員として素晴らしい街“東京”に来ることができて光栄です。東京国際映画祭では、昨年『氷の季節』(原題:Before the Frost/2018年)で審査員特別賞を受賞しました。いろいろな作品との出会いを期待しています。滞在中にはカラオケに行き、フランク・シナトラの「夜のストレンジャー」を歌うつもりです。なので練習中してきました(笑)。

審査委員 廣木隆一(監督)

いつもは審査をされる側にいるので、審査をするというのはこんなにも緊張をするものなのだと実感しています。東京国際映画祭では、主演女優賞と新人男優賞をいただいたのですが、作品賞はまだ受賞しておりません(会場は大笑い)。知り合いの映画も2作品入っておりますが、公平に審査していきたいと思います。

国際審査委員への記者質問(Q&A)

―― 東京国際映画祭の印象はいかがですか?

チャン: 私にとってこの映画祭は、中国映画もたくさんの賞をいただいたこともあり、とてもオープンで素晴らしい国際舞台という印象です。『初恋のきた道』のチャン・イーモウ監督は、主演男優賞を受賞したこともあります。

ビル: 組織の運営の仕方が好印象です。コンペティション部門に関して言えば、世界各国からさまざまな作品が選定されている印象です。

ジュリー: 作品情報を見ると慎重に愛を持って選定されたことが伝わります。缶詰め状態となりますが、全員で世界各国の映画を堪能したいです。魔法のような時間を期待しています。

マイケル: 昨年、デンマークの歴史に根付いた作品でコンペティション部門に参加しました。文化の壁を越えて日本の観客に伝わることに驚きました。世界に“壁”が増えてきているので、映画という魔法で人同士をつなげられたらいいと思います。

廣木: 東京に住んでいる僕からの意見です。東京国際映画祭は他の映画祭と比較されがちでしょうが、こんなにいろんな国の映画を鑑賞できる映画祭は他にはありません。もっと関心を持ってこの映画祭に参加してほしいな、という気持ちがあります。

―― どのような作品が受賞すべきか、選定基準を教えてください。

チャン: 今年は14作品が選ばれました。中国、日本、フランス、トルコ、フィリピン、ノルウェイ、イラン、さらにイタリアからも。合作も多いです。例えばスペインとフランスの合作、日本とイギリスとドイツの合作、なんとフランスとグアテマラとの合作もあります。この映画祭は幅広い視点から選ばれています。多様性は大事ですが、表面的な多様性ではなく、それぞれの国と地域の文化がきちんと反映されている作品が選ばれると思います。審査員のどなたとも面識がないので、お互いの立場やメンツを排除して公正な立場で審査できると思います。

ビル: 注目作品をえこひいきする気はありません。私の意識している基準は、どれだけの困難を乗り越えて作品が作られたかということです。演出の部分、役者からどのように演技を引き出したか、どのような過酷な環境の中で撮影を強いられたのかなどです。映画を作るのは持久走みたいなもの。その努力の結果を見ていければと思います。

ジュリー: 自分にとって映画の母でもあるアニエス・ヴァルダ監督の言葉を引用してお答えします。「映画は問いに対する答えを提供するものではない。詩による暗示なのだ」 私も同じ意識で作品を鑑賞するつもりです。自分の情感の赴くまま映画を堪能します。ユーモアがどのようにちりばめられているかもポイントです。

マイケル: 映画というものは、監督やプロデューサーや役者や脚本家たちが何年もかけてひとつの作品に打ち込むわけなんです。その辛さもよく知っているし、成功にこぎつけるのが難しいことも。作品を観ると直感的に人生について考えさせられ、発見があります。敬意を持ち、目を見開いて各作品と付き合っていきたいです。

廣木: 製作費がいろいろだと思う。それとは関係なく面白いものを見つけられたらいいです。予算に限らず面白い作品に出会いたいです。

さらに質疑応答が「東京国際映画祭の世界への発信力について」に向かうと、廣木監督が「東京はビッグシティで映画祭は行事の中のひとつ。国が文化に対して口を出さず金を出せばいいんだよ」と持論を展開。チャン委員長は、「杞憂にすぎませんよ」と回答した。さらに「素晴らしい映画祭とは良い作品が上映されていること。映画は文化を伝達する手段。例えば今年の第72回カンヌ国際映画祭で韓国の『パラサイト 半地下の家族』(原題:Parasite/2019年)がパルムドールを受賞し、世界中で話題になりました。その前の年は『万引き家族』(2018年)でしたよ。作品が良ければ、映画関係者だけではなく、観客の皆さんも含め話し合われるものなのです」と心強い意見を付け加えた。

[記者: 花岡 薫 / スチール写真: © 2019 TIFF]

記者会見概要

第32回 東京国際映画祭(TIFF) 
コンペティション部門 審査委員記者会見

■開催日: 2019年10月29日(火)
■会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン7
■登壇者: チャン・ツィイー(章子怡/女優)、ビル・ガーバー(プロデューサー)、ジュリー・ガイエ(女優/プロデューサー)、マイケル・ノアー(監督)、廣木隆一(監督)
司会: 笠井信輔(フジテレビアナウンサー)
■英語通訳: 今井美穂子

【写真】第32回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 審査委員記者会見 (チャン・ツィイ―、ビル・ガーバー、ジュリー・ガイエ、マイケル・ノアー、廣木隆一)

コンペティション部門 審査委員記者会見映像

イベント情報

第32回 東京国際映画祭(TIFF) 開催概要

■開催期間: 2019年10月28日(月) ~ 11月5日(火)
■会場: 六本木ヒルズ、EX シアター六本木(港区)、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場(千代田区)ほか 都内の各劇場及び施設・ホールを使用
■上映作品本数: 計180本

第32回 東京国際映画祭(TIFF) 公式サイト

この記事の著者

花岡 薫

花岡 薫ライター

自分にとって殿堂入りのスターは、アラン・ドロン。思い起こせば子どもの頃から、愛読書は「スクリーン」(SCREEN)と「ロードショー」(ROADSHOW)だった。朝から3本立てを鑑賞し、英語のリスニング対策も映画(洋画)から。お腹が空くまで家には帰らなかったあの日々が懐かしい。
今も変わらず洋画が大好きで、リチャード・ギア、ロブ・ロウ、ブラッド・ピットとイケメン王道まっしぐらな性格も変わらず。目下の妄想相手はアーミー・ハマー。カッコいい俳優さんたちが、人生の好不調に耐えて充実した50代を迎えられる姿を、陰ながら応援をしていきたい。

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