『カニーニとカニーノ』木村文乃&鈴木梨央インタビュー
監督の「優しい物語にしたい」という想いを受け挑んだアフレコ
『メアリと魔女の花』を昨年夏に発表し世界の映画シーンにおいて鮮烈なデビューを飾ったアニメーション制作会社・スタジオポノックの新プロジェクトとして設立された短編アニメーション映画の制作レーベル「ポノック短編劇場」の第一弾作品『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』が8月24日(金)より公開された。
“子どもたちから大人まで楽しめるアニメーション映画を作りたい”という志からスタートしたこのプロジェクト。“ちいさなものの中にこそ大事なものが込められている”3つの奇跡の物語で構成される短編劇場の一作目は、『メアリと魔女の花』の米林宏昌が自身初となるオリジナルストーリーで挑んだ『カニーニとカニーノ』。主人公のカニの兄弟の声を演じた木村文乃さんと鈴木梨央さんに話を聞いた。
―― 実際に台本を読んでみて、自身が演じるキャラクターへの印象を教えて下さい。
木村文乃(以下、木村): 先に生まれたであろう事からお兄ちゃんなんですけど、どこかお兄ちゃんになりきれない部分があって、元気で明るくて甘え上手なカニーノを羨ましく思っている部分がカニとはいえ、よく兄弟にある風景だなと思えて愛着が湧きました。
鈴木梨央(以下 鈴木): 凄く泣き虫でお兄ちゃんに頼り気味な弟だなって思ったんですけど、まだ映像を見ていない状態だったので、演じる上で自分なりに自然な感情を出せたらいいなと思いました。
―― お二人は以前、ゲームや吹き替えの仕事をされましたが、今回の短編アニメーション映画との違いはありましたか?
木村: 私はゲームの声をやらせていただいた事があるんですけど、アフレコ時間の殆どが攻撃したり避けたりとリアクションの声が多かったのですが、それが今回無いという意味ではリアリティがあるなと感じました。
鈴木: 私はアニメーションと実写の吹き替えはしたことがあったんですけど、アニメーションの方が表情も豊かで喜怒哀楽がハッキリしている印象を受けました。
木村: やっぱり流石米林監督だなと感じたのは、顔を見ただけで何を言いたいのかが分かるような気がしたので、その表情に合うように、米林さんがどうやって表現したかったのかをなるべく的確に表していきたいと思ってやりました。
―― 監督の言葉で何か印象に残っているものはありますか?
木村: 収録が始まる前に一度、監督と顔を合わせた時に『カニーニとカニーノ』を描くにあたり、「優しい物語にしたいんです。あまり強いぞっていうイメージでは無い子たちが、弱虫ながらも頑張って成長していく物語を書きたいんです」という風に仰っていて。弱い立場の人たちにフォーカスを当てて、それをカニの話にして、たったの数分に仕上げてしまうっていうのが米林監督の凄いところだなと尊敬の念すら抱きながらお話を聞かせていただきました。その話があってからアフレコを始める事が出来たので、落ち着いて役に入る事が出来ました。
鈴木: 自分が思った事を映像に合わせて素直に表現して欲しいと言って下さったんですけど、アフレコ当日に初めて映像を見て、すぐ演じる形だったので自分も大冒険している気持ちに自然となれました。監督も穏やかで、とても微笑ましくアフレコを見守って下さいました。
―― 実際に完成した『カニーニとカニーノ』を観てどうでしたか?
木村: 観終わった後に、勇気を出して進んでいく少年たちの様な気持ちになれました。自分たちで選んで進んで行くのも楽しいし、怖いと思っていたものが可愛かったりとか、そういう発見があるのも流石このチームで作り上げた映画だなと感じました。
鈴木: とにかく映像が凄く綺麗で、キャラクターたちも動きの1つ1つが可愛かったです。映像は18分という短い時間だけど、そこに物語が詰まっていて見応えのある作品だなと感じました。
―― 最後にこれからご覧になる方々にメッセージをお願いします。
木村: 今は「想像したことは全部やってみるべきだし、それを評価する人間も居るよ」っていう時代だと思うので、思い付いたことはまず、やれるかどうかよりもやってみることの方が大事なんだって私自身が迷う時に教えられているので、そういう意味ではこの作品も、監督のそれぞれ三者三様の色がある中で一緒になってやろうという新しい試みだと思うんですよね。
そうやって成功を掴む人たちのもがいてやっている姿って凄くパワーになると思うので、アニメーションだし子ども向けかな?なんて思われたとしても、挑戦してるんだっていう所を視点において観に来ていただけると、新しくものづくりに携わる時のエネルギーになるんじゃないかなと思います。
鈴木: 54分の短編作品の中でも驚いたり、涙したり、笑顔になったりと見終わった後にすごく考えさせられると思います。小さいお子さんからお年寄りの方まで、家族の皆さんで観に行って、終わった後に感想を伝えあったりして下さったら嬉しいです。
[インタビュー: 梅田 奈央]
プロフィール
木村 文乃 (Fumino Kimura)1987年、東京都生まれ。『アダン』(2006年)のオーディションで約3000人の中から選ばれ女優デビューし、『風のダドゥ』(2006年)で主演を務める。2012年、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」で脚光を浴び、以降、『マザー・ゲーム 〜彼女たちの階級〜』(2015年)、『十字架』(2016年)、『火花』(2017年)など数々の話題作に出演。2018年現在「99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅱ」(2018年)、『伊藤くん A to E』(2018年)、『羊の森』(2018年)の出演がある。公開待機作として、『体操しようよ』『ザ・ファブル』がある。 鈴木 梨央 (Rio Suzuki)2005年、埼玉県生まれ。NHK大河ドラマ「八重の桜」(2013年)で主演である綾瀬はるかの幼少期を演じ、注目を浴びる。NHK連続テレビ小説「あさが来た」あさ役の幼少期とあさの娘役の二役を演じる。「Woman」(2013年)、「明日、ママがいない」(2014年)などに出演し、『リトルプリンス 星の王子さまと私』(15年)でアニメーション声優に初挑戦。「お兄ちゃん、ガチャ」(2015年)で連続ドラマ初主演を務め、「わたしを離さないで」(2016年)、『僕だけがいない街』(2016年)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017年)、『HIGH & LOW THE MOVIE 2・3 』(2017年)などの話題作に出演するほか、CM、イベント、テレビ番組等、活躍の場を広げている。『こどもしょくどう』(2019年)で主演の公開を控えている。 |
映画『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』予告篇
『カニーニとカニーノ』特別予告編
『サムライエッグ』特別予告編
『透明人間』特別予告編
映画作品情報
「カニーニとカニーノ」
監督 :米林宏昌/音楽: 村松崇継/声の出演: 木村文乃、鈴木梨央
「サムライエッグ」
監督: 百瀬義行/音楽: 島田昌典/声の出演: 尾野真千子、篠原湊大、坂口健太郎
「透明人間」
監督: 山下明彦/音楽: 中田ヤスタカ/声の出演: オダギリジョー、田中泯
エンディングテーマ: 木村カエラ「ちいさな英雄」(ELA/ビクターエンタテインメント)
プロデューサー: 西村義明
制作: スタジオポノック/スタジオポノック・日本テレビ・電通 提携作品
配給: 東宝