映画『少女邂逅』公開初日舞台挨拶
枝優花監督、感極まり涙の挨拶
24歳の新鋭・枝優花監督がいじめによって声が出なくなってしまった14歳の頃の経験を軸に、蚕のように容姿も中身も変容する少女たちの残酷で美しい青春映画として完成させた映画『少女邂逅』が6月30 日(土)、新宿武蔵野館、イオンシネマ高崎ほかで全国順次公開を迎えた。
枝優花監督の長編映画初監督作品となる本作は、映画×音楽の祭典「MOOSIC LAB 2017」での観客賞受賞、インディーズ映画としては異例の香港国際映画祭、上海国際映画祭への正式出品など、公開前から国内外の映画ファンを熱狂させている。
W主演には、ミス iD2016グランプリにして注目若手女優の保紫萌香。そして、ファッション誌「装苑」専属モデルをはじめ、モデルとして活躍するモトーラ世理奈。200人以上の応募者から選ばれ、ともに映画初主演となる。
6月30 日(土)、公開劇場の新宿武蔵野館で実施された初日舞台挨拶に枝優花監督とW主演の保紫萌香、モトーラ世理奈が登壇。その模様をお届けする。
《イベントレポート》
上映終了後、満席の劇場にさまざまな思いが交錯する中、W主演の保紫萌香とモトーラ世理奈、そして枝優花監督が登場。保紫とモトーラはそれぞれ色違いのお揃いの衣装を身に纏っており、映画の仲睦まじい二人を思わせる出で立ちで観客の前に現れた。
挨拶を求められると3人とも、とても暑い中たくさんの観客が劇場に足を運んでくれた事に対する喜びと感謝を述べた。
枝優花監督は本作のテーマやコンセプトについて聞かれると「この作品は私が14歳の時の実体験に基づいて18歳の頃に筆を取ったのが始まりです。実際に出てくる学校は私の母校だったりと、群馬県高崎市の皆様に全面バックアップしていただいて撮った作品です」とコメントした。
今回の映画では初主演の二人。それぞれ演じてみてどうだったか聞かれると「初めて主演だって聞いた時は嬉しくて、他の作品で脇役を演じていた時の事を考えると、ずっとカメラの前に居れる事がどれだけ幸せかという事を改めて感じました。撮影当時は凄く辛かったですが、今ではとても良い経験をさせていただいたと感謝しています」と保紫。
モトーラは「最初オーディションを受けた時はミユリ役の方が自分にあっていると思っていました。実際に紡役が決まって台本を読んでいても、なかなか紡がどういう子なのかが掴めず苦労しました。自分の中で消化出来ずモヤモヤしていた時に枝優花監督が凄く親身に相談にのって下さいました。紡の生まれてから今までの年表も作って下さって、それが凄く助かりました。監督のサポートのおかげで、高崎市に入る頃には完全に紡となって楽しく演じられました」と語った。
また、ミユリについて聞かれると、保紫は「彼女は他力に頼る感じの子で、周りに流されながらフラフラと生きている印象があり、私と正反対だと感じました。でも、ミユリの気持ちもよく分かるので、愛しさを持って演じさせていただきました」とコメントした。
枝優花監督はオーディションで何故この二人を選んだのかについて「可愛かったり、スタイルが良かったりと秀でている部分はたくさんあるんですけど、それ以上に見た目と中身のギャップがあったというか。例えば、モトーラ世理奈だったら、見た目シュッとしててオーディションの時もそんなに笑わなくて。でも、鞄から出したオーディションの台本がぐっちゃぐちゃで、手足もぶるぶる震えている。外見と内面が凄く違う子だなと感じていて。この映画は、見えている部分と見えていない部分がもの凄く違うというのがポイントだったので、そういうところではこの二人は凄く魅力的だと思い選びました。また、保紫萌香は自分の番が終わって、他の人が演技をしている時に部屋の隅でポロポロ泣いちゃって、スタッフ全員が保紫萌香を見ちゃうっていうくらい吸引力があるというか、人を惹き付ける力はきっと映像で映えるなと思って選びました」と語った。
『少女邂逅』は第42回香港国際映画祭(3月19日~4月5日開催)と第21回上海国際映画祭(6月16日~25日開催)で日本公開に先立って上映されたが、現地の様子を聞かれると枝優花監督は「日本のお客さんって静かにじっくり自分の中で作品を噛み締めてる印象があったんですけど、香港と上海のお客さんは凄く感情表現が豊かで、面白いシーンではみんな手を叩いて笑ったりと、劇場が一体化していて。それが凄く新鮮でした」とコメントした。
香港国際映画祭の上映に参加した保紫は「お客さんの反応がとても良かったのと、香港自体がとても映画を盛り上げようとしている街で、こういった所謂インディーズ映画も招待したりと積極的な所があって楽しかったです。観客の方も絶対私のことなんて知らなかったのに凄く盛り上がって『キャー』って声援を送ってくれたりと、とても喜んでくれて。一時期とても気が大きくなりました笑」とジョークを挟みつつ語った。
同じく香港での上映に参加したモトーラも「お客さんの熱量が思っていた以上に高くて、上映終了後にサインをすると伝えたら、言った途端に皆さん立ち上がって階段を降りて舞台まで来るみたいな笑凄く盛り上げて下さって有難かったです。私にとって特別な作品を国境を超えてたくさんの方に観ていただけて、それが少しでもその人の中に残ればいいなと思って行ってきました。」と当時を振り返った。
最後に、保紫は「私もそうですが、少女邂逅をご覧になった方の中には言葉にならない感情を抱いたと仰っる方が多くて、それは枝優花監督の力だと思っています。この作品を観て枝さんの新しくて鋭い才能が皆さんにどんどん点火していったら良いなと思っております」とコメント。
モトーラは「約1年前にみんなで撮ったこの色々な思い出や想いが詰まった作品がこうして皆さんにお披露目出来て嬉しいです。今日はご覧になっていただきありがとうございました。」と感謝を述べた。
枝優花監督は「この映画は私の14歳の頃の体験をベースに書いていて、その当時は人と話したくなかったり、学校に行きたくないと思っていたのですが、こうしてたくさんの方に観ていただけて胸がいっぱいです。ありがとうございました」と目に涙を浮かべながら語り舞台挨拶は終了した。
[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 梅田 奈央]
イベント情報<映画『少女邂逅』公開初日舞台挨拶> |
映画『少女邂逅』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》いじめをきっかけに声が出なくなった小原ミユリ(保紫萌香)。ミユリの唯一の友達は、山の中で拾い「紬」と名付けた蚕」窮屈で息が詰まるような現実から、いつか誰かがやってきて救い出してくれる──といつも願っていたミユリだったが、いじめっ子の清水に蚕を捨てられてしまう。そんなある日、絶望したミユリの学校に「富田紬」という少女(モトーラ世理奈)が転校してくる──。 |
劇中歌・主題歌: 水本夏絵
土山茜、秋葉美希、近藤笑菜、斎木ひかる、里内伽奈、根矢涼香、すぎやまたくや、松澤匠、松浦祐也
照明: 佐久間周平
録音: 小川賢人
ラインプロデューサー:鄭銓聖
アシスタントプロデューサー: 小峰克彦
スタイリング: 松田稜平
ヘアメイク: 七絵
特殊造形: 土肥良成
整音: mauve
音楽: 大石峰生
美術: すぎやまたくや
映像投影: 阪実莉
スチール: 秋山大峰
企画: 直井卓俊
アソシエイトプロデューサー: 前信介
製作: 「少女邂逅」フィルムパートナーズ
配給・宣伝: SPOTTED PRODUCTIONS
2017年 / カラー / ステレオ / シネマスコープ / 101分
©2017「少女邂逅」フィルムパートナーズ
新宿武蔵野館、イオンシネマ高崎ほか 全国順次ロードショー!