映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶レポート
映画 「聖の青春」 完成披露試写会

映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶

松山ケンイチ・東出昌大が本編さながら袴姿で登場!!
豪華キャスト陣が真っ白な扇子に書かれた想いを語る!!

東の羽生、西の村山と称されながら29歳にして亡くなった実在の棋士・村山聖の一生を描いた話題の映画『聖の青春』。松山・東出ら俳優陣による渾身の役作りだけでなく、第29回東京国際映画祭の正式クロージング作品としての上映が決定し、ますます話題となっている。

10月5日(水)丸の内ピカデリー1にて、豪華キャスト・監督を迎え、完成披露試写会が行われた。イベントでは、松山ケンイチ、東出昌大、竹下景子、安田顕、森義隆監督が勢ぞろいし、各キャストが事前に揮毫(好きな言葉や格言を書くこと)した扇子を持参。真っ白な扇子に書かれた想いを発表した。また、スペシャルゲストとして、今年5月に羽生善治三冠を破り14年ぶりの新名人となった佐藤天彦名人も登場し、今なお将棋界に影響を与える実在の棋士を描いた映画『聖の青春』の完成をお祝いした。

イベントレポート

本作の初お披露目となるイベントということで、満員の会場は早くも熱気に包まれMCの呼びかけで松山ケンイチ、東出昌大をはじめとするキャストと監督が登場すると会場には鳴り止まんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。

まず始めに挨拶したのは、主人公・村山聖を演じた松山ケンイチ。「今日は足をお運びいただき、ありがとうございます。なぜ、みなさん洋服なのに僕と東出くんだけ和服なのでしょうか。その答えは東出くんが知っています! 短い時間ですが、どうぞよろしくお願いします」

【写真】映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶 (松山ケンイチ)

続いて、羽生善治役の東出昌大は、「本日はありがとうございます。劇中でも和服を着ているのですが、将棋は、ただ盤と駒を使うだけではなくて、日本の伝統美みたいな所があるのでそれがスクリーンに映えて、目にも美しい映画になっていると思います。今日は楽しんでください」

【写真】映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶 (東出昌大)

聖の母・村山トミコ役の竹下景子は、「15歳というほんの小さな・・・あ、松山さんは大きいんですけれど(笑)。子供を手元から離して、見守っていくという母親役でした。この映画には、ライバル同士の絆や師匠と弟子、親子の色んな形の絆が描かれています。どうぞごゆっくりお楽しみください」

【写真】映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶 (竹下景子)

聖の先輩棋士・橘正一郎役の安田顕は、「この作品を望まれた監督の元で、素晴らしいキャスト・スタッフと共にこの現場に携われたことを心より感謝申し上げます。松山さんと東出さんが和装姿ですけれどスクリーンの中では、今以上に様になっている村山さんと、羽生さんに出会えると思います」

【写真】映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶 (安田顕)

本作のメガホンを取った森義隆監督は、「今日が一般のお客様に初めて観てもらえる日なので、不安半分、楽しみ半分という感じでまだフワフワしているのですが、皆さんと良い舞台挨拶にできたらなと思っています」と、それぞれが本作に対する意気込みを語った。

【写真】映画『聖の青春』完成披露試写会舞台挨拶 (森義隆監督)

MCより、本作を最初に観た感想を問われると、松山は「実際にスクリーンに映っている自分の姿を見ると、自分の中で整理がつかない状況になって、まだこの作品に対して答えを見いだせていないので、皆さんの感想も聞きながら、ゆっくりその答えを確かめていけたら良いなと思います」

東出は、羽生役のオファーが来た際にマネージャーと思わず握手をしたほど嬉しかったそうで、「テレビ番組で、森内俊之九段との特集を見たことがきっかけで、羽生さんに憧れを抱くようになりました。台本を手にした時は鳥肌の立つ思いでした」と、羽生への思いを熱く語った。

実在する人物を演じるにあたり、役作りには苦労もあったそうで、松山は「村山さんとお付き合いのあった方からお話しを聞いたり、昔の映像を参考にさせていただきました。それだけだと、ただのコピーになってしまうので、特に、病・死との向き合い方については監督とよく話し合い、内面から村山さんと向かい合いました」

東出は、「撮影初日に、ただ佇むというシーンがあったのですが、監督に芝居をするなと言われたんです。リアルというものが現場にはあったのではないかと。お芝居ってどういうことなのか考えながら、精神性を大事にして取り組みました」

松山は、村山が実際に身に着けていたネクタイを、東出は、羽生から譲り受けたメガネを実際に劇中で着用しており、

松山は、「村山さんは、ネクタイを着崩した着こなしをよくしていて、トレンチコートを着たり、髪型を変えてみたり、彼は自分で村山聖像を作っていたんだとうなと思うんです。そこが可愛くもあり、ユーモラスな面でもあって。そういった一つ一つが村山さんの青春の一部だったんだと感じます」

東出は、「僕はプロ棋士ではありませんが、メガネだけは本物なんです。嘘のないものを借りられた事は大きな力になりました。実際に羽生さんにもお会いして、僕が思っていた完璧な人という羽生像とは少し違って、なんというか、すごい人でしたね」と、村山さん、羽生さんの人間性にも触れています。さらに、監督の演出について話が及ぶと、森監督は「この企画に出会ったのが29歳で、村山さんが亡くなったのも同じ年ということでなぜ彼は将棋を選んだのかということにフォーカスしました。棋士を演じたキャストの方には、内なる闘志を表現したいなと思ったので、棋士の方の写真集を渡して研究もしていただきました」

対して、松山と安田は、「負けました」というセリフが難しかったと口を揃え、棋士の人生のすべてがかかっている、このセリフが本作の見どころの一つだと語った。

次に、村山と羽生の関係に因み、ライバル的な存在は誰かと問われると、松山は「ライバルは自分ですね。自分に勝たなけれな、村山聖という人間を演じることはできませんし自分に負けちゃダメだという気持ちは、今までで一番強く感じました」

東出も同じく、俳優は白黒つけられない仕事であるというとこで、ライバルは自分だとコメントし、安田は「チームナックスのメンバーは20年ほど志を共にしている同士でもありより刺激をもらえるライバルだと思っております」

竹下は、「女優さんって素敵だなと思ったのが、イングリッド・バーグマンでした。彼女の生き方は本当に前向きで、生涯現役を通した、そんな生き方ができたらなと今も思い描いています」

森監督は、「ライバルといえば松山さんです。彼と出会って、僕が想像していたところを遥々と超えられて負けましたという気分になりました。自分が監督としてできることを広げて、松山さんを倒さなければと、思っています」

ここで、今年5月の第74期名人戦で羽生善治を破り、新名人となられた佐藤天彦名人が、スペシャルゲストとして登場した。

佐藤名人は、以前より本作の噂を耳にして、本日のイベントを非常に楽しみにしていたそうで「村山さんを題材にした映画が公開することによって、少しでも将棋に興味を持っていただけると嬉しいと思いますし、是非村山さんの生き様を感じて欲しいです」と本作に大きな期待を込め、メッセージを寄せた。

棋士の外せない対局の道具といえば、扇子ですが、この度、キャストの皆さんが各々の座右の銘や今の想い、映画への想いを込めた言葉を書かれた「揮毫(きごう)入り扇子」を持参し、込めた思いを語った。

森義隆監督:<聖魂>

「村山さんの魂とずっと向い続けました、清らかな魂ということで、そんな映画になっていれば嬉しいなと思います」

竹下景子:<絆>

「ライバル同士、師弟愛、家族、そういった絆の中で生かされているということに私も胸を打たれましたので、この言葉を選びました」

安田顕:<おだやかに>

「時間にせっかちなものですから、ここ最近は穏やかにいることを心がけています」

東出昌大:<無私>

「私利私欲を捨てたり、自分を捨てて他所のものになるというのが役者の仕事だと思います。この映画で無私の境地に行くことができたので、これからも欲を出さずに仕事に打ち込めたらと思います」

松山ケンイチ:<好きに勝るものなし>

「原作を読んだ時に、村山さんの生き方に心を揺さぶられまして、同時に村山さんを好きになりました。この人を演じられるなら、自分も全部捨てられるという思いがあったからこそ、今があるんだと思います。決して楽な事ばかりではありませんでしたが、好きという気持ちは全部超えますよね」

最後に、森監督と松山さんより会場の皆さんへメッセージが送られた。

森義隆監督:「大きな何かに撮らされた映画かなと思っていて、時間はかかりましたが、今ではこのキャスト達と出会う為の時間だったと思っています。村山さんに惚れた人達が集まって自然と出来上がった映画ですし、今日から色んな人に広がって映画が大きくなっていければ良いなという思いでおります」

松山ケンニチ「僕はこの作品に携わって、自分の人生を大事にしたいと、心から思うようになりました。皆さんもこの作品を観ていただいて、何か心に残していただけますと幸いです」

[スチール撮影・取材: 平本 直人]

 

イベント情報

<映画『聖の青春』完成披露上映会>

■開催日: 2016年10月5日(水)
■会場: 丸の内ピカデリー1
■登壇者: 松山ケンイチ、東出昌大、竹下景子、安田顕、森義隆監督
■ゲスト: 佐藤天彦名人

映画『聖の青春』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『聖の青春』ポスタービジュアル

羽生善治を追い詰めた伝説の棋士・村山聖[さとし]
病と闘いながら全力で駆け抜けた、わずか29年の生涯を描く奇跡の実話 

1994年、大阪。路上に倒れていたひとりの青年が、通りかかった男の手を借りて関西将棋会館の対局室に向かっていく――。

彼の名は村山聖[さとし](松山ケンイチ)。現在七段、“西の怪童”と呼ばれる新世代のプロ棋士だ。聖は幼少時より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患っており、無理のきかない自らの重い身体と闘いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続けてきた。そんな聖の前に立ちはだかったのは、将棋界に旋風を巻き起こしていた同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)。すでに新名人となっていた羽生との初めての対局で、聖は必死に食らいついたものの、結局負かされてしまう。「先生。僕、東京行きます」どうしても羽生の側で将棋を指したいと思った聖は上京を希望し、相談を持ちかける。先生とは「冴えんなあ」が口癖の師匠・森信雄(リリー・フランキー)だ。聖は15歳の頃から森に弟子入りし、自分の存在を柔らかく受け入れてくれる師匠を親同然に慕っていた。体調に問題を抱える聖の上京を家族や仲間は反対したが、将棋に人生の全てを懸けてきた聖を心底理解している森は、彼の背中を押した。東京――。髪や爪は伸び放題、本やCDやゴミ袋で足の踏み場もなく散らかったアパートの部屋。酒を飲むと先輩連中にも食ってかかる聖に皆は呆れるが、同時にその強烈な個性と純粋さに魅了され、いつしか聖の周りには彼の情熱を支えてくれる仲間たちが集まっていた。その頃、羽生善治が前人未到のタイトル七冠を達成する。聖はさらに強く羽生を意識し、ライバルでありながら憧れの想いも抱く。そして一層将棋に没頭し、並み居る上位の先輩棋士たちを下して、いよいよ羽生を射程圏内に収めるようになる。そんな折、聖の身体に癌が見つかった。「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医者は忠告。しかし聖は聞き入れず、将棋を指し続けると決意。もう少しで名人への夢に手が届くところまで来ながら、彼の命の期限は刻一刻と迫っていた…。

 
邦題: 『聖の青春』
原作: 大崎善生(角川文庫/講談社文庫)
監督: 森義隆『宇宙兄弟』『ひゃくはち』
脚本: 向井康介『クローズEXPLODE』『陽だまりの彼女』
主題歌: 秦 基博「終わりのない空」 AUGUSTA RECORDS / Ariola Japan
出演: 松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太、安田 顕、柄本時生、鶴見辰吾、北見敏之、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキー
配給: 株式会社KADOKAWA
2016年 / 日本 / 日本語 / 124分

© 2016 「聖の青春」 製作委員会

2016年11月19日(土)
丸の内ピカデリー・新宿ピカデリー他全国公開!

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