
映画『ネムルバカ』ティーチインイベント
阪元監督&寺田プロデューサー登壇!
作品制作秘話が明らかに⁉
人気漫画家石黒正数による傑作青春漫画を、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの阪元裕吾監督が実写化した映画『ネムルバカ』が、3月20日(木・祝)より新宿ピカデリー他にて全国公開される。
公開を前に初お披露目となった3月4日(火)の完成披露上映会に続いて、3月7日(金)に新宿ピカデリーでティーチインイベントが開催。上映後には、阪元裕吾監督と寺田悠輔プロデューサーが登壇し、制作秘話などが語られた。
原作との出会いと映画化への経緯
原作の漫画「ネムルバカ」は2008年に単行本が発売された作品。阪元監督と寺田プロデューサーはそれぞれの原作との出会いについて、まず阪元監督は「わりと新しめ、寺田さんに教えていただいて初めて読んだんです」と語り、「寺田さんはどんな出会いで、この原作を映画化しようと思ったんですか?」と寺田プロデューサーに質問。
寺田プロデューサーは「僕も発売直後には読んでいなくて、2013年ぐらいに知人からお勧めされて読みました。すごく素敵な漫画だなと思って、ずっと原作ファンではあったんです。ただ最初から映像化したいな、という気持ちがあったわけではなくて、自分のお気に入りの漫画を置く棚に置き、周囲にはおススメの一冊として布教していました。そんな中、阪元監督の『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)を観たらこれがものすごく面白くて。そのまま『最強殺し屋伝説国岡 完全版』(2021年)もその足で観に行きました。その時にこの監督に『ネムルバカ』を撮っていただいたらどういうふうになるのかな、と思いました」と出会いから阪元監督へのオファーに至る経緯を振り返った。
阪元監督も続けて「初めてお会いした時に“この原作があるんですけどどう思いますか?”って聞かれたことを覚えています。2022年ですね。『ベビわる』が公開されて次の年になるともう『ベビわる2』の撮影前の時期でした」と、映画『ネムルバカ』制作の始まりを明した。
阪元監督が惹かれた原作の魅力
阪元監督は原作について「読んですぐ面白いって思って。1巻完結だったんで、実写化のお話は他にも色々あったんですけど、なんと言うか…引き算しなくて済むような作品をなるべく撮りたいとは思ってました。この話をどうやって撮るんやろ?みたいなところを悩み過ぎるのも…船頭として、3~4人乗りのボートで航海してきた人が突然タイタニック号で海に出るのは嫌じゃないですか?実写化するならば自分の中で身近なテーマで形にできるものはないのかと思ってたんです」と語った。
さらに「しかも『ネムルバカ』は『ベビわる』でやろうとしていた、アクションを家の中の動作で描くっていう、そういうことを結構描いていて。すごい動きをするっていうよりは久保さんが演じた柚実が思いっきり座布団投げるとかのカット割りが完全にバトル漫画のコマみたいな描かれ方していて、そうこういうことがしたかったんだよな!と思って。“これは是非やりたいです”って返事をしました。今のところ最初で最後の原作物で撮りたいと思った作品なんです」と明かし、原作と自身の作りたい画にシンパシーを感じたことが本作に携わる決め手になったようだ。
ライブシーンへのこだわり
阪元監督と寺田プロデューサーは初期段階で音楽要素について議論したそうで、阪元監督は「モッシュとかダイブとかが凄まじいライブによく行ってたんです。ライブハウスって割と良くも悪くも排他的な空間だったんですよ。それがどんどんSNSも発達して、他人の客に対してこれが嫌だったとかネガティブなコメントが書かれるようになって、公共性が増えたというか。だから『ネムルバカ』のピートモスのライブはそういうのじゃなくて、ちょっと排他的にわざと見えるようになるべくできたらなと考えて撮りました。逆に、逆のことをしてましたね」と、監督独自のこだわりを語った。
久保史緒里と平祐奈のキャスティングの決め手
キャスティングについて話題が及ぶと、阪元監督は「最初実写化ってなった時に“実写化か~”って、皆さん思うじゃないですか?あまり実写化にポジティブじゃないっていう意見もあると思うんで、その時にビジュアルが1番大事だなと。まず久保さんが軸になったなっていうところがありますね。久保さんはすごいスクリーンで映えるお顔立ちとその何でもない立ち姿感が僕はすごく好きで。そこが素晴らしいなと思います」と語った。
続けて「平さん演じるルカは結構ハードルの高いキャラクターだし、ギター引けたりちょっとベらんめい口調もあったりの中で2人がこうピシッと並んだ時のこの身長の感じがもうぴったりで、そこが完璧な立ち姿だったんで“やったぜ、ここにおった”って思いました」と、W主演の2人を柚実とルカとして見つけた時の喜びを語った。
撮影が一番難しかったシーンとは?
ティーチインでは、今作で一番難しかったシーンについて質問があった。
阪元監督は「柚実が“起きてくださいよ!”ってルカの布団をバサバサやるみたいなシーンがあって、それが確か2人の出会いの初日の撮影だったんです。まだなかなか空気が作りきれてなくて、セリフを言ってるだけみたいになっちゃってたんです。そこで1時間ぐらい、その周りの30人ぐらいのスタッフさんから“いつ始まんねやろ?”って感じで見られながら、僕は柚実とルカの会話を作ってましたね」と撮影エピソードを明した。
また、阪元監督にとって抱腹絶倒のセリフもあるそうで「ルカに“1人でスーパーぐらい行けよ”って言われて、“1人スーパー?”って柚実が聞き返すんですが、それ1人焼肉とか1人遊園地とかで言うやつっていうボケじゃないですけど、それをわざわざルカは別に突っ込まない。それに行きつくまでに久保さんと一生懸命話した末に、“1人スーパーええやん!”となりました。一生懸命あのノリを作ることが1番時間かかったかも」と、阪元作品の醍醐味の一つである会話劇の神髄を垣間見せ、会場のファンを沸かせた。
原作者・石黒正数先生からの言葉
映画が完成した後に原作の石黒先生から言われたことや感想について聞かれた阪元監督は「宇宙人とか原作には出てくるんですけど、あと壁が立ちはだかる描写などを削ってしまいました…」と、若干伏し目がちに致し方なく原作から外した要素について回想。
寺田プロデューサーは「(石黒先生から)映画全体としては前向きな感想をいただけたのではと受け取っています。元々石黒先生が阪元監督の映画の大ファンだったそうでして、それを知らずに映画化のご提案に行ったんですけど、そのタイミングでも監督は阪元さんなんですか?と言っていただきました。進めていく中でも、お二人は作品づくりのセンスが近いのではみたいな話も出ていました」とフォローした。
最後に寺田プロデューサーは「石黒先生が原作漫画を描いた時、20代の終わりの時だったそうで、同じ20代の終わりに差し掛かっている阪元監督に撮っていただいたことも、映画としても縁があったのかなと思っています」と締めくくった。
イベント情報
映画『ネムルバカ』ティーチインイベント■開催日: 2025年3月7日(金) |
映画『ネムルバカ』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》大学の女子寮で同じ部屋に住む後輩・入巣柚実(久保史緒里)と先輩・鯨井ルカ(平祐奈)。 入巣はこれといって打ち込むものがなく、何となく古本屋でバイトする日々を送っている。 一方ルカはいつも金欠状態だがインディーズバンド「ピートモス」のギター・ヴォーカルとして、自らの夢を追いかけている。 2人は安い居酒屋でダラダラ飲んだり、暇つぶしに古い海外ドラマを観たり…緩くもどこか心地よい日々を過ごしていた。 そんなある時、ルカは大手音楽レコード会社から連絡を受け、2人の日常に大きな変化が訪れる…。 |