映画『ミスミソウ』完成披露上映会舞台挨拶レポート
【写真】映画『ミスミソウ』完成披露上映会 舞台挨拶

映画『ミスミソウ』完成披露上映会

山田杏奈、主題歌の生演奏に撮影当時を思い出して涙ぐむ!

人気漫画家 押切蓮介の最強トラウマ漫画「ミスミソウ」が実写映画『ミスミソウ』として、4月7日(土)より、新宿バルト9ほか全国公開となる。 東京から田舎に転校してきた主人公・春花が家族まで失う壮絶なイジメを受け、復讐をする話で、押切蓮介ファンの間でも1、2を争う人気作。映像化不可能と言われてきたが、クライムサスペンスの名手・内藤瑛亮監督が今、最も勢いのある女優として注目を集めている若手の一人・山田杏奈を主演に迎えて実写化した。

3月8日(木)に東京・新宿バルト9で完成披露上映会が実施された。本作で才能を高く評価されているキャスト陣の中から、主演の山田杏奈、清水尋也、大谷凜香、そして内藤監督が上映前の舞台挨拶に登壇。あいにくの雨にもかかわらず、会場に集まった満員の観客に感謝の気持ちを述べるとともに、役にどう向き合っていったのかを1人ずつ語った。

【写真】山田杏奈

作品で着ていた赤いダッフルコートをイメージしたと思われる赤いワンピースで登壇した山田は中学生のときにすでに原作を読んでいたといい、「やさしい春花とサイボーグのように機械的に復讐する春花のコントラストを大事にした」と話した。

春花を学校で支えている唯一の味方・相場晄役を演じた清水尋也は「全体がラブストーリー。グロテスクでバイオレンスたっぷりだけれど、根底には愛情がある」と原作に対する深い理解を示した。

【写真】清水尋也

大谷凜香は映画初出演ながら、イジメのリーダー的存在である小黒妙子を演じた。作品での見せ場では全身白い衣装だったが、本日は白いワンピース姿で登壇。「私が重要な役を演じていいのか、不安だったけれど、金髪という形から入れたのでストッパーが取れた」といい、監督や共演者に支えてもらった感謝の気持ちも伝えた。

【写真】大谷凜香

内藤監督はラフな服装で登壇。司会が「コンビニからいらしたのですか?」とツッコミを入れると、「これ、スヌーピーなんですよ」とパーカーの背中のスヌーピーの絵を見せておどけた。内藤監督がメガホンを握ることが決まったのは、クランクイン1ヶ月前。山田のオーデション映像を観て、やりたいと思い、無茶を承知で引き受けたという。「企画開発が長いと本来の面白さがねじ曲がってしまうことがある。今回は原作を読んでこう撮ったら面白いと思ったとおり素直に撮った」と話し、「混乱を楽しむ程度の心の余裕はあった」と笑った。ただ、準備期間が短く、小道具や衣装の用意がままならず、CGも担当するスタッフが決まらないうちに撮影がスタート。「ハリウッド映画のメイキングを見て、とりあえず緑のテープを巻いておけばいいと思っていた」と語ると、清水たちも「監督がそういうので、緑のテープを巻いておけばいいんだなと思ってやっていた」と続けた。

【写真】内藤瑛亮監督

そのままアクションシーンについて話が盛り上がり、内藤監督が山田の殴り殺すアクションについて、「ものすごい勢いで、ぼっこぼこにして、遠慮が一切ない。もし、殺されるならあんな風に殺されたい」と褒めた。それを受けて山田が「思いっきりやらせてもらいました」というと、清水は「ちょっといいですか」と隣りに立つ大谷に近寄って山田との距離を空けて、笑いを誘った。

司会がロケ地の深い雪について尋ねると、監督が「雪まみれ、血まみれでキャストは寒かったので、体力をうばわれたのではないか」と心配していたことを話すと、東北出身の大谷は「宮城県でもあんなに深い雪はみたことがない」といい、具体的にわかる例として、カーブミラーのミラーが足元にあったことを挙げた。一方で清水は「余裕だった」とし、撮影が終わって東京に戻ったら、3月でまだ寒さが残っているにもかかわらず、「半袖でも大丈夫と感じた」とロケ地の寒さとの差を表現した。また内藤監督がスニッカーズ好きの山田と清水のために、スニッカーズをポケットに入れておき、時々渡して元気づけていたことを明かすと、「餌付けされているようだった」と清水が笑って応じた。

ここで、押切蓮介先生から完成披露のお祝いとしてのイラストが届いていることが司会者から明かされ、登場人物たちのイラストがスクリーンに大きく映し出された。

【写真】映画『ミスミソウ』完成披露上映会 舞台挨拶 原作者 押切蓮介 直筆イラスト サプライズ!

キャストたちは振り返りながら、口々に「すごい」といい、サプライズにびっくりした様子を見せ、マンガ好きの山田は「イラストの目がすごい。うれしい」と喜んだ。

【写真】『ミスミソウ』原作者 押切蓮介 直筆イラスト & 山田杏奈

さらに「雪のシーンの撮影を見に行ったら、楽しく迎えてくれたのがうれしかった」という押切先生のコメントも併せて紹介されると、大谷が「台本の裏に先生のサインを書いてもらった」とうれしそうに押切先生見学時にあったことを明かした。

【写真】映画『ミスミソウ』完成披露上映会 舞台挨拶 原作者 押切蓮介 直筆イラスト サプライズ!

続いて、主題歌「道程」を担当したタテタカコが登場。作品の感想を求められ「想像以上に壮絶で言葉を失った」といいつつ、「自分の中の思い当たる感情があった。余韻が何日も続いた」と話した。
一方、監督は「この曲が作品全体の軸になった」といい、撮影中に山田や清水らに何度も聞いてもらったことを明かし、「役作りに大きく役立った」と語った。そして、タテが舞台に置かれたピアノの生演奏とともに切なく力強い歌声をフルコーラスで響かせると、山田は「(作品に)重なるところが大きくて、撮影のときを思い出した」と涙ぐんだ。

【写真】タテタカコ(主題歌)

最後に山田が初主演となった本作について、「初主演はもっとキラキラした作品だと思っていたら真逆だった。でも、完成したものを見て、今の私らしさなのかなと思い、大切な作品になった」と語った。山田の言葉を聞いた監督は「キラキラしてなくてごめんね」と謝りつつ、「全然キラキラしていない青春を送っている人や送ってきた人には刺さる映画」と力強く訴えた。そして、「すさまじいバイオレンスの背景にある人間の心理が繊細に描かれているところが原作の良さだと思い、映画もそこを目指した」と締めくくった。

【写真】山田杏奈

[記者: 堀木 三紀 / スチール撮影: 坂本 貴光]
 
 

イベント情報

<映画『ミスミソウ』完成披露上映会舞台挨拶>

■開催日: 2018年3月8日(木) 
■会場: 新宿バルト9 スクリーン9
■登壇者: 山田杏奈、清水尋也、大谷凜香、タテタカコ(主題歌)、内藤瑛亮監督

映画『ミスミソウ』予告篇

映画作品情報

《ストーリー》

東京から田舎に転校してきた主人公・野咲春花(山田杏奈)は“部外者”として扱われ、壮絶なイジメを受けていた。春花の学校での唯一の味方は、同じように転校してきたクラスメイトの相場晄(清水尋也)。彼を心の支えに必死に耐えてきた春花だが、クラスの女王的存在、小黒妙子(大谷凜香)の取り巻きのイジメグループによる嫌がらせは日に日にエスカレートしていった。そして、ある日、激しく燃え上がる炎が春花の家を覆い尽く。春花の妹・祥子は大火傷を負いながらも助かったが、両親は命を落としてしまった。思いもよらない悲劇に遭遇した春花の心は、崩壊する── 。やがて事件の真相が露見することを恐れたイジメっ子達は春花に自殺するよう強要するが、それがきっかけとなって春花は事件の真相を知り、家族を奪ったイジメっ子達に己の命を賭けた凄惨な復讐を開始するのだが…。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花、三角草(ミスミソウ)。春花はミスミソウのように厳しい冬を耐えて、きれいな花を咲かせることができるのか…。春花が選んだ道とは・・・。

  
出演: 山田杏奈、清水尋也、大谷凜香、大塚れな、中田青渚、紺野彩夏、櫻愛里紗、遠藤健慎、大友一生、遠藤真人、森田亜紀、戸田昌宏、片岡礼子、寺田 農
 
監督: 内藤瑛亮
原作: 押切蓮介 『ミスミソウ 完全版』 (双葉社刊)
脚本: 唯野未歩子
主題歌: タテタカコ「道程」(バップ)
制作プロダクション: レスパスフィルム
配給: ティ・ジョイ
2017年 / 日本 / カラー / シネスコ / 5.1ch / 114分 (レーティング:R-15)
© 押切蓮介/双葉社 © 2017「ミスミソウ」製作委員会
 
2018年4月7日(土)より 新宿バルト9ほか全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @misumisou_movie
公式Instagram: @misumisou_movie

この記事の著者

ほりき みきライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど。

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Twitter

【バナー画像】日本アカデミー賞
ページ上部へ戻る