映画『ブラインド・マッサージ』(原題:推拿)
公開初日トークイベントレポート
「監督の最高傑作!自分も負けないようなものづくりがしたい」
公開初日に曽我部恵一氏が語った『ブラインド・マッサージ』の魅力とは
日本の映画界にも数多くのファンを持つ中国の鬼才ロウ・イエ監督の最新作『ブラインド・マッサージ』の公開初日イベントが1月14日(土)、新宿K’s cinemaにて行なわれ、ゲストには本作でも「ロウ・イエ監督の大傑作!美しさと愛を見つけるための盲目の物語。心から血が出るほど、痛い」と賞賛の言葉を寄せた曽我部恵一氏が登壇。楽曲制作でも影響を受けるほど敬愛してやまないというロウ・イエ作品の魅力について熱く語った。
曽我部氏は丁寧で優しい語り口で、映画について「いつも作品を観たあとはすぐに言葉が出てこなくて、時間をかけて感情を咀嚼していくようなところがある。でも、それは作品自体が具体的なものを求めていないから。言葉や形にならないものをなんとか掴もうとしているような映画。だから観たひとも同じように形にならないものを掴むのに、感情を整理する時間が必要なのかもしれませんね」と語った。
ロウ・イエ監督のファンになったきっかけとして『天安門、恋人たち』(2006年)を挙げ、「自分もこの作品のような世界を音楽で描きたいんだよなあと思った」と話し、さらに『スプリング・フィーバー』(2009年)に感銘を受け、観賞後にその足で近所の中華料理屋に出向き『春の嵐』という曲を書きあげたということなど、自身の音楽制作にも多分に影響を受けていることを明かした。
また、本作の音楽については「いつも音楽が素晴らしいです。決してポピュラーなアーティストの曲を使っているわけではないのですが、マイナーな中から作品に合った音楽を見つけてくるのが上手いんでしょうね。作品の最後に流れる曲がとても良くて、あの曲から作ったんじゃないかって思うくらい、テーマが合っていた。映画の最後に詞のある曲が流れるのはいいなと思う反面、難しいこと。たとえば、すごくいい映画の最後にあまり関係のないようなポップ・ソングが流れたりすることがありますが、ロウ・イエ作品で流れている曲には『ここはこの曲じゃないと困るよな』と思えるような曲が使われていて嬉しくなります」と、ロウ・イエ監督の音楽の使い方を高く評価していた。
そして本作について『最高傑作と言っても過言ではないと思います。(鑑賞者に)重く覆い被さってくるような盲人の方々の日々のシーン、つらいような、痛いようなシーンが本当に多かったと思うんですが、これらを積み重ねないと最後のシーンの美しさにたどり着けないという、(ここまで描き切ることが)本当に凄いなあと。自分も負けないようにものづくりをしないとなと感じました」と非常に感銘を受けた様子で一語一句じっくりと語っていた。
[スチール撮影&記者: Sayaka Hori]
イベント情報<映画『ブラインド・マッサージ』公開初日トークイベント> |
登壇者プロフィール曽我部 恵一(そかべ けいいち) 1971年8月26日生まれ。香川県出身。
1994年サニーデイ・サービスのボーカリスト/ギタリストとしてデビュー。 2001年よりソロとしての活動をスタート。 2004年、メジャーレコード会社から独立し、東京・下北沢に<ローズ・レコーズ>を設立。 精力的なライブ活動と作品リリースを続け、執筆、CM・映画音楽制作、プロデュースワーク、DJなど、その表現範囲は実に多彩。 現在はソロのほか、2008年に再結成したサニーデイ・サービスでのLIVEやリリースを精力的におこなっている。2016年8月3日発売、サニーデイ・サービスのNEWアルバム『DANCE TO YOU』が好評発売中! |