映画『明日の食卓』完成報告会
共演者だけど初顔合わせ!?
菅野美穂、高畑充希、尾野真千子ら3組の親子役が登壇!
第42回講談社児童⽂学新⼈賞を受賞した「⼗⼆歳」で作家デビューし、数々の受賞歴のある椰⽉美智⼦の2016年に出版された同名⼩説を原作に、⼦を持つ親なら誰もが直⾯する問題を社会派エンターテインメントの旗⼿である瀬々敬久監督が豪華⼥優陣を迎え映画化した『明⽇の⾷卓』が、5⽉28⽇(⾦)より公開される。
主演を務めるのは、10年ぶりの映画主演となる菅野美穂。フリーライターで⼆⼈の息⼦を育てる留美⼦役に挑み、やんちゃ盛りの息⼦たちを育てながら仕事復帰を⽬指す⺟親を熱演。また、若くして⺟となり、シングルマザーとして働きづめの中息⼦を育てる加奈役を⾼畑充希、そして年下の夫と優等⽣の息⼦に囲まれ、⼀⾒なに不⾃由なく幸せを⼿に⼊れているように⾒えるあすみ役を、尾野真千⼦が丁寧に演じている。
⼦を持つ親なら誰もが直⾯する問題をリアルに描いた本作。実⼒派豪華⼥優陣が各々のドラマを濃密に演じ、緊迫のクライマックスへと向かわせ、 観る者に共感と問題意識を喚起しながらラストには希望の光を与えてくれる、第⼀級のエンタテインメントが誕⽣した︕
5月5日(水・祝)、完成報告会がよみうりホールで開催され、主演の菅野美穂、⾼畑充希、尾野真千⼦、それぞれの息子役を演じた柴崎楓雅、外川燎、 阿久津慶⼈、そして瀬々敬久監督が登壇。実生活でも母親となって10年ぶりの映画主演を果たした菅野美穂が子育ての悩みをぶっちゃけつつ、緊迫した映画の内容とは一転、終始和やかな雰囲気で会見が行われた。
子役キャストは全員大緊張!!
つられて瀬々監督も緊張気味⁈
まずは全員が一言ずつ挨拶。
主演の菅野美穂は「このような(コロナ禍の)状況の中、無観客という形で皆さんに映画の完成を報告させていただくことになりました。こうして撮影したときの子どもたちと瀬々監督と、また集えたことをうれしく思います」と、子役キャストや監督との再会を喜んだ。
高畑充希は「撮影した時は本当に暑くて、その暑さがすごく印象に残っています。そこからやっとこの日を迎えられたんだなと感慨深いです。劇中では菅野さんや尾野さんとは会えていないので、皆さんの中に混ぜていただけてすごく光栄です」と、撮影当時のことを懐かしんだ。
尾野真千子は「このような時期にこうして皆さんとこの場に立てること、本当に幸せに思います」と手短かに述べた。
母親役を意識してか、ロング丈のワンピースに身を包んだ女優陣が堂々と挨拶をする中、子役キャストは一様に緊張の面持ち。尾野真千子と親子役を演じた柴崎楓雅は白いスーツで登場。「こんにちは」と深く一礼した後、「初めての舞台挨拶なので緊張しています」とマイクを持つ手に力を込めた。菅野美穂と親子役を演じた外川燎もスーツに蝶ネクタイ姿で「とっても緊張していますが、本日はよろしくお願いします」と続き、高畑充希と親子役を演じた阿久津慶人は元気な声で「今日は緊張しています」と述べた。
最後に瀬々監督が「子どもたちが全員緊張しているので僕も緊張しています」言って、会場の笑いを誘った。
展開はスリリングですが、「明日の食卓」に希望を感じてほしい(瀬々監督)
原作小説を映画化しようと思ったきっかけや、作品の魅力を問われた瀬々監督はこう語った。
「ここに3組の幸せそうな家族がいます。どのお母さんがわかりませんが、子どもを虐待して殺してしまうという設定からスタートします。そんなすごくハラハラドキドキする始まりなんですけど、最大の魅力は、そのありさまが、どの家族にも起こると思わせる設定だということ。原作者の耶月さんは児童文学をずっと書いている方なので、そういった(スリリングな)設定でありながらもユーモアがあり、最初はすごくほんわかした感じで始まるんですけど、だんだん緊張感を帯びていく。そういうところがすごく魅力的だと思います」
続けて映画化の際に一番表現したかったことを聞かれ、「作品の中ではある悲劇が起こるんですけれども、『明日の食卓』というタイトルに表されているように、明日はどんな食事が食卓に出るのかなという希望を持たせてくれるところが原作にあるので、そこを大きくふくらませたいなと思いました。家族が壊れそうな状況でも、明日は、未来は続くんだなという希望や再生に向かうところが一番重要だと感じたので、そこに一番力を入れたつもりです」と答えた。
実際に母親になってから巡ってきた10年ぶりの映画主演(菅野)
10年ぶりの主演映画への出演きっかけを問われた菅野美穂は、「10年ぶりと言っていただくと、もうそんなに年を取ったんだという気持ちになりますね」と笑いつつ、「10年の間に私も子どもが生まれてこうして母親の役をいただき、原作も読んで、世の中のお母さんみんな自分を重ねてしまう役だなと思いましたし、瀬々監督とご一緒させていただくことも自分にとってはワクワクすることでした」と、母親ならではの感想を語った。
ただ、コロナの前に映画出演の話があったため「もしかしてこの映画なくなっちゃうかなと思いませんでした?」と、当時の不安な気持ちを思い出して共演者に同意を求めつつ、「その後コロナ禍になり、自分も子どもと向き合うという今までになかったような時間があった後での撮影だったので、そういった意味では運命的な役柄だと思いました」と力を込めた。
とはいえ、母親としての経験と演技は別物だと感じたのも貴重な経験だったとか。「子どもを怒らなくちゃいけないようなシーンでは、背筋がゾクゾクするようなあの怒りが自分とは切り離しては考えられなくて。でも、実際にその感情は知っていても、演技となって実際にカメラの前に立つと、その実感がポンと遠くに行ってしまって、自分の実際の経験を生かせなかった気もするんですよね」
東大阪で育った環境とリンクする役柄に懐かしさを感じた(高畑)
いくつもパートを掛け持ちし、子どもの前では元気に振る舞いながらも多くの不安を抱えているシングルマザー役を演じた高畑充希は役づくりで苦労した点を問われ、「私は子どもがいないので、シングルで子どもと2人で暮らすのは実際にはどんな感じか手探りでスタートですごく難しかった」と撮影時を振り返る。「3家族分、3ブロックに撮影が分れているので、私の部分は1週間ちょっとという期間でした。短期間の間に阿久津くんとどう親子の関係を築いていこうか悩みながら入った記憶があります」
短い撮影期間ながら、自身が東大阪出身というのが役づくりに役だったという。「良かったところは、大阪の町工場で働いている女性の役だったところ。私自身も幼い頃から東大阪で育って、シングルマザーのお母ちゃんたちも間近で見てきていて。その土地の懐かしさ、空気の懐かしさ、自分が育ってきた環境とリンクする部分もあって、そこは助けられました」
役柄としては辛いことばかり起こったと言い「あまりに辛いことばかり起こるからイヤになっちゃいました」と言って笑った。「でも救いになるシーンや親子で楽しく過ごすシーンもたまにご褒美のようにあったので、そこを楽しみに。あとは耐えて働いて走って……ということを繰り返していたような気がします」
背負うものが多過ぎる役柄に実際の母親の大変さを想像(尾野)
3人の母親の中でも何不自由ない様子に見えて、一番意外な展開を迎える家庭の母を演じた尾野真千子は、「色々起こり過ぎて問題を抱えている量が多いなとは感じましたね」と、役柄の辛さを訴えた。「自分に出される宿題がまぁ多過ぎる! 義母、子ども、夫、家のこと……色々背負わされる。その姿は演じていてとても辛かったですが、でも前向きにやろうと考えたときに、本当に現実のお母さんはもっと辛いのだろうと想像して、自分を励ましました」と、こぶしを握りながら当時の頑張りの原動力について振り返った。とはいえ楽しく演じていたそうで、「子どもを持つ人生などまだ自分が経験していないことばかりだったので、人生の予行練習だと思って楽しんでやっていました」。
怒りまくる母親役の菅野を実際は優しかったと子役がフォロー
子役キャストにも、それぞれの母親役との共演について質問が。
菅野の息子役を演じた外川くんは、「菅野さんの演じた留美子は、いつも怒ってばかりの怖いお母さんだったけど、撮影が終わった後はフォローしてくれたり明るく話しかけたりしてくれて、とても優しい人でした」と答え、その模範解答ぶりに会場の大人たちが一様に微笑む。
菅野は「なんか言わされてるみたいになってますけど」と笑い、「短い期間ではあったのですが、親が怒りをぶつけるシーンでは演技だけど力が入って痛かったと思うんですよね。腕を強く握った私の爪痕が残ったり、散々な目にあったと思います。かわいそうなこともけっこうあったよね」と言い、「悪かったよ」と、この場でも謝罪。特にスーパーで息子を怒鳴りつけるシーンでは、ロケ場所を借りられる時間ギリギリになってもなかなかうまくいかず、それまで「げんこつするフリ」だったシーンで思わず本当にげんこつしてしまい、外川くんを涙ぐませてしまったとか。瀬々監督も「あれは痛かったよな」と応じ、外川くんは「痛かった……けど優しかったです」と、気遣いを見せていた。
さらに司会から「外川くんは怒られた後の悲し気な表情が印象的でしたけど、あれは素ですか?演技ですか?」と聞かれ、「どっちも混ざってると思います。いつも怒られているので」と正直に答えた。
関西弁の練習で距離を縮め親子喧嘩のシーンでは思い切ってぶつかる!!
高畑の息子役を演じた阿久津くんは演じた役柄について、「関西弁の役だったけど、僕は関西弁がド素人ですごく心配だった」と言葉の難しさを痛感。「でも、(大阪出身の)高畑さんが『一緒に練習してみる?』と言ってくれて、ずっと練習に付き合ってくれたので、安心して撮影ができました。おかんとケンカするシーンでは、最初は遠慮してうまくできなかったけど、高畑さんが『殺す気で来て!』と言ってくれたのでやりやすかったし、すごく優しいなと思いました」
それに対して高畑は、「そうだった……と思います」と記憶があやふやな様子。「1週間くらいのギュッとした撮影だったので、私も追い詰められていて、当時の記憶がないくらいでして(笑)。ただ、大阪弁を普段話さない人が役柄で話すのはすごく負担だと思っていました。阿久津くんシャイだし、言葉を教えることで距離を縮めようかなと。おうちのシーンから始まったのですが、今子どもの中で何が流行ってるとか何も知らないので何を話していいかわからず、少しずつすり寄っていって。唯一、二人で楽しく過ごすシーンがあるのですが、そこでは阿久津くんの素の顔というか、やっとはしゃぐ姿が見られました」
二面性がある少年を怪演した柴崎楓雅、受け答えは120点の優等生
尾野の息子役を演じた柴崎くんは、「二面性がある少年の役で、毎日難しいシーンの連続だった」とか。「尾野さんと初めて会ったのは、劇中のスチール撮影だったのですが、撮影の合間に父親役の大東さんも一緒にトランプやゲームで遊んでくださったのがすごく嬉しくて尾野さんと大東さんのことが大好きになりました。おかげで大変な撮影も最後まで乗り切ることができたと思ってます」
尾野は拍手しながら「100点やね!」と大喜び。「子どもなのに、大人以上に大人。普段も柴崎くんの方から話しかけてくれたし、芝居も『はい、わかりました。やります』みたいにさっと演技して。どこからそのパワーがあふれてくるんだろうという感じで。とにかく見習わなくてはいけないという感じがしました」
司会者から、二面性のある芝居はどのように演じたかと聞かれると柴崎くんは、「予告でも流れている『僕はいい子じゃない、お母さんもいいお母さんじゃない』というセリフがあるのですが、実はこれは台本にはないセリフで。急きょ段取りのときに加わったセリフで緊張感があったのですが、尾野さんが『私についてきて』って言ってくださって、すごく心強かったし、僕の中では自然にお芝居できたんじゃないかなと思ってます」
これに尾野は照れ笑いしながら「120点です!」と満足げ。柴崎の怪演を受け、「こんな小さな体でどんどん変わっていく柴崎くんを見て、リアルになんか怖かったんです。そのくらいの気持ちにさせてくれて本当にありがたかったです」
共演シーンはないけど、それぞれ辛い場面が多く大変さを共感
3組はそれぞれ別の場所に住む親子を演じたため、撮影現場での共演はなし。完成した作品で、他の女優陣の演技を観てどうだったかと司会者が感想を求める。
菅野は「同じ作品に関わっているのに最後までお目にかかれないのはわかっていたんですが、台本ではそれぞれハードな内容があると知っていたので、完成作を観ると本当に2人のお母さんぶりがすばらしくて」と尾野と高畑を賞賛。さらに「観ていて自分がえぐられるようなパワーがあるけど、観終わるとなんだか癒されるんです。明日もがんばろうって」と感想を述べた後、「でも本当に大変だったよね? フェイスシールドしながら撮影して。本当にお疲れ様でした」と、コロナ禍での互いの撮影を労った。
高畑は「自分が出演している作品は、普段はドキドキして冷静に観られない」と断りを入れつつ、「菅野さん、尾野さんパートはお客さんとして観てしまって、素敵でした」と感想を述べると、菅野と尾野がおじぎをして返す。「すごい瞬間が多過ぎて、息を止めて観ていました。現場でも『うわっ』となるシーンがいっぱいあったんだろうな」と振り返った。
撮影は、高畑演じる大阪のシーンがトップバッターだったそうで「さっきも言いましたが、撮影期間は記憶がないくらいいろんなことが体の中を通り抜けていった感じなんです。だけど、監督とスタッフの皆さんはその後そういった撮影を3パターンも続けたと思うと頭が下がる思いです」と、現場の熱量やスタッフの苦労を振り返った。
撮影シーンが3番手だったという尾野は「スタッフから私より前に演じたお二人の様子を聞いて、負けちゃいけないというわけではないですが、3人違うものをちゃんとお届けしなくてはいけないと思いました」と、2人からバトンを受け取った様子を語る。「私は私らしい、うちはうちらしい家族の形をお届けしたいなと。できあがったものを観て、うわー、みんなすごいことをやっていたんだなと改めて思いました」
菅野美穂は実生活で子どもたちにテーブルを接着剤まみれにされた経験も
劇中の母親たちは、様々な問題を抱えて戦っている。その様子を観て改めて気づいたところは?という質問に対しては、菅野は「以前は親子で歩いている姿を観たらほのぼのしていたが、いや違う、それは1日の中でほんのわずかな時間なんだと気づきました。子どもが生まれたから母親になって、父親になって当然でしょ、というイメージがあったけど、母親も父親もこんなに大変なのに誰にも何も褒められないなんて、なんてことだ、ひどいなと」と、実感のこもったコメント。
「映画の中で、リビングで子どもたちがビニールプールに入るシーンがあるんですけど、この間我が家では、ダイニングテーブルの上が接着剤で真っ白になっていました。ほんの少しの時間見ていないだけで、どうしてこうなるの?と唖然としましたよ。(自分が演じた)留美子さんもきっと、私のこの辛さはわかると思う(笑)。接着剤を子どもの手に届くところに置いた私が悪いという気持ちと、あぁ、私はいま世界で一番不幸だという気持ちがせめぎあいながらテーブルを拭きました」
チャーミングな菅野美穂
実感のある芝居をする高畑充希
化学反応の尾野真千子と監督評
うなずきながら主演女優のコメントを聞いて瀬々監督は、「やっぱり菅野さんはチャーミング。前半の少しユーモラスな部分は、菅野さんの明るさが救ってくれました。一転、後半は狂気の世界。すげーこの人狂ってるなと感じますよ(笑)」と高評価。それを受けて菅野は「監督と初めて打ち合わせでお会いしたときに、いつの間にか私の育児のグチの話になってしまったんです。監督はうんうんと返してくださって、話しやすい方だなと感じていたんですが、一転現場では静かな方だった」と言い、打ち合せでは自分に合わせてくれていと気がついたという。
また、「お芝居に実感がある、実(じつ)を取る人。途中のやり取りでも、『このセリフは言えません』と言われて変えたセリフがあります」と言われた高畑も、「普段の監督はモニターに吸い込まれるのではないかというくらい、モニターの横に張り付いていて、寡黙な方」と延べ、「撮影後に自分は嫌われているんじゃないかと心配だったのですが、シャイで女優とは話さない方だと聞いて安心しました」と、監督の寡黙さが印象に残った様子。
尾野に対しては「化学反応の人でした」という瀬々監督。「逆に、この人何も準備してきてないんじゃないかなと思うくらい、現場で反応していく方でしたね」と笑い、「何も考えていってません! 現場で自由に存分にやらせていただきました」と合わせるように尾野が答える。
かつて子どもだったすべての人に映画館で観て欲しい
観客を迎えての上映がないこともあり通常より長めの会見だったが、最後に司会者より一言ずつ求められたコメントで締めくくられた。
「ふがいない男の代表として言います。最終的にいい家族をつくろうとして、それがうまくいかなかったとき、失敗したときに、さあどうしようか、という映画です。お母さん達だけじゃなく、ふがいない男性たちにもぜひ観て欲しい。誰にでも子どもだったことはある。かつて子どもだった人たちの気持ちを動かす映画になっていると思います。長い間映画をつくってきました。『この作品、すごいことになったな』と感じるのが10年に1本あるのですが、この『明日の食卓』はまさにそんな作品です。最近の映画は作っては消費されている状況ではありますが、キャストの皆さんの熱意も伝わったともうので、ぜひ応援してください」(瀬々監督)
「映画ですので、映画館で観ていただきたい。その気持ちが一番強いです。映画館でこの親子を観ていただきたくて、心を込めて力いっぱいこの作品をつくりました。みなさんが映画館に来ることできる日が来ますように」(尾野)
「私も映画館で観ていただけたらと思います。配信で観るとしても、部屋を暗くしてじっくり観て欲しいですね。ちょっと重たい話ではありますが、楽しんで観てほしいです」(高畑)
「まずコロナ禍で撮影できるのかなっていう心配がありましたし、今回のような無観客の完成報告も初めて。この年で初めてのことって少ないので、自分にとって思い出になる作品になるなと感じています。できることならお母さんが旦那さんを誘って映画を観に行ってもらえたら、日常の中に新鮮な句読点をつけられるんじゃないかと思います」(菅野)
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『明日の食卓』完成報告会
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映画『明日の食卓』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》同じ「石橋ユウ」という名前の小学5年生の息子を育てる3人の母親たち。 神奈川在住・フリーライターの石橋留美子(菅野美穂)43歳。夫・豊はフリーカメラマン。息子・悠宇10歳。 大阪在住・シングルマザーの石橋加奈(高畑充希)30歳。離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日。息子・勇10歳。 静岡在住・専業主婦の石橋あすみ(尾野真千子)36歳。夫・太一は東京に通い勤務するサラリーマン。息子・優10歳。 それぞれが息子の「ユウ」を育てながら忙しく幸せな日々を送っていた。しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。苦労はあっても、息子への愛に偽りはなかったはずなのに、どこで歯車が狂ってしまったのか。「ユウ」の命を奪った犯人は誰なのか、そして三つの石橋家がたどり着く運命とは……? |