秋葉原国際映画祭2024 正式招待作品
劇場版『Gのレコンギスタ V』「死線を越えて」
スペシャルトークショー
富野由悠季、秋葉原国際映画祭で語る!!
「秋葉原がこんな街になるなんて信じられない」
11月9日(土)、秋葉原国際映画祭2024で劇場版『Gのレコンギスタ V』「死線を越えて」が正式招待作品として上映され、上映前に行われたスペシャルトークショーに富野由悠季総監督と音楽を担当した菅野祐悟が登壇した。
昭和16年(1941年)生まれ、83歳の誕生日を迎えたばかりの富野は、かつての秋葉原を振り返りながら、「僕の時代はラジオの部品を売る街でした。それが今やビルが立ち並び、こんなイベントが行われるなんて基本的に許せません」と会場を笑わせつつ、当時の思い出を語った。
菅野が、「音楽を担当しました菅野祐悟です。みなさんお越しくださってありがとうございます」と挨拶し、「いつか『Gのレコンギスタ』の曲だけでオーケストラコンサートをやってみたいです」と続けると、富野は即座に、「アニメごときの音楽でサントリーホールを使うなんてけしからん」と一刀両断しつつも、「今の発言は正直嬉しいです。菅野さんがサントリーホールでコンサートをやったら光輝くでしょうね。でも僕が死んでからやってください」と菅野のことを高く評価した。
富野は自身の年齢や健康についても触れ、「杖をつかないと歩けなくなってきたので、来年死んでもいいと覚悟を決めている」と告白するも、「本を整理し始めたが全く片付かないので、死にきれません」と続けると会場からは大きな拍手が送られた。
菅野祐悟のような、表舞台も得意な作曲家がこれからの時代には必要
富野は会場を見渡し、「これだけたくさん集まっていただき、みなさんの顔が見えるのは嬉しい。でも意外と年配の方が多い。『G-レコ』は若者に支持されていると聞いていたのに、少しガッカリしてます」と冗談まじりの本音を漏らした。
それに対し、菅野は「監督は最初から子供のために作ると言っていましたね」と語る。
また、富野は菅野について、表舞台にも立てる珍しいタイプの作曲家と評価。「昔の作曲家は曲を作るだけで表に出ると全然形にならないが、菅野さんのように表に出ても映える作曲家がいて安心しました。彼にやっていただけるなら『G-レコ』のコンサートも少しはなんとかなるのではないかと感じています」と語り、「彼の音楽があったからこそ、『Gのレコンギスタ』は巨大ロボットものの枠を超え、名作への道を目指せた」と感謝の言葉を述べた。
菅野も、「『Gの閃光』(『Gのレコンギスタ』のエンディングテーマ)を監督と一緒に作れたことは、音楽家としての誇り」と返した。
(*「『Gの閃光』作詞の井荻麟は、富野の作詞家としてのペンネーム)
ドリカム起用の裏話
コラボレーションが生んだエンディング
富野は、『Gのレコンギスタ』、第3部「宇宙からの遺産」のテーマソングに、DREAMS COME TRUE(ドリカム)を起用した経緯について、「菅野祐悟の曲が素晴らしいのに、ドリカムを最後に使ったことで彼の顔を潰していないか心配だった」と前置きしつつ、「ドリカムの楽曲が持つ20年経っても古びない現代性を感じてお願いしました」と明かした。
それに対して菅野は、『Gの閃光』のインストバージョンを最後の盛り上がるシーンに長めに使っていただき、その後にドリカムさんの楽曲に続くという演出を観たときに素直に素晴らしいなと思いましたし、監督の愛を感じました」と述べた。
富野は、面と向かって菅野とこの話をするのは初めてだということで、菅野の返答を聞いて安堵しながらも、「エンディングでノレド・ナグがテントの中で笑うシーンは、ドリカムのこの楽曲がなければなかった」と強調した。
富野から菅野への手紙
菅野は、制作初期にデモで50~60曲ぐらい送ったところ、一曲一曲に富野の手書きのメッセージが書いてあったと明かし、「よく読んだら、全曲直さなきゃならないなって思いました。愛情のこもった手紙ではありますが、これって全部ダメ出しだ」と話すと、富野監督は「愛情はないですね(笑)」と一言。
続けて、「一つ言い訳を言わせていただくと、作品を作っていく過程で予定外の変更が起こることはしょっちゅうなんです。菅野祐悟が書いたものだからと、そちらに合わせて修正して妥協することはできません。必要悪なんです。全面的に見通したうえで依頼するのが本来は礼儀なんですが、やはりテレビシリーズレベルの物量はそう簡単な量ではないので、どうしても起こってしまいます。本当にごめんなさいね!今日までいう機会がなかったです」と感謝と謝罪の意を伝えた。
ハセガワダイスケがサプライズ登場!
観客と一緒に「Gの閃光」を大合唱🎶
トークショーの最後には、歌手のハセガワダイスケがサプライズで登場し、『Gの閃光』を観客と共にマイク無しの生歌で合唱。菅野は「歌詞見ずにみんながこれだけ歌えるのは監督が愛されている証拠」とコメントし、富野監督も「アニメがここまで受け入れられるのは不思議」と感慨深げに語りました。
また、富野は83歳の誕生日祝いとして、この日を特別な一日と感じたことを述べ、菅野が「まだあと2~3作品は作ってくださいね」と期待の声をかけると、富野は「そう簡単に言わないでよ~」と笑いを誘った。
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