- 2024-11-4
- アニメ, イベントレポート, トークショー, 第37回 東京国際映画祭
第37回 東京国際映画祭(TIFF)
アニメーション部門
映画『野生の島のロズ』トークショー
宇垣美里「ドリームワークスがまた好きなキャラを出してきた〜!!」
11月4日(月・祝)、第37回東京国際映画祭(TIFF) アニメーション部門にて、映画『野生の島のロズ』(原題:The Wild Robot)のジャパンプレミア上映がTOHOシネマズ 日比谷で行われ、上映後に行われたトークショーに宇垣美里が登壇。MCをアニメーション部門プログラミング・アドバイザーの藤津亮太が務めた。
全てのシーンをポストカードにして欲しい!
藤津: まず、作品の第一印象はいかがでした?
宇垣: ロズが島の全容を初めて見るファーストカットで、島の奥行きがあまりにも広く、美しくて。(以前より)アメリカや海外での自然の描き方と日本での描き方って違うなと感じていたんですが、私が観て育ってきたジブリなどの自然の表現と似ているところも感じました。奥行きがあって、抽象画のような、夢のような、全てのシーンをポストカードにして欲しいと思いながら観ていました。
藤津: 宇垣さんがおっしゃった印象は正しくて、今作の美術のスタッフは背景を作るにあたってCGで作っているんですが、印象派のモネやディズニー作品のバンビ、スタジオジブリのトトロなどをリファレンスしているんです。
宇垣: ロズを観た時に(天空の城)ラピュタのことも思い出して、そういった意味でも好きになるべくしてなった作品だなと思いました。
藤津: ロズというロボットのキャラクターはどう思われました?
宇垣: 最初はまず、造形の可愛らしさ、動物の動きを模写するところに魅了されました。
後半では彼女の変化、元々プログラミングされていたこうあるべきというものを超えていくところに共感しましたし、凄く大好きになっていきました。
藤津: 今作では動物が47種類出てくるそうなんですが、印象に残った動物キャラクターはなんでしょう?
宇垣: 動物が大好きなので、全てが大好きでキュンキュンしっぱなしだったんですが、特に好きだったのはキツネのチャッカリですね。
なんと言っても悪ぶったキャラクターがそもそも好きなのもあるんですが、そんな彼が時折見せる弱さだったり、本心だったり、最初は鼻で笑っていた家族というものに自分も入っていって、守りたいという気持ちになっていくところがたまらなくて、それもまたドリームワークスの『長ぐつをはいたネコ』(2011年)、『バッドガイズ』(2022年)などに通じていて、好きなキャラをまた出してきて〜と思いました。
藤津: ドリームワークスの作品は結構観られているんですか?
宇垣: もちろんです。大人の目線でも子供の目線でも楽しめるアニメーションが多く、作品の層が厚い印象があります。
藤津: ドリームワークスは今年で創立30周年なんですが、最初の頃は逆に年齢層高めだったんです。『シュレック』(2001年)とかのパロディー感とかを思い出していただければと思うんですが、それがだんだん『カンフーパンダ』(2008年)のヒットなどを経て、大人の目線と子供の目線を両立できる作品が増えてきたなというのが僕の個人的な感想ですね。
先ほど第一印象として、絵の綺麗さをおっしゃってましたけど、他に挙げるとしたらどんなシーンが印象的でしたか?
宇垣: ロズの目を通して、魚眼のように海を見るシーンも大好きでしたし、雁達が一斉に飛び立つシーンは感情移入をしている部分なので、寂しさがありつつもあの壮大さにはハッと息を呑みました。そして「ママ!」というセリフにこんなに泣かされるとは思っていませんでした。
藤津: 資料を見ると、飛んでる雁の大群は2万8千羽!! CGって画面の中に映っているものが多くなると非常に大変なのですが、ドリームワークスの素晴らしいレンダリングシステムで描いているそうなんです。あと蝶々が8万羽!!
誰と観るかで感じ方が変わる作品
何度も観て違う視点からも楽しんで欲しい!
藤津: 物語の展開で心に残ったところはありますか?
宇垣: ここで終わると思いきや、さらにさらにと展開していきましたね。話としては最初の巣立ちの部分までで十分作れるはず、でもそこまでしっかり展開があるので、飽きる暇もない、目を離す暇もなくて、とても面白い。それから、みんなでノアの方舟のような感じで冬を過ごすシーンが好きでした。
捕食者と逃げる側であるはずの被捕食者が本能を超えて、一緒に生きることができるはずだよというメッセージを感じることができて、あのシーンのピースフルな雰囲気がすごく好きでした。
藤津: 後半の展開で、このままロズが動かなくなっちゃったらどうしようとか、ドキドキしたりしませんでしたか?
宇垣: 思いました!ロズ自身もどんどん壊れていって時間経過を感じさせる描写が、だからこそ唯一無二になっていく感じもして、振り返ってみるとすごく好きな描写だなと思います。
藤津: 宇垣さんとしてはこの映画からどんなメッセージ、テーマを感じました?
宇垣: クマとキツネとネズミを一緒に入れて、一緒に暮らすことはできない。それは夢。でも人間だったら、持っているはずの本能なのか、伝統なのか、文化なのかはわかりませんが、それを超えてできることはあるはずだよというメッセージを感じることができました。また、成長とそれを見守るということ。
私はまだ親ではないんですが、親の目線で見るとグッとくるものもあります。私は巣立った娘として、非常に心を揺さぶられるものがありました。見送る、旅立つというメッセージも強く感じました。
藤津: そういった意味ではキラリというキャラクター、非常に可愛かったですよね。キラリについて好きな部分があれば教えてください。
宇垣: あの目の輝きと、一つ一つの成長をまるで一緒に追いかけたような気持ちになって。なんなら本国ではこの成長を見守りたくて、何回も観た方がいるんじゃないですか?実際かなり観に行かれている方多いんですよね?
藤津: 世界では、今(興行収入が)2億7千万ドルまで来ているそうで、過去20年のCG映画では最大級のヒット作品ということです。
では最後の質問です。この映画を皆さんにおすすめするならどのようにおすすめしますか?
宇垣: まずはアニメーションの素晴らしさ。これは今後のアカデミー賞などの賞にも重要なポイントになってくると思います。見逃し厳禁です!また、家族と行くのか友達と行くのか、誰と観るかによっても変わってくる作品だと思います。
何度も何度も観て、また違う視点から楽しむこともできると思います。
いろんな方と観に行って、どこがよかった、どこに感情移入できたって後から話すことも含めて経験となる素晴らしい作品をぜひ楽しんでいただければと思います。
フォトギャラリー📸
イベント情報
第37回 東京国際映画祭(TIFF) アニメーション部門
|
映画『野生の島のロズ』予告篇🎞
映画作品情報
邦題: 野生の島のロズ
プロデューサー: ジェフ・ハーマン
音楽: クリス・バワーズ