映画『聖なるもの』公開初日舞台挨拶レポート

【写真】映画『聖なるもの』公開初日舞台挨拶(南美櫻、小川紗良、山元駿、半田美樹、希代彩、縣豪紀、青山ひかる、岩切一空監督)

映画『聖なるもの』公開初日舞台挨拶

「ボンジュール鈴木さんの音楽ありきの映画です」

岩切一空監督最新作『聖なるもの』が4月11日(土)に初日を迎えた。東京・ポレポレ東中野では21時上映開始のレイトショーにもかかわらず、5時間前にはチケットが完売。立見席も満席で、通路まで人が座っているという盛況ぶり。そんな熱気あふれる会場で、上映後に初日舞台挨拶が開催され、岩切一空監督ほか、南美櫻、小川紗良、山元駿、半田美樹、希代彩、縣豪紀、青山ひかるが登壇した。

初回上映の興奮さめやらぬ中、通路にも座る観客の脇を通って舞台に上がった登壇者8人。岩切監督から順番にひとことずつ、初日を迎えた喜びや来場者への感謝の気持ちを述べた。

監督は長編デビュー作『花に嵐』が、「PFFアワード」準グランプリや「カナザワ映画祭」観客賞受賞で話題となり、先日、第58回日本映画監督協会新人賞を受賞したばかり。待望の第2作となる本作は、主演を務める監督自らカメラを回すモキュメンタリー・スタイルで幕を開け、フェデリコ・フェリーニから「少女革命ウテナ」、庵野秀明などにオマージュを捧げながら、予測不可能に突き進む独自の世界観を超展開する。制作のきっかけは『MOOSIC LAB』という音楽と映画を掛け合わせたプロジェクト。そのことをMCから振られると、「ボンジュール鈴木さんの音楽ありきの映画です」と監督が言い切るように、ボンジュール鈴木によるエレクトロ・サウンド&ウィスパーボイスが作品を彩っている。

【画像】映画『聖なるもの』場面カット2

ヒロインは2人。南美櫻は映画を撮ろうとしている主人公のミューズともいえる美少女・南を演じた。「岩切さんから、いきなりラインで『映画の話をしませんか』と誘われました」と出演のきっかけを語る。出演依頼の比喩だと思いつつ、「本当に最近見た映画について語られたらどうしようと思いながら、とりあえず会ってみました」という。監督は「撮影の1年前から口説いて、ようやくできました。感無量です」と振り返る。

【画像】映画『聖なるもの』メインカット

もう一人のヒロインは小川紗良。『イノセント15』『ウィッチ・フウィッチ』などで主演を務める一方、新進気鋭の映画監督としても注目されている。本作では主人公に頼みこまれて、ずるずると映画制作を続ける大学生を演じていた。「最初は『ちょっと手伝ってよ』といわれてスタッフをしていたのに、気がついたら出演シーンが増えていました」と役柄の大学生がそのまま小川の状況だったという。役名と自分の名前が同じため、「どこまでが自分で、どこからが役なのか。自分でも不安定でした」と撮影当時の心境を語った。それに対して監督も「小川さんが『小川では出れない。名前を変えてくれ』と言い出し、新宿東口で喧嘩しました」と語る。それぞれが真剣に向き合っていたことを伝わってきた。

【画像】映画『聖なるもの』場面カット1

青山ひかるは、ユーチューバーになったサークルの橘先輩の彼女を演じたが、映像は初めてだったという。「素の自分を出してほしいと言われましたが、普段の私は声が低くてぼそぼそしています。撮影が始まると監督から『もう少しテンションを上げてほしい』と言われて、その加減に苦労しました。今になってみると、今後の役柄に広がりができた気がします」とはきはきした声で語っていた。青山は8人の中で右端に立っていたが、反対端に立つ監督は「僕だけでなく、カメラマンやスタッフたちもみんな青山さんのファンでした」とグラビアアイドルとして人気のある青山に憧れの目を向けた。

縣豪紀は、映画を撮ると言いながら完成させたことがなく、怒ってばかりいる橘先輩を演じた。「普段、怒ることがないので、怒るって何かわからなかった。しかし、監督が『自分の中にあるもので表現してくれればいい』と言ってくれて、やりやすくなった」と苦労した役作りについて話すと、監督が唐突に「縣くんは顔がタイプです」と言い出し、会場はどっと沸いた。

美少女・南が街で出会う少女を演じたのが希代彩。MCから現場の様子を尋ねられ「かわいい女の子と制服が好きなので、好きが詰まった幸せな現場でした」とうれしそうに語った。

監督の前作『花に嵐』にも出演した半田美樹は主人公に”新歓の怪談”を教えるサークルの先輩を演じた。「手法がフェイク・ドキュメンタリーだったこともあり、撮られている感じがしなかった。前作も今作も会話していたら撮影が終わっていた」と撮影当時について話した。そんな半田について聞かれた監督は「大好きなので、やりやすい」と告白大会のような発言が続き、会場にはまた笑いが起こった。

山元駿は、主人公のルームメイトを演じた。監督が「彼の作ったチャーハンを南が食べるシーンがあったのに、カットしてしまいました」というと、山元は「フライパンを振れるので、めっちゃうまいチャーハンだったのに」と残念がった。しかし、監督のことを「ネクストジェネレーション。天才だと思う」と高く評価した。

20分の舞台挨拶はあっという間に終わりの時間となった。最後に監督が「自主映画ですが、ハリウッドに負けないような秘めたものがあります。みなさんに持ち帰っていただけるものがあればありがたいです」と挨拶して締めくくった。

【写真】映画『聖なるもの』公開初日舞台挨拶(岩切一空監督)

登壇者が舞台を降り、受付のあるロビーに出ると、観客がパンフレットにサインを求めていた。サイン会は1時間ほど続き、終わったのは日付が変わる頃。小さな映画館ならではの温かい初日舞台挨拶であった。

[スチール撮影:堀木 卓也 / 記者: 堀木 三紀]

 

イベント概要

<映画『聖なるもの』公開初日舞台挨拶>

■日時: 2018年4月14日(土)
■場所: ポレポレ東中野 
■登壇者: 南美櫻、小川紗良、山元駿、半田美樹、希代彩、縣豪紀、青山ひかる、岩切一空(監督)

【写真】映画『聖なるもの』公開初日舞台挨拶(南美櫻、小川紗良、山元駿、半田美樹、希代彩、縣豪紀、青山ひかる、岩切一空監督)

映画作品情報

【画像】映画『聖なるもの』ポスタービジュアル

《ストーリー》

 フェリーニmeets 庵野秀明!?
「花に嵐」の岩切一空が贈る”映画の向こう側へと突き抜ける強烈な映像体験”

大学の映画研究会に所属しながら、一本の映画も撮れないまま、3年生になってしまった「岩切」(岩切一空)。橘先輩が撮る新作の主演女優を探し始めた彼はある日、舞先輩から4年に一度現れるという「新歓の怪談」の話を聞く。新歓合宿時に現れる、黒くて長い髪、大きな目、透き通るような白い肌を持った少女。「彼女を見た者は、衝動的に映画を撮りたくなり、唯一彼女に選ばれ、彼女を被写体に撮った映画は必ず大傑作になる」という。だが、そこにはルールがあった。①彼女のために脚本を書くこと。②何があっても撮影を止めないこと。そして③はは今だに誰もわからないという。

そして、迎えた新歓合宿当日。彼の目の前に、例の「怪談の少女」(南美櫻)が現れ、「僕」は思わず声をかけてしまう——「僕の、映画に、出てくれませんか?」。

無口どころか、名前も名乗らない彼女に自宅にあったマンガから「南」と名付けた「僕」の、彼女のための映画製作が始まった。自身の工房で、特撮映画を準備中の優秀な後輩「小川」(小川紗良)も巻き込み、「外の世界に憧れる少女の物語」の撮影が開始されるが、あまりにシュールな設定やありえないセリフ回しなどに、ついていけないクルーは、次第に違和感を持ち始める。それに対し、何かにとりつかれたように撮影を止めようとしない「僕」。だが、その異変は、いちばん疑問を感じていた「小川」にも訪れ始めるのだった…。

 
監督・脚本・編集: 岩切一空
 
出演: 南美櫻、小川紗良、山元駿、縣豪紀、希代彩、半田美樹、佐保明梨(アップアップガールズ(仮)) 青山ひかる / 松本まりか
 
劇中歌・主題歌: ボンジュール鈴木|音楽: 有泉慧
撮影: 岩切一空、安田瑛己
照明: 佐久間周平
録音: 浅井隆
助監督: 笹沼 未冬
スチール: 萩原楽太郎
衣装: 小宮山芽以
メイク・美術: ほんだなお
特撮監督: 前畠慎悟
操演: 小杉啓人
MA: 北摂 プロダクション
企画: 直井卓俊
製作: 2017「聖なるもの」フィルムパートナーズ
配給・宣伝: SPOTTED PRODUCTIONS
2017年 / 日本 / カラー / ステレオ / 16:9 / 90分
© 2017『聖なるもの』フィルムパートナーズ
 
2018年4月13日(土)、ポレポレ東中野ほか全国順次公開!
 

映画公式サイト

公式Twitter: @Vitu_Vitakatifu

この記事の著者

堀木 三紀

堀木 三紀ライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。(2015年は417本、2016年は429本、2017年は504本の映画作品を鑑賞)

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど30人を超える。

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