映画『マグニフィセント・セブン』(THE MAGNIFICENT SEVEN) レビュー
映画 「マグニフィセント・セブン」 (THE MAGNIFICENT SEVEN)

映画 「マグニフィセント・セブン」 (THE MAGNIFICENT SEVEN)

荒野の“無法者”がここに集結!
西部開拓史に残る七人VS数百人の壮絶なガンファイトを見逃すな!

《ストーリー》 

悪名高き実業家のボーグ(ピーター・サースガード)。彼は金鉱発掘のため、農民が平和に暮らす町をのっとろうとしていた。教会は焼かれ、人々は殺され、町民はなすすべもなく圧倒的なボーグの力によって蹂躙される。ボーグに夫を殺されたエマ(ヘイリー・ベネット)は、復讐のため、そして町の平和を取り戻すため、偶然出会った賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)に助けを求める。最初は躊躇したサムだったが、ある理由からエマの依頼を引き受けることにした。強力な軍勢を持つボーグ。サムはそれに対抗するため、流れ者やギャンブラーなど出自はメチャクチャ、だが腕はピカ一の用心棒を次々と集める。最強のアルトロー闘士7人による、最恐最悪のボーグとの決戦が今始まろうとしていた。

映画 「マグニフィセント・セブン」 (THE MAGNIFICENT SEVEN)

 

《みどころ》

“西部劇×セブン”という方程式をみて、映画のオールドファンならピンとくる方もいるだろうか。そう『マグニフィセント・セブン』は往年の名作『荒野の七人』(1960年)のリメイク映画だ。さらに蛇足を加えると『荒野の七人』は、黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)をベースに創られたと言われており、日本にとってもなじみ深い映画となっている。ただ、武士道や武士の情けといった日本特有の侍スピリットが前面におし出ているかというとそうでもなく、今作の集められた用心棒は人種も性格も様々で、多士済々。中には「西部開拓時代にこんな人いるか?」とニヤッと笑ってしまうようなキャラクターもいて、よりエンターテインメント色が濃くなっている。

映画 「マグニフィセント・セブン」 (THE MAGNIFICENT SEVEN)

こうして集まった荒野の“個性的な”七人。銃や投げナイフ、弓矢など得意な武器も実に多彩で、悪党相手に縦横無尽に暴れまくる姿は観ていて爽快だ。エンタメ色が濃いということで、ありえないくらい強靭な(というよりもはや超人的な)強さを誇っている。ただ、それでも数の劣勢はどうにもならない。加えてボーグには奥の手があった。すさまじい殺傷能力をもつ、当時の最新兵器ガトリング砲を用意していたのだ。この最終兵器を前に、一転して見る見るうちに苦境に立たされるサムたち。だが、逃げる者などいない。命を賭してでも卑劣な悪党を討ち果たそうと闘い続けた。西部史に名高い『OK牧場の決闘』(1881年)に勝るとも劣らない激闘は、果たしてどのような結末を迎えるのか。ぜひ劇場で見守って頂きたい。

タイトルにある“マグニフィセント”とは「素晴らしい」とか「抜きんでた」という意味であり、まさに七人に対する最大級の賛辞だ。だが、素晴らしかったのは、彼らの身体的な強さだけではない。最後まで弱き町の人を見捨てなかった、武士道にも劣らないその献身的な精神こそ千金のマグニフィセントだろう。 

[ライター: 藤田 哲朗]

映画『マグニフィセント・セブン』予告篇

映画作品情報

映画 「マグニフィセント・セブン」 (TH映画 「マグニフィセント・セブン」 (THE MAGNIFICENT SEVEN)E MAGNIFICENT SEVEN)

第41回 トロント国際映画祭(tiff) オープニング作品
第73回 ヴェネツィア国際映画祭 クロージング作品
 
邦題: マグニフィセント・セブン
原題: The Magnificent Seven
監督: アントワーン・フークア
 
キャスト: デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホン、ヴィンセント・ドノフリオ ほか
 
2016年 / アメリカ / 英語 / 133分 / カラー / 映倫区分 G
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場公開日: 2017年1月27日

© 2016 CTMG

映画公式サイト

この記事の著者

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

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