映画『レディ・バード 』(Lady Bird) レビュー

映画『レディ・バード』

(原題/英題: Lady Bird)

NYに行きたい!跳ねっ返り女子高生の思いは届くか?

映画『レディ・バード』が6月1日に公開される。監督を務めるのは、『フランシス・ハ』(2012年)、『20センチュリー・ウーマン』(2016年)に出演した個性派女優グレタ・ガーウィグ。自伝的要素を織り込んだオリジナル脚本も手掛けて、念願の単独監督デビューを果たした。
口コミで少しずつ話題を呼び、全米4館から1,557館までに拡大公開。5週連続トップ10入りのスマッシュ・ヒットとなった。また、米映画レビューサイト“ロッテン・トマト”で100%大絶賛され、『トイ・ストーリー2』(1999年)を抜いて18年ぶりに新記録更新。さらに、本年度ゴールデン・グローブ賞で作品賞、主演女優賞を受賞し、本年度アカデミー賞®でも作品賞、主演女優賞、助演女優賞、監督賞、脚本賞にノミネートされるなど、今、話題の作品である。

《ストーリー》

カリフォルニア州サクラメント。カトリック系の私立高校に通うクリスティン(シアーシャ・ローナン)は親に押し付けられた名前に反発して、自分のことを「レディ・バード」と呼んでいる。学校では親友ジュリーとつるんでいたずらをするなど楽しく過ごし、同級生のダニー(ルーカス・ヘッジズ)にときめき、付き合い始める。しかし、別の女の子と仲良くなったことで、ジュリーとは微妙な距離感ができ、ダニーとも嗜好の違いで別れてしまう。

家では進路のことでもめている。卒業後は地元の市立大学ではなく、ニューヨークの大学に進学することを夢見ているが、母(ローリー・メトカーフ)は父(トレイシー・レッツ)が失業中という経済的理由で却下。奨学金で進学しようと母親に内緒で申請するものの、大学になかなか合格できない。 卒業を前に奮闘するクリスティン。彼女はどんな未来を手にするのだろうか。 

《みどころ》

クリスティンが高校生活最後の1年に友人やボーイフレンド、家族、将来について悩み、揺れ動く様子がユーモラスに綴られる。例えば、初体験に焦るあまり、彼を挑発する行動に出る。18歳の誕生日には欲しくもないのに、タバコや雑誌を買ってみる。クリスティンの痛い姿を見ていると、誰でも1つや2つは持っている、思い出すのも恥ずかしい「黒歴史」が記憶に甦ってくるだろう。

思ったことをそのまま口にしてしまうので、トラブルも次々と発生。そのたびにクリスティンは無様な姿を見せる。しかし、逃げはしない。自分の状況をきちんと受け止め、新しい1歩を踏み出す。 それは進路に対しても同じ。母親に却下されても、父親をこっそり味方に引き入れ、できる限りの手を打つ。

しかし、貪欲までにNY行きを希望する割には、やりたいことは見えてこない。その姿は、東京で暮らしてみたいがために、東京の大学に進学することを切望した自分に重なった。同じような経験を持つ地方出身者は多いと思われる。この作品を通じて、若い頃の自分と再会してみてはどうだろうか。

 [ライター: 堀木 三紀]

映画『レディ・バード』予告篇

映画作品情報

原題・英題: Lady Bird
邦題: レディ・バード
監督・脚本: グレタ・ガーウィグ  
キャスト: シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ、 ビーニー・フェルドスタイン、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ロイス・スミス
配給: 東宝東和
© 2017 InterActiveCorp Films, LLC.
画像クレジット: Merie Wallace, courtesy of A24
 
2018年6月1日(金)より、
TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @ladybirdmoviejp
公式Facebook:@ladybirdmoviejp
公式Instagram:ladybirdmoviejp

この記事の著者

ほりき みきライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど。

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