映画『グレイテスト・ショーマン』(The Greatest Showman) レビュー
【画像】映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』(THE GREATEST SHOWMAN) メインカット

映画『グレイテスト・ショーマン』
(原題: The Greatest Showman)

「もっとも崇高な芸術とは、人をしあわせにすることだ」
魂を輝かせて生きることを思い出させてくれる、心ふるえるミュージカル映画

着想から7年の歳月をかけて製作された映画『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)は、主題歌「This is Me」が第75回ゴールデングローブ賞で主題歌賞を受賞し、ミュージカル・コメディ部門の作品賞および主演男優賞(ヒュー・ジャックマン)にノミネートされた作品である。

主題歌「This is Me」は第90回アカデミー賞主題歌賞の最有力候補とも呼び声高く、劇中ではレティ・ルッツ役のキアラ・セトルが圧巻の歌声を披露している。劇中歌は、『ラ・ラ・ランド』(2016年)で作詞を手掛け、第89回アカデミー賞で主題歌賞を受賞し、ブロードウェイ・ミュージカル『ディア・エバン・ハンセン』で2017年度トニー賞オリジナル楽曲賞を受賞したベンジ・パセックとジャスティン・ポールが担当している。数々の受賞歴と実績のある面々からなる製作チームにも支えられて完成された珠玉のミュージカル映画である。

映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』(THE GREATEST SHOWMAN)

《ストーリー》

19世紀半ばのアメリカ。身分の差を乗り越えて結婚した幼馴染の妻チャリティ(ミッシェル・ウイリアムズ)を幸せにすることを願い、挑戦と失敗を繰り返してきたP.T.バーナム(ヒュー・ジャックマン)は、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせて成功を掴む。しかし、バーナムの型破りなショーに根強い反対派もいた。裕福になっても社会に認めてもらえない状況に頭を悩ませるバーナムが、次にとった手段は驚くべきものだった。

《みどころ》

みどころがこれほどまでに数多くある映画も珍しいだろう。しっかりとしたストーリーの骨格に音楽と歌、踊りが見事に融合し、人そして人生への愛を極上のミュージカルで魅せることに成功している。

夢を叶える途上にいる人、傷を抱えて動けなくなっている人、自信を無くしている人、再起不能な絶望の中にいる人、どのような状況にいる人であっても、この映画から前へ進むパワーを受け取ることが出来るだろう。

【画像】映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』(THE GREATEST SHOWMAN) 場面カット3

主人公バーナムは、芝居や音楽がまだ上流階級の人たちだけのものだった時代に、大衆的な方法で一般市民に娯楽をもたらした実在の人物(天才興行師)だったらしい。そのバーナムをレ・ミゼラブルでの主演で知られる実力派俳優(エンターテーナーでもある)ヒュー・ジャックマンがさわやかに熱演している。

最愛の妻と愛娘2人を幸せにすることを夢みていたバーナムは、会社の倒産で解雇されるというマイナスの状況のなか、希望を失うことなく新たなチャレンジをし続ける。彼のなかからでてくる突拍子もないアイディアと度胸は、様々な縁を紡ぎながら人々の心の闇に光をあてていく。

バーナムの妻チャリティ役には『マリリン7日間の恋』(2011年)でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したミッシェル・ウイリアムズ、バーナムのビジネスパートナーであるフィリップ・カーライル役にザック・エフロン、そしてフィリップと愛し合うアン・ウィーラー役には『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)でミステリアスな女の子を好演したゼンデイヤ、オペラ歌手のジェニー・リンド役に『ミッション・イン・ポッシブル』(1996年)で二重スパイのイルサを演じたレベッカ・ファーガソンが好演している。

【画像】映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』(THE GREATEST SHOWMAN) 場面カット2

歌唱力、容姿ともに異色の存在感を放つレティ・ルッツ役のキアラ・セトル(ブロードウェイで活躍)は本作の主題歌「This is Me」を熱唱しているが、この歌との出会いが自らの人生をも変えたという。キアラがこの歌に出会ったのは映画製作始動前に行われたワークショップだった。このとき彼女は「This is Me」の歌が持つパワーに圧倒され、自らが歌うことを躊躇したらしい。それでも歌い始めた彼女が、「勇気もある、傷もある、ありのままのわたしでいる。そう、これがわたし!」というフレーズに徐々にのめりこんでいき、レティ・ルッツ役を射止めた。

“音楽には言語を超える特別な力が宿る”というキアラ(レティ・ルッツ役)が熱唱する「This is Me」は、劣等感にさいなまれ自信が持てない人たち、自分の居場所がないと疎外感を感じている人たち、ありのままの自分では愛されないと感じている人たちへ希望を届ける応援歌にも聞こえるが、実はすべての人と人生そのものへの賛歌でもあるのだ。

みんな違って当然、ありのままでいい、自分の居場所、輝ける場所は必ずある。でも、それは、孤独なままでは決してみつけられない。変わることを恐れず少しの勇気を出して一歩踏み出すこと、人とかかわっていくこと、そして化学反応をおこしていくことで見えてくる新しい世界。それはきっとこれまでの自分ではない新しい自分の発見でもあり、本来の自分が望んでいた生き方にたどり着くことでもあるのかもしれない。

【画像】映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』(THE GREATEST SHOWMAN) 場面カット1

「もっとも崇高な芸術とは、人を幸せにすることだ」この言葉に紆余曲折しながらたどり着いたグレイテスト・ショーマン~バーナムの生きざまが集約されている。

[ライター: Takako Kambara

映画『グレイテスト・ショーマン』予告篇

映画『グレイテスト・ショーマン』メイキング映像

https://youtu.be/XLFEvHWD_NE

https://youtu.be/PluaPvhkIMU

映画作品情報

【画像】映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』(THE GREATEST SHOWMAN) ポスタービジュアル

第90回 アカデミー賞® 主題歌賞「This is Me」ノミネート!
第75回 ゴールデングローブ賞 主題歌賞「This is Me」受賞!
 
邦題: グレイテスト・ショーマン
原題・英題: The Greatest Showman
出演者: ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ
監督: マイケル・グレイシー
製作: ローレンス・マーク、ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング
製作総指揮: ドナルド・J・リー・Jr.、トニア・デイビス
原案: ジェニー・ビックス
脚本: ジェニー・ビックス、ビル・コンドン
音楽: ジョン・デブニー、ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール
配給: 20世紀フォックス映画
北米公開: 2017年12月20日
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
 
2018年2月16日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト

この記事の著者

Takako KambaraCinema Art Online 専属ライター

★好きな映画
『素晴らしき哉、人生!』 (It's a Wonderful Life) [監督: Frank Russell Capra 製作: 1946年/米]
『太陽と月に背いて』 (Total Eclipse) [監督: Agnieszka Holland 製作: 1995年/英]
『きみに読む物語』 (The Notebook) [監督: Nick Cassavetes 製作: 2004年/米]

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