映画『ゆらり』鶴田真由インタビュー
この作品が多くの人に届くことが、愛という種の伝播にそのまま繋がっていると思うんです。
僅か10日間の公演で2,000人以上を動員した西条みつとし主宰のTAIYO MAGIC FILMの大人気舞台「ゆらり」が、ついに映像化!西条氏自らが脚本を手がけ、舞台の感動をそのままに映画化を実現した。
物語は、石川県の民宿「赤木箱」を舞台に、宿を営む家族や宿泊客など、「 伝えられなかった想い」を抱える人々が家族の絆を取り戻す姿を、笑いと涙で描いたヒューマン・ファンタジー。映画は、現在、未来、過去の三部で構成されている。
第三部の過去シーンで、女優の夢を諦め実家に戻ってきた主人公・泉凛花(岡野真也)に辛く当たられてしまう母を好演した鶴田真由さんに、本作への出演についてお話を伺った。
―― 今作の出演オファーを監督からいただいた時のお話をお聞かせください。舞台版の存在は知っていましたか?
『ゆらり』という作品は、出演のお話を頂いた時に知りました。横尾監督の印象は一見強面ですけど、お話してみるとお母さんのことが大好きな、とても優しい方で(笑)、こういう人がこの作品を撮るなら、きっと素敵な作品になるだろうなと。描きたいこととか、役者に求めていることなど、ヴィジョンがとてもはっきりしていたんですね。物語の構成がとても面白くて、最後まで見ると、ああ、こうゆう展開になるのかとお話が円になって繋がっていく。舞台ってワンシチュエーションですから、それをどのように映像に落とし込んでいくのかは、とても気になりました。映画として成立するのかな、、、難しいんじゃないかなと。実際、監督も悩まれてましたが、出来上がりを観て全てが見事につながっているなと感じました。
―― 鶴田さんがこれまで演じられてきた役柄は清楚で、芯の強い女性の役が多かったように思います。今回の少し抜けているというか、気の弱い母親役を演じるにあたって気をつけたこと、意識したことなどありますか。
役柄はそうですね。どこか天然で、ちょっと鈍臭くって、具体的なころで言うとちょっと話すスピードをゆっくりにしたりとか、歩き方をもたつかせようとかそういったところを意識しました。娘から見ると「鈍臭くてイライラする!」「天然で何もわかっていない感じに腹が立つ!」そんな風に思われるような母親に仕立てあげたかった。本当は全部娘のこと、わかっているお母さんなんですけどね。
―― 過去パートを担当されたわけですが、共演した主演の岡野真也さんや夫婦役を演じた渡辺いっけいさんとの掛け合いはいかがでしたか?
とにかく岡野さん、すごく頑張ってました。あの最後のシーンはやっぱり何度も撮れるシーンではないし、一回目の集中力がとても重要ですし、全てが円になってつながるシーンなので。
いっけいさんは本当に芸達者な方なので(笑)、アドリブも沢山なさってました。マジック披露のシーンなんかは、いっけいさんじゃなきゃああいうシーンにならなかったと思います。いっけいさんがいかにエンターテイニングに面白おかしくできるか、ずっと練習されていたのが結構おかしくて(笑)。すごく真面目な顔してあのシーンの練習をしているいっけいさんがまたとても愛らしいというか、裏ですごく努力されていて、そのギャップが面白かったですね。
―― 父との見どころもあれば、母との見どころもある映画でしたね。ご自身が翌朝亡くなってしまうことを、お母さんご自身は気づいていたと思いますか?
どうでしょう。。。気づいてないんじゃないでしょうか。
夫婦愛もあったかくてすごく良いなあと思いました。お互いに気遣いもできて。
―― 今作のテーマは「伝えられなかった想いを伝えたい」ですね。もし過去に戻れるリモコンがあったら、鶴田さんご自身は使いたいですか?
母にあの時ひどいこと言っちゃったなって心に残っていることはありますけど、でもきっと母娘なので許してくれているだろうなと思います。私も若かったし(笑)。それから、数々の経験を積み重ねて今がありますから。その分、少しは大人になっているかな?まだ、母も元気なので、その時の分も含めて大事にしてあげられたらと思っています。なのでリモコンは使わないでしょうね。それよりも悔いのない生き方をしていきたいですね。
―― 老若男女、様々な登場人物が出てくる作品ですね。特にどんな方にご覧いただきたいでしょうか?
家族の話って、多分人を選ばないと思うんですよね。この世に生まれてきた限り、今一緒にいようがいまいが、誰にでも両親というのは存在するわけなので。きっと、どこかに共感できるポイントはあると思います。なので、なるべく多くの人に観ていただきたいと思っています。
―― 最後にインタビューをご覧の皆様にメッセージをください。
原作・脚本家の西条みつとしさんが母に捧ぐつもりで愛というものをベースに脚本を書き上げ、それに共感した監督がそれを映像にしたいと思い、そしてその思いを引き継いで私たち役者がその中で演じて、映画が出来ていく。でもそこで映画が出来て終わりじゃなくて、愛という種が伝播して行っていると思うんです。伝播していくことによって、愛の種を受け取る人数がさらに多くなっていく。「優しい言葉を周りにかけよう」とか、「家族に電話しよう」とか。そういった愛の種が芽吹いて広がっていくといいなあと思います。こうしてネットで繋がって、広がっていくことも一つのきっかけで、中心にあるのは愛という種だと思うんです。すごく素敵だなと思います。
[ヘアメイク: 赤松 絵利(esper.) / スタイリスト: 鈴木 えりこ]
[衣装協力: プティローブノアー(TEL: 03-6662-5436)、サン・フレール(TEL: 03-3265-0251)]
プロフィール鶴田 真由(Mayu Tsuruta) 神奈川県生まれ。1988年「あぶない少年Ⅱ」(TX)で女優デビュー。1993年、金子修介監督『卒業旅行 ニホンから来ました』では、織田裕二演じる主人公の恋人役を好演し、広く注目される。以降も、数々のドラマ、映画で活躍。清楚で芯の強い女性像を多く演じている。主な出演作に、「マルモのおきて」(2011年)、『犯罪症候群』(2017年)、『ほとりの朔子』(2014年)、『64-ロクヨン- 前篇/後篇』(2016年)がある。 |
映画作品情報
《ストーリー》現在——————————
未来——————————
そして、過去——————————
日常のなかに、一瞬だけ浮かび上がる温かな家族の絆。 |
戸次重幸、萩原みのり、山中崇、遠藤久美子、平山浩行、渡辺いっけい、鶴田真由
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