映画『ゆらり』主演・岡野真也インタビュー
映画を観終わった後、自分の家族のことを想って「ちょっと電話してみようかな」と思えるような作品になりました。
僅か10日間の公演で2,000人以上を動員した西条みつとし主宰のTAIYO MAGIC FILMの大人気舞台「ゆらり」が、ついに映像化!西条氏自らが脚本を手がけ、舞台の感動をそのままに映画化を実現した。
物語は、石川県の民宿「赤木箱」を舞台に、宿を営む家族や宿泊客など、「 伝えられなかった想い」を抱える人々が家族の絆を取り戻す姿を、笑いと涙で描いたヒューマン・ファンタジー。映画は、現在、未来、過去の三部で構成されている。
第1部の現在シーンで、民宿「赤木箱」の31歳の女主人・泉凛香を演じ、現在より8年前にあたる第3部の過去シーンでは、東京での女優の夢を諦め、実家の民宿に戻ってきたばかりの23歳の凛香を演じた岡野真也さんに本作への出演についてお話を伺った。
―― 本作で主演のお話をいただいた時の印象はいかがでしたか?
この映画の製作が決まっていない段階から、「もし映画化が実現したら岡野さんでやりたい」と監督からお話をいただいていました。
物語のあらすじを聞いて、私が一人二役というわけじゃないですけど、20代と、30歳という年齢の違う役を演じるにあたって、「 大丈夫ですか?!(30歳に)見えますか?!」と何度も聞きました。でも監督はお会いした時に「いやあ、(30歳にも)見えるよ。大丈夫だと思う」と監督からおっしゃっていただきましたので、その言葉を信じようと思いました。また、とても素敵なお話ですし、監督がどうしてもやりたいっていうお気持ちが伝わりましたので、ぜひ映画化して欲しいと思いました。実際に(映画化が)決まった時は嬉しかったです。もちろん演じるにあたってのプレッシャーというものもありました。
―― 本作は元々が舞台が原作ですが、舞台「ゆらり」は実際にご覧になりましたか?
お話をいただいた時には舞台は終わっていましたので、DVDで拝見しました。
―― 登場人物が老若男女、すべての世代が出てくる作品ですね。映画は日常的な生活感をとても感じさせる作品に仕上がっていて、誰もが自分のことのように共感できる作品だと感じましたが、いかがでしょうか?
私もそう思います。どの世代でもパッと自分の家族のことを思うでしょうし、映画を観て自分の家族のことを想って、「ちょっと電話をしてみようかな」と思ってもらえる作品になったなと思います。
―― これまでに様々な作品に出演されていますが、本作の出演にあたり何か特別な準備はされましたか?
とにかく自分の育ってきた環境をひとつひとつ思い返すことから始めました。
例えば、私自身が母親の目線になることに努めました。私が小さい頃にしたわがままで、その時に母親はこう思っただろうなと想像したり、あとは当時の写真を見て、その時の事を自分の家族と話したり。脚本よりもまず自分の家族のことを考えて動いていました。
―― まず自分のバックグラウンドについて思い返しながら役作りに臨まれたわけですね。撮影中に何か気づいたことや印象的な出来事はありましたか?
これは撮影中に気づいたことではないのですが、試写の上映を観て、自分が母親役をやっている姿の横顔が私の母親そっくりだったことですね。
それまで自分が母親になるという姿は想像もできなかったのですが、完成した作品を観ている時に、そのまま自分が母親をやっている自分の将来が見えたというか。。。急に目の前にそれが現れてきたという感じがしました。
―― 映画のクライマックスは思い出しただけでも泣けてくる感動のシーンですが、岡野さんがもし同じシチュエーションに直面したら、凛香と同じ行動はとりますか?
ありがとうございます。(同じ行動を)するでしょうね。しなかったらきっと後悔するでしょうし。
(少し思い返したように)そうですね、、、同じ行動をとりますね。
―― 大学時代に映画制作サークルに所属して、カメラマンや脚本など、スタッフとして製作に携わっていたと伺っています。制作側の視点で本作の現場に向き合ったことはありますか?
スタッフさん側の知識というのはまだまだ少ないですけど、映画を作っていく中で「ああ、映画製作ってこんなに大変なんだ」と感じているので、自分が主演としてやらせていただいている以上、スタッフの皆さんが居心地いい環境になればいいなと思い、たった一週間ちょっとでしたが、皆さんと行った島での撮影期間が楽しく過ごせるように心がけました。
―― 昨今、出演だけでなく、脚本や監督、プロデューサーなど製作側も手がける役者の方が国内外に増えてきていますが、岡野さんも将来そういったマルチプレイヤーを目指そうと考えたことはありますか?
考えたことがないですけれど、常日頃、「こういう表現が出来たらな」というものはあって、それが映画でなのかはわからないですし、今の自分の想像力ではわからないです。けれど、きっと私の中にもそういう欲が多分あると思うので、どれぐらい先の事になるかはわからないですけど、何かしら自分が発信する日が来るのではないかなとは思います。
―― 今後演じてみたいと思う役はありますか?
いわゆる、ちょっと悪い役ですかね。“悪女”っていう括りでいいのかわからないですけど(笑)。
もともと悲劇の方が私は好きで。悲劇って結構、その裏に深い愛があるからこそっていう場合がとても多いので、その悪い人なりの心情とか、一筋縄ではいかない部分、そういう部分を掘り下げてみたいなとは思います。
―― どのような方に本作を観ていただきたいですか?
少しでも多くの方に観ていただきたい作品です。ぜひご家族みんなで観て欲しいなと思います。
―― 本作の共演者で仲良くなった方はいらっしゃいますか?
琴美役の小築舞衣さんとは今でも舞台を一緒に観に行ったり、私の舞台に来てくれたりなど、交流があります。
あと、お芝居を作っていく中で、渡辺いっけいさんとは密に芝居作りを一緒に取り組みました。マジックのシーンは、「ああしよう」「こうしよう」とか、二人ですごくやりとりをしてとても新鮮で楽しかったです。
―― 最後にインタビューをご覧の皆様にメッセージをお願いします。
[スチール 撮影: 久保 昌美 / インタビュー: 蒼山 隆之]
プロフィール岡野 真也(Maya Okano) 1993年2月22日生まれ。栃木県出身。 |
映画作品情報
《ストーリー》現在——————————
未来——————————
そして、過去——————————
日常のなかに、一瞬だけ浮かび上がる温かな家族の絆。 |
戸次重幸、萩原みのり、山中崇、遠藤久美子、平山浩行、渡辺いっけい、鶴田真由
池袋シネマ・ロサほか全国順次公開予定!
公式Facebook: www.facebook.com/yurari.movie/