四季折々の美しさがそのまま主人公の茉莉が生きた10年に
—— 現場での小松菜奈さん、坂口健太郎さんはいかがでしたか。
2人とも以前、CMの仕事などで撮ったことがありました。この作品をきっかけに俳優としての印象が変わったわけではないですが、2人が役として近づいていき、印象がどんどん変わっていくのを目の当たりにしたのが面白かったですね。
—— 今村さんが感じている小松さん、坂口さんの魅力を教えてください。
藤井さんとも話したのですが、小松さんはすごくフォトジェニックなんです。カメラを通した映像ですごく映える。しかし、それに騙されてはいけない。奥にもっともっと深い魅力がある。こちらから投げかければ、それに応えてくれるのです。
坂口くんはだいぶ前に 仕事で撮影をしたのですが、そのときはすごく柔らかい青年の印象がありました。しかし今回の撮影を通じて、僕が思っていたよりも強い意志を持っていると感じました。
—— 撮影で苦労したことはありましたか。
実在した方の話で、ご家族もいる。その方々がどういう気持ちでご覧になるのか。そこに対して撮影が始まる前はすごく悩みました。しかし、これまで車がひっくり返るような作品ばかり撮っていたので、いざ撮影が始まると、“こんなに幸せな瞬間を見ている映画は久しぶり”と思い、苦しかった記憶はないですね。
—— 編集ではどんなことを意識されましたか。
四季折々を撮った作品なので、季節に応じてライティングを変えました。編集でもそれに合った色味にしています。
—— 茉莉の部屋の青いカーテンに光が反射して、部屋全体が青っぽくなっていたのが印象的でした。
(青色のカーテンを)美術の宮守由衣さんが用意してくれましたが、あれは効いていますよね。
僕ももともと青っぽい空間の色味が好きなのですが、この作品ではそんなに青っぽい感じではなく、ノーマルな色味にしようと思っていたのです。しかし、茉莉の部屋のあの色味感はすごくいい。それでそのまま使いました。
—— 完成した作品をご覧になっていかがでしたか。
今回のように1年かけて撮影することはほとんどないので、人生においては映画と同じように10年分くらいの感覚があって懐かしさを感じました。
また試写をご覧になった、(茉莉の)お母さん役の原日出子さんから「感動した」と言っていただき、他の方からも「いいね」とか「泣いた」と言われて嬉しかったです。
—— これから作品をご覧になる皆様に一言メッセージをお願いします。
四季折々の美しさがこの作品においてはとても重要でした。それがそのまま主人公の茉莉が生きた10年に見えればと思っているので、そこに注目していただければと思います。
[インタビュー: 堀木 三紀 / スチール撮影: Cinema Art Online UK]
プロフィール
今村 圭佑 (Keisuke Imamura)
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映画『余命10年』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》20歳で難病となり、もう恋はしないと心に決めた余命10年の茉莉(小松菜奈)と、生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人(坂口健太郎)。そんな2人が同窓会で再会したことがきっかけで運命が変わっていく。時間をかけて少しずつ近づいていく距離。そして気持ちが重なった時、そこにはどこにでもいる20代の男女らしく過ごす楽しい日々と、増えていく愛おしい想い出が溢れていた。しかし、2人には残された時間も迫っていた。茉莉と和人が歩む道の先にあるものとは・・・。 |