Netflixオリジナルシリーズ
『全裸監督』主演・山田孝之インタビュー
“絶対にやってよかった”と思える作品になると確信
山田孝之が伝説の男に!《放送禁止のパイオニア》として日本における“エロ”の概念をひっくり返し、伝説のAV女優・黒木香と共にお茶の間にも進出。アメリカでは懲役370年を求刑されるなど数多の逸話を生み出した伝説のアダルトビデオ監督・村西とおるの半生を描いた伝記本「全裸監督 村西とおる伝」にエンタメとしての可能性を見出した動画配信サービス・Netflixがドラマシリーズとして実写化!主演に若手実力派俳優のトップランナーとして君臨する山田孝之を、総監督に『百円の恋』(2014年)の武正晴監督を迎えて製作された『全裸監督』シーズン1(全8話)が8月8日(木)より全世界一斉配信されている。
世界190カ国に配信される本シリーズについて、村西とおる監督役を務めた主演の山田孝之さんにお話を伺った。
—— 今回、村西とおるという破天荒な人物の役を引き受けようと思った決め手は何だったのでしょうか。
本作『全裸監督』の原作本の帯を読んだだけで出演を決めました。「前科7犯、借金50億、懲役370年」の実在の人物ということで、「絶対にこの人は面白いなあ、この人の人生をちょっとでも歩んでみたいな」と思いました。
—— 本作を通じて実際に彼の人生を歩まれてみていかがでしたか。また、どのように演じようと心がけたのでしょうか。
本当に楽しかったですね!メンバーも全員が仲良くて、現場の空気も最高でしたね。
Netflixの方からオファーを受けるまで、僕は村西さんのことを存じ上げなかったのですが、現在もご健在の方なのでクランクイン前にお会いしました。どういう風に言葉を伝える人なのかを観察させていただきましたが、村西さんなりの“スイッチ”があるのだなと感じました。話す相手によって話し方が切り替わる瞬間が見えたのです。もちろん人はみんな家族といる時でしたり、友達といる時、恋人といる時とで話し方はそれぞれ違っています。そのどれもが本物、素の自分であると思いますが、村西さんの場合は、演出する時や監督として表に出る時にババーっと流暢にまくしたてるような“村西とおる監督”というスイッチを入れる人なんだなと感じたので、実際に自分もそのような演技を心がけました。
—— 徐々に村西とおる監督という“怪物”に変貌していくさまがとても印象的でした。
最初にその片鱗が見えるのがセールスの時ですよね。才能が開花する前にも自分なりのスイッチを入れていたけれど、気持ちが乗らないことをしていたから“村西スイッチ”が入りにくかった。しかし実際に物が売れて、人からも求められて、そこに喜びを感じ、自分の存在意義を見出していって、その後エロの世界に入っていった時に、一気に才能が開花したのではないかと。そのほうが人間らしいと思うんですよね。ずっとモンスターみたいな村西とおるだと、観ている人はついてこれないですし、感情移入もできないだろうなと思っていました。
—— 武総監督が「本作は潤沢な予算のおかげでとても素晴らしいセットが組めたこともあり、クリエイティブな現場だった」とおっしゃっていましたが、山田さんもそう感じましたか。
やっぱり予算が多いということは間違いなくできることの幅が広がりますね。美術においてもそうですし、ロケでハワイにもバッと行けますし。スケジュールの面でも余裕があって、全8話ですけど4ヶ月ぐらいかけて撮影しています。そのおかげで「とにかくどんどん毎日撮影して寝る間もない!」といった状況ではなかったので、スタッフもキャストも心に余裕ができて、かなりベストパフォーマンスを発揮できたと思っています。予算面に関しては間違いなく他との大きな違いがありました。結局作品づくりというのは「どこまで自分たちが表現して良いのか」との戦いだと思っています。ただみんな表現したいからそこにいるのに、「予算的に考えて度が過ぎているかも」とみんな思っていたところを、Netflixさんは「いいですよ!やっちゃってください」と言ってもらえた。これは単純に嬉しいですね。
—— 今回はカメラを担いで白ブリーフ一丁という「村西スタイル」で臨まれましたが、本作の役作りで体型に関して心がけたことはありましたか。
肉体改造に関して僕は鈴木亮平くんほど作り込むタイプではないのですが、この体型は絶対に大事だなと思いました。「パンッパン」とした感じや、肌に関しても黒くなるようには心がけ、劇中だけでなく普段からできる限り沢山食べるようにしていました。今回ありがたかったのは、クランクイン期間中も役作りをしっかりできる余裕のあるスケジュールだった点ですね。だから撮影以外の時間もたっぷり食べてトレーニングして日焼けして、ということができました。余裕あるスケジュールというのは間違いなく役者の役作りに影響してくるところです。「予算も時間もあった」ではなくて、「予算があるから時間があった」ですね。
—— 共演されたヒロインの森田望智さんについてお話を聞かせてください。新人とは思えない演技でしたが共演されてどんな印象を受けましたか。
彼女は完全に爆発しましたからね(笑)。彼女の黒木香ぶりを目の当たりにしているので、僕はもはや森田さんを新人女優とは思っていません。ちょっと恐怖を感じているぐらいなので、会った時に気軽に挨拶できないですよ(笑)。 印象に残っているのは、彼女がまだ出番が少ない時もいろんな現場に来ていて、芝居を見ていたことですね。小料理屋の撮影シーンなども、彼女の出番はないシーンですが見学に来ていました。どんな感じで僕が村西として生きているのか、性に対してどう向き合ってやっているのかを学んでいる感じを受けました。ただ、邪魔にならないようになのか、僕が通るとささっといなくなるので、「そんなに気を使わなくてもいいのにな」と思っていましたが、「まだ村西さんと出会っていないタイミングだから山田さんが来た時は避けるようにしていました」と言っていたのが印象的でしたね。
—— オファーを頂いた時、挑戦的な作品内容と感じましたか。
感覚的なものでいうと、『闇金ウシジマくん』の時と似た感覚を持ちました。演じる上で確実に悩むし大変だろうけど、その先に気づいたりするものがあるだろうと。いつか振り返ったときに「絶対にやってよかったと思える作品になる」という確信がありました。
正直、オファーに対する迷いもありました。流石に僕も妻子持ちなので(笑)。でも、これで離婚にはならないだろうと。ただ本当に奥さんと、奥さんのご親族にいよいよ観せられないものをやってしまったなという気はしています。観るのを止めはしないですけど、僕から観せる予定はないですね(笑)。
—— 本作は世界190ヵ国に配信されますが、どんな気持ちが湧いていますか。そして、どんな反響があると思いますか。
ワクワクですね。あとは「英語を勉強せずに世界へ出れたぜ」という気持ちです(笑)。
海外からの反響としては「日本人、振り切ってんな〜。大丈夫かこいつら(笑)」ってなるのではないでしょうか。題材上、賛否両論ある作品だというのは重々承知していますし、僕は全く気にしていません。全員で全力を出して臨みましたので満足しています。本作は民放で放送する必要はないと思っています。民放ならでは、ネットならでは、映画ならではといったように、それぞれの場所に合ったことをやればいいと思っています。
今回、「あなたたち(テレビ局)はこれをやらないですし、できないですよね?でも、我々は面白いと思っていますからやります」と、僕はNetflixの人間ではないので本当のところはわかりませんが、彼らからそう言われている気がしました。
今回の作品づくりは無駄なストレスが確実に少なかったですね。セットも完全に作っているから、どこをどう動いても大丈夫でした。本当に自由にできたという印象ですね。
—— 最後に、武総監督から「続編がもしあったらその際はさらにつきぬけた“山田孝之版”村西とおるを見せてほしいです」とのメッセージいただいておりますが、山田さんからも総監督へメッセージをお願いします。
「さらに一緒に爆発しましょう!」とお伝えください(笑)。
[インタビュー: 蒼山 隆之 / スチール撮影: 坂本 貴光]
プロフィール
山田 孝之 (Takayuki Yamada)1983年10月20日生まれ、鹿児島県出身。A型。 |
Netfilix『全裸監督』予告篇
Netfilix『全裸監督』シーズン2制作決定!!
作品情報
《ストーリー》会社は倒産、妻に浮気され絶望のどん底にいた村西(山田孝之)はアダルトビデオに勝機を見出し仲間のトシ(満島真之介)、川田(玉山鉄二)らとともに殴り込む。 一躍業界の風雲児となるが、商売敵の妨害で絶体絶命の窮地に立たされる村西たち。そこへ。厳格な母の元で本来の自分を押し込めていた女子大生の恵美(森田望智)が現れる。 ふたりの運命的な出会いは、社会の常識を根底からひっくり返していくのだった―。 |
Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』
監督: 河合勇人、内田英治
美術監督: 中西梨花
音楽: 岩崎太整
撮影: 山本英夫
美術: 清水剛
照明: 小野晃
録音: 竹内久史
衣装デザイナー: 小川久美子
Netflixにて全世界独占配信中!
【Netflix作品ページ】https://www.netflix.com/全裸監督