映画『おもてなし』藤井美菜インタビュー

【写真】映画『おもてなし』藤井美菜 インタビュー

映画『おもてなし』藤井美菜インタビュー

相手の視点に立つことが“おもてなし”のスタートだと思っています。

田中麗奈とワン・ポーチエ(王柏傑)がW主演を務め、日本×台湾の合作で製作された映画『おもてなし』。経営難に陥った日本の旅館を舞台に、復活を目指して奮闘する人々の姿を描く。

【写真】映画『おもてなし』メインカット

ワン・ポーチエ演じるジャッキーのかつての恋人・尚子を演じた、国際的に活躍する女優の藤井美菜に話を聞いた。

―― 藤井さんは生まれがカリフォルニアで、近年は韓国でのご活躍など、海外にも活動のフィールドを広げていますが、本作への出演のお話を受けたときの率直な感想をお聞かせください。

韓国では6年前から活動させていただいています。台湾の方とご一緒するのは今回が初めてでしたが、実際にこの役をやらせてもらうにあたって、最初に監督との面接を受けさせてもらいました。

企画内容やあらすじを伺ったときに、私も韓国で活動してきて、日本ではすんなり伝わるものがなかなか伝わらないといった文化的な葛藤をいっぱい経験してきましたので、日本の良さをじっくり描く作品って本当に素晴らしいなと感じましたし、この作品は台湾だったり、いろんな国の良さが詰まった映画だと思うので、この企画自体に参加できることにすごく喜びを感じました。

【写真】藤井美菜インタビュー

―― 藤井さんが演じた尚子は、笑顔も見せつつも、切ない表情をされるシーンが多かったと思います。台本を読んで彼女にどんな想いを抱きましたでしょうか?また、演じるにあたって監督からは特別な要求などはありましたか?

台本を読んだとき、青木さん(青木崇高)が演じる婚約者の意見に対して、自分も意見があるのに言えなかったりとか、そういうシーンがあったので、気が弱い女性なのかなと思いました。

けれど、ジャッキーという男性とアメリカで出会って海外で生活し、恋愛までしているという過去もあったので、本当は芯がある女性なのかなとも感じました。監督からも、そういう部分が尚子にもあるはずだっていうことだったので、何か内に秘めた芯の強さを持たせつつ役作りしたように思います。

【写真】映画『おもてなし』場面カット

―― 元恋人という役でしたが、主演のワン・ポーチエさんとの共演はいかがでしたか?

「今彼」と「元彼」が一緒に存在しているシーンがありましたけど、関係性が違うのが私としては面白くて。ワン・ポーチエさん演じるジャッキーの前では尚子が主導権を握っているというか、男女の関係としてはジャッキーは優柔不断だったり、男性として弱かったんだなと。だけど青木さん演じる彼氏の前では、伝えたいことが伝えられないといったジレンマを抱えてる女性として演じていて、相手によって一人の女性も接し方が違うんだなというのがわかりました。

【写真】映画『おもてなし』場面カット (尚子/藤井美菜)

ジャッキーとの関係性においては、年齢的には一緒ぐらいで、主導権握っちゃっている関係だったのかなと。後半、尚子がジャッキーに対して「相手の気持ちに立ってみないとね」というセリフがあったんですけど、あそこはグッとくるセリフでした。ジャッキーの前では概ねしっかりしているのに、旦那の前では強く言えないんだなあという(笑)。

【写真】藤井美菜インタビュー

―― 映像には京都や琵琶湖畔を中心とした関西の魅力が詰まっていましたね。ジャッキーと尚子の二人が湖畔を背景に撮影されているシーンが日本の美を象徴している感じで、息を呑むほど美しかったです。藤井さんが個人的に印象に残っているシーンはありますか?

関西の魅力が入っているシーンとしては、香川さん(香川京子演じる清水先生)の旅館から帰る道のシーンです。その写真が台湾版のポスターにも使われていますが、三人で雪の降る街を帰るシーンで、私はそのシーンにはいませんが、京都の美しさが描かれているので、それを象徴する美しさだなあと思いました。

滋賀と京都との両方でのロケに参加したのですが、紅葉が一番綺麗な京都の街を個人的に観光して回ったりして、この映画の撮影を通じて、京都の美しさを再確認させていただいたように思います。尚子という女性自身も京都に住んでいるからか、ちゃんと京都の街における古き良きものの良さというものがちゃんとわかっている女性ということで、私自身も見習いたいなと思いました。だからこそあの旅館での和式での結婚式を選んだのだろうなあと思います。

【写真】映画『おもてなし』場面カット

―― 映画タイトルでもある “おもてなし” が大きなテーマとなっていますが、藤井さんがこの映画を通じて感じた“おもてなし”についてお聞かせください。

この映画も考えさせるという感じで、はっきりと「おもてなしとはこうだ」と言わないのが魅力かなと思います。おもてなしについて本当に考えさせられましたし、私も韓国で活動する中で日本の友達が来て韓国を案内することもあればその逆もありで、そういう機会が近年になって増えました。その中でおもてなし、案内することで大切なのは「相手の視点に立つ」。そういうことなのかなと思いました。それを本作では台湾の方がそういう日本のおもてなしの気持ちを汲んで受け継いでいくというのが素敵だなと思いました。

【写真】藤井美菜インタビュー

―― 相手の国の言葉で挨拶をしたり、意思疎通を図れるということを相手としてはとても喜ぶでしょうし、最高のおもてなしだと感じる方も少なくないと思います。藤井さんは本作で英語を話されていましたが、韓国語も堪能と伺っております。複数の言語を習得する秘訣などはありますか?

まず、興味を持つことがやっぱり大事なんだと思います。韓国語を始めたきっかけというのが私の場合、韓国ドラマなどのエンターテイメントなので。そこがらぐーっと興味を持って、第二外国語で勉強し始めて、興味を持ち続けるとそれが苦じゃないのです。結局語学って絶対的に長期戦になりますし、すぐには習得できるものではないので、興味をずっと持ち続けることが一番の優先事項ですね。

本作は一昨年の秋に撮影しましたけど、台湾の方と初めてご一緒させていただいた中で、中国語はまだ難しいにしても、自由自在に話せるようになればいいなと思っています。今も英語の勉強は続けてますし、興味を途切らせないことが大事なのかなと思います。私の場合はエンタメが多かったですが、「この人と話したい」とか人への興味でしたり、いろんな形の興味の持ち方で、語学への興味を持てたらいいのかなと思います。

【写真】映画『おもてなし』場面カット

―― 藤井さんのように海外でも活躍されている日本人は増えてはきているものの、まだまだ少ないように感じています。特に女優さんは少ないと思いますが、国内外で活躍している表現者の一人として(異国間・異文化交流において)藤井さんが一番大切にしたいものは何でしょうか?

私は「郷に入っては郷に従え」と思っているんです。私は日本で数年に渡って活動してから韓国に渡っているので、撮影のやり方やお仕事の仕方を把握した上で向こうに渡っているのですが、それが全然通用しなかったんですね。ですので、ヘアメイクさんやスタイリストさんに関しても向こうのやり方に任せると。その気持ちから始めた方が向こうも受け入れやすかったりしますし、日本式ですと間口が広くないですから、一番初めは「向こうに合わせてみよう」ぐらいの大きな気持ちで接するのが一番いいのかなと思いました。

【写真】藤井美菜インタビュー

―― この映画を演じる前と演じきった後で、ご自身の中で変化したもの、芽生えたことなどありましたら教えてください。

台湾の方が本当に温かくて、この映画が好きだという気持ちも相まって、今後台湾に関われたらいいなと思います。韓国での活動も中華圏の方に観ていただける機会は多いです。自分の目標も沢山できましたので、今後も国のボーダーを越えて活動していけたらいいなと思っています。

―― 最後に、シネマアートオンラインの読者の皆様へメッセージをお願いいたします。

[スチール撮影: 平本 直人 / インタビュー: 蒼山 隆之]
[ムービー撮影&編集: Cinema Art Online UK]

プロフィール

藤井 美菜 (Mina Fujii)

2006年『シムソンズ』で映画デビュー。その後、2007年にフジテレビドラマ「ヤングシナリオ大賞・ブロッコリー」で主演を務める 。

映画では『武士の家計簿』(2010年)、『女子―ズ』(2014年)、『デスノート Light up the NEW world』(2016年)、映画『しゃぼん玉』(2017年)、ドラマでは「ブラッディ・マンデイ」(2008年/TBS)、「ママとパパが生きる理由。」(2014年/TBS)、「実況される男」(2016年/フジテレビ)など数多くの作品に起用され、CM、PVなど多方面で活躍。2012年より語学力を生かし、韓国でも活動を開始。「ソウルドラマアワード 2016」ではアジアンスター賞を受賞している。

2018年、キム・ギドク監督の最新映画『人間の時間』(3月20日公開予定)で主演を務め、第68回ベルリン国際映画祭 パノラマ・スペシャル部門でプレミア上映された。韓国を主に、アジアや世界で活躍している国際派女優。

【写真】藤井美菜

映画『おもてなし』予告篇

映画作品情報

《ストーリー》

老舗旅館の再生を目指す人たちの”おもてなし”の旅

琵琶湖畔にある老舗旅館「明月館」が実家の梨花(田中麗奈)は5年前に父を亡くし、旅館を一人で切り盛りし続けている母・美津子(余貴美子)を支えるため、仕事を辞めて実家に戻ってくる。経営不振の中、美津子の大学時代の恋人であり台湾実業家のチャールズ(ヤン・リエ)が旅館を買収して、息子・ジャッキー(ワン・ポーチエ)を再建のために送り込んだ。しかし「おもてなし」の心を持っていないジャッキーに対して梨花は反発し衝突する。そんなジャッキーには、来日への密かな目的があった。それは、かつての恋人・尚子(藤井美菜)とやり直すこと。尚子に婚約者がいることを知ったジャッキーは諦めきれない想いを抱えながらも、尚子の結婚式が開けるように「明月館」を改装して、最後のプレゼントをしようと思いつく。同じく梨花も、不倫していたかつての上司に別れを告げ、人生の再スタートをはかろうとしていた。「おもてなし教室」を主催している木村先生(木村多江)との講義を経て、“日本のおもてなしの心”を学び始めたジャッキーだったが、ビジネスパートナーの黄が「明月館」を売却する手続きをしていることが発覚する。そんな中、ガンのために余命宣告を受けていたチャールが倒れ・・・

 
出演: 田中麗奈、ワン・ポーチエ
余 貴美子、 ヤン・リエ、ヤオ・チュエンヤオ、藤井美菜、ルー・シュエフォン、マイケル・タオ、青木崇高、眞島秀和、木村多江、香川京子
 
監督・撮影・編集: ジェイ・チャン
脚本: ジェイ・チャン、砂田麻美
音楽: 大橋好規
配給: 松竹撮影所、ニチホランド
配給協力: 太秦
宣伝協力: MUSA
製作: 天大影業股份、松竹撮影所 、Supported by Hong Kong – Asia Film Financing Forum
 
2017年 / 日本・台湾合作 / 日本語・中国語・英語 / 96分 / DCP / カラー / シネマスコープ / 5.1ch
 
© 2017 SHOCHIKU STUDIO CO.,LTD. and EPIC ENTERTAINMENT CO., LTD.
 
2018年3月3日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次公開!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @omotenashi_mv

この記事の著者

蒼山 隆之アーティスト/インタビュア/ライター

映画俳優や監督のインタビュー、映画イベントのレポートを主に担当。
東京都内近郊エリアであれば、何処にでも自転車で赴く(電車や車は滅多に利用しない)スプリンター。

そのフットワークを活かし、忙しい中でもここぞという時は取材現場に駆けつけ、その時しかないイベントを現地から発信したり、映画人の作品へ対する想いを発信するお手伝いをしている。

また、自身も表現者として精力的に活動を展開。

マグマ、波、雷など、自然現象から受けたインスピレーションをブルーペイントを用いたアートで表現する「Blue Painter」として、数々の絵画作品を制作。銀座、青山、赤坂などで開催する個展を通じて発表している。

俳優の他、映画プロデューサーやインテリアデザイナーと幅広い顔を持つブラッド・ピットをこよなく尊敬している。

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