アニメーション映画『音楽』
ヒロイン・亜矢役 駒井蓮インタビュー
監督や共演者と試行錯誤!
声優として、前代未聞の手描きアニメーションに挑む!!
1月11日(土)ついに公開されたアニメーション映画『音楽』は、漫画家・大橋裕之による同名の漫画を原作に、岩井澤健治監督が約7年超の制作期間を費やし、作画枚数40,000枚超を全て手描きで作り上げた前代未聞の長編アニメーションプロジェクトだ。
アニメーション化にあたって、実写の動きをトレースして絵に起こす“ロトスコープ”という手法を採用、シンプルな描線で描かれる登場人物たちの動作にリアルさを与えている。
声優には、楽器未経験ながら思いつきでバンド「古武術」を組む不良高校生・研二役に坂本慎太郎、研二の同級生でガールフレンドの亜矢役に駒井蓮、「古武術」のメンバー太田と朝倉役に前野朋哉と芹澤興人、「古武術」をフェスに誘う「古美術」のメンバー・森田役に平岩紙、そして研二をライバル視する他校の不良・大場役に竹中直人という豪華メンバーをキャスティング。
本作が声優初挑戦となる、ヒロイン・亜矢の声を演じた駒井蓮に、作品の見どころやアフレコ現場の様子、そしてチャレンジの年だった2019年を振り返り、今後の展望を聞いた。
声優への初挑戦…共演者たちと手探りで挑んだアフレコ
声優初挑戦にして、映画『音楽』のヒロイン・亜矢役をオーディションで射止めた駒井。原作を読み、亜矢はスカートの裾がくるぶしまである制服にパーマヘアというヤンキーっぽい外見をしていることから、スケバンのようなイメージで役作りをしていったという。
しかし、オーディションの場で、岩井澤監督に「こういう見た目だけど、可愛らしいところもあるイメージ」と説明を受け、駒井は「男性陣の中の紅一点として、“青春”要素を担う存在」として亜矢というキャラクターを作り上げた。アフレコは2019年の3月頃行われ、研二役の坂本慎太郎、太田役の前野朋哉、朝倉役の芹澤興人と4人で挑んだという。
「みんな声優が初めてだったので、これでいいんだよね、とみんなで確認しながら、探り探りやっていました。準備はしていったのですが、実際に声を入れてみると、映像を見なくてはいけないし、掛け合いもあるし…相手の表情が見えないというのもあって、声でしか伝えられないというのは難しい、と思いました」と、試行錯誤した収録を振り返る。
亜矢と一番掛け合いのある研二を演じたのは、ロックバンド・ゆらゆら帝国を経て現在はソロミュージシャンとして活動する坂本慎太郎だ。「坂本さんは映像を見ながら秒数とかを台本に書き込んでいて、なるほど、こういうやり方があったのかとお手本にさせてもらいました。坂本さんは独特の雰囲気というか、タイミングや話し方が面白い!」と印象を語る。
駒井の一番好きだというシーンも、坂本の“間”の演技が光るシーンを挙げる。
「研二が太田と朝倉をバンドに誘う場面で、会話の中に長い“間”があるんですが、一瞬バグったんじゃないかと思ってしまうような長さで、アフレコでも試写でもみんな笑っていました。絶妙なタイミングで、坂本さんの声のニュアンスと相俟ってすごく良いんです!今回、監督の演出や声優のみなさんもそうなんですが、会話や掛け合いの“間”が面白いんですよね。監督の作り出す“間”が素晴らしいと思います」
人の声となじみやすい、手描きのアニメーションの温度感
駒井は完成した作品を観たときの感想を「アフレコの時から面白くて、絵も監督の演出も、素敵だなと思っていたのですが、試写で曲や他の方の声も入った状態で観て感動して、思わず監督とプロデューサーのもとに走っていって、「本当に面白かったです」と伝えました。曲もいいし、映像もいいし、興奮しました」と、熱く話す。
本作は“ロトスコープ”という、まず実写映像で撮影し、映像の中の人物などの動きを手書きでトレースして絵を起こすという手法を取っている。自身もイラストなどを描くという駒井は「全部手書きだと温度感が違うなと思いました。アニメーションも好きで観ますが、CGの良さもあるしPCで描く良さもありますが、手描きの温もりには勝てないものがあるな、と。人の声と一緒に動くものなので、より声がなじみやすいと感じました。映像を撮ってからそれに合わせて描くという手法も、人間の生のリアルな動きと絵でしか出せない味わいのミックスで、いいとこ取りだなと思います」と絶賛。「ミュージカルとか映画とか、音楽を描いた作品はたくさんあったと思うんですが、いままでに見たことのない音楽の存在感、そして手描きで描き出される監督から見た“音楽”にワクワクしました」と語った。
研二たちとも通じる、高校生の時に感じた焦燥感
映画『音楽』で、研二たちは興味のあることが見つからず、エネルギーを持て余して特に楽しいとも思えない喧嘩に明け暮れる日々を過ごしている。そんなとき、偶然奏でたベースの音に衝撃を受け、仲間とともに音楽に魅了されていく姿が描かれる。中学生の頃から芸能の仕事を続けている駒井だが、学生時代は研二たちのような悩みを持ったことはあったのだろうか。
「大学に進学するとき、将来について考えて悩んだことがありました。何をしたらいいんだろう、今自分には学生生活以外に人間として何があるんだろう…と。高校生くらいの年代には、みんな一度はそうしたに焦燥感にかられることがあるのではないかと思います。実際大学生になって感じたのは、高校生って守られていたんだなということです。大学生は全部ひとりで何事も自己責任だけど、高校では先生がああしろ、こうしろ、単位が足りてないとか、声をかけて面倒を見てくれていた。言ってくれる人の存在ってありがたかったんだなと改めて思います。一人になると、自由という良さもあるけれど、自由になりすぎてやらなきゃいけないことをやらなくなくても怒られないという緩さもあって、どんな環境でもプラスマイナスの両面があるな、と思います」
様々な経験で得た気付きが演技の糧に…もっとたくさんの人と出会い、学んでいきたい!
2019年は、春に高校を卒業して大学に進学、『音楽』で声優への挑戦のほか、夏には舞台『奇子(あやこ)』で舞台にも初挑戦。2019年はいろいろな経験を積んだことで、演技にも新たな気づきなどがあったという。
「2019年は夏と秋、2本の舞台に立たせていただきました。映像のお仕事とはまた全然違って、舞台は生でお客さんに対峙しながら演じるので、編集できないという緊張感がありながらも、お客さんと同じ空気を共有する楽しみも感じられました。ドラマや映画は毎日違うシーンを撮りますが、舞台は稽古と本番併せて約2カ月、同じ台本を繰り返します。同じ本をこれだけ長い時間突き詰められるのも初めての経験で、新鮮でした。音楽のアフレコは3月、舞台をやる前に行われたのですが、音に関する注意点、この話し方は聴き取りにくいなとか、高い音を出し過ぎると耳ざわりが悪いなとか、声の出し方を意識するようになりました。映像は調節してもらうこともできますが、舞台は生の声がお客さんに直接届いてしまうので、声の芝居の経験がヒントになりました」
2020年夏には、河瀨直美監督の最新映画『朝が来る』の公開が控える。
「一か月くらい、撮影で使う家に、映画で家族を演じる役者の方たちと一緒に住みました。最初は役者の先輩と住むということで気を使って過ごしていたのですが、時間が経つにつれ、だんだん慣れて気を張らなくなってきて、家族のように何の気兼ねもなく過ごせるようになってくるんです。私も、もし自分が役として生活しながら撮影をしたらどうなるんだろうと思ったことがあるので、面白い体験でした。役作りやお芝居など、今までもやり方を固定しないで、監督や座組に合わせてなんでもためすというふうにやってきたのですが、今年はさらにいろいろな方とお会いして、いろんな方法を学びたいなと思います。舞台など、新しい挑戦で得たものはすごく大きく、またチャレンジしてみたいなとも思っています」
チャレンジの一年だった2019年を経て、2020年、“役者・駒井蓮”からますます目が離せない!
映画『音楽』の見どころと、これから映画を観る方へのメッセージ
最後に、駒井蓮さんから映画『音楽』をこれから観る皆さんへ向けてムービーメッセージをいただきました。
[ヘアメイク: mahiro / スタイリスト: 津野真吾(impiger) ]
[衣装協力: ADELLY、OSEWAYA / 撮影協力: 下北沢anthrop]
プロフィール
駒井 蓮 (Ren Komai)2000年生まれ。青森県出身。2014年より、芸能活動開始。2015年~2017年は「二コラ」専属モデルとして活動し、CMなどにも多数出演。映画やTVドラマなどにも活動の場を広げ、女優としての主な出演作品はドラマ「キャリア~掟破り野警察署長~」(2016年)、映画『セーラー服と機関銃―卒業―』(2016年)、映画『名前』(2018年)など。2020年は河瀨直美監督の映画『朝が来る』が公開待機。 |
フォトギャラリー📷✨
Photo by Masami Kubo
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アニメ―ション映画『音楽』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》不良高校生・研二は、友人の太田と朝倉とともに、喧嘩に明け暮れる日々を過ごしている。喧嘩自体は得意ではあるが、特に楽しいとも思えない。そんなとき、偶然奏でたベースの音色にに衝撃を受け、太田と朝倉に声をかける。 「バンド、やらねえか」 楽器未経験ながらも音楽に魅了された研二たちは、バンドを「古武術」と命名。しかし、同じ学校に「古美術」というバンドが存在すると聞き、「古美術」のもとを訪れる。お互いの音楽を披露しあうと、「古美術」のメンバー・森田は「古武術」の音楽に感動、近々行われる音楽フェスに参加しないかと声をかける。 |
出演: 坂本慎太郎、駒井蓮、前野朋哉、芹澤興人、平岩紙、竹中直人、岡村靖幸
原作: 大橋裕之「音楽 完全版」(カンゼン)
アソシエイトプロデューサー: 迫田明宏
協力プロデューサー: 九龍ジョー
プロジェクトマネージャー: 中島弘道
撮影・編集: 名嘉真法久
音響監督:山本タカアキ
音楽: 伴瀬朝彦、GRANDFUNK、澤部渡(スカート)
ロトスコープミュージシャン: Gellers、ホライズン山下宅配便、澤部渡(スカート)、安藤暁彦
劇中曲: GALAXIEDEAD、井手健介、野田薫、オシリペンペンズ
主題歌: ドレスコーズ「ピーター・アイヴァース」(キングレコード/EVIL LINE RECORDS)
製作: ロックンロール・マウンテン、Tip Top
配給: ロックンロール・マウンテン
配給協力: アーク・フィルムズ
新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開!