ユン・ソクホ監督&真田麻垂美インタビュー
会話の間(ま)は二人の強い思い
ユン・ソクホ監督初の日本映画は大人の初恋
ドラマ『冬のソナタ』を初めとする大ヒットメーカー、ユン・ソクホ監督による劇場映画デビュー作品『心に吹く風』が6月17日(土)より公開となった。
本作は、日本人のスタッフ、キャストで製作され、北海道の大自然を舞台に全編日本語で描いた、大人の初恋ラブストーリーである。
シネマアートオンラインでは、公開直前に来日したユン・ソクホ監督、主演の真田麻垂美さんに独占インタビューし、公開前の心境や本作の魅力を伺った。その模様をお届けします。
―― 映画公開を間もなくむかえるお気持ちをきかせてください。
ユン監督: 日本という場所で、はじめて日本のスタッフと行った撮影は、とても楽しかったです。
しかし、映画が公開されて、嬉しい気持ちやわくわくしたトキメキと同時に、少し不安や緊張もあります(笑)。
―― 真田さんは16年ぶりの映画出演だったそうですね。撮影を終えた感想をお願いします。
真田: 全く久しぶりという感覚がありませんでした。
撮影前に半年の準備期間があって、監督やスタッフともコミュニケーションがしっかりとれていたので、撮影時にはすんなりと役に入ることができました。
―― 監督からキャストのみなさんへ、どのような役作りのアドバイスをされましたか?
ユン監督: 撮影に入る前に本読みを何度かし、その時に台詞や各キャラクターの持つ感情表現といったものを、コミュニケーションをとりながら決めていきました。
スタッフ皆がある程度わかりあえている状態で撮影に入ったので、現場で特別アドバイスをするということはなかったです。
―― リョウスケと春香の会話の、間(ま)が印象的でした。
真田: 春香は、高校生の時は本当にのびのびと生きていた少女です。家庭の事情や、環境によって自分の思いにふたをして生きてこなければならなかった彼女が、どういう風に希望を持って日常を過ごしているのかを役を作る上で深く掘り下げていきました。
自分との共通点を考える中で、監督からのアドバイスもあって、普段から私はゆっくり話す方なのですが、(春香として)相手と話す時に、さらにもうワンテンポ遅らせて話すようにしました。
リョウスケと春香は久しぶりに会って、心の中はすごく燃えています。相手のことを思いすぎていると、言葉はポンポン出てくるものではないと思うんです。
その心の動きをお互い大切にしているからこそ、ああいった間が生まれたのだと思います。
―― 本作は“初恋”がテーマであると同時に“自然”と“人間”の姿も丁寧に描かれていますね。特に好きなシーンはどこですか?
ユン監督: 倉庫での雨宿りのシーンです。建物の外装パネルと雨粒を使って、過去と現在との出会いを描いています。これは、自然世界だけでなく、リョウスケと春香という二人のキャラクター、人間の過去と現在でもあるんです。
このシーンは、自然と人間との繋がりがとても上手く表現できていると思うので、好きです。
「偶然」もこの映画の大きなテーマです。このシーンで、思いがけずリョウスケが言ったことも偶然性をよく表していると思います。
真田: 風と光りに関するシーンです。今まではある程度距離を保っていた(リョウスケと春香の)二人が、初めて時を経て近づく瞬間です。
日差しが暖かく、吹いている風も二人を包んでいて、音楽も素晴らしいです。映画を観たらみなさん、あのシーンでふわぁと感じるものがあるんじゃないかなと思います。
―― 映画の随所に散りばめられた言葉や映像、徐々に合致し腑に落ちていきました。最初から全て決めて撮影されたのでしょうか?
ユン監督: この映画は「偶然」に関するものです。私自身のスタイルとしても柔軟な考え方、即興性というのを大切にしています。
最初から全てを決めて、計画通りにというわけではありません。台本はありますし、おおまかな流れや考え方は決まっているのですが、編集の段階でも柔軟にかえていきました。
例えば、(リョウスケと春香)二人の高校時代の回想シーンは本編の撮影に入る前に撮り終えていましたが、二人ならきっとこんなデートをしただろうなというイメージを持って撮影に臨みました。この映像は編集の時にどこに入れるかいろいろ試行錯誤しました。
[スチール撮影: 坂本 貴光 / 編集: Cinema Art Online UK]
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プロフィール
ユン・ソクホ監督 (윤석호)1957年6月4日生まれ。韓国・ソウル特別市出身。 |
真田 麻垂美 (Masumi Sanada)1977年8月1日生まれ。神奈川県出身。 |
映画作品情報
ドラマ『冬のソナタ』ユン・ソクホ監督初の劇場用映画 《ストーリー》友人の住む北海道・富良野の郊外を訪れ、作品作りのための撮影を続けていたビデオアーティストのリョウスケ。乗っていた車が故障し、電話を借りるために立ち寄った家でドアを開けたのは、高校時代の恋人・春香だった。 23年ぶりに再会した彼女に家族がいることを知りつつも、撮影へと連れ出すリョウスケ。彼のお気に入りの小屋の中で雨宿りをしながら話すうちに高校時代の気持ちを思い出していく春香。静かな時間の中でふたりの距離は縮まっていく。 翌々日には北海道を離れなければならないリョウスケは、もう1日だけ一緒に過ごしたいと春香に頼むが……。 |
音楽: イ・ジス
製作: 松竹ブロードキャスティング
日本 / 2017年 / ビスタ / 107分 / 5.1ch
2017年6月17日(土)
新宿武蔵野館他全国順次ロードショー!
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