
映画『ハオト』真関智世役 倉野尾成美 インタビュー
AKB48総監督として挑んだ新たな役柄
「視野を広げて演じることができた」
太平洋戦争末期の特殊な精神病院を舞台に、そこに収容された純粋な患者たちを通じて、施設の外の戦争の狂気を問いかける映画『ハオト』が、戦後80周年を迎える2025年夏に公開。本作は、2005年に初演され絶賛を博した同名の創作舞台を満を持して映画化したもので、シリアスなテーマの中にユーモアやサスペンス、ファンタジー要素を織り交ぜたヒューマニズム作品だ。
今回インタビューを行なったのは、患者たちを献身的に支える看護師、真関智世役を演じた倉野尾成美。2024年3月にAKB48グループの4代目総監督に就任し、グループを牽引する一方、近年では映画やドラマにも精力的に出演しており、俳優としても目覚ましい活躍を見せている。
前作『いちばん逢いたいひと』(2023年)に続き、丈監督作品への出演となった経緯や、AKB48のメンバーとして多忙を極める中での撮影エピソード、そして6月までAKB48のメンバーであった共演の村山彩希への想いまで、真っ直ぐな言葉で語ってもらった。
真関ちゃんはまるで少し前の私みたいな役
―― まずは、映画『ハオト』へのご出演が決まった経緯と、その時のお気持ちを教えてください。
今作への出演は、丈監督の前作『いちばん逢いたいひと』で主演を務めさせていただいたご縁から実現しました。その際「次回作にもぜひ出演してほしい」とお声がけいただいていたんです。今作については、「なるにぴったりの役があるよ」と監督からお聞きしていたので、「どんな役だろう?」と気になっていましたし、嬉しかったのですが、いざ蓋を開けてみたら錚々たる俳優さん方の中でお芝居をすることになって、すごくびっくりしました。
―― 今回演じられた真関智世という役柄には、どのような印象を持ちましたか?
私が演じた真関ちゃんは、とにかくがむしゃらに何でも突っ走って頑張るタイプ。一生懸命な女の子だなと思ったので、そういう意味では自分と通ずる部分もあるなと感じました。監督が「なるにぴったり」とおっしゃっていたのが、なんとなく分かるくらい、共通点の多い役だったと思います。ただ、真関ちゃんは100%でやり過ぎてしまっているところがまだ若いなというか(笑)。今の私はもう少し考えて動けるようになったので、ひと昔前の自分を見ているような感覚でした。
―― 役作りで特に意識されたことはありますか?
今回、尊敬する上司である婦長役を高島礼子さんが演じていらっしゃいましたが、真関ちゃんはその婦長に憧れているんだろうなと台本を読んで感じました。なので、少し婦長の真似をしてみたりもしました。それから、婦長は淡々としていてすごくかっこいいので、私は逆にオドオドしている方が対比になるかなと考えました。全力を出しているけど、どこかオドオドして、てんやわんやしている雰囲気も出しつつ、締めるところはしっかり務めたいという気持ちで頑張りました。あとは、恋心も描かれていたので、その部分も大切に演じたいなと思いました。
大先輩との共演から得た学びと、心温まる撮影現場
―― 主演を務められた前作とはまた違う、大先輩に囲まれた現場はいかがでしたか?
高島礼子さんとは前作では親子の役だったのですが、今回は上司と部下という関係でした。高島さんが現場にいらっしゃると、場の雰囲気が全然変わるんです。本当に現場が締まるようなオーラがあって、今回も正に“婦長”という感じで、周りをよく見て、声をかけてくださっていました。
―― 他に印象的だった共演者の方はいらっしゃいますか?
皆さん本当にお優しい方ばかりでした。特に、木之元亮さんは、一見少し厳しい方なのかな?という印象でしたが、すごく優しくて、いつも笑顔でした。現場では、木之元さんが演じるもう一つの役(鈴木)のシーンで、息を切らしながら全力で演じている姿が印象的で、テンションの高いその演技に、勝手ながら遠くからほっこり癒されていました(笑)。
それから、ちょうど撮影期間中に、AKB48の仕事でダンスを覚えないといけなくて。空き時間にダンスの振りを練習していたら、長谷川朝晴さんが「大変だね」「頑張ってるね、すごいね」と声をかけてくださったのが印象に残っています。
AKB48を超えて続く絆
倉野尾成美、村山彩希への感謝を語る
―― 村山彩希さん(2025年6月にAKB48を卒業、撮影時は同じくAKB48のメンバー)との共演はいかがでしたか?
彩希ちゃんとは、がっつり二人で一緒になるシーンはあまりなかったのですが、私より少し先に現場に入っていて、もうすっかりその場の雰囲気に馴染んでいたので「さすがだな」と思いました。患者役として、独特な雰囲気というか、少し変わった女の子を演じていたのですが、その感じがすごく役に合っていて素敵だなと思いながら見ていました。シーンでは絡みが少なかったですが、お互い頑張ろうって声がけしながら支え合っていました。
―― 村山彩希さんへ今伝えたいメッセージをお願いします。
今日は久しぶりに会えて嬉しかったです。AKB48時代は彩希ちゃんと一緒に活動する時間が長かったので、たくさん学ばせてもらいました。感謝でいっぱいです。「気軽に頼ってね、力になりたい」っていつも言ってくれてすごく嬉しかったのですが、私もどこか遠慮してしまっていた部分がありました。卒業された今だからこそ、逆に少し甘えてみたいなと思いましたし、相談できる間柄でいられたら嬉しいです。
―― 村山さんからはまさに「(倉野尾さんは)甘えるのが上手じゃないから、卒業した今だからこそ頼ってほしい」というメッセージがありました。
>>村山彩希さんのインタビュー記事はこちら
テレビの向こう側に憧れていた昔と
倉野尾成美のこれからの挑戦
―― ご自身にとって映画の存在とはどのようなものでしょうか?
映画館で観る映画がすごく大好きです。携帯なども触らずに2時間集中して観れる、映画館の空間自体が好きです。一人でも観に行きますね。私は昔からテレビっ子で、特にテレビドラマが好きでした。AKB48に加入する前は、毎日何かのドラマを見ているような学生時代でした。すごく憧れがあって、お芝居をしてみたいというよりは観ることが好きだったのですが、もしチャンスがあれば挑戦したいとは思っていました。こうやって憧れの舞台に立たせていただいているので、今後も機会をいただけるのであれば頑張りたいと思っています。
―― 今後、女優として挑戦してみたい役柄はありますか?
今まで生徒役が多かったので、そのうち先生側の年齢になるんだろうなと考えると、教師役には憧れます。もし教師役を演じるなら、優しい感じよりもビシバシ指導する役に挑戦してみたいかも(笑)。でも、もちろんどんな役でも挑戦してみたいです。
―― 2024年にAKB48グループ総監督に就任されて、ご自身の中で変化はありましたか?
やはり視野が広がったなと感じる瞬間はたくさんあります。あとは「言葉をまとめる力」ですね。まだまだ上手ではないですけれど、グループを代表して簡潔に物事を伝えないといけない場面が多いので、その点は少しずつ成長しているのかなと思います。
―― AKB48のメンバーの中で、演技面で期待しているメンバーはいますか?
演技が上手いメンバーはもちろんたくさんいるのですが、去年AKB48がドラマ「星屑テレパス」(テレビ東京)に出演していたのですが、主演をしていた伊藤百花ちゃんは、元々お芝居の経験があるので、今後さらに楽しみにしてます。
倉野尾成美さんからメッセージ
インタビューの最後に、倉野尾さんから読者の皆さんへメッセージをいただいた。
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プロフィール
倉野尾 成美 (Narumi Kuranoo)2000年11月8日生まれ。熊本県出身。 2014年からAKB48チーム8の熊本県代表メンバーとして活動。2017年、映画『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』で映画初出演。2024年よりAKB48グループ4代目総監督となる。2023年に、主演作『いちばん逢いたいひと』及び『ガールズドライブ』が公開された。 |
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映画『ハオト』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》初夏のある日、警察署に90歳を超えた一人の老人が甥っ子の刑事宛に訪れ、「人を殺した」と告白。老人は、太平洋戦争末期の特殊施設の話を始める。 そこは、原爆開発を手掛ける博士や戦況を100%予知する男がいる、特殊機密施設。 海軍の将校・蓬が、ハワイ生まれの日系人である米国の諜報員・津田を二重スパイとして雇い、施設に連れてくる。蓬は、ソ連に仲介してもらい、和平交渉を進めようと、日系ソ連人のソ連大使と陸軍将校の森本を施設に招こうと画策。方や米国は、津田の存在を怪しみ、同じく日系ハワイ人の田中を送り込む。 蓬の親友である水越は、何を思って軍を辞めたのか。 藍が未来に放つ白い伝書鳩は、はたして何を伝えるのか。 |
ガンエフェクト: 栩野幸知
アシスタントプロデューサー: ⼤原誠弍