「なら国際映画祭 for Youth 2021」が3日間の会期を終え閉幕
「なら国際映画祭を1,000年続く映画祭にしていきたい」
ユース代表2名、琉球舞踊家・宮城茂雄、河瀨直美がクロージングセレモニーに登壇!
NPO法人なら国際映画祭が“芸術の力で次世代を担う子どもたちの応援プロジェクト”として、9月18日(土)~20日(祝・月)の3日間で「なら国際映画祭 for Youth 2021」を開催!
今年、「なら国際映画祭 for Youth 2021」と新たな名称に生まれ変わり、会期中は次世代を担うこどもたちの才能を発掘するための3つのプログラム「ユース映画制作ワークショップ」「ユース映画審査員」「ユースシネマインターン」が行われた。
1,000年先も続く映画祭に?
“本物”に触れ、“経験”というギフトをもらったユースたち
映画祭の最終日となる9月20日(月・祝)、東大寺 総合文化センター 金鐘ホールでクロージングセレモニーを開催。映画祭の初日9月18 日(土)に春日大社で行われた“祈”のレッドカーペットの司会を務めたユースの古見成生と瀬戸紫英、琉球舞踊家・宮城茂雄氏、そして、映画祭エグゼクティブディレクターの河瀨直美が登壇し、それぞれの立場から「なら国際映画祭 for Youth 2021」を振り返った。
ユースの古見は、なら国際映画祭に参加して得たことについて尋ねられると、「“経験”というギフトをもらった。経験は自分がするものではあるが、自分1人ではできない。なら国際映画祭を開催してくれる人達がいるからだと実感した」とコメント。
対して、ユースの瀬戸は、「プロフェッショナルとの出会い」と回答。自分から作りたいもの、伝えたいものを一直線に突き進んで発信していく“本物”の姿勢に大きな刺激を受けたことを紹介した。
また、春日大社に琉球舞踊を奉納した宮城茂雄氏は「普段は、ステージの上でお客様に向けて舞っていますが、18日の春日大社で行った奉納演舞は、神様やお客様、四方から囲まれながらの奉納演舞でした。月にちなんだ演目でしたが、舞っている途中、月が上り、感動もひとしお。とても幸せな気持ちでした」と奉納演舞のエピソードを語った。
河瀨エグゼクティブディレクターは「私たちも映画祭を開催するたびに気がつくことが多くある。世界遺産の春日大社、そして古代より連綿と文化を受け継ぎ、歴史の中心地であった奈良を舞台に開催することに意味がある。着実に歩を進め、1,000年先も続く映画祭にしていくためにこれからも挑戦していきたい」と、なら国際映画祭への思いを語った。最後に瀬戸は「来年のユースにも伝統が残るように結果を残したい、頑張りたいと思います」と力強く誓い、会を締めくくった。
映画を創る「ユース映画制作ワークショップ」?
『青い』『SPACE』『ライフライン』の3作品が誕生!
一線で活躍する映画監督を講師に招き、中高生が主体となって構想・撮影・編集・上映までを行う「ユース映画制作ワークショップ」には17名が参加。期間内に3作品が誕生した。
1作品目は恋愛がテーマの『青い』。女性同士の恋愛を描いた作品です。2作品目は多様性をテーマにした『SPACE』。自分と相手、それを取り囲む全体の空間を表現した作品です。3作品目は「依存」をテーマにした『ライフライン』。女子高生が母との関係に悩み、どんどんアイドルへはまっていく作品。最後には、制作を行ったユースたちが泣きながら本音で親とへの思いを語るフェイクドキュメンタリーが収められている。
上映会を終えて、参加したユースからは「精神の変化や辛かった時の気持ちを映画中に映し出せた」「もっと早くから参加したかった」など振り返った。ゲスト講師を務めたリム・カー
ワイ監督は「これまで様々なワークショップを行ってきたが、今までで1番レベルの高い3作品だった。1週間でここまでの作品は大人でも作れない。僕もこの経験を元に制作に励みたい」と総評した。
「ユース映画審査員」が優秀作品を選出?
“クリスタル SHIKA 賞”は『静かな夜』『Beans』が受賞!
9月18日(土)~19日(日)に「ベルリン国際映画祭 ジェネレーション」推薦の長編映画5作品と「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」の推薦の短編映画5作品を上映し、10名のユースメンバーが審査員として参加。審査基準もユースが決めることも特徴です。最終日20日(月・祝)に、ユース映画審査員による優秀作品を選出する「クリスタル SHIKA 賞」の発表が行われ、短編部門ではチウ・ヤン監督の『静かな夜』が、長編部門ではトレイシー・ディアー監督の『Beans(ビーンズ)』がそれぞれ選ばれた。
<短編部門『静かな夜』選定理由>選定基準: ユース講評: 物語内の”にぎやかな町”と”静かな夜”のギャップがあると感じることができました。人と人とのつながりを感じる映画であり、コロナ禍の今だからこそ観てほしいと思いユースで評価。 |
<長編部門『Beans(ビーンズ)』選定理由>選定基準: ユース講評: 音に緩急、緊張感があり、登場人物の心情に入ることができ激しく心が揺さぶられました。また過去の映像・ニュースを流すことでよりリアリティのある現場を作り出すことができていました。続きが気になり、飽きさせない、退屈させないという作品という点がユースの評価ポイントとなりました。 |
映画を魅せる・届ける「ユースシネマインターン」には6名が参加!
映画作品の「配給・宣伝」を学ぶ、ユース向けプログラム「ユースシネマインターン」には6名が参加。大阪を拠点に活動するリム・カーワイ監督の映画『いつか、どこかで』を通して、チラシ、ポスター、WEB、予告編等の制作をそれぞれが手掛けた。
本編上映後に行われたトークセッションには、リム・カーワイ監督と映画の配給宣伝に携わったユース、河瀨直美監督が参加。予告編を担当したユースの瀬戸紫英は「予告編は、お客さんに映画を観たいと思わせるきっかけになると思うので、どうやったら興味を持ってもらえるのかを考えた。サスペンスやミステリーなどそわそわ、ワクワクするような映像を先に入れることで、最初にミステリー作品であることを印象づけた。この決断になるまでに大変苦労した」とコメント。河瀨監督も予告編の出来栄えに思わず「もう一度上映しよう!」と観客へ提案していた。
最後にリム・カーワイ監督は「みんなに映画を宣伝してもらって、すごく幸せを感じた。オンライン会議では、ユースの子から、宣伝に必要な素材を追いかけられることがあったり、配
給する上で投げかけられる鋭い質問のやり取りも楽しかった」と会場では笑いが起きた。
なら国際映画祭2020の学生部門で観客賞を受賞した村瀬大智監督が登壇!!
「NARAtive2022」で奈良・川上村を舞台に卒業後初めての作品を制作?
なら国際映画祭では、奈良と世界をつなぎたいという思いのもと、コンペティション部門で受賞した国内外の監督を招き映画を創るプロジェクト「NARAtive」を行っている。
「NARAtive2020」で中国のポンフェイ監督がメガホンをとった映画『再開の奈良』を2022年の劇場公開を前に最終日に特別上映。その後、昨年のなら国際映画祭2020で学生部門にて観客賞を受賞した次期 「NARAtive2022」の村瀬大智監督が登場。「学生を卒業して初の作品となるので緊張しているが、来月から舞台となる川上村に通い、作品を作りたい」と意気込みを語った。
なら国際映画祭 for Youth 2021 最終日配信プログラム?
イベント情報
<なら国際映画祭 for Youth 2021 開催概要>■名称: なら国際映画祭 for Youth 2021 ■プログラム内容: 9月18日(土) 9月19日(日) 9月20日(祝・月) ■なら国際映画祭 for Youth 2021 “祈”のレッドカーペット及び20日(月・祝) 最終日プログラム: |
<なら国際映画祭とは>「なら国際映画祭」は奈良の平城遷都 1,300年目となる2010年から、映画作家の河瀨直美をエグゼクティブディレクターに迎え、2年に1回開催されている国際映画祭です。当会は、国内外の若手監督と奈良を舞台とした映画制作や、子ども・海外学生とのワークショップ、奈良市内を移動する映画館「ならシネマテーク」など、映画の魅力を伝える数々のプロジェクトを実施しています。次世代を担う子どもたちのプロジェクトの充実を図り、若き才能あふれる芸術の力で、世界を再び繋げていけるように映画の魅力を発信していきます。 |