映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶レポート
【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦、正名僕蔵、飯尾和樹、犬童一心監督)

映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶

“無理難題”が奇跡のトリオを産んだ!
星野源、高橋一生、及川光博が、ずん・飯尾の発案で三兄弟に!?

『超高速!参勤交代』シリーズで大ヒットを収めた土橋章宏の傑作時代小説「引っ越し大名三千里」。映画『のぼうの城』(2012年)を手掛けた犬童一心監督の指揮のもと、星野源ら豪華キャストを迎えて映画化した『引っ越し大名!』が8月30日(金)に全国公開する。

【画像】映画『引っ越し大名!』メインカット

7月23日(火)、映画『引っ越し大名!』の完成披露試写会が有楽町朝日ホールで行われ、主演の星野源をはじめ、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦、正名僕蔵、飯尾和樹、犬童一心監督が映画上映前の舞台挨拶に登壇した。

映画の主題歌であるユニコーンの「でんでん」をBGMに、浴衣姿のキャストたちが登場すると、客席は歓声に包まれた。ステージ上には、江戸時代、姫路藩の書庫番であった引きこもり侍・片桐春之助(星野源)が姫路城の国替えを行う”引っ越し奉行”に任命されるというストーリーにちなみ、姫路城の模型が鎮座。登壇者たちは姫路城の模型についたリヤカーのような持ち手を引き、実際に城を“引っ越し”して見せた。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦、正名僕蔵、飯尾和樹、犬童一心監督)

主人公・片桐春之助を演じた星野源は、脚本を読んでその面白さに「すぐ出たいです」とオファーを快諾したという。「春之助は本が大好きで、職場の書庫に引きこもっているキャラクター。親友の鷹村に引きずり出されて、国替えを実行する“引っ越し奉行”になるのですが、そこで大好きな本の知識が生きてくるんです。自分の好きな分野を活かしながら成長していき、おおいに笑って最後には泣ける、こんな時代劇はなかなかないなと思います」と挨拶。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源)

春之助の幼馴染の御刀番、鷹村厳右衛門を演じた高橋一生も、「源ちゃんと同じ」と前置きしながら「脚本がすでに面白かったんです。監督とお話して、俳優さんとお芝居して、楽しい作品になったと思います」と話した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (高橋一生)

前任の引っ越し奉行の娘で春之助の恋人お蘭を演じた高畑充希は、「源さんより10歳ほど年齢が下なのですが、子持ちバツイチのキャラクターで、姉さん女房感が出るよう心がけました」と役作りについて話した。高畑は時代劇初挑戦ということで、所作を習得するのに苦労したという。「一生さんは体の動きが美しくて、見とれながらも勉強しなきゃとお手本にさせてもらいました」と高橋の所作の美しさを絶賛した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (高畑充希)

実在した“引っ越し大名”松平直矩役の及川光博は、コンサートツアーを終えたばかりということで、声が出し辛い様子だったが、「ミッチー」のコール&レスポンスで客席を盛り上げた。自身の役を「バカ殿ならぬ“エロ殿”」と説明、「大名という存在感の重さとエンターテイメント作品としての軽さのスイッチングを意識して演じました」と話した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (及川光博)

春之助の友人、山里一郎太を演じた小澤征悦は、及川の挨拶を受け、「ユッキー」コールで観客とコミュニケーション。自身の役は「春之助と本を通して繋がっている役で、春之助と交わした口約束を信じてついていく、愚直なキャラクター」だと説明した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (小沢征悦)

春之助に仕事を丸投げするパワハラ上司・佐島竜五郎役の正名僕蔵は、「ミッチーとユッキーなら、自分は僕蔵なのでボッキーでお願いします」と見事にオチを付けた。

演じた佐島はコミュニケーションがほぼ恫喝という役だったという。「人生で受けたり目の当たりにした恫喝を参考にしてと思ったのですが、現場に入ると、まあ春之助が恫喝心をくすぐる何とも言えない表情をするんですよ(笑)。自然と怒鳴りたくなっちゃうので、気持ちよく恫喝させてもらいました(笑)」と語った。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (正名僕蔵)

春之助と対立する、高橋四朗を演じた飯尾和樹(ずん)は、「前日は緊張して、しっかりトリートメントしていったのですがカツラでした(笑)」と笑いを誘った。春之助とのシーンは思い切りやり過ぎてめちゃくちゃになってしまったというが、「器のでかい源君がすべて受け止めてくれました」と撮影を振り返った。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (飯尾和樹)

犬童一心監督は、「子どもの頃から娯楽時代劇を楽しんでいました。スターがキラキラ輝いて、魅力的な脇役がいて、笑っているうちにあっという間に時間が過ぎて、最後に心に残るものがある。大人になって、新作映画としてもう一度娯楽時代劇を楽しみたい、観客の皆さんも楽しませたいという気持ちがあってこの映画を作りました」とこの映画を構想したという。伝統ある京都の時代劇スタッフと一緒に仕事ができたこともこの映画の収穫だったと話し、「素晴らしいスタッフ・キャストを得て、理想を実現できたんじゃないかなと思います」と、自信を見せた。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (犬童一心監督)

撮影中のエピソードとして、淡路島での撮影が印象に残っているという星野。「最後に結構大変な殺陣のシーンがあって、砂浜なのでみなさんヘトヘト。お殿様はずっと籠の中なので激暑という…大変そうでしたね」と話すと、及川も「去年は猛暑で、砂浜だから逃げるところはないし、殿様はみなさんよりも良い衣装を着させてもらっていたのですが、それが羽二重で、暑い!」と同調した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、及川光博)

及川が「一生君めちゃめちゃかっこよかった」と激賞する殺陣のシーンについて、高橋は「槍が3m強もあって、重くて先端に行くほど重くて、振り回してる最中に砂浜に刺さったとき時は怪我しないかなとドキドキしてしました」と苦労を語った。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (高橋一生)

高畑は印象に残っているエピソードで、序盤の春之助にお饅頭を投げるシーンを挙げた。「一回目に投げたら右目にヒットして、絶対に顔にあたらないようにしなきゃと思って二回目投げたら今度は左目にあたってしまって…顔、あんこまみれになってましたよね(笑)」。お饅頭を顔に受けた星野も、「こういう時って気を使って優しく当てるのではなくバチって当たってほしいから、どんどんやってとは言っていましたが、まさか両目に来ると思わなくて(笑)。面白かったけど痛かったです」と苦労を語った。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (高畑充希、星野源)

無理難題を突き付けられながらも超難関プロジェクトを成し遂げていくという映画の内容にちなんで、会話は”無理難題”エピソードトークに。

小澤は、この質問自体が“無理難題”だとぼやきながらも、「よく行く中華料理屋の看板商品で、香辛料を表面が見えなくなるくらいかけた麻婆豆腐があって、シェフがむせながら作るんです。あるとき、食べてみようと思って2、3口勢いよく食べたら、いけるじゃん!と思ったんですけど次の瞬間、頭のかなという毛穴が開いて滝のような汗が出てきて、これは無理だなって。さすがに食べきれなかったですね」とエピソードを披露。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (小沢征悦)

正名は小澤の中華料理の話を受け、ドラマの撮影で朝8時から夜11時まで丸一日中華料理を食べる撮影のエピソードを思い出し、「大変だろうなとは思ってたんですけど、ふたを開けたら午前10時には満腹になってしまうんです。それでも食べ続けなくてはいけないので、満腹になっても食べ続けていると血液が消化のために胃腸に集中するのか手先が震えてきまして、頭もボーっとしてきて、午後の記憶がないんです。あれは大変でしたね」と回想した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (正名僕蔵)

及川は、高校時代のグランドホッケー部のエピソードを紹介。進学を控え、先輩たちから大学のホッケー部の勧誘があったというが、「バンドをやりたいと思っていたし、俳優の養成所に通いたかったので断ったんです。紅白試合でシュートを入れたら辞めてもいいといわれたのですが、僕のポジションはディフェンスだったんです(笑)」先輩の“無理難題”に対し、「これでシュートを入れないと自分の未来が変わっちゃうと思って……入れたのさ!」という及川に、観客から大きな拍手が上がった。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (及川光博)

飯尾が大学受験の時の英語の長文読解での問題を振り返り、「“oneday”しかわからなかったですね(笑)」と話すと、星野は今やっているNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」でオリンピック招致の英語スピーチのシーンを撮影したエピソードを挙げ、「最初は”thank you”だけだったはずが、撮影3日前に8行くらいの超長文になったんです。丸暗記していかないといけなくて、英語は得意ではないので、ものすごく頑張って覚えて“よしいけるぞ!”と思ったら、撮影前日に“半分にカットします”と言われて、“なんだよ!”って(笑)。あれは結構きつかったですね…」と語った。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、高畑充希)

ここで司会より、作中で春之助が「かたつむり」というあだ名で呼ばれていることから、飯尾に登壇者にあだ名をつけてほしいとの提案が。飯尾は「有吉くんじゃなくて僕がやるんですか?」と”無理難題”に戸惑いながらも、星野・高橋・及川の3人に並ぶようお願いし、「国産ホワイトアスパラ」と命名。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 アスパラ三兄弟(星野源、高橋一生、及川光博)

小澤を「(アスパラの)生産者」、高畑を「生産者の三女」、監督は「アスパラ泥棒」、正名を「アスパラ泥棒の飼っている老犬」、自身を「老犬の散歩担当」と名付けた。星野が「アスパラなんですね」と困惑すると、飯尾は「ホワイトアスパラ三兄弟ですね。ふるさと納税人気ナンバー1の!」と説明。小澤が「でも誰かが盗まれちゃうんですね」と話に乗ると、「老犬が吠えないから…」と飯尾が補足し、キャスト、会場を笑いの渦に包んだ。一連の盛り上がりを見て、MCが星野に「現場は楽しかったのではないですか」と問うと、星野も「この通りです(笑)」と同意した。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦、正名僕蔵、飯尾和樹、犬童一心監督)

最後は登壇者を代表して、主演の星野は「6年ぶりくらいの主演映画だったのですが、こんな素に晴らしい映画で、嬉しいです。(この舞台挨拶を)見てもらうとわかるでしょ(笑)。楽しい現場だったんです!素晴らしいスタッフやキャストに支えられて、皆さんお届けすることができて、嬉しいです。最後まで楽しんでご覧ください」と挨拶し、イベントを締めくくった。

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦)

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 金尾真里]

イベント情報

映画『引っ越し大名!』完成披露試写会舞台挨拶

■開催日: 2019年7月23日(火)
■会場:
有楽町朝日ホール
■登壇者: 星野源、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦、正名僕蔵、飯尾和樹、犬童一心監督
■MC: 奥浜レイラ

【写真】映画『引っ越し大名!』完成披露舞台挨拶 (星野源、高橋一生、高畑充希、及川光博、小沢征悦、正名僕蔵、飯尾和樹、犬童一心監督)

映画『引っ越し大名!』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『引っ越し大名!』ポスタービジュアル

《ストーリー》

引っ越しは戦でござる!

姫路藩の書庫番、片桐春之介(星野源)は、人と話すのが苦手でいつも書庫にこもりっきり、周囲から「かたつむり」とあだ名で呼ばれている引きこもり侍。あるとき、藩主の松平直矩(なおのり)(及川光博)は、幕府から国替え(引っ越し)を言い渡される。行先は遠く離れた豊後(大分県)の日田。すべての藩士とその家族全員で1万人の引っ越しという、参勤交代をはるかに上回る費用と労力が必要な一大事業。これを成し遂げるには、引っ越し奉行の手腕にかかっている。お国最大のピンチに、いつも本ばかり読んでいるのだから引っ越しの知識があるだろうと、春之介に白羽の矢が立つことに。国替えの減封による人減らし。無理難題とも言える大役に怖気づく春之介だったが、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門(高橋一生)の説得もあり、嫌々引き受ける羽目になる。しかし、引っ越しの経験がない春之介は、どこから手をつけて良いか見当がつかない。そこで、前任の引っ越し奉行の娘である於蘭(高畑充希)に助けを借りることに。こうして源右衛門たち仲間の協力や於蘭の厳しい引っ越し指南に助けられて引っ越しの準備が始まった!果たして春之介はこの一世一代のプロジェクトを知恵と工夫で無事に成し遂げ、国を救うことができるのだろうか?!

 
出演: 星野源 高橋一生 高畑充希 小澤征悦、濱田岳、西村まさ彦、松重豊、及川光博  ほか
 
原作・脚本: 土橋章宏「引っ越し大名三千里」(ハルキ文庫刊)
 
監督:犬童一心
 
主題歌: ユニコーン「でんでん」(Ki/oon Music)
 
配給: 松竹
 
© 2019「引っ越し大名!」製作委員会
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @hikkoshi_movie
公式Facebook: @hikkoshi.movie
公式Instagram: @hikkoshi.movie

この記事の著者

金尾 真里ライター

神奈川県横浜市生まれ。
「うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと」(江戸川乱歩)を座右の銘とし、エンタテインメント全般を愛好。作品の規模、ジャンル問わず、自分が「面白い」と感じる映画の紹介をしたいと映画ライターの活動を行う。キャスティングと物語が好きな映画は『ベニスに死す』、好きな映画音楽は『ロシュフォールの恋人たち』、総合して一番好きな映画は『GSワンダーランド』

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