映画『去年の冬、きみと別れ』公開初日舞台挨拶レポート
【写真】映画『去年の冬、きみと別れ』公開初日舞台挨拶
 

映画『去年の冬、きみと別れ』

 

公開初日舞台挨拶

「そういうことだったの?」罰ゲームで主演・岩田剛典が騙された!

EXILE、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの岩田剛典が主演する映画『去年の冬、きみと別れ』が3月10日(土)に公開初日を迎え、東京・丸の内ピカデリー1で初日舞台挨拶を開催。岩田剛典をはじめ、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、北村一輝、瀧本智行監督が登壇した。

物語の主人公は結婚を控え、スクープを狙う記者・耶雲恭介(岩田剛典)。猟奇殺人事件の容疑者である天才写真家・木原坂雄大(斎藤工)について調べ始めるうちに、木原坂の魔の手は婚約者の百合子(山本美月)まで及び、恭介は木原坂の罠にはまっていく。

原作は「教団X」で知られる芥川賞作家・中村文則の同名小説で、中村サスペンス最高傑作との呼び声が高い。『脳男』(2013年)『グラスホッパー』(2015年)の瀧本智行が監督を務め、『無限の住人』(2017年)の大石哲也が脚本を担当した。

司会がキャストと監督の登場を告げ、1階客席の後方ドアにライトがあたると、満員の客席から歓声が上がった。岩田剛典を先頭に、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、北村一輝、瀧本智行監督が入ってくると、その歓声は一段と大きくなり、通路側に座っていた観客は応援グッズを見せたり、手を挙げて登壇者にタッチしてもらったりしていた。

ゲストが登壇すると、まず岩田が「万感の思いです」と無事初日を迎えられたことを喜んだ。
山本はこれまでの取材を振り返り、ネタバレを避けるために何も話せなかったという。「今日からたくさんの人と、この秘密を共有することができるのをうれしく思います」とにこやかな笑顔を見せた。

斎藤が挨拶をしようとすると、ファンから「工さ~ん」と掛け声が飛んだ。斎藤は話し出すタイミングを逃して戸惑ったが、「ドスケベ」と書かれたボードを持つ観客を見つけ、「ドスケベな斎藤工です」と自己紹介。「しまった!マスコミが入る回だった」と続けて、笑いを誘う。作品については、「この映画の後味は味わったことがない。映画的にとても爽快で痛快な喪失感を持った作品」と評した。映画が大好きな斎藤らしい。

木原坂の姉を演じた浅見は「伏線が重なり合って1つのストーリーになっている。この映画の世界観にどっぷり浸ってください」と挨拶。この作品のイベントに初登場した土村は木原坂のモデルを務め、火事で亡くなった女性を演じた。緊張で震える声で「みなさんが取材でそうとう苦労されたのが、ここに立って初めてわかった」と話す。すかさず岩田が「とんでもないです」とフォロー。

編集者を演じた北村が「三代目 J Soulの北村です」とおどけると、会場がどっと沸いた。しかし、北村は笑いが少ないと感じたようで「ドスケベな斎藤くんの友だちの北村です」と挨拶をやり直した。

瀧本監督は「壇上にいる俳優陣はそれぞれ非常に難しいニュアンスを要求される役どころだったが、見事に素晴らしい仕事をしてくれた。それをスクリーンで確かめてください」とキャストたちへの感謝の気持ちを表現。斎藤が監督する作品にも触れ、「同じ監督として嫉妬した」として泣いてしまったことを告白した。

上映前の挨拶だったため、作品の内容に触れられない。司会者は「映画としての完成形は見えていたのか」と岩田に尋ねた。すると「この作品の設計図は監督の頭の中だけに描かれ、その設計図にいかにフィットさせていくかしか頭になかった」と撮影時を振り返る。「脚本だけでも面白いのですが、映像化されたときにどうなるのか、まったく予測できなかった」と答えた。

同じく予測できなかったという山本は「完成したものを見てびっくりしました」と語る。
斎藤は顔合わせで本読みをしたときに、監督が役者たちの声のトーンをオーケストラのリハーサルのように1人ずつ合わせていったことを紹介。「音を軸にして、監督がタクトを振って完成した」と現場の印象を表現した。

浅見は映像を見たときに、脚本を読んだとき以上に衝撃的な気持ちになったことを明かし、土村は脚本と映像では伝わってくるものの量や重さが違ったと感想を述べる。

みんなが完成形を予測できなかったと答えたことから、北村は「ですね」とひとこと。一風変わった北村の対応に、司会者が岩田に現場での北村や斎藤の様子を尋ねると、「このまんまです」と笑いつつ、現場では役に入って、集中していたことを明かした。斎藤も「みなさんが自分の役の殻に入らなければならない瞬間があり、その殻を意識していた」と付け加える。「一度だけ北村のアニキがメンズ3人での宴を用意してくれた」と北村の先輩ならではの心遣いを披露した。

監督は、映画は俳優の演技次第で変わる“生き物”とし、監督さえ予測できていなかったという。

ここで登壇者は、「予測不能!クイズ」に挑戦。敗者の罰ゲームは関係者から聞き集めた登壇者の秘密の暴露と発表され、秘密が書かれた紙の入った封筒を司会者が見せると登壇者に動揺が走った。1問目はエンドロールに出てくるクレジットの合計数で、正解(614)はいなかった。続く2問目は監督の生年月日。監督だけが正解(1966年10月23日)し、キャスト全員にリーチがかかる。最後の問題はロケ地だった金沢の昨年の年間積雪量。岩田以外の全員が「111 cm」と書いて正解し、「100 m」と答えた岩田だけが不正解。ここで岩田は自分が罰ゲームを受ける仕込みが行われていたことに気がついた。しかし、岩田の封筒の中身は、監督から岩田への感謝の手紙。これもサプライズの1つだったことが判明した。

司会が監督に代わって手紙を読み上げると、そこには役者としては不器用な岩田の役に取り組む姿勢への賛辞が書かれていた。岩田が「うれしいです」と涙ぐみ、言葉を詰まらせながらも監督への感謝の気持ちを述べた。

涙を拭ってのフォトセッション後、岩田が登壇者を代表して挨拶。「愛する人のために、人はどこまで変われるのか。究極の純愛を描いた作品になっています。家に帰って家族や友人に広げていっていただければと思います」と締めくくった。

<瀧本智行監督の手紙全文>

岩田剛典さん

あなたはスマートな見た目によらず、案外不器用な人です。クランクイン前から本読み、リハーサル、カメラテスト、何度も芝居の稽古を繰り返しました。器用な役者ならすぐにこなすことにも、あなたは時間がかかりました。僕はたくさん要求し、たくさん注文しました。きっと、あなたは人知れずプレッシャーと戦いながら、もがき、あがき、苦しんだのだろうと思います。1つ1つのセリフ、1つ1つの仕草、何より、恭介という役をどうにか自分のものにしようと、愚直に誠実に向き合っていたんだろうと思います。 撮影が進むうち、次第に、あなたの顔つきが変わっていきました。いつからかオーラをまとうようになりました。内心、僕は驚いていました。心を揺さぶられていました。人より時間がかかったかもしれない。でも、だからこそ、誰よりも深く、恭介という役を理解し、岩田剛典にしか演じられない魅力的な主人公を、あなたは作り上げたのだと思います。 僕がまだ駆け出しの助監督だった頃、ある大先輩からこう言われました。器用なやつはすぐに答えにたどり着く。でも、不器用なやつしか、その先にはたどり着けない。あなたを見ていて、そんな言葉を思い出しました。今後も愚直に、ひたむきに、もがき続けてください。その先に向かって。お疲れ様、ありがとう。

瀧本 智行

 [記者: 堀木 三紀  / スチール撮影: 蒼山 隆之]

イベント情報

映画『去年の冬、きみと別れ』公開初日舞台挨拶

■開催日: 2018年3月10日(土) 
■会場: 丸の内ピカデリー1
■登壇者: 岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、北村一輝、瀧本智行監督

映画『去年の冬、きみと別れ』予告篇

映画作品情報

《ストーリー》

彼女を奪われた。猟奇殺人事件の容疑者に――。

最愛の女性との結婚を控えた新進気鋭のルポライター、耶雲(岩田剛典)が狙った大物は、女性焼死事件の元容疑者、天才フォトグラファーの木原坂(斎藤工)。真相に近付く耶雲だったが、木原坂の危険な罠は耶雲の婚約者、百合子(山本美月)にまで及ぼうとしていた――。

  
原作: 中村文則「去年の冬、きみと別れ」(幻冬舎文庫)
監督: 瀧本智行
脚本: 大石哲也
音楽:上野耕路
 
出演: 岩田剛典 山本美月 斎藤工 ・ 浅見れいな 土村芳 / 北村一輝
主題歌: m-flo「never」(rhythm zone / LDH MUSIC)
 
配給: ワーナー・ブラザース映画
 
© 2018 映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会
 
2018年3月10日(土)『冬きみ』に観る人すべてが、ダマされる!!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @fuyu_kimi

この記事の著者

ほりき みきライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど。

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