東京プレミア上映会 舞台挨拶
伊藤沙莉は実は妖精だった!?
池松壮亮、尾崎世界観、松居大悟監督は付き合いの長さを感じるトークを展開!
別れてしまった男と女が、最愛だった時間を遡る。そして、もう一度…
コロナ渦という時代性を纏った、新しい形のちょっぴりビターなオリジナルラブストーリー映画『ちょっと思い出しただけ』が2022年2月11日(金・祝)より全国公開される。
怪我でダンサーの道を諦めた、照生とタクシードライバーの葉を中心に、年に一度訪れるある1日を、現代を反映させつつ描く。クリープハイプの尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げるジム・ジャームッシュの名作映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て書き上げた主題歌「ナイトオンザプラネット」。この楽曲を受けて、『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画をつくったら〜』(2021年)や『くれなずめ』(2021年)などを手掛ける松居大悟監督が、自身初となるオリジナルラブストーリーを書き上げ、主演に池松壮亮と伊藤沙莉を迎えた。照生役を池松、葉役を伊藤が務め、初共演とは思えない息のあった芝居を見せる。第34回東京国際映画祭ではコンペティション部門に選出され、観客賞と審査委員からのスペシャルメンションを受賞するなど、注目を集めている。
1月23日(日)にヒューマントラストシネマ渋谷で東京プレミア上映会が行われ、上映前の舞台挨拶に、主演の池松壮亮と伊藤沙莉、尾崎世界観、松居大悟監督が登壇。制作や撮影現場でのエピソードほか、それぞれの「ちょっと思い出した」ことを発表するなど、ボリューム満点のトークセッションが行われた。
尾崎の俳優を経験した感想は?
台本には伊藤の恋愛観を反映!?
尾崎が制作した曲を受けて制作されたと言う背景を持つ映画「ちょっと思い出しただけ」。池松と松居監督、尾崎は旧知の仲だという。
池松は松居監督と尾崎との映画づくりについて「松居監督とは5年前に映画を1本やっていて。尾崎さんとは7年くらい会っていなかったんです。20代前半はとにかく一緒にいたんですよ。映画を観に行ったり、同じ本を読んだり、いろんな時間を共有して。自分の青春と言っても過言ではない人たちと再会して、青春に決着をつけながらも新しいものを生み出そうと言う気持ちでした」と思いを語った。
自身の曲が映画化することに尾崎は「曲発信の映画はなかなか無いので楽しみでした。映画や本に負けないようにいつも曲作りしているので、それが実践できたと感じて興奮しました」と喜びを見せた。また、今回はミュージシャンの男役として俳優にも挑戦した尾崎は「いつも通り、ただ自分として話していただけなので実感はないです」と撮影を振り返った。
そして伊藤は、尾崎や松居監督の思いが詰まった脚本について「脚本の内容や構成も面白いけれど、何より企画が魅力的でした。松居さんが台本を作るにあたって、私に恋愛観をインタビューしてくださって。『いつ喧嘩する?喧嘩するとどうなる?』と聞いてくださった内容を反映してくれているのですが、それも含めて色々な方向から愛を感じる作品だと思いました」と印象を語った。
初共演の池松と伊藤!
池松の1番言いたくないセリフに伊藤は胸キュン!?
主演の池松と伊藤は今回が初共演。池松は伊藤との共演について「初めてながらに2人の6年間を体現する必要があったので、時間がない中で1日2つずつ質問をしながら徐々に距離をつめて。最終的には同じ方向を向けたと思っています。シーンの密度を上げるための即興なども確認しなくても選んでいけました」と2人の関係に自信を見せた。
一方、伊藤は池松の印象を「距離をどう詰めるかは難しかったです。待ち時間の会話よりもお芝居の掛け合いを通して歩み寄ろうという感覚でした」と振り返った。
劇中では、ラブストーリーらしいキュンとくるシーンもふんだんに描かれている。池松はそれらのシーンは「照れ臭かった」と語り、1番言いたくなかったセリフとして「夢で待ち合わせね」を挙げ、「なんで言わなきゃいけないのかわからなくて。なんでこんなの書いたのって聞いたら、(松居監督は)『俺、結構言う』と言っていて。すごいなと思いましたね」と暴露。すると松居監督は「寝ると会えなくなるから、ずっとつながっている感じが良かったんですよ!」と弁解するも、すかさず尾崎から「寝ている時ぐらい休んだらいいのに」と鋭いツッコミが。
一方、そのセリフを言われる側だった伊藤は「私は結構嬉しかったです。1人じゃないって思えるから、安心して眠りにつけるじゃないですか」とセリフが気に入っている様子だった。
クリープハイプファンの伊藤は尾崎との共演にド緊張!
池松が「伊藤さんは妖精なんです」と衝撃の告白!!
伊藤はタクシードライバー役ということで、タクシーの乗客という役どころの尾崎との共演シーンは、目を合わせず掛け合いをする場面もあったという。尾崎は撮影を振り返り、「目が合っていたらもっと緊張していたので、ちょうど良かったです」とコメント。
続けて伊藤が「クリープハイプさんのファンなので、緊張でガチガチでした。待ち時間もタクシーの中に乗ったままなので、どうしようかと思いました」と語ると、尾崎はその待ち時間について「話しかけたらダメなのかと思っていたんですよ。伊藤さんとの共演シーンの後に、伊藤さんと池松が2人でタクシーに乗っているシーンを見学して。その時に2人がずっと喋っていたのですが、松居くんは『あいつら喋りすぎだな』と嫉妬していて、僕はあれくらい喋っても良かったのかと後悔しました」とコメント。
池松はその時の伊藤との会話を思い出し、「伊藤さんって妖精らしいんですよ」と衝撃の告白。続けて、「それを車の中で聞いて、なんて返したらいいのかわからなくて、『確かにそういうところありますよね』と返しました。僕は2週間妖精とおしゃべりしていたんだなと思って、そういう話で盛り上がった記憶がありますね」と説明すると、伊藤は「信じてくれているのかと思ってた!」と反応。さらに、「占い師さんに『あなたは妖精だ』と言われたんです。だから池松さんに話したら、『ごめんね、気づかなくて』という反応だったから、受け入れてもらえたのかと思っていました」と事の経緯を語った。
流れに続いて松居監督も、伊藤のどんなところが妖精かを言葉を探しながら語ろうとする様子に伊藤は耐えきれず「もういい!!大丈夫!もうこんな宣言するのやめます!」と慌てて制止したが、最後には池松からの“みんなに知ってもらった方が良い”というアドバイスに従い、「妖精です」と笑顔でアピールした。
登壇者の“ちょっと思い出してしまうこと”とは?
伊藤が過去の共演者との感動エピソードを語る!
照生と葉の2人が6年間の過去を“ちょっと思い出す”瞬間を描いた映画の内容にちなみ、今までにちょっと思い出してしまうことを聞いた。
まず尾崎が「池松壮亮の喋り方」と回答し、「この間を使って喋る人はこの人しかいないんですよ。6年以上空いて、久しぶりに喋った時にすごく思い出しました」と理由を説明。
続いて池松が「ちょっと思い出しただけなんですけど」と切り出し、「友達とタクシーに乗っている時に悩み事を聞いてもらっていると、運転手さんが突然振り向いて、『聞いちゃったんだけど大丈夫だよ』と言ってくれて」とエピソードを語ると、伊藤が「それ私の話です!私のとっておきの話です」とツッコミを入れ、「あたかも自分ごとのように言うなんて、怖……」と反応し、会場を笑わせた。
また、松居監督が「かなり昔に、尾崎くんと池松くんと渋谷の映画館に行っていた時を思い出しました」と発表すると、尾崎が「僕はキム・コッピさんがすごく好きで。舞台挨拶にCDと手紙を持って行ったのに、受付にすら渡せなくて池松に渡してもらったことがありました」と過去の仲良しエピソードを披露した。
最後に伊藤は「つい最近ですが、小学生の時に共演した俳優さんからお言葉をメールでいただいて。今の話をしたら、当時と変わらないアドバイスをしてくれたんです。『あなたのままマイペースでいて』と言ってもらえて。打ち上げ会場で小学生の私に目線を合わせて言ってくれたことを思い出して、グッときました」と感動的なエピソードを語った。
登壇者から観客へメッセージ
最後に登壇者から観客に向けてメッセージが送られた。
尾崎は「自分が作った曲発信と言うことに関係なくすごく良い作品で、観られてよかったと思いました」と作品の良さを語った。
続いて伊藤は「個人的に、シンプルにこの映画が好きなので、皆さんに届くことが本当に嬉しいです。この作品を見て、皆さんが何を“ちょっと思い出す”のか興味がありますし、あの頃をちょっと思い出すことで前を向けるきっかけになるといいなと思います。こんなご時世ですが、よりたくさんの人に届くといいなと心から思っています。口コミで広がると嬉しいので、皆さん書き込んでください。(私も)見ています」とアピール。
さらに池松は「今だけ、この2時間だけ日々の色々なことを忘れて、映画に浸っていただけるととても嬉しいです。時代の変わり目に、みんながコロナという圧倒的なものを経験していますが、映画では圧倒的に戻れないあの頃を描いています。過去を再解釈することは映画の魔法だと思っているのですが、この映画を観てもらって、自分がどこにいたのか、自分がどこに属するのかを改めてちょっとだけ振り返ってもらって。いつかくる夜明けに、皆さんとこの映画とともに向かえたらいいなと思っています」と語った。
最後に松居監督は「同じ時代のこの国で生きていることを映画館で共有できるというのは、昔は当たり前だったけれど今は貴重だと感じていますし、共有する感覚はとても愛おしいと思っています。この映画は、今の時代から始まって昔に遡り、明日も頑張ろうと思えるような映画になっていたらいいなと思って作りました。観た人の数だけ、“ちょっと思い出しただけ”があるといいなと思います。一緒にこの映画を育ててくれたら嬉しいです」と観客に向けて語りかけた。
終始登壇者の仲の良さが窺える、和気あいあいとした空気感の中で行われた舞台挨拶は、幕を閉じた。
イベント情報
映画『ちょっと思い出しただけ』東京プレミア上映会 舞台挨拶
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映画『ちょっと思い出しただけ』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》照明スタッフの照生と、タクシードライバーの葉。 物語はふたりが別れてしまった後から始まり、時が巻き戻されていく。 愛し合った日、喧嘩した日、冗談を言い合った日、出会った日・・・ コロナ禍より前の世界に戻れないように、誰もが戻れない過去を抱えて生きている。 そんな日々を“ちょっと思い出しただけ”。 |