映画『望郷』公開初日舞台挨拶開催!
古い家のしきたりに縛られた娘『夢の国』
亡き父に後悔をもつ息子『光の航路』
ある島で起こるふたつの親子の過去と未来をつなぐ感動の物語
「告白」「白ゆき姫殺人事件」「リバース」など、数々のヒット作を生みだすミステリー作家・湊かなえの連作短編集『望郷』より、『夢の国』『光の航路』を『ディアーディアー』(2015年)で華々しくデビューを飾り、第29回東京国際映画祭の日本スプラッシュ部門出品作『ハローグッバイ』(2017年)の記憶も新しい菊地健雄監督が貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、森岡龍、浜野謙太ら豪華キャストを迎えて映画化!
9月16日(土)公開初日を記念して、新宿武蔵野館での初日上映にて舞台挨拶を実施。満席の客席からの大きな拍手とmoumoonによる主題歌「光と影」が流れる中、貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、菊地健雄監督が登壇した。
《イベントレポート》
―― キャスト、監督からのご挨拶をお願いします。
貫地谷: 本日は、『望郷』公開初日に足を運んでくださり本当にありがとうございます。すごくすごく大切な期間をたくさん積み重ねた作品になっていますので、今日、とても嬉しいと同時に緊張しますね。本当に今日はこの時間をみなさんが楽しめたらなと思っています。ありがとうございます。
大東: みなさん、初日ありがとうございます。僕たち演者の四人が揃うのは、今日初めてなんですけれども、この四人と監督でこの作品の初日に立てていること、そして、みなさんにこうやって観ていただけることをすごく今感謝しています。そういうことを改めて考えさせられるような作品です。楽しんで帰ってください。
木村: みなさま、お忙しい中、今日はありがとうございます。とっても日本映画を観たという気が私はこの映画を観てしました。みなさまも最後まで今日は楽しんで感じて帰っていただけたら良いなという風に思っております。最後までよろしくお願いいたします。
緒形: みなさん、こんにちは。緒形直人です。今日は、初日からわざわざお越しくださり、本当にありかとうございます。みんな四人並んでいますけれども、貫地谷さんとは今日初めまして。初めてお会いしました(笑)。
貫地谷: 初めまして(笑)。
緒形: 木村さんとも、現場でもすれ違うこともなかったですね。
木村: ねえ。
緒形: 大東くんとは、親子役なんですけれども、ほんのワンカット。言葉を交わすこともなく、監督とは大の仲良しです。
菊地監督: ははは(笑)。
緒形:今日は楽しんでいってください。ありがとうございます。
菊地監督: 菊地です。本日は三連休の貴重な始まりの日に、こうしてこに映画の初日に足を運んでくださって本当にありがとうございます。『望郷』は初日を迎えたわけですが、今まで実は、カリコレという場で、特別先行上映で二度ほどやっておりまして、最初の登壇のときは僕一人だったのですね。特別先行のときでは、大東さんと貫地谷さんと三人で立ちまして、今日こうしてようやく五人で立っているということが、非常に僕は心強く思っておりますし。先ほどまですごく緊張していたのですが、なんだか嬉しい気持ちがまさってきました。本当に今日はこの映画を楽しんで観て帰っていただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
―― 本作のお話があったときのことをお聞かせください。
貫地谷: 原作よりも先に台本を読ませていただいて、すごく面白くて、ぜひ本当にやりたいと直ぐにお返事を出させていただいたというか、それぐらいやりたいなと思いました。今まではすごく明るいとか、ドジだけど前向きな役が多かったので、自分の新しい一歩になるんじゃないのかなということが良いチャンスなのかなと思って、ぜひやりたいと思いました。
大東: この作品を読ませてもらって、湊作品というのもあるのですけれども、こう自分の内側から今まで出したことのないような気持ちを引っ張り出してこないとできないんじゃないかなと思って。そういう挑戦もできるんじゃないかと思って、やりたいなと思っていたところ、作品を読んでいたら、湊さんの故郷が因島で、この映画を因島で撮ろうということになって。監督とは、初めてお会いしたときに結構大変だったですよね。因島でやるって。全編、映画を撮るって。
菊地監督: そうですね。結構色々どうしようかと。外だけ因島で撮って、中は近くで撮るという話もあったりとか、そこに至るまでは、ちょっと色々と議論もあったのですが。
大東: そうです。それをじゃあ、全編、因島でやりましょうって言った監督に出会った瞬間に信頼をもってしまい、これは素敵な作品になるなと思って今に至る次第です。
木村: 私は、台本を読ませていただいたときに、重いって思って。私の役がです(笑)。絶対にやると苦しい。本当に幸薄い役をたくさんやらせていただいたのですけれども、毎回、苦しいんですね。それをやるには、自分を削って苦しい時間を過ごさなければいけないから、その一歩を踏み出すのに、ものすごく勇気がいるんですね。でも、すごく良い本だし、しほりちゃんが娘の役なので、これはきっと良い感じになるんじゃないかと思って。よし、やってみようという風に覚悟を決めてのぞませていただきました。
緒形: 僕は以前、映画『64-ロクヨン-前編/後編』(2016年)という作品で監督とご一緒しまして、その延長でというか、その後間もなく監督作品をやられるということで、また誘っていただけたので喜んでやらせてもらおうと思いました。
―― 菊地監督からみたキャストのみなさんの印象はいかがですか。
菊地監督: 貫地谷さんと大東さんは、今回は自分の仕事をするのは初めてだったのですが、先ほど大東さんからもお話があった通りに、とにかく因島で撮ろうというのは、かなり脚本を作りながらも、僕の中では勝手に決めていたというか。それで色々スタッフも頑張ってくれて撮影できるってなったときに、この島にどういう方たちが立っているのだろうと想像をした中で、お二人はご一緒したことはなかったのですが、今までの作品とかお仕事ぶりを拝見して、この二人なら絶対に島の人として、ある意味普通の人として立つというのは、非常に難しいかなと思っているんですね。こうしてお二人が今日横に並んでいても、二人だけじゃなく四人とも本当に素晴らしい素敵な人たちなので、いわゆる普通のことを演じるのは難しいのかなと思っていたときに、お二人ならきっと出来るという確信がありまして。実際に本当にロケが始まってからも、貫地谷さんは娘役の由衣良ちゃんともずっと一緒にいて関係性を築くということをカメラが回っていないところでもやっていただいていましたし、大東さんにいたっては、本当に島の奥深くまでキャスト、スタッフ誰よりも入り込んで、本当にレモン農家の人とも仲良くなって飲みに行っちゃうとか、島の現状を誰よりも僕らの中で知るみたいな、こういう素晴らしさがあったので本当にご一緒できて嬉しかったですね。
緒形さんと木村さんに関しては、僕は助監督を結構長いことやっていたのですが、木村さんとは、駆け出しの頃で多分覚えてもいただいてなかったかもしれないですけれども、『電車男』(2005年)という本当に怒られながらやった現場でご一緒したのが初めてで、緒形さんとは先ほどお話があった通りに、『64-ロクヨン-前編/後編』(2016年)でご一緒して、やっぱり助監督時代というのは僕も監督になるための修行時代だと思っていましたので、やはりいつか監督になるための牙を研ぐ期間といいますか、至福の時だったと思います。その時代にお二人のお芝居を現場で拝見して、いつか監督になったら真っ先に声をかけたいなと思っていましたので、今回本当に引き受けていただいて、その時点でこの『望郷』という作品が見えたというような印象でしたね。
―― 因島での撮影はどうだったのでしょうか。
貫地谷: 私の役は、これから観ていただくので詳しくは言えないのですけれども、島から出たいのに出れないという葛藤を抱えた女の子の話なんですけれども、実際に因島は本当にのどかで自然がきれいな場所で、すごく光もきれいで、ああ良いところに来たなあって私自身は思って。帰りは牡蠣のお煎餅、それは因島ではなくて福山だったんですけれども、それを買って。結構、東京と行ったり来たりだったので、それを毎回買って帰るのがすごく楽しみで。牡蠣煎餅。食べ物もあまりたくさんご当地の物は食べられなかったのですけれども、楽しかったし美しかったです。何言ってるんだろう(笑)
大東: 本当にレモン農家のご家族とも、ご家族の友だち家族と三家族ぐらいでなぜか食事をするという謎の会にも参加していてて。そのときも、夜中2時位までレモン農家の今後について話し合って。今、思い出したのですけれども、一回撮影中に一度だけ助監督と喧嘩をしたことがあって。玉澤さんと1回喧嘩したことがあったんですけれども。
菊地監督: 俺も知らなかった。
大東: その喧嘩が芝居のことではなくて、因島をどうやって盛り上げていくかっていう。
一同: (爆笑)
大東: それについては、俺はこう思うんだよって向こうも熱くなって。いや、大東くん、それは違うみたいな。それで最終的に島の人が入ってきて、でも来てくれて嬉しいんだけどねって言って終わるっていう。それぐらい密に入らせてもらって、やっぱり映画の中にも出てくるのですけれども、造船が盛んだった時期の面影というのが残っていて。今はもうそこは人が少なくなっちゃったんですけれども。そういう建物から過去の息づかいとかもあって、今の僕がそこで撮影をさせてもらって、これから因島で生きるあの島なみで生きる子どもたちともいっぱいお話をさせてもらって、そういう時間というものが航を作る上ですごく貴重な体験をさせてもらい、今後の役者人生の中でもすごく重要な経験をさせてもらったなあと思います。
木村: 映画の中にも出てくるのですけれども、レモン農家のところが本当にきれいで、景色とかも本当に素晴らしくて。本当に美しいところで撮影をさせていただいて嬉しかったのですけれども。嬉しかったのは、大東さんとはほとんど同じシーンがないので、すれ違いなんですけれども、お向かいに売っているコロッケを大東さんが買ってきてくれたんですよ。それで、なんて優しいと思って、そうしたらまたそのコロッケがものすごく美味しくて、すごくいっぱい食べちゃって(笑)。それがすごい良い思い出です。
大東: 行きつけの商店の(笑)。
貫地谷: 初日だよ(笑)。
大東: そうなんです。本当に美味しいから、みんなに食べてもらおうと思って買っていったんですけれども。
木村: ありがとうございます。
緒形: みなさんみたいに時間にそんな余裕がなかったので、クランクインは中学校で迎えたのですが、前日入りはしたのですけれども、島に入ったのは当日で、衣装に着替えて直ぐに島の先生役をやれと。これも、なかなか大変なことで。でも、そのときに校長先生が島で採れた果物を持ってきてくださったんですね。それを本当に一口食べたときに、こうなんか一気に五感が働いたというか、本体の部分が生まれて出ていったというか。役が動き出したという感じでした。もう本当に校長先生には、ありがたいいただきものをしたなあと思ったし。また、そういうことって些細なことなんだけれども、自分の中ではとても大切にしたい部分だなと思いました。
菊地監督: そんなわけで、僕が一番因島でやることをこだわっていたので、最初に行ったときに、原作の中で湊さん自身が体験したことが結構織り混ざっているのだなということを最初に行ったときに実感しましたね。まだ本当に劇中で観る前なので詳しくは言えないのですが、描かれるような出来事がまだ本当に痕跡として残っているというか。そういったものを僕らも感じつつ、それこそみなさんからも話があったように、この島の何かを感じていただきながらお芝居をしていただくというのが。本当に実際にやり取りする中で、緒形さんともこういう時間の中でどう描けるのだろうかと話してやれたりとか、すごく映画にとって因島でやるということが大きかった。そんな印象ですね。あと、僕は栃木で生まれ育っているので、海がないところで生まれ育ったので、ああいう海が常にある景色の中で身を置くというのがワクワクしてしまうので、すごく因島を中心としたしまなみ街道は本当に楽しかったです。
―― 注目ポイントを教えてください。
貫地谷: 全部本当に観ていただきたいのですけれども、本当に光がきれいなので、そこをぜひ観てもらいたいなと思います。
大東: 先入観なしに観ていただきたいので、ここっていうのはあれですけれども。僕が観た印象で本当に自分の過去を思い返しているような映画だなという印象だったのですよね。記憶の中をたどっているような映画で。だから、何も考えずに肩の力を抜いていただければ良いのじゃないかなと思います。
貫地谷: 誰の心にもあるような、ちょっと思い当たるような。女性はとくに、今回『夢の国』と『光の航路』という『望郷』の湊かなえさんの原作の二編が一つの映画になっているのですけれども、『夢の国』の方は、結構女性が共感するというお話を聴いたので、胸に思い当たることがあるんじゃないのかなと思いますので、ふらっと観ていただきたいなと思います。
―― 親から子、子から親へそれぞれメッセージを送りあってください。
木村: (貫地谷へ)好き。うふふ(笑)。現場で初めてお会いして大好きになりました。すごく一生懸命で、もがいていて、何とかいこうというそういう感じが、ひたむきに一生懸命生きている姿って美しいなあと思ってすごく好きになりました。なので、本当に私の娘役なんですけれども、これからも応援したいし、みていきたいなという風に思っています。
貫地谷: (木村へ)ありがとうございます。感謝。本当に私が入り込まなきゃ入り込まなきゃと思うと、なかなか入り込めなかったりしてしまったシーンがあったときに、木村さんは本当に何度も何度もつき合ってくださって、本当にいつもいつも私が心に届くようにという風にすごく素晴らしいお芝居をしてくださって。そうじゃない時間を朗らかに包んでくださってもう感謝しかないです。本当に木村さんがいなかったら、乗り越えなれなかったと思います。ありがとうございます。
緒形: (大東へ)ふらついている野心家(笑)。あのね、色んなふらふらふらふらしてね、人の現場を見に来たり、ちょっとスタッフにちょっかいを出してみたり、色々しているのですけれども、そこから得るものというのが本当にやっぱり大きいんですよね。レモン農家の方たちも多分そうでしょう。彼も先生役なんですけれども、その生活感がきちんと身体からにじんでいるんですよね。それは、彼がふらついているからです。これからも応援しています。
大東: (緒形へ)ありがとうございます。僕は信頼ですね。航としても。これから映画を観てもらうんですよね。実際にご一緒した現場の時間も少なかったんですけれども。やっぱり言葉だったり、台詞だったりに対する責任をすごく感じたんです。言葉を届けるって普段でも難しいじゃないですか。それの言葉の一言一言に対する責任とか、それをすごく感じて、大東駿介としても、航という役と向き合うことでもすごく重要なきっかけになりました。ありがとうございます。
―― 主演の二人からメッセージをお願いします。
貫地谷: 最近、占いに色々なところに行っていて、変なやつだと思われるかもしれないのですけれども、今日はラッキカラーがグレーでした。なので、今日はとても大切な日なので、グレーを着てこの場に立っています。本当に大切な作品です。もし、良いと思ってもらえたら、お友だちやご家族、色々な方に広めていただけたらなと思います。来たいね。みんなでツアー。
大東: みんなでツアー。
貫地谷: みんな映画を観に来よう(笑)。
大東: そうねえ(笑)。
貫地谷: みなさまも、ぜひ。ありがとうございます。今日は本当にお忙しい中、良い初日になって嬉しいです。ありがとうございました。
大東: この映画の中で、進水式というシーンが出てくるのですけれども。さっき監督が一つ前の(舞台挨拶の)ときに言っていて、この映画が今まさに今日が進水式なんじゃないかと。この映画のというお話をしてて、すごいグッときたんですけれども、同時に背筋が伸びる思いで。やっぱり映画ってそういう色々な思いがあってできる作品で、その人たちにも一人一人に家族がいて故郷があって、そんな壮大なことを考えてしまった作品です。これがみなさんに届くことをすごく嬉しく感じています。ぜひこの船をもっと多くの人に届けていただければと思います。楽しんでください。
本作は、原作の因島を舞台に、島で生まれ育った主人公たちが、それぞれに自分や家族と向き合い、過去と未来をつないでゆく感動の物語。観ているうちに自分の過去を振り返り、未来へ新たな人生の舵をとるあなたの進水式になる作品である。
[撮影: Cinema Art Online UK / 記者: おくの ゆか]
イベント情報
<映画『望郷』公開初日舞台挨拶>
日時: 2017年9月16日(土)
場所: 新宿武蔵野館 スクリーン1
登壇者: 貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人、菊地健雄監督
映画作品情報
主演:貫地谷しほり 大東駿介
家に縛られた娘。亡き父に後悔を持つ息子。
ある島で起こるふたつの親子が贈る感動のミステリー
《ストーリー》
古いしきたりを重んじる家庭に育った夢都子(貫地谷しほり)は、故郷に縛られ生活をしていた。彼女は幼いころから本土にある“ドリームランド”が自由の象徴であったが、それは祖母や母(木村多江)の間で決して叶わない“自由”であった。月日は流れ結婚をし、幸せな家庭を築く中、ドリームランドが今年で閉園になる話を耳にする。憧れの場所がなくなる前に、彼女がずっと思い続けてきた事を語り始める―。一方、本土から転任の為9年ぶりに故郷に戻った航(大東駿介)のもとには、ある日、父(緒形直人)の教え子と名乗る畑野が訪問してくる。彼は、航が知らなかった父の姿を語り出し、本当の父親を誤解していた事を知る事となるが―。ある島で起こる、ふたつの親子の過去と未来をつなぐ感動の物語。
原作: 湊かなえ「夢の国」「光の航路」(『望郷』文春文庫 所収)
監督: 菊地健雄
脚本: 杉原憲明
制作/配給: エイベックス・デジタル
2017 / JAPAN / 112 min / COLOR / 1:1.85 / 5.1ch
©2017 avex digital Inc.
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