㊗公開記念舞台挨拶
杉咲花「分かり合えないと思う存在だからこそ歩み寄ることが大切」
「月刊アフタヌーン」(講談社刊)にて連載の今井哲也の傑作SFジュブナイル漫画を劇場アニメ化した映画『ぼくらのよあけ』が10月21日(金)に全国公開された。
10月22日(土)、公開記念舞台挨拶がTOHOシネマズ 日比谷で開催され、主人公・沢渡悠真役の杉咲花と黑川智之監督が登壇。さらにはスペシャルゲストとして元JAXA宇宙飛行士の毛利衛も駆けつけ、宇宙をテーマにトークが繰り広げられた。
杉咲花&黑川智之監督も感無量!!
第55回シッチェス・カタロニア国際映画祭での反響を観客と分かち合う
舞台挨拶の冒頭、10月6日(木)~16日(日)にスペインのシッチェスで開催された第55回シッチェス・カタロニア国際映画祭のアニメ・コンペティション(Anima’t)部門で『ぼくらのよあけ』が上映された時の会場での様子を収録した映像がスクリーンに映された。
「素晴らしく美しい映像でした」「すごく気に入りました」「たくさんの場面で泣きました」と現地の観客の反響に黑川監督は「夢のようです」と感無量。
シッチェスの上映会場のスクリーンで自身のコメント映像が上映された杉咲も「愛情のある映像に胸が熱くなりました。映像の美しさに感動する気持ちやこの映画からパワーを受け取るといった同じ思いを共有できたようで嬉しいです」と喜びを語った。また杉咲はナナコが海を越えてスペインまで行ってきたことに「行ってき来たんですね!」とほほ笑んでいた。
映画公開記念スペシャルゲストが登場!
元宇宙飛行士・毛利衛を交え、一般からの質問に回答
1992年と2000年にNASAの宇宙飛行士としてスペースシャトルのエンデバーに搭乗し、2度に渡る宇宙からの地球観測を務めたレジェンドがスペシャルゲストとして登場。盛大な拍手で迎えられると毛利氏は「(宇宙に行く度に)毎回宇宙人に会いたいと思いますが、宇宙飛行士は誰も宇宙人には会っていないはずです。でも悠真君は会ったんですよね?羨ましいです」とユーモアを交えて挨拶した。
そして事前にSNSなどを通じて一般から集められた質問に答える企画のセッションへ。
一つ目は「壮大な宇宙を旅するとしたら誰とどんな宇宙の景色を見たいか?」という質問。杉咲が「母親と太陽に照らされた地球を見てみたい」と答えると、黑川監督は「友達を連れて行けるだけ連れて行き、地球を見ながら男友達とバカ話をしたい」と楽しそうに話した。
実際に宇宙から地球を見たことのある毛利氏は「丸い地球が真っ暗闇にぽっかり浮いている。太陽の光で青々と輝いている」とその情景を語り、多くの方々にもそれを見せたいと、初代館長を務めた日本科学未来館に約200万分の1(直径6m)の地球型球体ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」のシンボル展示を制作し、球体表面のLEDの光で宇宙から見える地球を再現したことを紹介。杉咲と黑川監督に向けて「お母さん、お友達を連れて、ぜひ科学未来館でジオ・コスモスをご覧ください」と呼びかけると、杉咲は「行かせていただきます」と目をときめかせていた。
続いて「宇宙で食べてみたい宇宙食はありますか?」という質問に杉咲は「どんな宇宙食があるか調べてみたら切り餅があるみたいで、どんな風に食べるのかな?」と興味津々の様子。これに対して毛利氏は「宇宙酔いをしたときに“ツルん”と食べられるものがいいと思い、私もお餅を食べたことがあります。凍結乾燥したものを水で戻すと、つきたてのような餅になります。宇宙酔いをして食べ物が喉に入らなかったので、“ツルん”と喉を通って食べることができて助かりました」と自身の体験談を披露した。その話を聞いた杉咲は「食べ馴染みのあるものだと“ほっと”するのかもしれないですね」とコメントしていた。
黑川監督は宇宙という神秘的環境でシンプルなものが食べたいという。「おにぎりとかみそ汁はあるんですか?」と質問すると、毛利氏は「今は種子島からロケットを打ち上げることできるので、(到着が早くなり)新鮮なものも食べられるようになりました。また、温められるレトルトのごはんと梅干を持て行けば宇宙でおにぎりも作れます」と宇宙食の現状について解説した。
杉咲花と黑川監督から毛利衛へ質問
さらには、杉咲と黑川監督から毛利氏への質問コーナーも設けられ、杉咲は「記憶に残っている宇宙での景色は何ですか?」と質問。毛利氏は「最初に宇宙船の窓から地球を見たときの景色ですね。足元の方に地球があるはずだと思っていたら、上の方から青い地球が出てきたときはビックリしました。真っ暗な漆黒の宇宙と青々と輝く地球の対比が美しくて今でも記憶に残っています」と貴重な思い出を披露した。
黑川監督からは「最初に地球を見た時、大きいと思ったのか?それとも小さいと思ったのか?」という質問。毛利氏は「さすが素晴らしい質問ですね」と黑川監督の質問を称賛すると、「最初は大きいと思いました。宇宙ステーションは地球から400~500kmでそんなに遠くない距離なのですごく大きく見えます。ですが、地球を一周するのに僅か90分しかかからないので、そんな球体の上にすべての生命がいるのかと思ったら小さく見えました。(質問の答えは)両方です」と壮大な感想を披露した。
また、子供たちがミッションに挑むストーリーにちなんで「これまで大変だったミッション」を聞かれると、杉咲は「撮影で地方に行こうと新幹線に乗っていたら、大雨で6時間止まってしまいました。その間にコンビニに行ける時間があって、駅のホームに出るには横に止まっている新幹線を渡らなければならず、なかなかできない経験をしました」と思わぬアクシデントでの経験を告白。結局その新幹線は復旧せず、東京まで引き返して翌日飛行機で向かうことになったという。「私は現場に行けないのではないかと思ったので、自分にとってミッションでした」と最近の出来事を振り返った。
黑川監督は、直近のミッションとしては『ぼくらのよあけ』の製作と答えた上で、大学の卒業制作で短編映画を製作した時のことを振り返り、「未だに夢で見ます。夏休み返上で撮影する予定が夏休み終わったのに何もしていいない。あっ、夏休み終わっちゃった(笑)」とミッションを遂行できなかった苦い思い出を披露した。
最後に主演の杉咲花から観客に向けてメッセージ
これから映画を観る観客に向けて杉咲から「私はこの映画のラストシーンがとても好きです。悠真やナナコや宇宙船の関わりを通して、分かり合いたいと思う存在だったり、また分かり合えないと思う存在だからこそ、歩み寄る大切さを教えてくれる作品だと思います。それは対人関係を築き上げる際にも大事なヒントだなと思っていて、心に響くメッセージだと思います。美しくスペクタクルなこの作品にワクワクして、ささやかな勇気をもらっていただけたら嬉しいです」と温かいメッセージを贈り締めくくった。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『ぼくらのよあけ』公開記念舞台挨拶■開催日: 2022年10月22日(土) |
映画『ぼくらのよあけ』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》「頼みがある。私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか︖」 ⻄暦2049年、夏。阿佐ヶ谷団地に住んでいる小学4年生の沢渡悠真は、間もなく地球に大接近するという“SHIII・アールヴィル彗星”に夢中になっていた。 そんな時、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在にハッキングされた。 「二月の黎明号」と名乗る宇宙から来たその存在は、2022年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障、悠真たちが住む団地の1棟に擬態して休眠していたという。 その夏、子どもたちの極秘ミッションが始まった― |