- 2021-3-27
- AnimeJapan, アニメ, イベントレポート, トークショー, 日本映画
AnimeJapan 2021 AJスタジオ
Production Works Channel
【プリプロダクション】作品の骨格を作る脚本
~『サイダーのように言葉が湧き上がる』より~
3月27日(土)、世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2021」のAJスタジオに劇場オリジナルアニメーション『サイダーのように言葉が湧き上がる』のイシグロキョウヘイ監督と、脚本を担当した佐藤大が登壇し、「【プリプロダクション】作品の骨格を作る脚本」をテーマに、作品の骨格が出来上がるまでをじっくりと解説した。
「アニメ創りに、憧れを。」をテーマにAnimeJapanで毎年展開している「Production Works Gallery」が、今回はオンライン開催により「Production Works Channel」としてアニメの制作工程をプリプロダクション/プロダクション/ポストプロダクションと大きく3つに分けて、3回の配信番組でアニメの作り方を解説する構成となっている。
その中のプリプロダクションとして、映像制作のスタートとなる脚本作りについて『サイダーのように言葉が湧き上がる』の脚本を共同で手掛けた2人が解説。
イシグロ監督が「企画自体はフライングドッグから音楽もののオリジナルアニメのお話をいただいて、1年半くらい自分1人で回していたのですが上手くいかず、僕の方から佐藤大さんにお声がけしました」と振り返ると、佐藤は「元々イシグロ監督から最初にいただいたときはSFものだったんです(笑)。でも監督から現代劇ベースに変更したいと相談され、共同執筆という形でお互いに意見を出し合って、それを融合しながら作り上げていきました」と明かした。
『サイダーのように言葉が湧き上がる』の印象的な要素である≪ショッピングモール≫≪アナログレコード≫≪俳句≫の3つのキーワードについては、「毎週打ち合わせをしていく中で、1km圏内の限定的な場所で展開されるストーリーにしたいと思い、地方の風景が感じられるショッピングモールを舞台にしました。また、ありきたりな音楽ものにはしたくなかったので、音楽に関わる記憶を辿る話にしたいと思い、実際にレコードの現物を脚本打ち合わせの場に持って来たりして、互いに出てくるキーワードをピックアップしていきながらプロット化していきました」とイシグロ監督。
佐藤は、「少年が主人公の作品を作るとき、どうしてもモノローグに頼りがちになってしまうんです。でも今回はそこに頼らず、モノローグに匹敵するような心情のピンを打つものとして、最初にラップを思いつきました。ラップで練っていく中で、いとうせいこうさんの『俳句はラップの始祖だと思う』という言葉に感銘を受け、ラップから俳句へと繋がっていきました」と回顧した。
イシグロ監督からは、「こうやって、要素と要素が一方通行ではなく、回り道したり近道したりして脚本の中でだんだんと繋がっていきます。脚本は佐藤大さんが大元を担当して、自分は4パートのシナリオうち、1パートを担当しました。お互いが壁役になるとすごく意見が出しやすくて、1人で作業しているときには考えられないくらいのスピードでシナリオのアイディアが浮かんでくるんです。お互いアイディアをポンポン出し合って作り上げていったので、正直どっちが先に出したアイディアなのか分からないものも沢山あります(笑)。それが共同脚本の面白いところです」と、共同執筆の秘訣が語られた。
最後に、アニメ業界を目指す皆さんへメッセージ
佐藤は、アニメ業界に入るうえで道筋がなく一番大変だというアニメ脚本家について言及し、「アニメ以外に好きなことを隠し玉として1つ持っておくこと! 僕にとっては“音楽”です。まさにこの作品でもそうでした」と、これからアニメ業界に飛び込む方へメッセージ。
イシグロ監督は、「最終目標がアニメの監督だからとにかくアニメの勉強をしなきゃ!ということはしなくていいです。技術は後からいくらでも付いてきます。それよりも感性を磨いてほしい。自分の中の好きを先鋭化することが一番大事です」とアドバイスを贈った。
新公開日が決定!!
劇場オリジナルアニメーション『サイダーのように言葉が湧き上がる』の新公開日が7月22日(祝・木)に決定したことが同番組内で発表された。
イベント情報
AnimeJapan 2021 AJスタジオ
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映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》17回⽬の夏、地⽅都市――。 コミュニケーションが苦⼿で、俳句以外では思ったことをなかなか⼝に出せないチェリーと、⾒た⽬のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモールで出会い、やがて SNS を通じて少しずつ⾔葉を交わしていく。 ある⽇ふたりは、バイト先で出会った⽼⼈・フジヤマが失くしてしまった想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。ふたりはそれを⾃分たちで⾒つけようと決意。フジヤマの願いを叶えるため⼀緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。 だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って――。 物語のクライマックス、チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは⼼の奥深くまで届き、あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。 アニメ史に残る最もエモーショナルなラストシーンに、あなたの感情が湧き上がる! |
キャスト
スタッフ
演出: ⼭城智恵
プロップデザイン: ⼩磯由佳、愛敬由紀⼦
撮影監督: 棚⽥耕平、関⾕能弘
劇中歌:「YAMAZAKURA」⼤貫妙⼦
アニメーション制作: シグナル・エムディ×サブリメイション