- 2019-10-29
- Netfilix, イベントレポート, 第32回 東京国際映画祭, 記者会見
第32回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
Netflix映画『アースクエイクバード』記者会見
アリシア・ヴィキャンデル「彼の目の奥にストーリーがある」
ウエストモアランド監督「彼にはスターパワーがある」
ハリウッド映画デビューを果たした三代目JSB小林直己を絶賛!!
10月29日(月)、第32回東京国際映画祭(TIFF)にて、特別招待作品であるNetflix映画『アースクエイクバード』(原題:Earthquake Bird)の記者会見が六本木アカデミーヒルズ49で行われ、来日したウォッシュ・ウエストモアランド監督と主演女優のアリシア・ヴィキャンデル、本作でハリウッド映画デビューとなった共演の小林直己(EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)が登壇した。
本作は、イギリス人作家スザンナ・ジョーンズの小説をリドリー・スコットのプロデュースで映像化。物語は1980年代の東京を舞台に繰り広げられるサスペンス・ミステリー。東京と新潟・佐渡島で撮影が行われた。
《記者会見レポート》
前日に行われたオープニングのレッドカーペットイベントに続いて、3人が映画祭の公式会見の場に登場。それぞれから一言ずつ挨拶の後、司会を務めた奥浜レイラによる代表質問、そして会見に集まった各メディアの記者からの質問に答えた。
監督: オハヨウゴザイマス。カントクノ、ウエストウォッシュ・モアランドデス。ヨロシクオネガイイタシマス。
アリシア: ミナサン、コンニチハ。キョウハ、ホントウニアリガトウゴザイマス。ニホン二、モドッテコレテウレシイデス。
小林: Hi everybody! 2人が日本語で挨拶してくれたことを日本人として光栄に思います。今日はよろしくお願い申し上げます。
—— 完成した作品の感想、日本での撮影の感想をお聞かせください。
監督: 完成した作品を観るまで何カ月も編集に時間がかかりました。ある西洋人との日本との関わり、そして日本人との関わり、日本に来た外国人がどういう気持ちになるかが描かれていたと思います。これは私にとって、本当に特別な物語です。
アリシア: 幸いに何回か編集した段階の映画を観させていただいていました。今作がとても独創的なものになっていること、西洋で観たことのない映画であると同時にこんな映画は初めてだと思いました。スタッフの皆さん、出会う方々が優しくて私にとって本当に光栄な体験でした。
小林: 日本を題材にした素晴らしい映画、そして日本に対して尊重する気持ちを持ってくれている監督、キャスト、クルーの皆さんと仕事が出来たことを嬉しく思います。
自分にとって初めて英語を中心に喋る役が『アースクエイクバード』という作品で、本当に光栄ですし、またこの作品は日本に生まれ育った方や日本に興味を持っている方々がとても興味をそそる内容になっていると思います。是非多くの人に観ていただきたい作品です。
—— 日本語のセリフも多かったですが、日本語へのチャレンジはいかがでしたでしょうか?印象に残ったロケ地はありましたか?
アリシア: 先程、短い日本語を使うだけでも凄く不安になったので、どれだけ大変だったかはお分かりになると思うのですが、現場はもっと安心して喋れる環境でした。
私は(スウェーデン出身なので)元々はスウェーデン語ですから、英語を話す映画に転換したという経験をもっています。ここ数年、世界がどんどん小さくなっていっていますが、色んな文化が混ざり合うそういう新しい芸術が生まれる環境にあると思います。
日本語を覚えるということは、日本文化を知ることになります。私は日本に住んで、仕事をしたことを本当に嬉しく思いますし、色んな人々と出合って友達にもなりました。お蕎麦を食べに行ったこともありました。
小林: アリシアはとても箸の使い方が上手くて何も言うことがないです。
—— 初のハリウッド出演において意識されたこと、今後の展望についてお聞かせください。
小林: 母国語ではないので準備をしっかりしました。禎司という役には、同じ日本に生まれ育った人間として共感あうる部分、内に秘めている価値観だったり、大切なものということではリンクする部分があったのでそこから探して行った中で、カルチャーや価値観、精神性に関しては、役作りをさせてもらいました。アリシアとは役者同士として信頼関係を築くことができました。
先日、第63回ロンドン映画祭でリドリー・スコットさんからも「映画にとって必要な存在感があるから(役者を)続けた方がいい」と言われたので、アリシアさんや監督を追いかけて頑張りたいです。
—— 日本語を覚えるにあたってどのようにアプローチしたのでしょうか?
アリシア: 東京での設定なので、全員が英語で喋るのは不自然だということで、シーン毎に、例えば直己さんとのシーンでは、ここは英語だけれど、ここは日本語にした方がいいと本当に細かくディスカッションしたんですね。
ルーシーは自国を捨てて新しい国で生きていこうという覚悟を持って来ている人なんで、出来るだけ上手く喋れなければいけないということがありました。最初に英語で全部コーチや女優さんもいたんですが、その人たちに英語でまず言って、言葉を変えながら2、3回翻訳し直してやっと台本が出来上がりました。
—— スウェーデンと日本での違いや共感できたところはありましたか?
アリシア: 子どもの頃から日本に行ってみたいとずっと思っていたんです。もちろんその時は全然違う文化だと認識していました。実際に来てみると、非常にスウェーデンと日本は美意識という感覚が似ているし、またミニマリストという部分も同じ、器用で木やガラスを使う、行列が好き、靴を脱いで家で過ごす、ピクルス(漬物)や生の魚を食べるという点は日本と近しいという気がしました。
監督: よく他の映画ですと、日本と西洋はこれだけ違うんだというところを強調する作品が多いんですけれど、ルーシーはすごく日本に溶け込んでいて、ある時、「君は日本の女性らしくない」と言われるシーンで非常に反発します。やはりそのような意識が高いんだと思います。
—— 日本と西洋ではスリラーの意味合いは違いますか?
監督: 本作はスリラーという感覚はあまりなくて精神的なドラマという風に思っているんですね。謎な部分はルーシーの脳内で起きている、または過去に関係しているということがありますので、よく1990年代に観られたスリラーではなくて、非常に心理的なドラマだと思います。
—— いつも素晴らしい女優さんたちと仕事をされていますが、本作でアリシアとライリーを起用した理由をお聞かせください。
監督: 私は世界の名だたる女優さんたちと仕事をしてきました。本作では、キャスティングをする際にすぐにアリシアさんのことを思い浮かべました。
アリシアさんとは、以前にもお会いして知り合いだったのですが、必ず彼女だったらやってくれると確信を持ちました。とにかく色んな会話をしまして、キャラクターの複雑さを話し合って決めていきました。
彼女は日本語を習得しただけでなく、今回チェロも自分で弾いていらっしゃるんですね。毎日現場に着いて彼女はより深く掘り下げてくださるので、本当に彼女との仕事は喜びで溢れていまして、彼女から多くを学びました。
リリー役をキャスティングするにあたっては、とにかくルーシーとは完全にエネルギーの違う真逆のキャラクターと思いました。ライリーさんとはスカイプで何回かお話をしました。特に非常にエネルギーを感じたんですね。私は彼女の作品の大ファンでもありました。彼女なら、ルーシーとリリーの非常に複雑な関係性を上手く出していただける、そして明と暗が混ざって逆に入れ替わっていくようなそういうようなところも演じ分けてくれるのではないかと思いました。
—— 普段撮られる側ですが逆の立場を演じてみてどうでしたか?
小林: 普段撮られる方が多いですけども、撮ると考えた時に禎司にとってのカメラってどんな存在かと考えてました。僕にとってのダンスみたいなものかと。自分の心の内を表現する時に一番フィットしているもの。なのでこれまでダンスと向き合ってきたのと同じようにカメラと向き合う時間が必要だと思いまして、撮影が始まる5カ月くらい前から1980年代のモデルを買って東京の街を撮りました。もちろん当時はファリムカメラですので自分で現像しました。
自分は何が撮りたいのか、そして、それと同時に禎司は何を撮りたいのかということを探っていくことで禎司という人間を見つめました。ディスコでダンスを踊るシーンは、僕のすごく大好きなシーンで、僕のダンスを見てくれている方も喜んでくれるシーンじゃないかなと思います。あのシーンに関しては物語として大事なシーンで映画の要素として監督からリファレンスがありまして、黒澤明監督の映画『酔いどれ天使』(1948年)という作品の中に参考になるシーンがありまして、そこから1980年代の衣装や踊りのスタイルなどをインスパイアを受けて監督と、僕とライリーとでリハーサルを重ねました。
—— 小林の演技をどう感じましたか?
アリシア: 監督からは色々と聞かされていたんですね。事前準備にどれだけかけたのかというところが本当に驚きました。ダンスから演技に転向し、さらに今回は映画で演技するという非常に大きな役割だったと思うんですね。
いつもカメラを持って撮影されていました。彼の目の奥にストーリーがあるんです。目で語れることは俳優として大事なことだと思うんです。お互い助け合いながら、親しくなれました。
監督: 色んなオーディションをしましたが、なかなか禎司役が決まらない中、小林さんがオーディションにいらして、私は、「彼だ!」と決めた訳なんですが、彼の中には非常に激しい部分、闇の部分、複雑な部分と色んな要素があります。本読みを重ねた上で、これが禎司だと感じました。そして「彼にはスターパワーがある」と申し上げました。
—— 原作を映画化するにあたって、映画に向いている部分を抽出されたのでしょうか?それとも、映画ならではの視点を加えていったのでしょうか?
監督: 1980年代に日本で暮らしていたスザンヌ・ジョーンズの作品ですが、私はその時彼女とは会っていませんでした。初めてこの本を読んだ時に非常にコネクションを感じました。本は一人称で書かれているので、いかにルーシーの視点をキープしながら作品を作っていくかというところで全てのシーンにルーシーは出ています。
色んな演技を付け加えてもいいかと作者に尋ねたところ彼女もサポートしてくれました。本から映画化になった時はオリジナルの持つ気持ち、魂は必ず維持しないといけないと思います。
Netflixオリジナル映画『アースクエイクバード』は、11月15日(金)からのNetflixにて独占配信開始!また、配信開始に1週間先駆け、11月8日(金)からアップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて劇場公開される。
フォトギャラリー📸
イベント情報
第32回 東京国際映画祭(TIFF) 特別招待作品
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Netflix映画『アースクエイクバード』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》1980年代の東京で、日本人写真家と恋に落ちた外国人女性。だが、やがて彼女は三角関係に心乱され、行方不明だった友人殺しの容疑までかけられる。 |
原題・英題: Earthquake Bird
2019年11月15日(金)より独占配信開始!
アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!