第47回 日本アカデミー賞 授賞式 新人俳優賞
新人俳優賞8人が語る、感謝と演じることへの想い
黒川想矢、柊木陽太の実直な言葉に会場も聞き入る
3月8日(金)、「第47回 日本アカデミー賞 授賞式」が、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール「崑崙」で開催。昨年『ケイコ 目を澄ませて』で第46回最優秀主演女優賞受賞した岸井ゆきのと、第43回~第46回授賞式に続き5回目となるフリーアナウンサーの羽鳥慎一が司会を務め、各部門の最優秀賞受賞者および最優秀作品などが発表された。
高橋文哉は「芝居の一番の赤ちゃん」と決意を口に
アイナ・ジ・エンドは「キリエの歌で生きていていいと思えた」
これからの映画界を担うことが期待される「新人俳優賞」は、アイナ・ジ・エンド(『キリエのうた』)、桜田ひより(『交換ウソ日記』)、原菜乃華(『ミステリと言う勿れ』)、福原遥(『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』)、市川染五郎(『レジェンド&バタフライ』)、黒川想矢(『怪物』)、高橋文哉(『交換ウソ日記』)、柊木陽太(『怪物』)の8人が受賞。それぞが感謝と演じることへの熱い想いを口にし、会場が聞き入る場面も見られた。
まずプレゼンターの妻夫木聡が、「25年間俳優をしている中で、たまに『一つの映画で人生を変えることができるのか』と思うことがあります。そして僕は、それができると思っています。人生に答えはないけれど、映画という存在がその道しるべになる。そのために僕たちは作品に向き合わないといけない瞬間があって、それは孤独な時間だし、とてもつらい瞬間だと思います。でも、忘れないでほしいのは映画は絶対に裏切らないということです。そして後ろには僕たちがいるから、本当に精一杯芝居を楽しんでください」と力強いエールを送り、受賞者一人一人に表彰状を渡した。
トップバッターの市川は感謝の言葉を口にした後、「森蘭丸という役は、個人的に10代の内にしかできない役だと思っています。その10代の内に、この役に出合えてうれしく思っています」と、自身が演じた役との絶妙なタイミングでの出合いに感謝を伝えた。
14歳の黒川は「僕は今2つの自分と戦っています。怪物で演じられたのは、たくさんの方々のサポートと運でしかないという自分と、まるで自分の力でやり遂げたと勘違いしてしまう自分です。これから先、この戦いは長く続くと思いますが、僕は、毎回この感情の戦いに打ち勝って、常に優しい人間であり、俳優でありたいと思います」とたどたどしくも純粋な想いを実直な言葉で伝え、母親役を演じた安藤が真剣に聞き入る姿も見られた。
同じく『怪物』で受賞した柊木は「皆さんと一緒に頑張ってつくった作品がこのような大きなものにつながったことをうれしく思う。初めて出演した作品が怪物でうれしいですし、演じられて幸せでした。同時に、これから先も俳優をやっていくうえで越えなければいけない壁になるとも感じています。ここにとどまらずに前を向いて着実に努力を積み重ね、たくさんの人の心に届くお芝居をして、またいつかこの場所に戻ってこれるように頑張りたいと思います」と大人顔負けのスピーチを披露した。
高橋は、自身を「ここにいる人の中で芝居の一番の赤ちゃん」と表現。「ここからまだまだたくさんの道のりがありますが、僕は芝居が好きです。そして芝居で役を生きている自分がもはや自分自身なのではないかと思うくらい、自分らしく役ができていると思います。大先輩が作り上げた映画界の道のりをこの先も自分らしく、全速力で、演じ続けて走り抜けて、またここに立ちたいと思います」と芝居へのほとばしる想いを伝えた。
アイナ・ジ・エンドは、「自分がお芝居の世界に飛び込むことは不安で仕方ありませんでしたが、広瀬すずさんや松村北斗さんがお芝居の教科書みたいに背中でたくさん波動を出してくれて、『お芝居って楽しいもの』と教えてくれました。私の心はいつもヒリヒリしていたけど、キリエの歌で『生きていていいんだ』『私の歌はこのまま魂を宿して歌っていけばいいんだ』と岩井さんに教えていただきました」と、同作に出合えた喜びを自身なりの表現で伝えた。
桜田は、「この世界に入って16年が経ちました。ここまで支えてくれた家族、友人、関係者の方々、応援してくれる方々にはに本当に感謝しかありません。私はここからがスタートだと思っています。今後も役と、作品と丁寧に向き合って生きていきたいです」とシンプルながらも素直な想いを口にした。
原は、もともと同作の連続ドラマ時代からのいちファンだったことにふれ、「撮影中もずっと自分でいいのかという思いがありましたが、監督、菅田さんはじめキャストの皆さま、スタッフの方々が本当に温かく何度も助けていただいて何とか演じきることができたと思っています」と撮影を振り返りコメント。
幼少時からの長いキャリアを持つ福原は「小さなころから側で支えてくれて、誰よりも応援してくれた祖母が先日亡くなりました。祖母といつかアカデミー賞の場に立つことを夢見ていたので、他界前にこのすてきな報告をできたことがとてもうれしかったです。少しでも皆さんの心を動かせるよう精進していきたいです」と声を詰まらせながらも笑顔で締めくくった。
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イベント情報
第47回 日本アカデミー賞 授賞式■開催日: 2024年3月8日(金)
■会場: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール「崑崙」
■司会: 羽鳥慎一(アナウンサー)、岸井ゆきの(女優)
■副賞協力: TASAKI
■協賛: サラヤ
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