少女が悲しき怪物「フランケンシュタイン」を産み落としたわけとはー。
世代を超えて愛され続け、ティム・バートンやギレルモ・デル・トロ、デヴィッド・リンチら今世紀の鬼才たちに多大なる影響を与えたゴシック小説「フランケンシュタイン」。誕生から200年経った今、これまでヴェールに包まれていた作者メアリー・シェリーの美しくも切ない、波乱に満ちた人生が明かされる。可憐で聡明でありながら、数々の不幸にさいなまれ、その度に才能を開花させていく主人公・メアリーに魂を吹き込んだのは『マレフィセント』(2014年)で注目を浴び、世界中から圧倒的な支持を集めるエル・ファニング。息をのむほど美しく、感情を揺さぶる衝撃の実話が12月15日(土)、ついに公開を迎えた。
《ストーリー》
19世紀のイギリス。作家を夢見るメアリーは退屈な日常や折り合いの悪い継母と離れ、父の友人のもとで暮らし始める。そんなある日、屋敷で行われた読書会で異端の天才詩人と評判のパーシー・シェリーと出会い、お互いの才能に強く惹かれ合うように。
情熱に身を任せ、駆け落ちをした二人の間には女の子も産まれ、幸せな日々が続くのも束の間、借金取りから逃げる最中に最愛の娘が命を落としてしまう。
絶望の闇に落ち、失意の底にいるメアリーは悲しみを綴る以外に何もする気力がなくなってしまっていた。
ある時パーシーとともに滞在していた悪名高い詩人・バイロン卿の別荘で「皆で一つずつ怪奇談を書いて披露しよう」と持ちかけられたメアリー。深い悲しみに包まれ、孤独と喪失に打ちひしがれた彼女の中で、何かが生まれようとしていた。
《みどころ》
道ならぬ恋、愛と放蕩、最愛のわが子の死―。この作品の中で描かれている根本的なテーマは「愛」なのではないかと思う。若い女性から大人の女性へと成長をしていくとき、その過程で多くの感情を突き動かしているのは愛であり、自分の内なる声に耳を傾け、殻を破って外に踏み出していこうとするとき、人はより一層傷つき、苦しみ、そして強くなる。
そんな主人公メアリーが変身していく姿を見事に演じ切ったエル・ファニングの演技力にはただただ脱帽するばかりだ。彼女はフランケンシュタイン執筆時のメアリーと自分の年齢が近いことや、斬新な考え方が似ていることから、自分にとって理想的な役柄であったとインタビューで話しているが、メアリーの強さや反骨心の裏に隠された落胆や喪失、孤独といった繊細な感情を痛いほど忠実に再現していると言えよう。
また、19世紀のイギリスを舞台にして描かれた作品ということもあり、ロマンティックな屋敷や街並み、そしてなんといってもメアリーが身に着けるエレガントなドレスの数々には目を奪われること間違いなしだ。マンスール監督は「時代設定にしっくり合い、なおかつ現代人の感覚に訴えるファッショナブルでエレガントなものにしたかった」と話しており、カロリーヌ・クーネルが作り出した素晴らしい衣装の数々に太鼓判を押した。
胸を打たれるエモーショナルなストーリーはもちろん、細部までこだわり抜かれた映画の世界観もぜひ楽しみながら鑑賞してほしい作品になっている。
映画『メアリーの総て』予告篇
映画『メアリーの総て』本編映像 (エル・ファニング ベッドシーン)
映画『メアリーの総て』エル・ファニング インタビュー映像
映画作品情報
出演: エル・ファニング、ダグラス・ブース、ベル・パウリ―、トム・スターリッジ、ベン・ハーディ
2017年 / イギリス、ルクセンブルク、アメリカ / 121分 / カラー / シネスコ / 5.1chデジタル / 字幕翻訳:牧野琴子 / 配給: ギャガ
シネスイッチ銀座、シネマカリテほか 全国順次公開!
公式Instagram:@maryshelley_jp