映画『インクレディブル・ファミリー』
(原題:Incredibles 2)
夫婦の役割をチャンジ!
ヒーロー一家は内外のトラブルを乗り切れるか?
『Mr.インクレディブル』(2004年)は第77回アカデミー賞で2部門(長編アニメーション賞、音響編集賞)受賞し、世界中の観客を魅了した。待望の続編『インクレディブル・ファミリー』が14年ぶりに公開された。
本作は、『トイ・ストーリー』(1995年)や『モンスターズ・インク』(2001年)を手掛けたピクサー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション映画20作目という記念すべき作品。5人のヒーロー家族が家事や育児、そして世界の危機を驚異のスキルと家族の絆で乗り越える。
全米では公開3日間で200億円を超える大ヒットスタートを切り、歴代アニメーション作品№1の週末オープニング記録を樹立。さらに公開からわずか24日間で556億円を突破した。これは『アナと雪の女王』、『トイ・ストーリー』、『ファインディング・ドリー』を上回る記録である。
夫が家事を担うには家族の協力が不可欠
前作でボブ(Mr.インクレディブル)が会社をクビになり、ヘレン(イラスティガール)は仕事を見つけて家計を支えようと考え始める。そんなときにフロゾンを通じて、ヒーロー復活をかけたミッションが舞い込んだ。ボブは張り切るが、仕事を任されたのはボブではなく、ヘレンだった。
ボブは「家事は任せろ」といい、突然の依頼に戸惑うヘレンの背中を押す。本音は自分が働いて、一家を養いたい。しかし、妻の社会復帰を励ますのが理想的な夫と考えたのである。とはいえ、未経験のボブにうまくやれるはずがない。ヘレンはうっかりそれを言葉に出してしまい、ボブのやる気をそいでしまう。これ、主婦にはあるあるなこと。思わず自分を振り返り、どきっとする人もいるだろう。心配な気持ちはわかるが、ここはぐっと我慢して、任せきることが大事。
子どもたちの意識改革も必要。作品内でダッシュが探し物をしているとき、声を掛けたボブにダッシュは「ママに聞くからいいよ」と突っぱねたが、これは厳禁。まずは父親を信用する気持ちを育てておきたい。ヴァイオレットが父親に感謝の気持ちを伝えたときのボブのうれしそうな顔を見れば、何がやる気を起こさせるのか、一目瞭然である。
スパイ映画のようなアイテムに心が踊る
もちろんアクションものとして、ワクワクさも忘れていない。今回はイラスティガールが文字通り、体を張って任務を遂行する。体がゴムのように伸びる特性をうまく活かし、車体が前後に分割する特殊なバイクに乗り、道路を逆走したり、ビルからビルに飛び移ったりする。そのドライビングテクニックは『ミッション:インポッシブル フォールアウト』でパリの街をバイクで疾走していたイーサン・ハントに引けを取らない。自らの体をパラシュートにして飛び降りたり、飛行機で逃げる敵には飛び移って追い詰めたり。イーサン・ハント顔負けの活躍ぶりを見せる。
Mr.インクレディブルの愛車インクレディビールも登場する。リモコンや音声認識で作動し、水陸両用。脱出ポッドまで付いている。まるでボンドカーだ。リモコンでも動かせるので、ボブやダッシュが嬉々としてリモコンを手にしていた。ヒーローとしての能力が開花したジャック・ジャックに関するガジェットも見逃せない。ダッシュはまるでジャック・ジャックでゲームをしているかのように楽しそうに扱っていた。また家族が依頼主から借りた家はリモコン1つで、リビングに室内池や滝を作り出す。「ちょっと、そのリモコン貸して」とスイッチを押したくなるだろう。
後半は家族総出で悪と戦う。ここで前半での意思改革が功を奏す。家庭の中も外もきっちり爽快に決着をつけたヒーロー一家の今後が楽しみである。
映画『インクレディブル・ファミリー』(吹替え版) 予告篇
映画作品情報
《ストーリー》彼らは、どこにでもいるフツーの家族…ではない。パパもママも3人の子供も、それぞれ異なるスーパーパワーを持ったヒーロー家族なのだ!超人的なパワーをもつパパ、ボブ、伸縮自在なゴム人間のママ、ヘレン、超高速移動できる長男ダッシュと、鉄壁バリアで防御できる長女ヴァイオレット。さらに、スーパー・パワーに目覚めたばかりの赤ちゃんジャック・ジャック…その潜在能力は、まだ未知数。家事も育児も世界の危機も、驚異のスキルと家族の絆で乗り越える、この夏最高の一家団結アドベンチャーが誕生した! |