ぜひ劇場で、自分自身の内面を見つめてほしい!
最後に、プロデューサーとして映画製作を立ち上げ、役者として出演したお二人に、これから映画『MANRIKI』を観る方に向けてメッセージをいただいた。
観ておいて良かったと思えるような映画にしていく
斎藤: 100人に刺さる映画ではないと思うけれど、100人の中の1人の人生をもしかしたら変えてしまうような深度を持っているような映画だと思います。“ココを観てほしい”というよりは、まず予告を試しに観ていただきたい。そこで何か感じるものがあった人には刺さると思うし、何も感じない人はもしかしたら刺さらないのかもしれない。
自分自身を映し出す映画になっていると思うので、これ以上ないくらい自分と向き合う時間を味わってもらいたいですね。
あとは、(制作会社や配給会社がなかなか決まらなかったことで、)今日本で作ってはいけない映画と烙印を押されたことが、僕は最大の看板かなと思う。日本映画が失った“強度”みたいなものを、アートチームの表現で包み込んで、世界と戦おうと思って作った映画。この映画を海外にまで旅をさせて、永野さんという“才能”と、清水監督の映像を海外の人に気づかせるのが大きなミッションだと思っています。その2つを“映画”という形で世界にプロモーションしたいという野望があるので、上映後も含めて『MANRIKI』を観ておいて良かったと思えるような映画にしていくつもりです。
周りの反応を楽しみながら、映画と向き合ってほしい
永野: 日によって言うことが変わってしまうのですが、軽く見て軽く笑うこともできる映画ではありますが、自信はあるので心してみてほしいという気持ちもあって…本気だけど本気じゃない、でも、ただふざけているわけじゃない。「軽く見てください」と言っていたけれど、ある近しい後輩に見せたとき本当に軽く「いや~ウケました」と言われたら結構頭にきて(笑)。楽しみながら、深読みもして観てほしい。難しいですかね(笑)。
斎藤くんも言っていたように、劇場で映画と一対一で向き合うのと同時に、日本人は周りの雰囲気を気にする方が多いと思うので、ぜひ周りの反応も大いに気にしながら劇場で見てほしいですね。隣の人と「これは気まずい、いいのかな」、「ここ笑っていいんだよね?」「ここであいつ笑うんだ」みたいな。これは塗り替えると思いますね、記録を!単館なのに『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)くらいヒットしてほしいね(笑)。
斎藤: 古い(笑)!
永野: 狙ってます!もしくはムツゴロウ原作の『子猫物語』(1986年)。
斎藤: もっと古い(笑)。
『REX 恐竜物語』(1993年)は?
あと『北京原人 Who are you?』(1997年)(笑)。
[インタビュー: 深海 ワタル、金尾 真里 / スチール撮影: 坂本 貴光]
プロフィール
斎藤 工/齊藤 工 (Takumi Saitoh)俳優、映画監督。 1981年、東京都生まれ。モデル活動を経て2001年に俳優デビュー。 最近の主な出演作に映画『家族のレシピ』、『麻雀放浪記2020』、ドラマ「臨床心理学者 火村英生の推理2019」、「最上の命医2019」他。齊藤工名義の監督映画『blank13』で、第20回上海国際映画祭の「アジア新人賞部門」最優秀新人監督賞を受賞するなど国内外で8冠を獲得。白黒写真家としても作品を発表、映画館のない地域へ映画を届ける移動映画館「cinēma bird」を主催するなど、幅広く活躍中。2020年公開待機作に映画『糸』、『ヲタクに恋は難しい』『シン・ウルトラマン』がある。 |
永野 (Nagano)お笑い芸人。 1974年、宮崎県出身。高校卒業後、オーディションを経て、1995年にホリプロからピン芸人としてデビュー。現在はグレープカンパニーに所属。 「ゴッホより、普通に、ラッセンが好き」のネタで大ブレイク。現在も続けている小劇場やなどでの単独ライブでは、得意とするシュールな芸風の一人コントで衝撃を与えている「孤高のカルト芸人」。 |
映画『MANRIKI』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》日本。秩序と混沌の国。美と醜の国。過度な経済成長で得た豊かさの代償として、国⺠は様々なコンプレックスを抱えている。 醜きを覆い隠し、美しきことのように振る舞う。奥ゆかしさとも⾔えるその性は、この国の様式美そのものなのだ。 整形しているモデルの⽅が仕事が多い。駆け出しのファッションモデルが仕事欲しさに小顔矯正を決意。美容クリニックを営む美しき整顔師に小顔矯正施術を依頼し、モデルは変身を遂げる。整顔師 の猟奇的哲学と万力によって・・・。 ざる蕎⻨を⾷べたのち、整顔師はクリニックを去り、新たな野望の地へ向かう。場末の街で美人局をするフーテンと年増。彼らと整顔師が突如遭遇することにより、物語は加速してゆく。 光と闇。主観と客観。偽善と必要悪。美と醜。我々は、万力の間で暴かれる。世は、人は、すでに醜く美しい。 |
監督・脚本・編集: 清⽔康彦
共同配給: HIGH BROW CINEMA / 東映ビデオ
シネマート新宿ほか全国順次公開!
公式Instagram: @manrikimovie