映画『明日にかける橋 1989年の想い出』
越後はる香インタビュー
自然体で演じることができた、太田監督との現場
静岡県袋井市、磐田市、森町で全面ロケ、地元市民グループによって企画・製作された映画『明日にかける橋 1989年の想い出』が有楽町スバル座にて公開中で、全国順次公開される。
人生に後悔を抱えて生きる主人公みゆきを演じるのは、『花とアリス』(2004年)、『軽蔑』(2011年)などで確かな演技を見せる鈴木杏。主人公の父親役に、芸人・俳優・監督として幅広く活躍する板尾創路。母親役に、NHK朝の連続テレビ小説『あぐり』(1997年)で人気を博した田中美里。主人公の高校生時代を演じるのは、期待の新人、越後はる香。その他にも、『渡る世間は鬼ばかり』(1990年~2011年)の藤田朋子や、日本映画界の重鎮、宝田明など豪華キャストが脇を固める。
監督は、『青い青い空』(2010年)、『朝日のあたる家』(2013年)、『向日葵の丘 1983年の夏』(2015年)と3作品連続で静岡県をロケ地とし、毎回、涙と感動を届ける太田隆文。
主人公・みゆきが後悔を抱える元となったある出来事は、1989年を舞台に展開される。そこから21年後の2010年から、再び1989年バブル最盛期にタイムスリップするというまさに日本版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の感動ドラマが完成した。
主人公・みゆきの高校生時代を演じた越後はる香さんに、映画初出演を果たした気持ちや、現場で感じたことなどを伺った。
―― 初出演された映画の公開を迎えて、どのようなお気持ちですか?
1年前に撮影した作品が公開を迎えて、多くの方に観ていただけると思うと、とても嬉しいです。
―― オーディションによって、映画の出演が決まったとのことですが、オーディションを受けようと思われたのはなぜですか?
以前から、映像のお仕事をしてみたいと思っていたので受けました。オーディションの内容は、映画の中のワンシーンを演じるというもので、先生に対してみゆきが気持ちをぶつけるシーンが課題でした。オーディション当日までに気持ちを作って、本番で思いをぶつけました。
―― 出演が決定したときは、どのようなお気持ちでしたか?
とても嬉しかったですが、不安もありました。初めての映画出演だったので、ドキドキしました。
―― 太田隆文監督とのやりとりで、印象的だったことはありますか?
衣装合わせの時に、太田監督から「どういう音楽が好きなの?」と質問されて「尾崎豊と宇多田ヒカルが好きでよく聴きます」と言ったら「えっ!?僕、今から尾崎豊のCDを渡そうと思っていたんだよ」と言われて、ビックリしました。その時に、みゆきは尾崎豊の曲をよく聴いている女の子というイメージだと知り、スムーズに役に入ることができました。
―― 尾崎豊さんが好きという同年代のお友達、あまりいないのでは?
そうですね。尾崎さんを好きな友人はいますが、私ほど常に聴いている友人はいないです。私は、母が尾崎さんのファンだったことがきっかけで好きになりました。
―― まさに、みゆきそのものですね。太田監督の、現場での印象はいかがでしたか?
あれこれ指示を出すのではなく「自分の思うようにやってみて」と言ってくださり、自然体で演じさせて下さる方だったので、とてもリラックスして演じることができました。
―― 大人になったみゆき役の、鈴木杏さんとの共演で印象に残っていることはありますか?
鈴木杏さんと初めて現場でお会いした時に、みゆきとして、同一人物だとわかるように“耳を触る”癖を一緒に考えたことが楽しかったです。
―― ロケ地の静岡県に行かれたのは初めてですか?
はい。初めてです。ゆっくりとした時間が流れていたので、好きになりました。休みの日に、茶畑を通って散歩をして、こんな風に自然に囲まれて暮らすのもいいなあと思いました。
―― 地元の方とのふれ合いはありましたか?
はい。地元の方が、朝ご飯用に用意して下さったおにぎりが、炊き込みご飯だったり、鮭だったりと中身が毎回違うので、今日はどんなおにぎりなんだろうとワクワクしていました。
昼も夜も地元の方がケータリングを用意して下さり、出来たてのご飯に癒やされました。特に、夜のケータリングは、撮影中に食べる時はお弁当型にして下さって、撮影がはやく終わった時は、バイキング形式にして下さっていたので、私たちのことを考えて作って下さっていることに感動しました。
―― 1989年にタイムスリップするという設定ですが、越後さんはまだ生まれていなかったバブル時代をどう思いますか?
踊っているイメージです(笑)。扇子を持って踊っている女の人のイメージが強いです。
―― 映画の中で、みゆきが使っていたカセットウォークマンは使ったことありましたか?
撮影で初めて使いました。太田監督に「カセットテープはこうやって入れるんだよ」って教わりながら使いましたが、レトロなものが好きなので楽しかったです。
今はスマートフォンで音楽を聴いているので、カセットウォークマンの大きさには驚きました。
―― 重さも違いますよね。映画の中で、高校生のみゆきが友達に「“明日橋”を渡ろうよ」と言われても渡らなかったのはなぜだと思いますか?
みゆきが橋を渡る場合、過去に戻れるかもしれないと期待して渡ると思うのですが、橋を渡っても向こう岸まですんなり渡れてしまったら逃れられない現実を突きつけられたようで、余計に気持ちが沈んでしまう。今、過去に戻ったところで両親や弟との関係を修復できるとは思えないという諦めもあったと思います。
―― 大人になったみゆきはどうして橋を渡ったと思いますか?
2人の後輩が引っ張ってくれて、背中を押してもらったことで橋を渡れたのだと思います。
―― 越後さんご自身は、未来の自分に会ってみたいと思いますか?
会いたくないです。未来を知って生きていきたくないから、占いも見ないようにしています。例えば星座占いで今日の運勢が12位だと知ってしまったら、その日一日「今日は最下位の運勢なんだ」と思いながら過ごしてしまうくらい影響を受けてしまいます。
星座占いで、1位なら嬉しい気持ちで過ごせるけれど、最下位だったら暗い気持ちになってしまいます。自分の人生を先に知ってしまったらつまらないという思いもあるので、未来を知りたくはないです。
[ヘアメイク: 宇賀 理絵]
プロフィール
越後 はる香 (Haruka Echigo)2000年10月19日生まれ。兵庫県出身。 映画『明日にかける橋 1989年の想い出』(2018年)は、オーディションで役を勝ち取り、映画初出演を果たす。今後も、映画『暁闇』(2018年11月公開予定)に出演するなど、期待の新人。 |
映画『明日にかける橋 1989年の想い出』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》主人公のみゆき(鈴木杏)は30代のOL。とある田舎町で暮らしている。 そんな2010年の夏のある日、夢がかなうという明日橋を渡ったことでなんとタイムスリップ! |
撮影: 三本木久城
照明: 石川欽男
録音: 植田中
美術: 竹内悦子(A.P.D.J)
衣裳: 丸山江里子
ヘアメイク: 大久保恵美子
制作担当: 酒井識人
助監督: 富澤昭文
題字: 大石千世
音楽: 遠藤浩二 整音・効果: 丹雄二
制作: 青空映画舎
配給: 渋谷プロダクション
製作: 「明日にかける橋」制作実行委員会・静岡朝日テレビ・富士コミニュケーションズ
8月11日(土)よりテアトル梅田、
9月1日(土)より静岡県内ほかにて全国順次公開!