完成報告会見
キャストが「言葉にできない」と圧倒される世界観!
米津玄師もほれた“体と心で感じる”壮大なアニメが完成
自然世界への畏敬を下地に、独特の線使いと描画表現で読者を魅了し続ける漫画家・五十嵐大介。初長編作品「海獣の子供」(小学館IKKICOMIX)では、“14歳の少女”と“ジュゴンに育てられた兄弟”のひと夏の出逢いを、圧倒的な画力とミステリアスなストーリー展開によってエンターテインメントへと昇華させた。壮大で美しい世界観を誇り、映像化は不可能といわれてきた同作を、映画『鉄コン筋クリート』他でのハイエッジな映像表現で世界から注目を浴びるSTUDIO4℃がついにアニメーション映画化。米津玄師が主題歌「海の幽霊」を手がけることでも大きな話題を集めている。
6月7日(金)の全国公開に先立ち、5月9日(木)帝国ホテルで完成報告会見が実施。主人公・安海琉花の声優を務めた芦田愛菜はじめ、主要キャストの声を担当した石橋陽彩(海役)、浦上晟周(空役)、森崎ウィン(アングラード役)、田中泯(ジム役)、渡辺歩監督が登壇した。登壇者は、完成作を見た感想やアフレコ現場での裏話、米津の主題歌に対する印象などを各々の感性と率直な言葉で語った。
芦田真菜「作品に命を感じました」、森崎ウィンはつい人生を振り返る!?
完成作を見たキャストの思い
会見は渡辺監督の「スタッフ、キャストが心をこめて描き、演じきったと言い切れる作品。無事に完成してうれしいのひと言です」との言葉で幕を開けた。完成作を見た感想を聞かれた芦田は「水の表現がすごくダイナミックで躍動感があり、生きているように感じました。そこに音楽が加わり、お互いを引き立てあっていました。作品に命を感じました」と映像の美しさに言及。また、海洋学者ジムのせりふ「人間は言葉にしないと思っていることの半分も伝えられない」が強く印象に残ったという。
「観終わったとき、言葉で言い表せない感覚になった」と話す石橋は、”頭で考えるより体と心で感じる映画”と表現。「風や海を感じられるくらい風景もすてきなので、皆さんにもそこを見てほしいです」とコメントした。
兄の空を演じた浦上も、宇宙の神秘や生命の誕生という壮大なテーマと久石譲の音楽に圧倒されたことを吐露。「観た後は言葉も出なかったけれど、先日海の近くを通ったときに『もしかしたらこの中で映画で見た“誕生祭”が起こっているのかも』という考えが頭をよぎりました。大きなテーマだけど、日常のささやかな片隅で起こっていることなのでは?とも思えるほどリアリティーを感じる作品でした」
海と空を追いかける謎の天才海洋学者・アングラード役の森崎が作品を観て思い浮かべたのは”きれいなハテナ”。「こんなに考えさせられて、こんなに想像したことがかつてあったかな?と」つい自身の人生を振り返ったといい、「それでも作品に押し付けられている感覚はなく、想像の自由を与えてくれている。パソコンの画面の奥に何かがあるのではと感じるくらい美しい映像は劇場で見なかったら損です」とプッシュした。
同じく海洋学者のジムを演じた田中は「原作を読んだとき、小さなときから持ち続けているたくさんの好奇心が大集合したような気分になりました。そんな作品に僕を読んでもらえたことが本当にうれしかったです」と完成作を観て同作に参加できた喜びを再確認したという。
キャストの話を聞いた渡辺監督は、各々の深い思いに感動した様子で「受け手の捉え方は自由。各キャラクターを動かしていたのも最後は好奇心ですが、壁や疑問を超えるのはそういう力という気持ちも込めています」と隠されたテーマについて言及。また、元々自身が大ファンだったという久石譲の音楽について“作品世界に共感してくださり、チャレンジブルでありながら世界観にマッチした新しい映画音楽を作ってくれた”と喜びを語った。
“隣で寄り添う監督”に、一同安心のアフレコ裏話
アフレコ中の裏話では、常に渡辺監督がキャストのそばについていたことが話題に。芦田が「私が思う琉花と、監督が思う琉花が段々近づいていき、やりやすかったです」と話すと、石橋も「監督が近くでアドバイスしてくれ、自分の声が本当に”海の声”に聞こえました」と同意。声優に初めてチャレンジした浦上は緊張する中、隣に立つ監督の存在に安心感を感じたと回答した。
田中と隣同士でアフレコを行うことになった森崎は、緊張から「めちゃくちゃふるえてつい靴を脱いだ」と笑いを誘いながら、監督と二人三脚で一つのキャラクターを作り上げる面白さを初めて感じたことを告白。田中は、ヘッドホンから聞こえる自分の声と口から発せられる声が混ざり合って聞こえた体験を「自分の体・格好を忘れて声と空間だけになった。海の中の泡や、空気の中の粒子になったような感覚」と巧みに表現した。
米津玄師の主題歌は「作品を総括するようなもの」
新たな予告編の上映に続き、話題は自身初の映画音楽となった米津による主題歌「海の幽霊」へ。渡辺監督は米津を「『言葉にならないことは、“何もないこと”とは違う』ことを的確に表現できる唯一のアーティスト」と賞賛。同曲を「最終的に作品を総括するようなもの」と話した。米津の歌詞が好きでよく聞くという芦田も、曲内の「大切なことは言葉にならない」というフレーズに注目。「言葉にできないときは、その時感じたままの気持ちを心にとどめておくことが大切だと感じました」
芦田による「この映画はテーマが生命の起源や誕生だったり、神秘だったり、明確に答えが出るものではないと感じています。きっとご覧になった皆さんそれぞれに思うことが異なり、それでいいのだと思います。答えを求めるのではなく、その時体全体で感じたことを大切にしていただけたらうれしいです」のコメントに続き、登壇者全員でのフォトセッションを経て完成報告会見は終了した。
美しい映像と圧倒的なスケールで生命の神秘を描き出す映画『海獣の子供』。久石譲の音楽と米津玄師の新曲が織り成すコラボレーションにも注目のファンタジックな世界観をぜひ大画面で確かめてほしい。
(※スチール写真はオフィシャル提供)
イベント情報
映画『海獣の子供』完成報告会見■開催日: 2019年5月9日(木) |
映画『海獣の子供』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こし、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。父が働いている水族館へと足を運んだ琉花は、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”とその兄“空”と出会う。そして父から「彼等は、ジュゴンに育てられた」と明かされる。 明るく純真無垢な“海”と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空”。琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。3人の出会いをきっかけに、やがて地球上では様々な現象が起こり始め、夜空から光り輝く流星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始める。そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング”とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。“海と空”が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。 |
音楽: 久石 譲
キャラクターデザイン・総作画監督・演出: 小西賢一
美術監督: 木村真二
CGI監督: 秋本賢一郎
色彩設計: 伊東美由樹
音響監督: 笠松広司
プロデューサー: 田中栄子
アニメーション制作: STUDIO4℃
製作: 「海獣の子供」製作委員会
配給: 東宝映像事業部
2019年6月7日(金) 全国ロードショー!
公式Twitter: @kaiju_no_kodomo