池田エライザ監督インタビュー
池田エライザ初監督🎥🎬
高い演出力を魅せ、鮮烈な監督デビューを飾る!!
福岡県田川市を舞台に二人の少年と不思議な少女のひと夏の物語を描いた映画『夏、至るころ』が12月4日(金)に全国順次公開される。
監督を務めたのは、女優としても幅広く活躍し、マルチな才能を見せている池田エライザ。本作が初監督作品となる。福岡県出身の池田監督は「地域」「食」「高校生」をテーマにした青春映画制作プロジェクト「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズの企画と出会い、福岡県田川市を訪れた。そこでシナリオ・ハンティングやワークショップを実施する中で、人々の暖かさと豊かな自然に魅せられ、ひとつの物語を紡ぎあげた。
主人公・翔を演じるのは映画初主演の倉悠貴。翔の親友・泰我役には2012人の中からオーディションで選ばれ、今作がデビュー作となる新人・石内呂依。謎の少女・都を数々のCMで人気沸騰中のさいとうなりが演じている。
また、翔の父親役に安部賢一、母親役に映画監督やプロデューサーとしても活動する杉野希妃、祖父役にリリー・フランキー、祖母役に原日出子など、豪華俳優陣も出演。
現代の若者の不安や葛藤、生きる力をリアルに描き出し、初監督作品ながら第21回全州国際映画祭 シネマ・フェスト部門と第23回上海国際映画祭 インターナショナル・パノラマ部門で公式上映。その高い演出力は海外の国際映画祭でも評価され、熱い視線を集めた。
みずみずしい青春映画を創り出し、鮮烈な監督デビューを飾った池田エライザ監督に本作について話を聞いた。
—— 今作ではじめて監督を務められましたが、製作にあたってスタッフの方々はどのように選ばれたのでしょうか?
脚本家、撮影部、照明部、録音部に関しては、自分が過去出演した作品でお世話になっていた方々にお声がけをしました。撮影の今井孝博さんは映画『貞子』(2019年)でお会いしたんですけど、すごく説得力のある画作りをされているのでお声がけしました。録音部の菰田慎之介さんは、よくドラマやCMでお世話になっている方で、福岡出身の方だったので方言の判断もできるということで決めました。
—— 監督を務める上で大切にしていたことはありますか?
観る人を操作しようとしないことです。“これはこういう映画です、こう感じてください、泣いてください”という作品を作ろうとして、言葉だったり、役者一人一人の表現したいことを削ぎ取ってしまわないように、彼らが表現したいことをなるべくそのまま撮って、あとは観る人に委ねる。自分にとっての主人公は誰なのか、自分にとって一番共感できる人は誰だったのか、思い出に残るシーンはどこなのか。それは我々が決めることではないと思っています。
—— 「地域」「食」「高校生」をテーマとした作品を作り上げるにあたって心がけたことはありますか?
誇張しすぎないことです。あくまでも“日常の中にある幸せ”を描こうと考えました。自分に余裕がなくなればなくなるほど見逃してしまいそうな日常にフォーカスを当てていくことで、無理やり色々詰め込まなくても、“幸せは日常の中にあるよね”と思える、無理のない映画になったと思います。
太鼓の楽曲には“主人公の二人の気持ち”が描かれている
—— 作品の中で「青い鳥」(童話)を題材として取り上げよう考えたのはなぜでしょうか?
「青い鳥」に触れる時期って幼少期だと思うんですね。「青い鳥」について勉強しようと思うことはなかったとしても、“なんとなくこの話知ってるな”というように、幸せの表現の一つとして、どこかしらで触れていると思うんです。最初の題材はなるべく優しく、多くの人が分かるものを取り上げようと思いました。
—— お祭りのシーンの力強い太鼓の音や迫力のある映像が印象的でした。お祭りのシーンでこだわった部分はありますか?
太鼓の楽曲にこだわりました。楽曲は、“こういう音楽を作りたい”と思って作った訳ではなく、主人公の二人の重なったり離れたりという気持ちをグラフに書き起こして、それを元に曲を作ってもらいました。無言の対話というか、言葉にはしていないけれど太鼓の音を通して二人がぶつかり合っている姿を描きました。
田川市で撮影するにあたって多くの方々に協力をしてもらったんですけど、特にお祭りのシーンは田川市の方々とより交流ができる瞬間でもありました。“この映画のプロジェクトに参加したんだ”という思いが自分たちの町がもっと好きになるような、田川市の皆さんにとって忘れられない思い出になればいいなと思っています。
“役者ってこんなにいい仕事なんだな”と感じました
—— 演技についてはどのように指導をされたのでしょうか?
人それぞれですね。放っておいたほうがいい子もいるし、密接にやりとりをしたほうがいい子もいるし、明確に言うより抽象的に言った方が伝わる子もいるし。監督と俳優というよりは人と人、この人にとってどういう話し方が心地いいのかをそれぞれ考えて、私がそれぞれに合わせて対応しようとしていました。
—— 俳優として刺激を受けたことはありましたか?
自分の職業(役者)をもっと好きになりました。芝居に没頭してきていた中で、周りにこんなに影響を与えてたことに気がつきました。感情の豊かさに触れた時、役者ってこんなにいい仕事なんだなと改めて感じました。
—— これまで多くの映画監督と一緒にお仕事をされてきたと思いますが、監督として影響を受けた方はいますか?
色々な方に影響を受けました。名監督の方々を尊敬しているからこそ、真似をしないように、全部を捨てる作業が大変でした。“あの監督がやっていたこれをやりたい”という思いもありました。でも、この映画は田川市の方々が観た時に、幸せな気持ちになれたり誇らしい気持ちになれたりする作品でないといけないので、“自分のアート力を満たすためだけに色々な監督の真似事をしてはいけない”と自制することが大変でした。
今までお世話になった監督の方々からもアドバイスをいただきました。大根仁監督は、編集の時にプレイリスト作るといいよと教えてくださったり、他にも話を聞いて下さったり。片桐健滋監督からもエールを頂きました。嬉しかったですね。
—— 今後、もう一度監督をやりたいと思いますか?
私で良ければぜひやりたいです。“こういう作品を作ってみたい”とかはないんですけど、色々挑戦してみたいです。私は要望にお応えするタイプの監督だと思いますよ(笑)。
—— 最後に、これから作品を観る方に向けてメッセージをお願いします。
この作品を観て“こういう風に感じてくれ”とは言いません。1日のうちの2時間をぜひ『夏、至るころ』に当ててみてほしいです。そしてこの映画の余韻を、自分を大切にする時間に使ってほしいです。皆さんのための映画になれば嬉しいです。
プロフィール
池田 エライザ (Elaiza Ikeda)1996年4月16日生まれ。福岡県出身。 |
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映画『夏、至るころ』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》翔と泰我は高校最後の夏を迎えていた。二人は幼い頃から祭りの太鼓をたたいてきた。だが、泰我が突然、 受験勉強に専念するから太鼓をやめると言い出す。ずっと一緒だと思っていた翔は急に立ちすくんでしまう。自分はどうし たらよいのか、わからない……。息子の将来を気にかける父と母、やさしい祖父と祖母、かわいい弟。あたたかい家族に囲 まれると、さらに焦りが増してくる翔。ある日、そんな翔の前にギターを背負った少女、都が現れる……。 |
第23回上海国際映画祭 インターナショナル・パノラマ部門 招待作品
脚本: 下田悠子
音楽: 西山宏幸
撮影: 今井孝博
特機: 塩見泰久
照明: 長沼修二
録音: 菰田慎之介
助監督: 佐藤吏
監督補: 金田敬
制作: 酒井識人
美術: 松本 慎太朗
衣裳: 木谷 真唯
ヘアメイク: 釜瀬 宏美
フードコーディネーター: 寺岡詳子
編集: 陸慧安
太鼓指導: 川原 邦裕、植田 美紀
特別協力: 和太鼓たぎり主題歌: 崎山蒼志「ただいまと言えば」
企画: 田川市シティプロモーション映画製作実行委員会、映画24区
企画協力: ABCライツビジネス
協力: 田川市、たがわフィルムコミッション
製作: 映画24区
配給・宣伝: キネマ旬報DD、映画24区
渋谷ホワイト シネクイント、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13 他 全国順次ロードショー!