映画『もみの家』主演・南沙良 インタビュー
【写真】映画『もみの家』主演・南沙良 インタビュー

映画『もみの家』

主演・南 沙良 インタビュー

不登校の同年代少女の成長を
一年を通じて演じきった末に得たものとは?

心に不安を抱えた若者を受け入れる〔もみの家〕で生きることになった不登校の少女の一年間の成長を描いた映画『もみの家』。実際に一年という時間をかけて撮影されたロケ地である富山県の風景と、そこに生きる人々のこの上なく優しい心をみずみずしく描いた本作が3月20日(金・祝)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国で公開される。

不登校になり引きこもるも、自立を手助けする施設もみの家へと入ることになる主人公・本田彩花役を務めたのは『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018年)にて第61回ブルーリボン賞、第43回報知映画賞他、数々の新人賞を獲得し、いまや映画やCMに引っ張りだこの若手実力派女優・南沙良。一年を通して取り組んだ本作への想いや、今後挑戦したい表現について話を聞いた。

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一年という撮影期間を初めて経験して

―― 一本の映画で一年という撮影期間を経験する俳優はそう多くはないと思いますが、実際に一年間の撮影を終えてみての感想をお聞かせください。

一番最初に脚本を読んだ時に、スーッと頭に物語の情景が浮かんできたのですが、それってなかなか無いことなのかなと感じました。そのイメージを持ったまま一年間を過ごしたいなと思いました。

私自身、一年という期間で撮影に取り組んだことが初めてでしたし、撮影の期間が空くこともありました。その時その時に体験したことを忘れないように手帳に書き留めて、次に撮影に来た時に読み返して、スッと役に入れるように意識して臨みました。実際に完成した映像を観た時、出会いと別れの眩しさや切なさが濃く描かれているなと素直に思いました。日常の中の刹那的な場面が沢山あって、観ていてすごく心地が良かったです。

【写真】映画『もみの家』場面カット

演じていくうちに彼女から気づかされたこと

―― 撮影時、南さんが演じた彩花は同い年ですね。同年代の彼女をどんな子だと感じながら演じたのですか。

彩花は自分と重なる部分がたくさんあって、最初のうちは近親憎悪というか同族嫌悪というか、正直なかなか彼女を好きになれませんでした。自分の殻に閉じこもってしまうところだったり、人との距離感をうまく掴めないところだったり…。そういったところがすごく自分と重なって見えてしまったんです。

具体的なきっかけがあったわけではなかったのですが、夏の撮影時に「彩花が成長している」と感じました。「ああ、このままでいいんだな」という安心感のようなものが出てきて、気持ちが楽になりました。

―― 撮影期間だった2019年は他の映画やドラマ作品、CM出演など、露出する機会が一気に増えました。こういった経験を通じて、表現する上で何か意識の変化はありましたか。

『もみの家』で言えば、細かい気づきの瞬間はたくさんありました。お芝居をしていて、彩花というよりも自分自身が感動したことや、彼女を通して発見できたこと、気づけたことがありました。

例えば、先ほど彩花と私は似ているとお話しましたが、学校って自分を強制する空気のようなものがあると思うんです。私はああいった空気が少し苦手で、彩花もそれが苦手だったと思うんです。「今の雰囲気が悪くなった瞬間って、私のせいかな?」って、ついつい悪いことばかりに私は意識が向いてしまうのですが、彩花はこの一年を通して、自分自身に巻きつけていたロープのようなものを、ちゃんとほどいていったように思うんです。私も彼女のように変われたらいいなと強く思いました。

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「なりたい自分になればいいんだよ」
名優・緒形直人との印象的な現場でのエピソード

―― 四季を通じて、もみの家の主宰者である泰利(緒形直人)と彩花の会話シーンが印象に残ります。ベテランの緒形さんとの共演はいかがでしたか。

緒形さんはすごく私のことを気にかけてくださって、私の出演作も観たよとおっしゃってくださって嬉しかったです。現場では「こうしたほうが演じやすい?」といった質問もしてくださって、お芝居でもとても頼りにしていました。お父さん役ではなかったのですが、第二の父のような存在でしたね。一番気に入っているシーンも緒形さんとのシーンで、「なりたい自分になればいいんだよ」というセリフを彩花がもらっているシーンが一番気に入っています。

【写真】映画『もみの家』メインカット

―― 今作のロケ地となった富山県の美しいロケーションに魅了される監督や俳優が後を絶ちませんが、南さんにとって富山県での撮影はいかがでしたか。

私は普段自然に触れる機会があまりなかったのですが、富山に行ってみて、本当に色んなことが新鮮でした。特に(もみの家のOB・淳平を演じた)中村蒼さんとご一緒した丘の上での夕暮れのシーンはとても美しくて、お芝居ではない場面でもずっと感動していました!

あとは星空がものすごく綺麗でしたね。富山では2月28日(金)から先行公開中で、先日舞台挨拶に行ってきたのですが、すでにまた行きたいです(笑)。

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[インタビュー: 蒼山 隆之 / スチール撮影:久保 昌美]

南 沙良さんから読者の皆様へメッセージ📹

プロフィール

南 沙良 (Sara Minami)

2002年6月11日生まれ、神奈川県出身。
第18回nicolaモデルオーディションのグランプリを受賞しモデルデビュー。『幼な子われらに生まれ』(2017年/三島有紀子監督)で女優デビュー。初主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018年/湯浅弘章監督/蒔田彩珠とのW主演)では主人公・志乃を熱演。人と言葉を交わすのが苦手で、それでも新しい友との出会いを経て目標へ懸命に立ち向かおうとする志乃を、溢れんばかりのエネルギーで演じ抜き、第61回ブルーリボン賞、第43回報知映画賞他にて新人賞を獲得。その高い演技力が認められ、その後も『居眠り磐音』(2018年/本木克英監督)、『無限ファンデーション』(2019年/大崎章監督)などへの出演が続く。本作では、心に悩みを抱え不登校になる少女・彩花役で主演を務める。撮影時の南の実年齢と同じ16歳の主人公が、もみの家での出会いや経験をとおし、めぐる季節と共に成長する様を等身大の姿で繊細に体現している。その他、江崎グリコ「ポッキー」、「キリン 午後の紅茶」のイメージキャラクターを務めるだけでなく、ソフトバンク「SoftBank学割」のCMキャラクターにも起用されるなど、若手の中でも群を抜いて注目される女優のひとり。

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映画『もみの家』予告篇

映画作品情報

【写真】映画『もみの家』ポスタービジュアル

《ストーリー》

めぐる季節の中で少女を成長させたのは、豊かな自然と生命の神秘。心に不安を抱えた若者を受け入れる〔もみの家〕に、16歳の彩花(沙良)がやってきた。不登校になって半年、心配する母親に促されうつむきながらやってきた彩花を、もみの家を主宰する泰利(緒形直人)は笑顔で招き入れる。慣れない環境に戸惑いながらも、周囲に暮らす人々との出会いや豊かな自然、日々過ごす穏やかな時間が、彩花の心を少しずつ満たしてゆく――。

出演: 南 沙良、緒形直人、田中美里、中村 蒼、渡辺真起子、二階堂 智、菅原大吉、佐々木すみ江
 
監督: 坂本欣弘
脚本: 北川亜矢子
音楽: 未知瑠
主題歌:羊毛とおはな「明日は、」(LD&K)
製作:映画「もみの家」製作委員会
制作プロダクション:コトリ
配給:ビターズ・エンド
2020年/ 日本/ 105分/ 5.1ch / シネスコサイズ/ カラー/ デジタル
文部科学省選定 (少年向き、青年向き、成人向き、家庭向き)
選定日: 令和元年11月
 
©2020 「もみの家」製作委員会
 
2020年3月20日(金・祝)より
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー!
2020年2月28日(金)より 富山県先行上映中!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @mominoie_movie
公式Facebook: @mominoie.movie

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