映画『魔法少年☆ワイルドバージン』主演・前野朋哉インタビュー
【写真】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』前野 朋哉 (ワイルドバージニア・レッド)

映画『魔法少年ワイルド☆バージン』

主演・前野朋哉インタビュー

「人を好きになることの大切さ」を伝えたい。
そうすれば、童貞は多分いつの間にか自然と消えていく

「30歳を超えた童貞が魔法使いになる」、そんな都市伝説が本当だったら…。

全宇宙を巻き込んだ童貞ヒーロー達が大暴れするラブコメファンタジー映画『魔法少年☆ワイルドバージン』が12月6日(金)劇場公開を迎えた。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』メインカット

万年成績最下位の童貞保険営業マンの主人公、星村幹夫役を演じた前野朋哉さんにインタビュー!今作にまつわるお話を伺った。

—— 最初に本作の主演オファーが届いた時の感想を聞かせてください。

以前、W主演を経験したことはあったのですが、今回は初の単独主演になります。「なぜ自分にこの役が?」という感覚は無く、オファーが来たのですんなりお受けした感じです。
宇賀那健一監督とは以前からお付き合いがありましたので、「今回はこういうおバカな作品を作るのね。乗ります!」と、受け入れました(笑)。

【写真】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』前野 朋哉 インタビュー

—— 本作は30歳を過ぎても童貞だと魔法使いになれるという都市伝説がテーマになっていますが、実際に聞いたことはありますか?

本当かどうかわからないですが、自分を童貞だとおっしゃっている60代の方が本作にも出演しています。僕も聞いた話なのですが、「30歳超えて童貞だと魔法使いになる」というお話はどうやら世界共通認識の都市伝説みたいですね。どこが発祥かはわからないのですが。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』場面カット

—— 脚本を読んだ時にどんな印象を受けましたか?

「こんなにスラスラ読める台本もないなあ」と思いました(笑)。ただ、後半戦になると物語の規模が大きくなってくるのと、「一体これは何を書いているのかな??」と思うようなカオスな描写もありました。「まあいいか!」と思いながら演じていける雰囲気が現場にはありました(笑)。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』場面カット

—— 演じるにあたり、共演者のどなたかと本作について深く話し合ったりはしましたか?

一切してないです!(笑)。現場のノリが、みんなでアイデアを思いついたら出し合って、それが面白かったら採用していくという形だったので、その場で生まれるものを大事にしている雰囲気がありましたし、監督もそれを尊重してくださいました。

基本は脚本に忠実にやっていきましたので、アドリブは意外とありませんでした。ただ、「目からビームを出すと痛がる」というのは絶対に演じてくれと監督から言われていました。何かを手に入れたらそこには代償が伴うということで、ビームを出した後で痛がる際に「うぎゃー!!」と叫ぶのは僕のアドリブです。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』場面カット

—— 斎藤工さんが魔法使いの先輩として出演していましたね。

アドリブでいうと、(斎藤)工さんの役の作り込みがすごすぎて、髪の先や爪先を自分で白くして来たんです。なんでも「レジェンド・オブ・童貞」の役ということで、「精子を出さな過ぎて、精子が心中し色素が白くなった」という設定らしいです(笑)。風貌もそんな感じですし、お芝居も台本はあるのですが、とにかく工さんが何を仕掛けてくるかわからなかったので、とても刺激になりました。すごく熱い言葉で盛り上げてくださって、おかげで作品全体が締まって感謝しています。僕らがやっていることもすごく楽しくノッてくれて、工さんご自身も子供目線で演じてくれたのが嬉しかったですね。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』場面カット

—— 本作のヒロイン・秋山雪乃役の佐野ひなこさんとは息ピッタリでしたが、佐野さんとの共演はいかがでしたか?

特に何をしたわけではないのですが、佐野さんご自身が非常に喋りやすい方で、僕よりも実年齢は年下なのですが同級生のように接してくれました。ラブホテルでのシーンも、ラブホで視聴できる学園モノの映画を皆さんと観ていて、それがすごく楽しかったんです。それを作品に取り入れたとかではなく、ただ単純に観て楽しかっただけなんですけど(笑)。そんな感じで、とにかくリラックスした現場でした。きっと作品自身がそういうパワーを持っていたからなのかなあと。あまり力を入れずに演じられたと思います。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』場面カット

—— 世間的には童貞であることがバカにされる風潮もありますが、そういった風潮に対して前野さんとしてはどう思っていましたか?

僕は童貞だった時期が長かったので、コンプレックスはありました。けれど20歳を過ぎた時点でそれが役者として演じる上では強みになったと思っています。作品を作る中で「女性のことがよくわかっていなかった」というのが自分にとっては作品を作っていく上でパワーになったんです。それに周りはどんどん童貞じゃなくなっていくので、童貞って希少になっていくじゃないですか。自分が大学生の時、童貞を主人公にした映画がたまたま多かったので、これは一つの武器になるなあと当時は思っていました。ただ一方で、童貞を卒業した友人たちを羨ましく思っていた自分もいたり、「自分はいつ卒業できるのかな」と思春期の頃は不安でした。今はそんなに悪いことではないと思っていますし、ダメなことでもないなと。

この作品では「童貞をいかに捨てるか」といったことではなくて、「人を好きになることの大切さ」を伝えられたらと思っています。そうすれば、童貞は多分いつの間にか自然と消えていく、、(笑)。そう思います。意識をしたことは、童貞である時間は大事だなと。童貞でなくなると、当然ですがもう童貞には戻れないじゃないですか。だからこそ童貞だった時間に生きる自分はちゃんと演じたいと思いました。

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』場面カット

—— もし、前野さんが現在童貞だと仮定して、30歳を過ぎて童貞だと本当に魔法が使えるならば、30歳を過ぎても童貞でいたいと思いますか?それとも、魔法なんて使えなくていいから童貞は卒業したいと思いますか?

仮に世界を滅ぼしてしまうほどの強力な魔力を持てたとしたら、色んな国や政府が「あいつを絶対に怒らせちゃダメだ」ってなって、色んな国の政府からオファーが来て、自ずと待遇が良くなるでしょうし、それで色んな美女がたくさん来てくれると思います。けれど、童貞じゃなくなっちゃったらその瞬間魔力も消えてしまうので、やはり僕は魔法が使えなくてもいいので30歳までに童貞を卒業するのを選びます(笑)。

【写真】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』前野 朋哉 インタビュー

—— そんな前野さんですが、今後どなたか共演したい俳優さんはいますか?

思い返してみると、子供の頃から見ていて素敵だなあと思っていた憧れの竹中直人さんや中井貴一さんともご一緒できましたので、共演したかった方々との共演はほとんど叶ってしまっているんです。あとはデンゼル・ワシントンさんですね。彼とコメディで共演というのはかなり難易度が高そうですが、こうなったらハリウッドに行くしかないですね。頑張ります!

—— 本作はクリスマスシーズンに公開を迎えましたが、これからご覧になる皆様にメッセージをお願いします。

これからクリスマスに向けてこの映画をご覧いただいて、(現在童貞じゃない方も)もう一度童貞だった時の気持ちとか、理不尽さを思い出して欲しいという期待があります。そうなったら世の中、もうちょっと良くなるんじゃないかなと思います。

世の女性には、「男という生物はこういう生き物なんですよ」という、ちょっと温かい目で男性を見ていただきたいです(笑)。あとは何も考えずにカップルでご覧いただいて、「バカだね」って笑っていただければ。一番は映画観た後にセックスする流れになったら嬉しいです(笑)。

【写真】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』前野 朋哉 (Tomoya Maeno)

—— 今後もし、『魔法少年ワイルド☆バージン』のパート2があるとしたら、主役を誰かに譲りたいですか?

喜んでお譲りしますよ!(笑)。続編があれば、その時は僕も伝説のOBとして出演したいですね。

[スチール 撮影: Cinema Art Online UK / インタビュー: 蒼山 隆之]
[ヘアメイク: 中村 まみ]

プロフィール

前野 朋哉 (Tomoya Maeno)

1986年1月14日生まれ、岡山県出身。
『剥き出しにっぽん』(2005年)で映画デビュー後、俳優・映画監督を並行して活動。KDDIauの一寸法師・彦星役に抜擢され話題を集める。
監督としては、岡山県PR動画ハレウッドシリーズを3年連続で担当。

主な映画出演作に『桐島、部活やめるってよ』(2012年)、『大人ドロップ』(2014年)、『エミアビのはじまりとはじまり』(2016年)、『嘘八百』(2018年)、『チェリーボーイズ』(2018年)、『劇場版 仮面ライダージオウOverQuartzer』(2019年)、『プリズン13』(2019年)、『いのちスケッチ』(2019年)、『MANRIKI』(2019年)、『“隠れビッチ”やってました。』(2019年)など。公開待機作に声優として出演しているアニメーション映画『音楽』(2020年1月11日公開)、映画『嘘八百京町ロワイヤル』(2020年1月31日公開)がある。
【写真】前野 朋哉 (Tomoya Maeno)

映画『魔法少年☆ワイルドバージン』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『魔法少年ワイルド☆バージン』ポスタービジュアル

《ストーリー》

保険会社に勤めている星村幹夫(前野朋哉)は、何をやってもいつもうまくいかない。会社での営業成績はずっと最下位で、彼女いない歴=年齢。そして、29歳にして未だに童貞だ。「童貞のまま30歳を迎えると魔法使いになる」という都市伝説から、後輩である日野(水石亜飛夢)、朝井(二見悠)、東(詩歩)にも「魔法使い」と馬鹿にされる日々を過ごしている。唯一親しくしてくれるのは、会社の同僚である月野(芹澤興人)だけだった。そしてある日、秋山(佐野ひなこ)というとても可愛い女性が入社し、いつしか星村は、真面目で優しい秋山を好きになっていった。しかも、秋山は星村が小さい頃から大好きなヒーロー、ワイルドバージニアの大ファンだったのだ。

 

そして、星村の誕生日の前日に行われた、秋山の歓迎会で事件が起こる。星村は、歓迎会の最中に秋山が上司の小池(濱津隆之)にセクハラを受けているところを発見してしまう。見かねた星村は、初めて小池に歯向かったものの、そのままボコボコにされてしまうのだった。

そこに突然、マントヒヒが叫びながらやってくる——。

わけもわからず必死にマントヒヒから逃げる星村と秋山は、気づくとラブホテルの中に逃げ込んでいた。

そして、時計が0時を指した瞬間、そんな星村を金色の光が包む——。

 
キャスト: 前野朋哉、佐野ひなこ、芹澤興人、田中真琴、濱津隆之/斎藤工 ほか
 
監督: 宇賀那健一
プロデューサー: 司慎一郎、小野川浩幸
共同プロデューサー: 小美野昌史
製作: cinepoison
制作: 株式会社Vandalism
脚本: 宇賀那健一、今田健太郎、今村竜士
撮影: 八重樫肇春
照明: 加藤大輝
録音: Keefar
助監督: 平波亘
美術: 岡田匡未
スタイリスト: 松田稜平
ヘアメイク: 中村まみ
特殊造形: 土肥良成
VFX: 若松みゆき
スチール: 内堀 義之
ラインプロデューサー: 鈴木徳至
編集: 小美野昌史
整音・効果: 紫藤佑弥
キャスティング協力: 當間咲耶香(スカリー株式会社)
 
主題歌: みんなもともと精子(忘れらんねえよ)/作詞・作曲: 柴田隆浩(Bandwagon/UNIVERSAL MUSIC LLC)
 
配給: Vandalism
 
© cinepoison
 
2019年12 月 6 日(金)より
新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国順次ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @wv_movie

この記事の著者

蒼山 隆之アーティスト/インタビュア/ライター

映画俳優や監督のインタビュー、映画イベントのレポートを主に担当。
東京都内近郊エリアであれば、何処にでも自転車で赴く(電車や車は滅多に利用しない)スプリンター。

そのフットワークを活かし、忙しい中でもここぞという時は取材現場に駆けつけ、その時しかないイベントを現地から発信したり、映画人の作品へ対する想いを発信するお手伝いをしている。

また、自身も表現者として精力的に活動を展開。

マグマ、波、雷など、自然現象から受けたインスピレーションをブルーペイントを用いたアートで表現する「Blue Painter」として、数々の絵画作品を制作。銀座、青山、赤坂などで開催する個展を通じて発表している。

俳優の他、映画プロデューサーやインテリアデザイナーと幅広い顔を持つブラッド・ピットをこよなく尊敬している。

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