映画『幸福のアリバイ~Picture~』山崎樹範インタビュー
【写真】映画『幸福のアリバイ~Picture~』 山崎樹範

映画 「幸福のアリバイ~Picture~」

山崎樹範インタビュー 

言い訳せずに素直に幸せだってほんとは言えることってあると思うんです。

陣内孝則監督最新作『幸福(こうふく)のアリバイ~Picture~』が2016年11月18日(金)より全国公開される。

笑って泣ける感動のヒューマンコメディーである本作で、「episode 見合い」と「episode 結婚」に出演し、はっきりいって一番目立っていた山崎樹範さんに話を聞いた。

【画像】映画『幸福のアリバイ~Picture~』

—— 早速ですが、今回の映画『幸福のアリバイ~Picture~』はどのような経緯から出演することになったのでしょうか?

監督から直接お電話いただきました。少し前に役者同士としてお仕事が一緒になり、家が近かったことから、陣内さんの車に乗せていただいたりと、仲良くさせていただいていたんです。一緒に過ごす時間が多かったからなのか、映画の台本が上がって、この役誰にしようかと思ったときに、パッと僕が浮かんじゃったらしいんですよ(笑)。こんな役いただけるなんてありがたかったですね。

—— 陣内監督は普段役者をされてますが、監督の時の印象は違いましたか?

違いましたね。役者としては押し出しの強い方じゃないですか。凄い面白いし。でも、監督の時は、一切自分が前に出てこないんです。演出もポイントポイントだけであまり多くは言わないんです。基本的には任せてくださって。明らかに僕が間違った時や、現場の空気がダレてきてしまった時などにはビシっと締めてくれました。

—— 実際に山崎さんが注意を受けてしまった点はどういうところだったのでしょうか?

連日撮影が続く中で、一回ふっと抜けてしまった瞬間があったんです。その時は見抜かれてしまいました。やはりご自身も役者だから全部ばれちゃうんですよ。そういう時に引き締めてくれて、役者の気持ちをわかってくれていますね。

【写真】映画『幸福のアリバイ~Picture~』 山崎樹範インタビュー

—— では、やりやすい点もあるし、やりにくい点もあるということでしょうか?

一番やりにくいのは陣内さんのほうがお芝居上手いっていうことですね。こんな感じでやってっていうその「こんな感じ」が陣内さん面白いんです。そうすると僕の中でのハードルが上がってしまうという。そういった意味で、監督はあんなり芝居上手くないほうがいいかもしれないですね(笑)。

—— 今回の撮影で印象に残ってることを教えてください。

結婚式のシーンの撮影が終わったあとに、出演者の方々と飲みに行って、その日はダンサーさんとかもいて大人数だったんですけど、男性陣で話す卑猥な話、、、印象的ですね~(笑)。

女性っていうのは永遠の憧れの対象ですから。そこに対して胸襟を開いて話すっていうのが一番楽しい時間。お芝居の話は現場ですればいいことですから、飲みの席ではしたくないです。

—— そういった話から次のお仕事に発展しそうですね。

しないですよ!(笑)。

昔はいかに飲みの席からお仕事につなげるかばっかり考えてたんですけど、2年ぐらい前にやっと気づいたんですよ。芝居が良くなきゃダメなんだっていう。この10何年間、そのあとのことばっかり努力してきたなと気づきまして、芝居頑張らなきゃと考えを改めたところでございます。もうちょっと早く気づきたかったですね。

—— 本作に山崎さんの裸が出てくるのですが・・・

話題になりますね~。見てくれる女性がね、僕の裸を見てどう思うかわからないんですけど、ほんとポッコリお腹が出てるんです。役作りの一環ではあるんですけど、だらしない男性の役なので、変に鍛えたりしないで、だらしない体でいようと。これを世の中の女性が良しとしてくれるかどうか。だらしない体を良いと言ってくれる女性って素敵ですよね。嘘でもいいから「あのお腹可愛いよね」って言ってほしい。そのほうが好感度上がりますよ。あの体だらしないよねって言うと、8割9割の男性を敵に回します。それは伝えておきたいな。

—— それについて、共演者の木南晴夏さんから何かありましたか?

いや、木南さんクラスの女性は、僕の裸を見て四の五のなんか言わないです(笑)。あれぐらい良い女だったら、全てを受け入れてくれますよ。僕のお腹って評判いいんです。ほんとに可愛らしいお腹してまして。女性って割とぽっちゃりしたお腹嫌いじゃないですよね。

〈と、周りの女性スタッフに問いかける〉、、、
そうじゃない人もいらっしゃるみたいですけど(笑)。

丸みって、キュートじゃないですか。鋭角って怖いですよね。男性って女性にとってどこか怖いものなので、優しいんだよ、傷つけないんだよって、丸みの部分を大事にしていきたいと思っています。

—— さすがの役作りですね!

役作りです。この映画のために仕上げたんです。撮影からもう1年以上たちましたけど、こうやって宣伝活動もありますし、ずっと体型をキープしてきました。本当は戻してもよかったんです。痩せてるころの自分に。20年前ですけど。20年間この役にむけて着々と役作りしてきました。

—— では、一番見てもらいたいところはどんなところでしょうか?

基本的に、情けない瞬間が多いです。情けないところをいっぱい見て欲しい。最初嫌な男と思うかもしれないですが、それでも一生懸命頑張ってるということは誰しもあると思いますし、そういう姿は美しいと思うので、是非そちらを見ていただきたいです。

—— 本作では、写真がキーワードになっていますが、今までの人生の中でこれは写真として切りとりたかったという瞬間はありますか?

絶対に写真には収められなかった瞬間ではあるんですけど、昔お付き合いしていた女性とケンカしたことがありまして。途中で一旦休戦になったんですが、寝ているときに彼女が僕の上に馬乗りになって、本気で首をしめてきたんです。その時の自分の顔を見てみたいです。相手がいくら女性でも完全なマウントポジションをとられてしまうと外せないんです。首を絞められながら、付き合ってきた3年間が走馬灯のように流れてきて、この人になら殺されてもいいかなと諦めて力がすっと抜けた瞬間があるんです。そのときの顔も見てみたいです。全ての人生を諦めて、受け入れた瞬間の顔はなかなか見れるものじゃないと思うので。

【写真】映画『幸福のアリバイ~Picture~』 山崎樹範インタビュー

—— これから先、こんな写真を撮って欲しいという瞬間はありますか?

一番撮って欲しい写真は、まもなく死ぬっていう瞬間の顔ですね。どんな顔してるんだろうなって。その時に人生の集約した顔が出ると思うんですよ。その時に苦しい顔じゃなくて、理想は半笑いできていたらいいですね。その写真をみんなが見たときに、こいつなんで半笑いなんだよって、悲しい出来事かもしれないけれどちょっと笑えちゃうようだったらいいですよね。

—— 今後、挑戦していきたいことを教えてください。

もちろんお芝居は沢山やっていきたいです。僕、人間的に根っこが腐ってるんですけど、そういうところを全開で出せるような悪い役やりたいです。なんかどうしても良い人の役が多くて。最近少しづつ歳とってきて、サイコな感じが熟成されつつあるので、連続殺人鬼みたいなのをやりたいですね。お芝居だからできるってことをせっかく役者なんだからやってみたい。あと大人な役をやりたい。どうしても若い役が多いので。若くみられるのは役者として困ってます。主演ってやっぱり若い人が多いじゃないですか。その上司役ができないんですよ。同僚とかばっかりで。役職がついたことないですもん。課長とかやりたいなぁ。(共演の)大地さんなんか渋いじゃないですか、そこにいるだけで存在感ある。若く見えちゃうから余計なことしちゃうんですよね。手数増えたりとか。自分でもわかってるんですけど、なんか不安だからやってしまいがち。早く歳とりたいです。50とか60歳に早くなりたい。白髪とかシワとか増えないかなって思ってます。とんでもない絶望を味わって、一晩で真っ白にならないかなとか時々思います。

—— また、首を絞められるとか、、、

(笑) !!
ただ、どう転んでも、楽しかったと言える人生をまっとうしたいですね。たとえ交通事故でも、車に轢かれる瞬間「あ~、楽しかった」ってギリ間に合うよう言いたいって思ってます。じゃないとせっかくの人生がもったいない。そう言えることが、「幸福」なんじゃないでしょうか。うん、うまくまとまりましたね。

—— 最後に、映画を楽しみにしている皆様へのメッセージをお願いします。

今回の映画『幸福のアリバイ』というタイトル、アリバイっていうとなんか言い訳がましいニュアンスがあったりしてしまいがちですが、幸福って胸張って言うのって気恥ずかしかったりするじゃないですか。そんな時に誰かがその瞬間を切り取ってくれる。それって自分以外の他者がいないとできないことで、そこに誰かがいてくれるってことがすでにもう幸せ。誰かが、この瞬間いいなって思って撮ってくれるってことも幸せ。そんな瞬間に自分がいることも幸せ。恥ずかしいこと、照れくさいこと、言いづらいことっていっぱいあって、幸せじゃないなんて言っちゃったりすることもあると思うんですが、言い訳せずに素直に幸せだってほんとは言えることってあると思うんです。そんな場面がちりばめられた映画なので、これを観たら、幸せだって思うことも悪くないなって感じれるんじゃないかと思います。是非観てくださいね。

[インタビュー: 堀越 健介 / スチール撮影: Cinema Art Online UK]

プロフィール

山崎 樹範 (Shigenori Yamazaki)

1974年、東京都出身。1995年から劇団カムカムミニキーナに参加。『白線流しスペシャル 〜19の春』(1997年)でドラマデビューを果たした後、数多くのドラマに出演。スクリーンデビューは2003年の『恋愛寫眞 Collage of Our Life』。近年の出演映画には『グラッフリーター刀牙』(2012年)『忘れないと誓ったぼくがいた』(2015年)『龍三と七人の子分たち』(2015年)などがある。

映画『幸福のアリバイ~Picture~』作品情報

【画像】映画『幸福のアリバイ~Picture~』メインビジュアル

人生のシャッターチャンス、そこには確かに幸せがあった―
きっと人生が愛おしくなる、笑って泣ける感動のヒューマンコメディ!!

ヤクザの葬式とは知らずに会をとりなす葬儀屋と、故人の残した遺書の内容で揉める親族・知人・息子。婚期を迎え、好条件の見合いに目がくらむ女と、運悪く浮気が発覚する男。成人式というハレの日に、スーツではなく特攻服で行こうとする息子と、それを必死に止める両親。出来ちゃった結婚をし、出産を控えた妻の元へ向かう夫と、あからさまに八つ当たりをする義父。ひとりの女性をめぐり、超一流のプロ野球選手に無謀な野球勝負を挑む、うだつのあがらないフリーター男。一種風変りな登場人物たちは、どこか共感できる悩みを抱いた普通の人々ばかり。そんな悩める人々が惑う様子をコミカルに描ききった、泣き笑いのヒューマンコメディ!

 
邦題: 幸福のアリバイ~Picture~
原案・監督: 陣内孝則(『ロッカーズ』『スマイル~聖夜の奇跡~』)
脚本: 喜安浩平(『桐島、部活やめるってよ』)
主題歌: さかいゆう「再燃SHOW」
出演: 中井貴一、柳葉敏郎、大地康雄、山崎樹範、木南晴夏、浅利陽介、渡辺 大、佐藤二朗、木村多江 他
配給: 東映株式会社
2016年 / 日本 / 日本語 / 114分

© 2016 「幸福のアリバイ~Picture~」 製作委員会

2016年11月18日(金) 全国ロードショー!

映画公式サイト

この記事の著者

堀越 健介CMO

邦画、特にコメディがお好み。 気に入った映画の主題歌はとりあえず歌う。

★好きな映画
『バトル・ロワイアル』 [監督: 深作欣二 製作: 2000年]
『ウォーターボーイズ』 [監督: 矢口史靖 製作: 2001年]
『素敵な金縛り』 [監督: 三谷幸喜 製作: 2011年]

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