映画『ハオト』村山彩希 インタビュー
【写真】映画『ハオト』村山彩希 インタビュー

映画『ハオト』真行寺藍役 村山彩希 インタビュー 

“ゆいりー”ではなく“村山彩希”として
未来へ向けて鳩を飛ばす少女・真行寺藍を熱演 

太平洋戦争末期の特殊な精神病院を舞台に、そこに収容された純粋な患者たちを通じて、施設の外の戦争の狂気を問いかける映画『ハオト』が、戦後80周年を迎える2025年夏に公開。本作は、2005年に初演され絶賛を博した同名の創作舞台を満を持して映画化したもので、シリアスなテーマの中にユーモアやサスペンス、ファンタジー要素を織り交ぜたヒューマニズム作品だ。

今回インタビューを行なったのは、21世紀の未来と交信するために伝書鳩を飛ばし続けるヒロイン、真行寺藍しんぎょうじあい役を演じた村山彩希むらやまゆいり。子役からキャリアをスタートさせ、2025年6月に約13年間在籍したAKB48を卒業したばかり。8月には単独主演となる舞台公演も行われ、俳優として新たな一歩を踏み出している。

【画像】映画『ハオト』場面カット

丈監督との出会いから役作り、共演したAKB48の倉野尾成美くらのおなるみへの想い、そしてAKB48卒業後の変化と未来の展望まで、たっぷりと語ってもらった。

丈監督からの抜擢「プレッシャーでもありました」

―― まずは、映画『ハオト』にご出演が決まった経緯と、その時のお気持ちを教えてください。

実は私、きちんとした経緯を聞いていたわけではないので、私の推測になってしまいますが、丈監督が実際にAKB48の劇場に来てくださったのがきっかけだと思います。当時はコロナ禍で、8人しかステージに立てない時期でした。おそらく、もう一人のヒロインである(倉野尾)成美ちゃんは出演が決まっていて、もう一人の役のキャストを探しに劇場に来てくださった時に、私を見て「使いたい」と思ってくださったのかなと感じています。 私に可能性を感じてくださったことがすごく嬉しかったですが、同時に少しプレッシャーでもありましたね。

―― その頃は、AKB48からの卒業は考えていらっしゃいましたか?

いえ、2年前なので全く考えていませんでした。

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役と重なる優しさ「自分も誰かのために動いてあげたい」

―― 今回演じられた真行寺藍という役柄について、どのような印象を持ちましたか?ご自身との共通点や相違点があれば教えてください。

藍ちゃんは、すごく優しい子です。心に病を抱えながらも常に誰かに寄り添い、人を助けようとする感じがありますね。一見すると、ごく普通の女の子に見えるのですが、彼女は「相方」としていつも伝書鳩をそばに置いているんです。言葉にできない藍ちゃんなりの辛さを、伝書鳩を通して表現していたのかなと解釈しました。言葉を大事にしたり、人に寄り添ったりする面では、私も「誰かのために動いてあげたいな」と思うことがあるので、少し似ているかなと感じました。

丈監督からの役柄についての説明が割とざっくりしていたので、結構“自分のまま”演じさせていただいた気がします。周りのキャラクターがとても個性的だったこともあって、自分は寄り添い型の役なのかなと思いました。

【画像】映画『ハオト』場面カット

長野での撮影、心温まる思い出と盟友・倉野尾成美の才能

―― 撮影現場での印象的なエピソードはありますか?

撮影は長野県で行われたのですが、昼食がすごく思い出深いです。みんなで畳の広い部屋で食事をしたのですが、毎日手作りのご飯を用意してくださる方々がいて。そのご飯がとてもヘルシーで美味しかったのを覚えています。あとは、クランクアップした日に、帰りの新幹線を待つ間にキャストの皆さんとビールで乾杯したことです。初めて新幹線でお酒を飲みながら帰りました(笑)。

―― AKB48の倉野尾成美さんとの映画での共演はいかがでしたか?

実は、なるちゃん(倉野尾成美)の演技を間近で見たのは、これが初めてでした。舞台で共演したことはあっても、私がゲスト出演だったので、一緒に一つの作品を作り上げるのは初めてで。彼女は、普段の“なるちゃん”のままそこにいるはずなのに、全く別人に見えるんです。それが彼女の演技の魅力なんだなと実感しましたし、丈監督が彼女を選びたくなる気持ちがよく分かりました。

【画像】映画『ハオト』場面カット

―― 現在、AKB48グループ総監督としても活躍されている倉野尾さんへ、メッセージがあればお願いします。

総監督という立場は本当に大変だと思います。彼女は後輩にあたるんですが、そうは思えないくらいしっかりしています。でも、そんななるちゃんも甘えたい瞬間も絶対にあるはず。どうか、誰かに甘えられる時間をちゃんと作ってほしいですし、頑張りすぎないでほしいなって思います。

映画『ハオト』倉野尾成美 インタビュー

アイドル「ゆいりー」から「村山彩希」へ

―― AKB48を卒業されて、一番大きく変化したことは何ですか?

やはり、当たり前のように会っていたメンバーやスタッフさんに会えなくなったことですね。それが寂しくて。今日、久しぶりに当時のメイクさんにお会いできて、感動してしまいました!嬉しかったです。

―― 卒業されて、今後は女優やタレントとして、どのような姿を見せていきたいですか?

今までAKB48では、ステージに立つアイドル「ゆいりー」として活動してきた部分が大きかったので、その肩書がなくなった今、「村山彩希」としてどうあるべきか、まだ自分でも見つけられていないというか…。今は「村山彩希」自身と向き合っている最中です。タレントとしてどこまで自分を磨いていけるのか、模索中ですね。まだ答えは見つかっていません。

【写真】映画『ハオト』村山彩希 インタビュー

「いつかサイコパス役も」AKB48卒業後の新たな挑戦

―― AKB劇場の公演出演回数が歴代最多の1,358回という大記録をお持ちですが、今後、新たに挑戦したいことや作り上げていきたい記録はありますか?

仕事の面では、卒業後すぐに挑戦している舞台の役をしっかりと作り上げることが当面の目標です。プライベートでは、個人的にずっとバク転がしたくて(笑)。これはずっと言ってますがまだできていないので、舞台が終わったらレッスンに通おうかなと考えています。いつか必ずやります!

―― 演技は幼少期からされていますが、演技に興味を持たれたきっかけを教えてください。

きっかけは全部母だったので、自分の意思のない時から演技に触れていました。よく言えば無意識に演じられていたという部分もあります。子役の時は、周りが優しく「よしよし」してくれていた感じではあったんですが、やはり大人になって演技をするということに直面した時に、難しいなと感じています。私は歌とダンスで表現してきましたが、アイドルじゃなくなった今、これだけたくさんの俳優さんがいらっしゃる中で自分ができる演技ってなんだろうと考えた時に、やはり難しく模索中です。

―― 今後、挑戦してみたい役柄やジャンルはありますか?

実は、痛みや悲しみを表現する演技が好きなんです。映画を観ていても、「実は一番の黒幕だった」とか、すごくサイコパスの役に惹かれることが多くて。キラキラした役柄ではない、そういう役をいつかやってみたいですね。

【写真】映画『ハオト』村山彩希 インタビュー

―― 村山さんから見て「この人は演技がうまい」と思うAKB48の現役メンバーを教えてください。

私は、田口愛佳たぐちまなかちゃんの演技が好きです。彼女の演技は、なるちゃん(倉野尾成美)と少し似ていて、すごくナチュラルなんです。自然体なのに、ちゃんと役柄になりきっている。彼女はとても器用だなと思います。

村山彩希さんからメッセージ

インタビューの最後に、村山さんから読者の皆さんへメッセージをいただいた。

[インタビュー: 堀越 健介 / 撮影: Cinema Art Online 編集部]

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プロフィール

村山 彩希 (Yuiri Murayama)

1997年6月15日生まれ。神奈川県出身。

2011年に行われたAKB48第13期生オーディションで合格し、AKB48のメンバーとして活動開始。2021年、舞台「マジムリ学園-LOUDNESS-」でトリプル主演。2024年、明治座で「朗読劇 細雪」の四女役で藤原紀香らと共演。2025年6月、AKB48を卒業。革命ミュージカル「新・幕末純情伝」で舞台単独初主演を果たす。

【写真】映画『ハオト』村山彩希 インタビュー

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映画『ハオト』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『ハオト』ポスタービジュアル

《ストーリー》

初夏のある日、警察署に90歳を超えた一人の老人が甥っ子の刑事宛に訪れ、「人を殺した」と告白。老人は、太平洋戦争末期の特殊施設の話を始める。

そこは、原爆開発を手掛ける博士や戦況を100%予知する男がいる、特殊機密施設。

海軍の将校・蓬が、ハワイ生まれの日系人である米国の諜報員・津田を二重スパイとして雇い、施設に連れてくる。蓬は、ソ連に仲介してもらい、和平交渉を進めようと、日系ソ連人のソ連大使と陸軍将校の森本を施設に招こうと画策。方や米国は、津田の存在を怪しみ、同じく日系ハワイ人の田中を送り込む。

蓬の親友である水越は、何を思って軍を辞めたのか。

藍が未来に放つ白い伝書鳩は、はたして何を伝えるのか。

 
出演: 原田龍二、長谷川朝晴、⽊之元亮、倉野尾成美、村⼭彩希、三浦浩⼀、⼆瓶鮫⼀、植松洋、マイケル富岡、⾦城⼤和、バーンズ勇気、⽯⽥隼、清⽔⼀光、栩野幸知、好野雅彦、⼤原誠弍、河原健⼆、宗林咲智、丈、崔哲浩(友情出演)、片岡鶴太郎(特別出演)、高島礼子
 
監督・脚本・プロデューサー: 丈
 
アソシエイトプロデューサー: 植松洋、とめぞう
撮影: 松岡寛
照明: ⼭⼝峰寛
録⾳: 廣⽊邦⼈
装飾: 村井重樹
ガンエフェクト: 栩野幸知
編集: ⽊村誠
ヘアメイク: 佐藤ひろえ
助監督: 丸岡健
記録: ⾼橋久美⼦
アシスタントプロデューサー: ⼤原誠弍
⾳楽: ⾼橋哲也
⾐装協⼒: 東京⾐裳
 
配給: 渋谷プロダクション
製作: JOE Company
 
2025年 / ⽇本語 / ステレオ / アメリカンビスタ / 117分
 
©︎ 2024 JOE Company
 
2025年8月8日(金)~池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開!
 
映画公式サイト
 
公式X:@haotomovie
 

映画『ハオト』完成披露舞台挨拶 レポート

この記事の著者

Cinema Art Online編集部

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