
映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』
吉田美月喜 インタビュー
南沙良&出口夏希と作り上げた、3人の「完璧なバランス」
「リアル」と「キャラクター」の狭間を生きた“岩隈真子”――。
第28回松本清張賞を満場一致で受賞した、当時21歳の現役大学生・波木銅による小説を映画化した映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』。1月16日(金)より全国公開され、閉塞感が漂う田舎町でくすぶる思いを抱えた3人の女子高生たちが、どん詰まりの現状を打破するために“禁断の課外活動”に手を染める姿を描く。不適切で痛快な青春エンターテインメントとして、今話題を呼んでいる。

南沙良演じるラッパーを夢見る主人公・朴秀美と、出口夏希演じるスクールカースト上位の矢口美流紅。この個性的な2人と共に、同好会〈オール・グリーンズ〉を結成する3人目のメンバー、岩隈真子を演じたのが吉田美月喜だ。
河合優実と共にW主演を務めた劇場アニメ『ルックバック』(2024年)が、第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど国内外で高い評価を受け、その演技力に注目が集まる彼女。本作では、漫画に詳しく、少し冷めた視点で周囲に毒舌なツッコミを入れる独特な立ち位置のキャラクターを好演している。
今回、出演の経緯や「岩隈真子」という役がいかにして作られたのか、そして〈オール・グリーンズ〉の3人が過ごした時間や自身の今後について話を聞いた。

決め手は監督の“直感”
映画『猿楽町で会いましょう』(2021年)で鮮烈なデビューを飾った児山隆監督の最新作。本作への参加は、まだ役柄が完全に確定していない段階での「面談」から始まったという。
―― まずは、本作への出演が決まった経緯をお聞かせください。
吉田: 面談のような機会がありまして、そこで当時、岩隈真子役として児山監督と初めてお会いしました。その際にお話しさせていただいて、後日正式にオファーをいただいたという形です。
―― 児山監督にもお話を伺いましたが、「吉田さんに初めて会った時、直感で吉田さんなら“岩隈ができる!”と思った」とおっしゃっていました。
吉田: それはすごく嬉しいです! まだ役が決まりきっていない状態でお会いして、監督の直感でそう思っていただけたことは、役者として自信にもなりました。
―― 原作や脚本を読まれた時の印象はいかがでしたか?
吉田: まず原作小説がすごく面白くて、私はすごく好きだなと思いました。
物語の中で、朴秀美(南沙良)と矢口美流紅(出口夏希)、そして私が演じる岩隈真子、この3人のバランス感がすごく大事になる作品だなと感じました。
まず南沙良ちゃんと出口夏希ちゃんのお二人が、どういうアプローチで役を作ってくるのか、想像するだけで楽しみでした。お二人のパブリックなイメージからすると、今回の役柄はあまりイメージにないキャラクターなのかなと。だからこそ、どう演じられるのかなとワクワクしましたし、そこに私が岩隈としてどう入っていくか、3人のバランスをどう作っていくか。お二人の出方を見ながら、自分の立ち位置を決めていけたらいいなと思いました。

「キャラクターっぽさ」と「リアル」の間を探って
吉田が演じる岩隈真子は、独自の感性を持ち、時に周囲を冷静に観察して毒づくような役どころ。監督との対話を経て、さらに吉田美月喜ならではのアプローチでキャラクターを立ち上げていった。
―― 「岩隈真子」という役については、実際にどのようなアプローチで役作りをされていったのでしょうか?
吉田: 実は、最初にいただいた準備稿の段階では、私の中で岩隈の人物像がまだ少し掴みきれなくて。監督とお話しさせていただいた際、正直に分からない部分などをお伝えしました。後日決定稿として改訂された台本を読んだ時には、岩隈がすごく鮮明に見えてきたんです。
ちゃんと伝えたことを形にしてくださる監督だからこそ、どんなことでも相談すればちゃんと受け止めてくださるという安心感もありましたし、そうやって一緒にキャラクターを作り上げていけた感覚がありました。
原作を読んだ時から、岩隈はいわゆる「漫画に出てくるキャラクター」のような印象が強くて。ちょっとコミカルな動作や雰囲気が見えてきました。でも、それを実写映画でそのままやりすぎてしまうと、浮いてしまって違和感が出てしまう。その「キャラクターっぽさ」と実写としての「リアル」の境目を意識しつつ模索していきました。

―― 具体的には、どのような仕草やビジュアルを意識されたのでしょうか。
吉田: 衣装合わせをした時に「ダサかっこいい」とか「一周回ってかっこいい」みたいな独特のキャラクターだなと思いました。劇中ではあまりメイクもしていないですし、「岩隈なら髪はボサボサであってほしいな」と思い、撮影期間中はトリートメントをせずに、あえて髪をパサパサの状態にしていました(笑)。
あとは少し猫背にしてみたり、歩き方もスタスタ歩くのではなく、ちょっと「すり足」っぽくしてみたり(笑)。毒舌な台詞の言い回しなども、独特の間や早口な口調などを意識して、どういうトーンで言ったらいいかなと考えながら演じました。
工業高校で生まれた、女子3人の結束
劇中では、まるで本当の同級生のような自然な空気感を放っている3人。南沙良、出口夏希との共演について、そして工業高校という特殊な舞台設定が関係性に与えた影響について語る。
―― 今回の役柄での3人の関係性について、どのように捉えて演じられていましたか?
吉田: 本作の舞台は工業高校の機械科ということで、女子生徒が数人しかいない環境なんです。そういった環境だからこそ、逆にこの3人の結びつきが強くなるというか、ある意味で男子たちよりも「男らしい」というか(笑)。サバサバしていて、かっこいい関係性になっているなと感じました。
朴と美流紅は、2人ともちょっとぶっ飛んでいる部分を持っていて、岩隈はその間に立つポジションです。タイプで言うと一番「観客に近い」というか、ちょっと引いて見ているキャラクターなんです。ぶっ飛んだ2人に対して、ツッコミを入れたりブレーキをかけようとしたりするけれど、結局巻き込まれて一緒に進んでいく。そういった役割を意識しながら演じていました。

―― 現場での3人の雰囲気はいかがでしたか? 児山監督も「吉田さんが加わることで3人のバランスが完璧になった」とお話しされていました。
吉田: え、本当ですか! 嬉しい……。
現場はすごく楽しかったです!約1カ月弱の撮影期間でしたが、休み時間もずっと3人でいることが多くて、くだらない話をずっとしていたと思ったら一緒に教室で寝てたり(笑)。良い意味で何も気を使わず、自由にしていました。その空気感は、作品の中の3人の関係性にも自然と表れているんじゃないかなと思います。
2人とも感性がすごく豊かで、良い意味で普通なら思いつかないようなことを突発的に思いついてくれるので、それに驚きながらも、私がまとめたりしていました(笑)。

役者として、常に自分を更新し続けていきたい
劇中には、〈オール・グリーンズ〉の3人が自身の将来像について語り合う印象的なシーンがある。本作を経て、吉田自身は俳優としての現在地や展望をどう捉えているのだろうか。
―― 劇中では3人が自身の将来像について語り合うシーンがありましたが、吉田さんご自身の将来のイメージや目標など是非お聞かせください。
吉田: 私は今のお仕事、お芝居に出会えてよかったなとすごく思っていて。これが一番やりたいことですし、これからも続けていけたらいいなと強く思っています。
演技の仕事をしていく上で、自分の演技に満足することは一生ないと思っていますが、「あの時の自分はあれができなかったけど、今はもっとこうできる」という風に、常に自分を更新し続けていきたいですね。岩隈も今までやったことのない役だったので、自分の知らない引き出しを、作品ごとにもっと見つけていきたいなと思っています。

―― 以前のインタビューでは、「陽」のキャラクター(明るい役)を演じる難しさについてもお話しされていましたが、今ではいかがでしょうか? 今回の岩隈真子も、ある種独特の明るさを持つ役柄でした。
吉田: 以前お話しした、「陽」のキャラクターを根っから明るく演じる難しさは、今でもやっぱり感じています。ただ、ドラマ「沼る。港区女子高生」(2023年/NTV)をやっていた時に、一つヒントが見つかりました。“明るさ”にも色々あって、人間って一つの感情だけで生きているわけじゃなくて、いろんな感情が入り混じっていたりしますよね。そういった繊細な部分を磨いていきたいなとは、ずっと思っています。
今回の岩隈真子に関しては、単なる明るさとは少し違う、人間味のある面白いキャラクターでした。演じていて、3人の会話が楽しいなって私が思ったら、岩隈も笑う。そういうリアルな感情で演じることができたと思います。役と自分の感情がリンクして、何より演じていて楽しかったです。

―― 最後に、映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
吉田: まず、すごく疾走感のある作品です。
〈オール・グリーンズ〉の3人の行動力、そして良い意味で普通の人は思いつかないようなことを思いついて突き進んでいくエネルギーは、観ている方の背中を押してくれるものがあると思います。
大人になると、どうしても臆病になったり、いろんな責任や制限が増えて動き出せなくなったりすることもあると思います。でも、彼女たちの姿を観て「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです。
ぜひ大人の方も学生の方も、映画館に足を運ぶ機会が減ってきている今だからこそ、劇場の大きなスクリーンと迫力ある環境の中で観ていただきたいなと思います。

[ヘアメイク: 田中 陽子 スタイリスト: 有本 祐輔(7回の裏)]
プロフィール
吉田 美月喜 (Mizuki Yoshida)2003年3月10日生まれ。東京都出身。 2017年にスカウトされ芸能界入り。Netflixオリジナルシリーズ「今際の国のアリス」(2020年)、ドラマ「ドラゴン桜」(2021年/TBS)、「ネメシス」(2021年/NTV)など話題作に次々と出演。 主な映画出演作に『町田くんの世界』(2019年)、映画初主演作『メイヘムガールズ』(2022年)、『あつい胸さわぎ』(2023年)、『カムイのうた』(2024年)などがある。 第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞をはじめ数々の映画賞を受賞した劇場アニメ『ルックバック』(2024年)では声優としてW主演を務め、その演技力が高く評価された。 待機作に、WOWOW × Lemio 連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」(2月15日放送・配信開始)、短編オムニバス映画『GEMNIBUS vol.2』の一編『顔のない街』(3月6日公開予定)、舞台「彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd Vol.3『リア王』」(5月5日より全国6カ所にて上演)、海外映画初出演となる映画『KARATEKA』(10月30日スペイン公開予定)がある。
|
CAO読者限定プレゼント🎁
吉田美月喜さん 直筆サイン入りチェキを1名様にプレゼント!
映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』の公開を記念して、吉田美月喜さんからシネマアートオンラインの読者の皆様に直筆サイン入りチェキのプレゼントをいただきました❣

★応募方法など詳細は、読者プレゼント応募ページで👀
映画予告篇
映画作品情報

《ストーリー》ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(南沙良)。陸上部のエースで社交的、かつスクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(出口夏希)。 未来が見えない町で暮らすどん詰まりの日々の中、秀美が地元のラッパー佐藤(金子大地)の家で〇〇〇〇を手に入れる。 その出来事をきっかけに、同級生で漫画に詳しい毒舌キャラ岩隈真子(吉田美月喜)、岩隈の後輩で漫画オタクの藤木漢(羽村仁成)らを仲間引き入れ、同好会「オール・グリーンズ」を結成、〇〇〇〇の栽培に乗り出す。 人生を諦めるのはまだ早い!自分たちの夢をかなえるために、この町を出ていくには、一攫千金を狙うしかない!そして、学校の屋上で、禁断の課外活動がはじまる―。 |
![Cinema Art Online [シネマアートオンライン] Cinema Art Online [シネマアートオンライン]](https://cinema.u-cs.jp/wp-content/uploads/tcd-w/logo.png?1769777900)




















































![Cinema Art Online [シネマアートオンライン] Cinema Art Online [シネマアートオンライン]](https://cinema.u-cs.jp/wp-content/uploads/tcd-w/footer-image.png)