
映画『トロフィー』公開記念舞台挨拶
初主演の恒那、井浦新と市川実和子から「大物になる」と太鼓判!!
「何かを抱えて生きる皆さんの背中を少しでも押せたら嬉しい」と真摯に伝える
是枝裕和監督や西川美和監督の監督助手を務めてきた映像制作集団分福の新鋭・孫明雅監督の鮮烈な長編デビュー作であり、在日コリアンの少女の日常と心の葛藤を描いた映画『トロフィー』が7月10日(金)に劇場公開を迎えた。

公開翌日の7月11日(土)、テアトル新宿での上映終了後に公開記念舞台挨拶が開催され、映画初主演を務めた恒那、共演の井浦新、市川実和子、ちすん、そして孫明雅監督が登壇。7月2日から12日にかけて韓国で開催された第30回富川国際ファンタスティック映画祭Fanta Scape部門でのワールドプレミアを経て、ついに日本公開を迎えた喜びや、約1年にわたる朝鮮舞踊の練習を重ねた撮影の舞台裏が語られた。
国際映画祭での反響を経てついに日本公開!🎉
孫明雅監督とキャスト陣が満席の劇場で喜びを語る
上映が終了し、深い余韻と満席のテアトル新宿の客席からの大きな拍手に包まれる中、恒那、井浦新、市川実和子、ちすん、孫明雅監督がスクリーン前に登壇。MCの新谷里映による進行のもと、温かい舞台挨拶がスタートした。
マイクを受け取った孫監督は「監督の孫明雅と申します。本日はこんなに広い客席を埋めてくださって、ご覧いただき本当にありがとうございます」と笑顔で挨拶。自身も朝鮮学校に通っていた在日コリアン3世であり、自らの経験と感情を起点に映画『トロフィー』を描き出した孫監督は、無さに日本公開を迎えたことへの深い感謝を述べた。

オーディションで選ばれ、映画初主演として主人公・ソヒ役を熱演した恒那は「主人公のソヒを演じました恒那です。本日はお越しいただきありがとうございます。短い時間ですがよろしくお願いします」と凛とした姿で挨拶。

続いて、韓国・富川で開催された第30回富川国際ファンタスティック映画祭でのワールドプレミア上映について話題が及ぶと、孫監督は「現地の観客の皆さんがすごく熱く受け止めてくださって、笑い声や拍手を直接肌で感じられたことが大きな自信になりました」と振り返り、国境を越えた反響への喜びを語った。
また、映画『トロフィー』の題材に朝鮮学校と朝鮮舞踊を選んだきっかけについて、孫監督は「私自身が小学校から高校まで朝鮮学校に通いていて、朝鮮舞踊ではなかったのですがすごく憧れがあったんです。今はすごくブームとかも入ってきて、K-POPやK-POPアイドルを目指す日本の方もいらっしゃって。反面、北朝鮮のミサイルのニュースなどの背景に朝鮮舞踊が使われたりして。そこで、元々は同じ国だったのに、北での政治的な対立で、本来朝鮮舞踊は美しいものなのに、そういう変な見方をされてしまうのはどうなんだろうとずっと持っていて、朝鮮舞踊とK-POPを映画の中で扱ってみました」と、企画の背景にある強い想いを明かした。
250名超のオーディションと約1年に渡る舞踊練習🎬
先輩・ちすんが称える“本当の部活”の空気感
トークセッションでは、250名を超えるオーディションを勝ち抜いた恒那の過酷な役づくりについて語られた。
孫監督からはオーディション時の秘話として「1次面接の時に、あ、なんとなくこの子がいいなと思って、2次の芝居のオーディションで、あ、もうこの子がいいって思ったんです。でも3次の踊りのオーディションで(踊りがひどかった)」と明かされると、完全に未経験だったという恒那も「性格的な面ではソヒと似ている部分が多くて個人的に演じやすい役だなと思っていたんですけど、舞踊がちょっとだいぶひどくて(笑)。最初の段階では代役を使おうかと言われたり、オーディションで1番下手だったとたくさん言われるくらいだったんです」と当時を回想。「監督さんだったり、美容の先生と正式なレッスンを重ねて、練習し始めて4カ月目や半年のあたりから他の舞踊部員の子たちとも一緒にレッスンを受けるようになって。そこからだんだん自分も踊ることが楽しくなってきて、最後は舞踊が終わるのが寂しいと思うくらい楽しく踊りきることができました。最後の舞踊大会のシーンでは、もうこれが最後だって思うのと、先生とも離れるってなると大号泣しました」と笑顔で語った。
公式Instagramアカウント(@trophy_film_710)では、恒那の舞踊レッスン初期の様子を捉えたビハインド・ザ・ステージ動画が公開されており、孫監督からも「すごく可愛いのでぜひ見てほしい」と息の合ったアピールが行われた。
これに対し、ソヒを厳しくも温かく指導するリ先生役を演じたちすんは「私も学生の頃に、学校の部活で9年間朝鮮舞踊をやっていました。本当に私にとって朝鮮舞踊というのがすごく青春そのものだったので、このような形で映画で描いていただき、たくさんの方に観ていただけるというのは感無量で、すごく嬉しく思っています」としみじみ。「実際撮影では、恒那ちゃんを筆頭に舞踊部の子たちが1年間みっちり朝鮮舞踊を練習してきたので、本当の部活のような雰囲気で撮影することができました。やっぱり1日2日の練習では到底出せない空気感だった」と称賛した。

すかさず孫監督から「私とちすんさんは大阪で同じ高校(大阪朝鮮高級学校)に通っていたんですよね。7期違いなので学年は被らないんですけれども、友達のお姉ちゃんとかの話で、当時から『ものすごく朝鮮舞踊が上手い、レジェンド級の人がいる』という話を常々聞かされていて、それがちすんさんだったので、今回こうやって先生役を演じてくださって私としてはとても嬉しいです」と明かされ、ちすんは「ちょっと怖い先生に映っていたかもしれないんですけれど、すべて監督の指示通りでございます(笑)」と返し、会場を笑わせた。
父親役・井浦新と母親役・市川実和子が語る撮影秘話と家族の空気感👪
父親のサンジュ役を演じた井浦新は、恒那の奮闘について「彼女が日々努力して、現場でソヒとして立派に踊る姿を見た時は、本当の父親のように胸が熱くなりました」と整然。さらに恒那から、家族3人でソヒが勲章を売ったことがバレて喧嘩するシーンの裏話として「『やめて』というセリフを言うタイミングを間違えてしまったことがあるのですが、やらかしちゃったなと思っていた時に、新さんが『それは自分の感情で出たものだからそれは失敗じゃないし、自分の感情で自分のやりたいようにお芝居していいんだよ』と言ってくださったのが、すごい自分の中で印象に残っています」と感謝が伝えられると、井浦は「全然覚えてないです(笑)」とはにかみつつも、「きっと生理的に出た方、台本に書かれてるよりもその瞬間にやっぱ言いたくなるから出るんだろうなと思ったから、きっとそう言ったんだろうな」と優しくフォローした。
また、お父さんは劇中でうざたがられている設定のため、井浦は「現場でもなかなか一緒に仲良く笑顔で話し合う場面は自分もあまり作らない方がいいなと思って、程よい、かと言って話さないとかじゃなくて自然な距離感だけど目が合わないようにしていました」と役づくりのアプローチを明かしつつ、「家族の骨組みを作ってくれているのはずっと市川さん。僕はサンのようにそこにただ乗っかって、遠くから見てる感じで過ごしていたような気がします」と感謝を語った。

母親のミリョン役を演じた市川実和子は「新た君とは10代の時からの知り合いなので、その時の積み重ねみたいなものは私たちにしか出せない空気としてあったのではないかと思っていて、本当に一緒に過ごした時間があるので演技をする上でも助けてもらいました」と長年の信頼関係を語り、恒那についても「見た目とは裏腹になかなか肝が座っているというか、現場でも本当に自然にいるんですよ、控え室とかに。だからすごく助かるなと思って、自然に親子関係を演じるきっかけをもらったなと思ってます」と大物ぶりを大絶賛。
井浦が「女優さんって大体中身がおっさんなんですよ。内緒ですけど(笑)」とならではの冗談を交えると、市川も「『恒那ちゃんもなかなかだね、大物になるな』って新さんとかマネージャーとちょっと話してました」と頷き、息の合った掛け合いを見せた。

また、井浦は本作のオファーを振り返り「僕も250人のオーディションの中からこの役を勝ち取って(笑)」と冗談を飛ばしつつ、「監督から台本とお手紙をいただいて、1番最初に読んだ時の印象は、本当に平凡な家族の物語と、あと少女のその青春というものを描いていて、そこが軸でありました。監督の師匠でもある是枝裕和監督の元で僕も俳優としてデビューしたり、そういうご縁もあって、孫監督の元で一緒に映画作りしたいなという思いがありました。撮影監督の山崎裕さんもデビュー作からご縁がある方でしたから、懐かしさを感じる撮影現場になるかなと思ったんですけど、初日に入ったら是枝監督の影ではなくて、ちゃんと孫監督の現場作りをされていて、新しさを感じながらやっていました。台本で読んだよりも、ものすごいキラキラと美しく逞しい映画だなと思っています」と作品への深い愛着を語った。
在日コリアンのリアルな言葉を追求した言語指導の舞台裏🗣
世代を超えて受け継がれる言葉の奥深さ
中盤のティーチインでは、客席の熱心なファンから質問が飛んだ。大阪の小学校から高校まで朝鮮学校に通い途中でドロップアウトしたという観客から「映画を観てすごく気持ちが浄化された。朝鮮学校の朝鮮語(在日語)を使うシーンがとってもリアルだったが、どのように演技されたのか」と質問されると、井浦は「監督自ら参考音声を録音してくださって、そのデータをひたすら毎日音楽のように聞き続け、体に馴染んでいくまで体の中に入れ込みました。これ以上聞きたくないと思うくらい聞いた(笑)というのは嘘なんですけど、自ら監督がそこを録ってくれたのが本当にありがたかった」と徹底した役づくりを明かした。
孫監督からは「日本語に“R”の発音がなくて恒那ちゃんは苦戦していたんですけど、新さん“R”で一切つまづかなかったのを覚えてます」と絶賛されると、井浦は「全く気づかなかった。自然にできていたならよかったです」と笑顔。一方の恒那は「私はその発音で何回もNGを出してしまって、アフレコでもそこだけ何回もやり直したので、本当に落ちこぼれでしたね。監督のおかげです」とはにかんだ。
さらに、ちすんからは在日コリアンの言葉(在日語)の奥深さについて解説が行われた。「私は大阪の在日語のイントネーションになっていたので、監督から『これは東京の話だけど、もうそのままでいいです』と言ってもらい、その場で即興を交えて言いやすいようにやらせてもらいました。在日コリアンの言葉には、世代間の変化があって、1世が2世に教えて、2世が3世に教えてってやるのでかなり変化がある。大阪弁っぽい在日語だったり、東京弁の在日語みたいなのがあったりして本当に奥深い。先生たちもそれぞれイントネーションを持っている」と、リアリティにこだわった言語表現の舞台裏が語られ、一同を感激させた。
トークセッションとティーチインが終了すると、メディア向けのフォトセッション、そして来場した観客による撮影タイムが設けられた。客席からは一斉にスマートフォンが掲げられ、壇上のキャスト・監督へ向けて熱いフラッシュが送られた。
悩み抱える人々の心に優しく寄り添う✉️
登壇者から観客へ贈る温かいラストメッセージ
フォトセッションの後、集まった観客やこれから映画『トロフィー』を観る人々に向けて、登壇者から一言ずつメッセージが送られた。
ちすん:「本日は最後までお付き合いいただきありがとうございました。本当にたくさんの方に観ていただけてとても嬉しいです。何か観た人の心に残るような作品になっていたらいいなと思ってます」
市川:「日常の小さな葛藤や愛おしさが詰まった作品です。皆さんの心に少しでも寄り添えたら嬉しいです」
井浦:「この作品は世の中の不条理を強く訴えかけるような作品とはちょっと違う、キラキラとした青春映画で、隣のお家から聞こえてくるような本当に身近にある家族の物語です。それでも何かこう強い芯があって、きっと皆さんも観て、ご自身やご家族、娘さんをそこに重ね合わせながらこの映画を観ていただけたんじゃないのかなと思います。さきほど写真をたくさん撮られたので、その写真を大切に仕舞い込んでおかずに(笑)、SNSなどを駆使してお友達にLINEやメールで感想をたくさん伝えていただけると大変ありがたいです。また誰の目線で観ると少し物語の見え方が変わってきて、違う映画の楽しみ方もできると思いますので、是非『トロフィー』を2度、3度と観て楽しんでいただければと思います」
恒那:「私にとって初めての主演作がこの映画『トロフィー』で本当に幸せです。ソヒの姿が、何かを抱えて生きる皆さんの背中を少しでも押せたら嬉しいです。本日はありがとうございました」
孫監督:「朝鮮学校のことを知っていただこうと思って作った映画なんですけれども、大々的に広告を打ったりテレビでやったりとかはしないので、みなさんの口コミでもし良いと思っていただけたら、周りの方に広めていただけますとすごく嬉しいです。大人になる過程での鬱屈とした感情や居場所のなさというのは、ルーツに関わらず誰もが共感できるものだと思っています。この映画を観る時間が、皆さんそれぞれが抱えているものと向き合う瞬間に繋がったら嬉しいです。本日は本当にありがとうございました」
会場全体から温かい拍手が送られる中、映画『トロフィー』の公開記念舞台挨拶は締めくくられた。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『トロフィー』公開記念舞台挨拶■開催日: 2026年7月11日(土) |
映画『トロフィー』予告篇 🎞
映画作品情報

《ストーリー》在日コリアンのひとつの〈今〉を描いたオリジナルストーリー。 在日コリアンのルーツを持つ14歳の少女・ソヒ(恒那)は, 朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を送っている。ある日、日本学校との交流会で日本人の未来(梨里花)とK-POP好きという共通点で仲良くなり、ソヒは少しずつ外の世界と繋がりを持っていく。 そんな中、ふたりは推しのK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐために、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることに 。そこで意外にも高値で売れたのは、朝鮮学校の校長である父・サンジュ(井浦新)が持っていた一枚の北朝鮮のCDだった。それに味をしめたソヒたちは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された”勲章”までも売ってしまう――。 |
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