映画『モダン・ラブ』公開初日舞台挨拶
初日満席御礼!8年ぶりの劇場公開に歓喜!!
福島拓哉監督「映画はパーティであり旅である」
ニース国際映画祭、ハンブルク日本映画祭、マドリード国際映画祭など、様々な世界の映画祭で評価されている福島拓哉監督の長編映画最新作『モダン・ラブ』が6月30日(土)に新宿・K’s cinemaで公開初日を迎えた。
本作は、ラジオドラマ「NISSAN あ、安部礼司」で鞠谷アンジュとしてレギュラー出演中で、つかこうへい作品など演劇界で高く評価されている稲村梓が初主演を務め、その恋人役には福島監督作品常連の高橋卓郎を抜擢。川瀬陽太、草野康太ら日本映画に欠かせない俳優陣が脇を固め、ロックバンド・The John’s Guerrillaの今村怜央が物語の鍵を握るキャラクターとして出演している。
物語は、失踪してしまった恋人・テル(高橋卓郎)を忘れられずにいる主人公・ミカ(稲村梓)が、新惑星エマノンの影響により発生した複数のパラレルワールドに足を踏み入れながら、テルとのことを乗り越え、新しい一歩を踏み出すまでを描いたサイコファンタジーである。
正式出品された第6回ニース国際映画祭(NICE IFF)では4部門にノミネート。最優秀音響賞を受賞した。その後、第19回ハンブルク日本映画祭にも正式招待され、福島監督が今年新設された特別芸術賞を受賞し、海外で高い評価と反響を呼んでいる。
6月30日(土)、新宿・K’s cinemaで行われた初日舞台挨拶の模様をお届けする。
《イベントレポート》
公開初日の初回上映を目前に控えた新宿・K’s cinemaのロビーには『モダン・ラブ』の公開を待ちに待った待ちきれないというほどに、開映の1時間以上前から観客、関係者が溢れ、チケットは完売。立ち見客が出るほどに賑わっていた。
上映を待つ満席御礼の劇場に、『モダン・ラブ』出演の高橋卓郎、芳野正朝、今村怜央、佐藤睦、川瀬陽太ら俳優陣、そして福島拓哉監督が登壇すると、観客から声援と盛大な拍手が送られた。
冒頭挨拶では、テル役の高橋が「『モダン・ラブ』でヒロインのミカ役を演じさせて頂きました稲村梓です」と真顔で冗談を言い会場を盛り上げると、バード役を演じた今村が俳優人生で初めて役名をいただいたことへの感謝を述べるなど、登壇者がそれぞれの思いを語った。
『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETRNITY』(2009年製作/2010年公開)以来、8年ぶりとなる長編映画の劇場公開を迎えた福島監督は「僕はK’s cinemaというハコがすごく好きで、ハコ(劇場)も良いし、タバコも吸いやすいし、飲み屋も近い(笑)」とコメントし、会場から笑い声が上がると、「ここに戻ってくるまで6年もかかりまして、長編でというと8年もかかりました。非常に嬉しいです」と感慨深い面持ちで挨拶した。
MCから『モダン・ラブ』はどのような思いで撮られたのかと聞かれると、福島監督は「8年間寝てたわけではなく、ずっと映画を作ろうとしていました。なかなか上手く行かなくて、時間がかかってしまったけれど、その中でも何とか新しい作品をやりきろうという思いで昨年の1月に新作企画としてスタートして、ノンストップで突っ走ってきました」と振り返った。
また、失踪した恋人・テルを演じた高橋は、どのような気持ちで撮影に臨んだのか聞かれると「主演の稲村さんのエネルギーを感じて、彼女からもらったエネルギーをお芝居の中で反映しただけです」と語った。
シゲ役の芳野は本作で印象に残ったことを聞かれると「作品が始まる前に監督から連絡をいただき、『ほぼ、お前に当て書きだから』と言っていただいたのが、めちゃくちゃ嬉しかったのですが、いざ台本を読むと“ガチムチのオネエ役”という。あっ、監督にはそう見えていたんだ!」と笑いをとると、福島監督は「台本書く段階から芳野君にお願いしようと決めていました」と明かした。
福島監督曰く「決定的な存在感が必要な役」というバード(謎のイベントオーガナイザー)を演じた今村はこの役の難しさについて聞かれると「そもそもこの役は一週間前くらいに急に『映画でない?』って、福島監督から言われて決まったんですよ。今まで(自身の音楽PVで)本人役しか出演したことなかったので、初めての台詞でした。もう一生懸命何とかやろうとしていただけなので憶えていないです。それが形になってみんなに観てもらえることを嬉しく思います。どうか優しく観てやってください」とコメントした。
一方、主人公・ミカの大学院の先輩・高山を演じた佐藤は、自身の役について「一生懸命、主人公のミカを支えてあげようと、仲良くなれるように演じました」と話すと、MCから「仲良くなれましたか?」とすかさず質問され、「たぶん…」と答えた。会場からは「かわいいー!」という黄色い声援も上がった。
本作で福島組2回目の出演となる川瀬は印象に残ったことを聞かれると、「福島君とは90年代から付き合いがあって、(お互い)違うことをやっていても横目で伴走しているような感覚で見てきましたが、ここ近年映画が撮れていないことをなんとなく横目で見えていたので、さぞ苦しかろうと思っていました。偉そうですけど何か手助けになればという思いで関わったのが最初です。満席スタートという一番望むべく形になったのが本当によかったね」と福島監督を労った。それを受け福島監督は「付かず離れず何となくいるなっていう感じですね」と河瀬との距離感についてコメントすると、川瀬は「まぁ、味噌汁が若干冷めるくらいですね(笑)」というおちで笑いを誘った。
また、福島監督がTwitterで『モダン・ラブ』をレディ・ガガに是非観てほしいとツイートしていたことが話題に上がると、「脚本を書く段階でいろんなことをモチーフにしたり、インスパイアがあったのですが、その中の一つに僕が好きなレディ・ガガの歌があって、その詩の世界観とかも脚本を書く時に結構参考にしたので『これレディ・ガガ観てくれねえかな』って思ったんですけど、連絡先知らなかったからとりあえずレディ・ガガのTwitterをフォローしました(笑)」とエピソードを披露した。
終始観客からの相づちや笑いの絶えない和やかな舞台挨拶も佳境を迎え、観客ほぼ全員がカメラマンというフォトセッションが行われた後、登壇者一人ひとりから観客に向けてメッセージと今後の活動についてなど告知があり、舞台挨拶は締めくくられた。
福島監督からは観客の皆さんへ「これが一番大事な告知です。終わったら飲みに行きますんで、行きたい人は誰でも参加可能です。今日は確実に朝まで行くんで、もし一緒に飲みたいという方は割り勘ですが、是非来ていたければと思います」と福島監督らしい恒例のお誘いがあり、最後に「ようやくこの場に帰って来れたという気持ちが、今強くあります。映画というのはパーティであり旅であると思っていて、ここに来る前に何ヶ国か行ってきました。この後もいくつか行きます。東京の上映が終わってからも地方の上映が始まります。まだまだ『モダン・ラブ』であと1年くらいは僕らは旅をし続けると思っています。皆さん気に入って頂けましたら、ネタバレしない程度に感想など拡散いただけると僕らの旅先も増えるかもしれません。是非ご協力いただけると本当にありがたいです。楽しんでいってください。ありがとうございます!」と締めくくった。
映画『モダン・ラブ』は、7月20日(金)まで新宿・K’s cinemaにて公開中。東京での上映に引き続き、大阪シネ・ヌーヴォ、名古屋シネマテーク、横浜シネマ・ジャック&ベティでの公開も今秋以降予定している。
7月のマドリード国際映画祭(スペイン)、8月のアムステルダム国際フィルムメイカー映画祭(オランダ)、9月のサウステキサス国際映画祭(アメリカ)に続き、同9月にジャカルタ国際フィルム&アートフェスティバル(インドネシア)での正式上映が決まるなど、海外での展開も楽しみだ。
福島拓哉監督の旧作6本を観ることができる「映画『モダン・ラブ』公開記念福島拓哉監督特集」も青山シアターにて6月29日(金)から7月31日(火)まで期間限定でオンライン上映中である。
イベント情報<映画『モダン・ラブ』公開初日舞台挨拶> |
映画『モダン・ラブ』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》東京。 太陽系内に生命体の存在する新惑星・エマノンを発見したという報道に湧く一方、異常気象が頻発していた 。 旅行代理店で、アルバイトをしながら大学で理論物理学を専攻している大学院生のミカ(稲村梓)は、5年前に失綜してしまった恋人・テル(高橋卓郎)のことを忘れられないでいる 。 出会い系アプリで男を漁りその孤独を埋めつつ、妄想でテルと会話する毎日 。 ある日、ミカは発作的に既視感を覚えるようになり、 「もう一人の自分」たちと出会ってしまう。それぞれのミカにはそれぞれに違った状況が存在していた。 理解に苦しみ混乱するミカだったが、やがて人生を変える選択を迫られる… |
第6回 ニース国際映画祭(NICE IFF) コンペティション部門 4部門ノミネート&最優秀音響賞(田中秀樹)受賞!
サウステキサス国際映画祭(STXIFF) コンペティション部門正式出品
アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭 3部門ノミネート
プロテューサー: 本井貞成、岩本光弘、福島拓哉
撮影監督: 木村和行
撮影: 難波俊三、川口紘
照明: 高橋拓
サウンドディレクター: 田中秀樹
美術: 安藤秀俊、菊地実幸
衣装: 森美幸、増淵麻衣
へアメイク: 榎本愛子
助監督: 渡辺イチ
制作主任: 板部文
音楽: トルコ石、河原弘幸(floating mosque)
協賛: メディックメディア、 PARIBAR
製作: P-kraft、ラフター
2018年 / 115 min / カラー / 4K / 日本語、英語、スペイン語