映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶レポート
【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (東山奈央、種﨑敦美、本田望結、山田尚子監督)

映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶

本田望結「最低でも10回は観ます!」
何回でも、観るたびに違う見方を楽しんでほしい。

映画『聲の形』で第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション賞、東京アニメアワードフェスティバル 2017 アニメオブザイヤー作品賞劇場映画部門グランプリなどを受賞した京都アニメーション制作の最新作『リズと青い鳥』が4月21日(土)に全国公開を迎えた。

本作は、高校生の青春を描いた武田綾乃の小説『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』をアニメーション映画化。吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれ(よろいづかみぞれ)と、フルートを担当する傘木希美(かさきのぞみ)の2人の少女の繊細で儚く美しい一瞬を切り取った青春ストーリーである。

 

4月21日(土)、東京・新宿ピカデリーにて初日舞台挨拶が実施され、Wヒロインで、仲良しの友達だけれど卒業を前にどこかギクシャクしている鎧塚みぞれ役の種﨑敦美と傘木希美役の東山奈央、リズと少女の一人二役を好演したゲスト声優の本田望結、そして山田尚子監督が登壇し、キャストと監督の熱烈作品愛に会場が沸いた。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (種﨑敦美、東山奈央、本田望結、山田尚子監督)

イベントレポート

種﨑は冒頭、皆さん映画を観たから、話したかったことがやっと話せる! と公開初日を迎えた喜びに全開の笑顔を見せながらも「話したいことがありすぎて、どこから話せばいいのか・・・!」と言葉をつまらせた。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (種﨑敦美)

MCが本作について、ふと目を離したすきに何かもっと深い別のことが起こっているような気もするというと「顕微鏡を見てる時って息してないなぁ〜って。そんな、顕微鏡を見る時のように息を潜めてジーっと観てしまう作品です」と言う種﨑に「いい例え! 最高です! !!」と山田監督が笑顔を見せると、会場からは拍手が巻き起こった。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (山田尚子監督)

収録について東山は「ワンシーンワンシーンが小さな積み重ねでした。雪のようにシンシンと積もり、気がついたら厚く深くなって最後に繋がっていったのかなと思います」と、一つ一つのシーンで起こる出来事とその時々の思いに丁寧に向き合ったと語った。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (東山奈央)

監督との打ち合わせは一度きり、他のキャストと顔を合わせることもなく一人でアフレコを終えた本田は、台本を読んだ当初一人二役ということにまず驚いたという。山田監督からは「あまり深く色を付けないでほしい」という要望があり、収録中も「不安ばかりだった」が完成した作品を観終わって「監督の言った通りだなぁ」と安心した。しかし、声優ではない自分の声が物語や世界観を壊していないか、観客の皆さんに許してもらえるか・・・と恐縮気味な本田を、種﨑と東山が愛情たっぷりにすかさずフォローした。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (東山奈央、種﨑敦美、本田望結、山田尚子監督)

種﨑と東山が演じる希美とみぞれのシーンと、本田演じるリズと少女のシーンは交互に展開される。本田について「お芝居も声も本当に素直で真っ直ぐ、ストレートに心に届きます」と種﨑、東山は「私たち素直じゃないから『そばにいて』とか『行かないで』とか言えないんです」と自分と種﨑の役に本田の役の台詞を当てはめ、希美とみぞれが言葉を発しない分あるいは発していてもその裏側にある言葉を、リズと少女の素直さが代弁してくれていると熱弁した。本田は二人の言葉に嬉しそうにはにかんだ。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (本田望結)

印象的だった出来事を尋ねられた東山は、テレビシリーズとは希美の印象が大きく変わったことをあげた。テレビシリーズでは明るく真っ直ぐで「人から憧れる存在だと思っていた」希美が、本作でクローズアップされることで実はそれだけではない、人間味のある面を覗かせているという。テレビシリーズファンにとっては、いい意味で意外性を感じる楽しみもありそうだ。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (東山奈央)

種﨑は「ずっとずっと、一緒だと思っていた」というキャッチコピーについて触れ、当初思っていたものとは違う意味合いが今ではわかると語った。みぞれが希美と”ずっと一緒にいたい”という思いだけでなく、希美からのみぞれはこういう子”ずっと変わらず同じまま、一緒だと思っていた”という意味合いも含まれていることに気づき、なのに一緒ではなくなっていくんだな・・・と物語の展開について遠い目をし、切なさを覗かせた。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (種﨑敦美)

東山もあらすじの冒頭に書かれている『あの子は青い鳥』という言葉が希美とみぞれ、どちらの言葉としても再生できるとし「観終わった後にどんどん変わっていくんですよね」と観る度に感じられる変化について語った。

最後に、登壇者から一言ずつ挨拶があった。

本田は「今ここにいられることが幸せ。『リズと青い鳥』はわたしの青春の1ページにもなりました。最低でも10回は絶対に観ます!」と宣言した。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (本田望結)

アフレコをする前から特別な作品になる予感がしていたという東山は「こんなに美しい作品に出会えるなんて・・・観終わった後、疑問に思ったことを語り合う楽しみもありますね」と笑顔をみせた。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (東山奈央)

種﨑は「言葉にしたら壊れてしまいそうなものが、観てもらうことで全部伝わったら嬉しいです。観るたびに違う面が見えてくる作品です。私は、希美の立場だけでこの作品を観た時に冒頭から涙が止まりませんでした」と何度も本作を観る醍醐味を語った。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (種﨑敦美)

山田監督は「映画館でしか聞こえないマニアックな音響設定もしているので、映画館でぜひたくさん観てほしいです」と締めくくった。

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (山田尚子監督)

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 宮﨑 千尋]

イベント情報

<映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶>
■開催日: 2018年4月21日(土)
■会場: 新宿ピカデリー スクリーン1
■登壇者: 東山奈央(傘木希美役)、種﨑敦美(鎧塚みぞれ役)、本田望結(リズ/少女役)、 山田尚子監督

【写真】映画『リズと青い鳥』公開初日舞台挨拶 (種﨑敦美、東山奈央、本田望結、山田尚子監督、チューバくん)

映画『リズと青い鳥』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『リズと青い鳥』ポスタービジュアル

《ストーリー》

あの子は青い鳥。
広い空を自由に飛びまわることがあの子にとっての幸せ。
だけど、私はひとり置いていかれるのが怖くて、あの子を鳥籠に閉じ込め、何も気づいていないふりをした。
北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美。
高校三年生、二人の最後のコンクール。
その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。
「なんだかこの曲、わたしたちみたい」
屈託もなくそう言ってソロを嬉しそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。
「親友」のはずの二人。
しかし、オーボエとフルートのソロは上手くかみ合わず、距離を感じさせるものだった。

 
原作: 武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
監督: 山田尚子
脚本: 吉田玲子
キャラクターデザイン: 西屋太志
美術監督: 篠原睦雄
色彩設計: 石田奈央美
楽器設定: 高橋博行
撮影監督: 高尾一也
3D監督: 梅津哲郎
音響監督: 鶴岡陽太
音楽: 牛尾憲輔
音楽制作: ランティス
音楽制作協力: 洗足学園音楽大学
吹奏楽監修: 大和田雅洋
アニメーション制作: 京都アニメーション
製作:『響け!』製作委員会
配給: 松竹
© 武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
 
大ヒット上映中!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @liz_bluebird

この記事の著者

宮﨑 千尋ライター

一番古い映画に関する記憶は、姉と「天使にラブソングを...」ごっこをして遊んだこと。
10代後半でひとり暮らしを始めてから、ひとり映画にどっぷりはまっている。
映画館の独特な雰囲気を好み、休みの日にはミニシアターや小さなカフェで行われる自主上映にも足を運んでいる。

★好きな映画
『天使にラブソングを...』 (Sister Act) [監督: Emile Ardolino 製作:1992年/米]
『アバウトタイム~愛おしい時間について~』 (ABOUT TIME) [監督: Richard Curtis 製作: 2013年/英]
『シックスセンス』 (The Sixth Sense) [監督: M. Night Shyamalan 製作: 1999年/米]

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