
映画『ひみつきちのつくりかた』
㊗新文芸坐 上映記念舞台挨拶
死んだはずの佐藤(白畑真逸)が白装束で“復活”!?
廣末哲万、佐藤貢三、藤田健彦、もりたかおらと共に“同級生5人組”が奇跡の再集結!
単館公開から全国へと上映館を拡大し、ロングランヒットを続ける映画『ひみつきちのつくりかた』。その評価はますます高まりを見せており、監督の板橋知也が、日本映画製作者協会に所属するプロデューサーがその年度で最も優れた新人監督を選ぶ「新藤兼人賞」の2025年度 最終選考(新人監督作215作品の中から監督13名/13作品)にノミネートされるなど、注目を集めている。

11月19日(水)、池袋・新文芸坐での上映初日を記念して舞台挨拶が開催され、主演の廣末哲万(山上謙一/ケン役)、佐藤貢三(豊永光彦/ミッチー役)、藤田健彦(御手洗典雄/ノリ役)、もりたかお(工藤哲治/クドー役)、物語のキーパーソンとなる亡き同級生を演じた白畑真逸(佐藤役)、そして板橋知也監督。これが最後かもしれないと囁かれる“同級生5人組”の再集結に、劇場は満席の観客の熱気に包まれた。
爆笑の幕開け!喪服の一団に、白装束の“故人”がサプライズ登場!?
夏から始まった『ひみつきちのつくりかた』の旅は、季節を越えて池袋・新文芸坐へとたどり着いた。上映初日となったこの日、上映終了後の場内は、これから始まるトークへの期待感で満ちていた。
新文芸坐の花俟良王氏によるMCのもと、まずは板橋知也監督が登壇。続いて佐藤貢三、藤田健彦、廣末哲万、もりたかお、そして白畑真逸がステージに姿を現すと、満員の客席からこの日一番の大きな拍手が送られた。
映画冒頭の葬儀シーンにちなみ、監督とキャスト陣は黒の喪服姿。しかし、物語のきっかけとなる“故人”佐藤を演じた白畑は、なんと頭に三角巾をつけた白装束姿で登場。まさかの出で立ちに、会場はいきなり爆笑の渦に包まれた。
挨拶の口火を切った廣末が「皆様の貴重な時間の中で、この映画を観るということを選んでいただいたことに、ただただ感謝です。楽しいひとときになればと思います」と真摯に感謝を述べると、藤田は「こんなに大きなスクリーンで、満席のお客さんで観られるなんて幸せです」と喜びを語った。
続いてマイクを持った佐藤貢三は「えー、監督、ケン、ノリ、ミッチー、クドーの5人でですね、舞台挨拶をさせていただきます」と挨拶。一人足りないことに会場がざわつくと、登壇者の一人が「あれ、視えてる?」とぼそり。もりがマイクを手に「クドーこと、工藤哲司役のもりたかおと申します。よろしくお願い申し上げます」と挨拶すると、MCから「うっすら視えるような…」と振られ、もりは「やっぱりそうですよね!なんだか寒気が…」と、“見えていない”(はずの)白装束の白畑に手探りでマイクをパス。白畑が「皆さん、お察しのことと思いますが、死にました、サットン(佐藤)です」と完璧な自己紹介をすると、会場中が大爆笑に包まれた。

監督が語る原点と、『ファーゴ』に倣った(!?)“ノンフィクション”の真相
MCが「この素晴らしい映画を堂々と撮り上げ、長編第一作で、この手練れのおじさんたちを飼いならすとは並大抵なことでは…」と板橋監督を紹介し、トークが始まった。
作品のきっかけについて問われた板橋監督は、「友人たちとハイキングをしていたら『ひみつきちを作りたいな』という話になって、そこから映像化していこうと思ったのがきっかけでした」と述懐。当初は自身と同世代の20代を主役に想定していたが、「全然面白くなくて、一気に50代に年代を上げてみたら、これが面白くなったんです」と、本作の設定が生まれた経緯を明かした。
キャスティングについては、「僕の映画はキャストさんたちとみんなで作り上げていきたかった」と語り、特に主演の廣末については「僕の演出とかよりも、自由にやっていただいた方が絶対面白くなるなと思ったんです」と、その個性に全幅の信頼を寄せていたと振り返る。

それに対して佐藤が「廣末さん、(それは)どこら辺なのか聞かせてくださいよ」とツッコミを入れると、廣末さんは「(面白くなったのは)間違いないです」と即答し、会場は大きな笑いに包まれた。
このやり取りに板橋監督も「もう半分ドキュメンタリーを撮ってるみたいなもので」と笑いながら応じると、すかさず廣末が「(最後のクレジットは)打ち間違えちゃったんですか?」と一言。トークは映画の最後の一文の真相へ。
板橋監督は「実は、(エンドロールの)ラストに“この物語はフィクションです”って入れるのを間違えて“ノンフィクションです”って打っちゃって…。でも、狙いにしようと思って、『ファーゴ』(1996年)とかもそうじゃないですか。だからそういうことにしました」と、遊び心あふれる驚きのエピソードを告白し、会場を再び沸かせた。
手練れ“おじさん”たちの撮影秘話と、故人・サットンの苦労
続いてMCから各キャストへ質問が投げかけられた。
廣末は、2年半前の撮影を振り返り、「皆さんの記憶に何か持ち帰っていただけるような、ワンフレーズでもワンカットでもあったら嬉しいです」と語った。
年長者の佐藤は、「(我々世代は)30過ぎたらもう一緒ですよ(笑)。皆痛いとこありますから」と会場を和ませつつ、「(撮影は)暑くて、僕だけスーツだったので本当にしんどかった」と夏の撮影の苦労を語った。

ムードメーカーとして紹介されたもりは、「皆さん全然気づいてくれないんですけど、今日も下がジャージなんです」と恒例のネタを披露。さらに「『絶景だぜ!』ってセリフ、本当にその場で初めて言ったんですけど、完成した映画を観て、自分で感動しちゃって。もう、万歳ですよ!板橋監督、万歳!」と、撮影時のアドリブから生まれた名シーンの裏側を熱く語った。

一方、「遅れてきたら観られないのでは?」とMCに振られた白畑は、「本当に思い出がないんですよ(笑)。皆さんとワイワイやりたかったな、と。僕の撮影は本当に、その冒頭の1シーンだけなので」と寂しげに語る。監督によると、スパゲッティに顔を突っ込むというインパクトのあるシーンには、「忍耐力があって、一発でインパクトを残せる方」として白畑を抜擢したという。撮影では大量のスパゲッティが用意され、一発OKだったことが明かされた。

それぞれが語る感謝と今後の展望、そして新藤兼人賞ノミネートへの想い
舞台挨拶の終盤、各登壇者からファンへのメッセージが送られた。
藤田は、「本当に口コミのおかげです。SNSの力ってすごいな、と感じております」と感謝を述べ、佐藤は「手前味噌ですけども“傑作”だと思っておりますので、皆様の拡散力というパワーを、もうひと踏ん張りいただきたいです!」と熱く呼びかけた。
白畑が「もしよろしければ、周りの方に『面白いのあるよ』と宣伝していただけたら嬉しいです」と続けると、もりは「SNSで『#ひみつきちのつくりかた』で呟いていただいているのを、毎日見てニヤニヤしております」と感謝を伝えた。
廣末は「本当に映画は、こうやって観ていただいてやっと完成すると思っております。また足を運んでいただけたら」と語りかけた。
最後に板橋監督は、「僕の中で映画ってアート作品とはちょっと違くて、お客さんに観ていただいて評価されて、ようやく完成するものだと思っています」と自身の映画への哲学を語った。
その上で、「新藤兼人賞の最終選考にノミネートされたんですが、その条件が、劇場で1週間以上有料上映されていることなので、本当に皆さんに観ていただいて、ここまでロングランしていただいた結果です。今日がまたスタートラインだと思って、年末にかけて広がっていくので、ぜひ皆様のお力添えをお願いします」と万感の思いを伝え、舞台挨拶は温かい拍手の中、幕を閉じた。
笑顔のフォトセッション、そしてファンとのサイン会へ
フォトセッションでは、喪服姿と白装束という出で立ちとは裏腹に、キャスト・監督は満面の笑みで撮影に応じた。その後、観客向けの撮影タイムも設けられ、和やかな雰囲気は最後まで続いた。

そして舞台挨拶が終了すると、登壇者たちは劇場ロビーへ移動し、サイン会を実施。長蛇の列を作ったファン一人ひとりと丁寧に言葉を交わしながらサインに応じるキャストと監督の姿に、会場は温かい一体感に包まれた。

今後の上映情報
『ひみつきちのつくりかた』の旅は、まだまだ全国へと続く。この日、満席の熱気に包まれた池袋・新文芸坐では、11月29日(土)と30日(日)にも追加上映が決定している。
また、横浜・シネマノヴェチェントでは11月19日(水)から24日(月)、秋田・御成座(大館市)では11月22日(土)から30日(日)、長野・東座(塩尻市)では12月6日(土)から19日(金)までと、その輪は着実に全国へ拡大。年末年始には、大阪のシアターエミュでも12月27日(土)から1月9日(金)にかけての上映が決定している。
そして、劇場公開の原点であるシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』では、「今年『K2』で最も映画を鑑賞した会員が選ぶ“今年もっとも見逃してほしくないと感じた作品”」として2025年の「年末シネマ」にも選出され、12月19日(金)から30日(火)までのアンコール上映も決定している。その勢いはまだまだ止まりそうにない。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『ひみつきちのつくりかた』新文芸坐上映記念舞台挨拶
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映画『ひみつきちのつくりかた』予告篇🎞
映画作品情報

《ストーリー》大人になってしまった僕たちは、もう子供の頃には戻れないのかもしれない。 都内アパートの一室、50歳を迎えた佐藤がスパゲッティに頭を突っ込み急死を遂げる。佐藤の小学校時代からの旧友である山上は葬式に参列するため地元へ帰省すると、同じく旧友の御手洗(みたらい)、工藤、豊永と再会する。同じ町で少年時代を過ごしながらも、全く違う人生を歩んだ4人の初老たち。 葬式の合間に昔話に花を咲かせていると、工藤が1冊の大学ノートを取り出す。そこに描かれていたのは、佐藤が小学生の頃に書いた『ひみつきち建設計画』。その夏、彼らは忘れていた子供心を取り戻そうと、あの頃に夢見た“ひみつきち”を建て始める。しかし、彼らの目の前には様々な“大人の事情”が立ちはだかり……。 |
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