第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 レポート
【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (岩田剛典、白鳥玉季、山田真歩、田村健太郎、内田慈、坂下雄一郎監督)

第38回 東京国際映画祭(TIFF) 
コンペティション部門 
映画『金髪』舞台挨拶 

岩田剛典、白鳥玉季ら豪華キャスト&監督が登壇!
「何を考えているかわからない」監督と主演の共通点が発覚?

11月4日(火)、第38回東京国際映画祭(TIFF)コンペティション部門にて、映画『金髪』の上映が丸の内ピカデリー2で行われ、上映前の舞台挨拶に主演の岩田剛典白鳥玉季山田真歩田村健太郎内田慈らキャスト陣、そして坂下雄一郎監督が登壇した。

本作は、中学校を舞台に、校則で禁じられている金髪で登校する生徒と、事なかれ主義の教師たちの姿を描いた坂下監督によるオリジナル脚本の意欲作。舞台挨拶では、常連キャストが語る坂下監督の素顔や、主演の岩田と監督の意外な共通点が明かされ、会場は温かな笑いに包まれた。

【画像】映画『金髪』メインカット

主演の岩田剛典は、坂下監督の“脚本力”に「ぜひやりたい」と即決

本作で初の教師役に挑んだ主演の岩田は、満員の会場を見渡し、「本日はお越しいただき誠にありがとうございます」と挨拶。続けて「今日のためだけに、金髪にしてまいりました……嘘です。よろしくお願いします」とユーモアを交えて語り、コメントがすぐに英訳されると「いや、それ(英訳)は恥ずかしいな…」と呟いて会場を和ませた。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (岩田剛典/三代目JSB)

本作のオファーは約2年前だったと明かし、「脚本を読ませていただき、すぐに『ぜひやりたい』と思いました。それぐらい“脚本力”に魅了された作品です」と、出演を即決した理由について語った。作品に対しては「耳が痛くなるようなせりふもありますが、世代それぞれの楽しみ方ができるコメディになっているんじゃないかなと思います。ある意味、僕(が演じる市川)を反面教師にして観ていただきたいです」とアピールした。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (岩田剛典/三代目JSB)

白鳥玉季は、役作りの鍵となった金髪ウィッグに「感謝」

校則に抗議し、金髪デモを提案するという強い意志を持った生徒・板緑役を演じた白鳥は、「板緑はすごく芯のあるキャラクター。どんな風に喋るか、歩くか、またどんな風に先生と対峙するか、すごく考えました」と役作りについてコメント。

【画像】映画『金髪』場面カット3

また、「金髪姿になることによって、自分が家で考えていたよりも、板緑の気持ちに近づけるような感覚がありました。すごく、金髪ウィッグに感謝しています」と、役に入る上で印象的なアイテムだったことを明かした。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (白鳥玉季)

複雑な心境で演じた“パーフェクトな先生”

市川の同僚教師・中本を演じた山田は、役作りについて聞かれると「実は学生の時に教師を目指していた時期があったんです」と意外な過去を告白。「先生が絶対に守らなければいけない『教育指導要領』を読んだとき、“自分には守れない”と思って諦めた。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (山田真歩)

仲本はその教育指導要領的に見たら、ルールからはみ出すことのないパーフェクトな先生かもしれません」と役柄と自身を対比して分析した。一方で、「もし私が中学生の時にこういう先生に習ったら、卒業と同時に記憶から消えてしまうような気がして。事なかれ主義というか、そういう大人って多いんじゃないかと思いながら演じていました」と、複雑な心境を吐露した。

【画像】映画『金髪』場面カット5

常連キャストが明かす坂下監督の素顔とは?

坂下監督作品に複数回出演している田村と内田は、坂下監督の演出や人柄、作品の魅力について告白。田村は演出の印象について「(撮影が)早いですよね。すごく何かを言ってくれるわけでもなくて、ボソッと言って帰って行かれて(笑)。今ので終わったの?と思っていると、完成品ではしっかり仕上がっている。気づかぬうちに手のひらの上にいた、みたいな感じです」と独特の表現で思い返した。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (田村健太郎)

内田も、「坂下さんの作品はコメディなんですけど社会派。分かりやすい起承転結ではなく、大衆が揺れ動いていく様の描き方、観察眼がすごいなと思っています。正直な視点もすごく信頼できる」と監督の手腕を絶賛しつつ、「お会いした当初は本当に何を考えているかわからなくて、ほぼ笑わない。でも(今回は)ちょっと笑顔を出すようになって、大人になったんだなと思いました」とその変化について笑顔で明かした。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (内田 慈)

2人の裏話を受けて岩田も「監督の声を昨日の番宣で初めて聞きました。こんな声をしていたんだ…と。……嘘です」とジョークで乗り、監督を中心にチームワークの良さが伝わるトークとなった。

坂下監督オリジナル脚本の本作は、「変わった“合わせ技”みたいな作品」

脚本も手掛けた坂下監督は、オリジナル脚本に込めた思いを問われると、「題材は校則で、最初は自分とは結構距離感があるなと感じていた」と告白。しかし作っていくうちに、制作心境に変化があったといい、「主人公の性別や年齢が自分と近くて、共感できるようなキャラクターになっていきました。すごく距離の遠い題材と、すごく距離の近い主人公。その変わった“合わせ技”みたいな作品になったのではないでしょうか」と、ユニークな構造への仕上がりを示唆した。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (坂下雄一郎監督)

世代間のギャップや“ボタンの掛け違い”が描かれた作品
岩田剛典「頭を空っぽにして楽しんで」

最後に主演の岩田が、「この映画は、校則をテーマにした作品ではあるんですけども、世代間のギャップや、人が成長していくにつれて持っている価値観や常識が少しずつ変わっていく、そのボタンの掛け違いみたいなことを描いています」と作品のテーマに言及。

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (岩田剛典/三代目JSB)

さらに、「僕は監督が何を考えているか分からないと思っていたんですけど、プロモーションで取材の時に監督から『岩田さんって、何考えてるかわかんないですよね』って言われたんです。だからこの作品はお互いに何を考えているかわからない者同士が作った映画になっております」と裏話を披露して観客の笑いを誘ったうえで、「ぜひ頭を空っぽにして、純粋に楽しんでいただきたいなと思っております」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。

[スチール撮影: Cinema Art Online 編集部 / 記者: 深海 ワタル]

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イベント情報

第38回東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門
映画『金髪』舞台挨拶

■開催日: 2025年11月4日(火)
■会場: 丸の内ピカデリー2
■登壇者: 岩田剛典、白鳥玉季、山田真歩、田村健太郎、内田慈、坂下雄一郎(監督)
■MC: 奥浜レイラ
■英語通訳: 冨田香織

【写真】第38回 東京国際映画祭(TIFF) コンペティション部門 映画『金髪』舞台挨拶 (岩田剛典、白鳥玉季、山田真歩、田村健太郎、内田慈、坂下雄一郎監督)

映画『金髪』予告篇🎞

映画作品情報

【画像】映画『金髪』ポスタービジュアル

《ストーリー》

その日、中学校教師・市川の人生を大きく変える出来事が起きた。一つは担任クラスの生徒数十人が髪を金色に染めて登校してきたこと。そしてもう一つは、彼女から結婚の話を切り出されたこと。マスコミやネット、さらには文科省まで巻き込み大騒動になる“金髪デモ”と、日々の愚痴を聞いた彼女からの辛辣な説教で板挟みになる市川は、窮地を脱するために“金髪デモ”を計画した張本人・板緑と手を組み、とある作戦に打って出る⋯。仕事の問題と人生の決断が一挙に押し寄せた市川は、いつまでも若者で何事も順風満帆だと思っている“イタいおとな”から“マトモな大人”へと成長し、全ての試練を乗り越えられるのか!?

 
出演: 岩田剛典、白鳥玉季、門脇麦、山田真歩、田村健太郎、内田慈
 
監督・脚本: 坂下雄一郎
音楽: 世武裕子
 
配給: クロックワークス
 
2025年 / 日本 / カラー / アメリカンビスタ / 5.1ch / 103分 / 映倫区分:G
 
© 2025「金髪」製作委員会
 
2025年11月21日(金) 全国公開!
 
映画公式サイト
 
公式X: @kinpatsumovie
公式ハッシュタグ: #映画金髪
 

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この記事の著者

深海 ワタルエディター/ライター

ビジネスメディア、情報誌、ITメディア他幅広い媒体で執筆・編集を担当するも、得意分野は一貫して「人」。単独・対談・鼎談含め数多くのインタビュー記事を手掛ける。
エンタメジャンルのインタビュー実績は堤真一、永瀬正敏、大森南朋、北村一輝、斎藤工、菅田将暉、山田涼介、中川大志、柴咲コウ、北川景子、吉田羊、中谷美紀、行定勲監督、大森立嗣監督、藤井道人監督ほか60人超。作品に内包されたテーマに切り込み、その捉え方・アプローチ等を通してインタビュイーの信念や感性、人柄を深堀りしていく記事で評価を得る。

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