第46回 日本アカデミー賞 授賞式 優秀主演男優賞
最優秀主演男優賞は妻夫木聡🏆
「僕は本当に日本映画が大好き。これからも盛り上げていけたら」
3月10日(金)、「第46回 日本アカデミー賞 授賞式」が、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール「崑崙」で開催。昨年『花束みたいな恋をした』で第45回最優秀主演女優賞受賞した有村架純と、第43回~第45回授賞式に続き4回目となるフリーアナウンサーの羽鳥慎一が司会を務め、各部門の最優秀賞受賞者および最優秀作品などが発表された。
最優秀主演男優賞は『ある男』の妻夫木聡
現地でのブロンズ授与に力強くガッツボーズ
優秀主演男優賞を受賞したのは、阿部サダヲ(『死刑にいたる病』)、大泉洋(『月の満ち欠け』)、妻夫木聡(『ある男』)、二宮和也(『ラーゲリより愛を込めて』)、松坂桃李(『流浪の月』)。受賞者は各自撮影時の思い出を披露した。
初の連続殺人犯役を演じた阿部は、役作りについて「監督から、彼はパン屋なので『清潔感を出すために歯を白くしましょう』と言われて。実際にそうしたら(監督に)爆笑されたんですよ。でも映画の中で見たら、その白さがすごく不気味に思えてきた」と意外なポイントが生きていたことを明かした。また、現場の雰囲気についても「監督がすごく穏やかな方なので、被害者の方がみんないっしょに写真を撮って帰るんです」と話し、残虐な殺人事件の加害者(阿部)と被害者役の俳優たちがにこやかに記念撮影をした写真を披露して会場を沸かせた。
大泉は、28歳の役を演じたことにふれ「(28歳は)若すぎるので、役作りと言う意味では諦めました。CGとかのデジタルに任せてね。年を取ってからの場面は年齢がどうというよりも突然妻子を失うとんでもない役。その悲しみにくれていた感じですね」と役作りを振り返った。さらに「僕も奥さんと娘がいるので辛かった。この役を受けること自体『演じる2カ月が間つらすぎる』と悩んだくらい。撮影中は娘の寝顔をついつい眺めたりしていまして。日常は決して当たり前になくて、すべてが大切な時間とあらためて感じました」と自身の家族に想いを馳せたことを告白した。
妻夫木は弁護士役を演じるにあたり、実際の弁護士に会ったり、裁判の傍聴にも行ったという。その中でさまざまなタイプの弁護の仕方があることを協力者の弁護士に伝えたところ、「今、接している僕はいつも(弁護士をしている時)の僕とは違いますよ」と言われ、今回のテーマでもある「一人の人間にもいろんな顔がある」ことが納得できたと語った。
また、共演の柄本明について、「芝居の中で飲み込まれてしまいそうだった。柄本のさんのお芝居は嘘のつき方が本当に上手で圧倒された」と改めてその演技を絶賛した。さらに作品とは別のエピソードとしてボクサー役を演じた窪田のトレーナーからボクシングを習い始めたと明かし、「今日会場にその方の弟子がたくさんいる。柄本佑と安藤サクラも、横浜流星くんもそうです」と意外な縁を披露した。
二宮は司会の羽鳥から「一度オファーを断った?」と聞かれると、「嵐が休む年の撮影でオファーを受けて。(当初の撮影予定だった)2020年は、嵐の思い出で埋め尽くしたいと断ったら、待っていただけた。おかげで逆に取り組み方を変えられた役でもありますね」とグループに想いを馳せながら回答した。現場はほとんど男子の世界だったといい「みんなで仲良くやっていたけど、(共演した)松坂さんだけ一人“2000円高いホテル”に逃げ出した」と明かしてニヤリ。『流浪の月』による受賞で隣に座っていた松坂から「それには事情があるんです。(当初泊まったのは)本当に何もないホテルだった。2000円高いホテルは、もう少しだけ何かあるみたいだからどうします?と二宮さんに聞いたら行ってみたいと言うから、僕が先に様子を見るため泊まりに行ったんです。なのに、こういう言い方をされて」と“反撃”され、仲の良さが伝わる一幕となった。
そんな松坂は『流浪の月』で演じた文役の苦労した点を「自分の中で本当につかめない役。雲の中を手さぐりで進んでいくような」と吐露。「(文に)つながるものを自分の中で本当に見つけ出せない。監督から彼が(撮影で)住むアパートに寝泊まりしてみたら?と言われて実践したりもしましたが、今だに『本当にこれで良かったかな?』と思います」と掴み切れずにいる心境を素直に伝えた。そんな自身が撮影中に夢中になったのはコーヒーを淹れることだったといい。スタッフ陣に毎朝と夜中に配り、リラックスした時間を過ごしていたという。
最優秀主演男優賞は今回で3回目の最優秀賞となる妻夫木聡が受賞。にこやかな笑顔で登壇した妻夫木は『悪人』(2010年)で初めて最優秀主演男優賞を受賞した時を振り返り「当時は舞台があり中継での参加だったので、今回は実際にいただくことができて嬉しいです」と共に作品を作った仲間の前での受賞に喜びの声を上げた。
さらに「石川監督と脚本の向井さんとは『愚行録』(2017年)からご一緒してきて、先ほどの新幹線の場面はお酒の場でもディスカッションしたりして取り組んでいました。人間にはいろんな顔があると腑に落とせてから、以前に山田洋次監督から『在る、ということが大事なんだ』といわれたことを頼りに、とにかくこの場に“在る”こと、存在することを大事に演じました。僕は本当に日本映画が大好きです。これからも皆さんと盛り上げていけるように一緒に仕事ができたら嬉しいです」と決意を語り、レッドカーペットではカメラに向かって力強いガッツポーズを見せた。
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イベント情報
第46回 日本アカデミー賞 授賞式■開催日: 2023年3月10日(金)
■会場: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール「崑崙」
■司会: 羽鳥慎一(アナウンサー)、有村架純(女優)
■副賞協力: ブルガリ
■協賛: サラヤ、横井定
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